【ホットレイク】村間戦争・賛成派側

■ショートシナリオ


担当:姫野里美

対応レベル:4〜8lv

難易度:普通

成功報酬:2 G 88 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月26日〜11月02日

リプレイ公開日:2006年11月04日

●オープニング

 それは、些細な事件が発端だった。
 ホットレイクと呼ばれる、常に凍らぬ湖。周辺には8つの村があり、水門によって共同管理をしている‥‥はずだった。
 ところがある日、その水門が、何者かによって壊された。犯人を突き止めようとしたが、結局うやむやに終わってしまい、分からずじまい。その結果、8つの村は、2派に分かれて、何かにつけて争うようになってしまった。
 さて、そんなある日の事。
「欲の皮の突っ張った貴族を村に入れるな!」
 ホットレイクの壊れた水門を境に、大声を上げている村人達がいた。手には農具と松明を持っている。特に農具はいわゆるバトルフォークと化し、人々の血の気を煽り立てている。
「貴族の味方をする奴は敵だ! 敵は排除しなければならない!」
 中でも、屈強な体を持つ若者が数人、中心になっているようだ。全員が手に武器代わりの農具を持ち、口々に『船を出せ! 海戦だ!』『やっちまえ!』と、凶暴な叫び声をあげている。
「これでいい‥‥。これを成功させれば、私は認められるのだ‥‥」
 そんな群集の中、そう呟いた奴がいた。その肩には、小柄な猫が乗っかっている。だがその呟きは、人々の争う声に紛れて、じきに聞こえなくなっていった‥‥。

 それから数日後。
「さて、家庭教師リストは、これで最後っと‥‥。ケンブリみたく大きな校舎がないと、色々不便ねぇ‥‥」
 ミス・パープルは、生業にしている教員業をこなしていた。キエフには、国立・私立に関わらず、大きな学校はない。その為彼女は、必要のある家々を一軒一軒回る形で、業務をこなしていた。
 その帰り道‥‥である。
「すみません。冒険者ギルドに頼みたい事があるんですけどぉ」
 ちょうど、ギルドの前を通りかかった時である。職員と間違えられ、声をかけられるパープル女史。
「そうじゃないけど‥‥。いったいどうしたの?」
 あながち関わりがないとは言えないので、パープル女史は事情を尋ねた。と、近くの村から来たと言う彼らは、村に起きた事件を、こう説明してくれる。
「実は‥‥うちの村が、近くの村から目の敵にされていまして‥‥。近く、襲撃を受けるかもしれないのです」
 それによると、彼らの村は名誉にも、ロシア王国女王エリザベータの保養地候補として選ばれたらしい。だが、村の半数以上がなぜか反対をしており、賛成派の住民に、今にも襲い掛からんといった状況らしい。
「それで、護衛を募集しているのです。雪が降る頃には、騒ぎも収まると思いますが‥‥」
 とりあえず、一週間。その間だけ、村が襲われないように守って欲しいそうである。
「ふぅん。なんだか大変そうねぇ」
 ところが、彼女がそう言って、依頼受けようかしら‥‥と、冒険者ギルドまで付いてきた時である。
「え? そうなんですか? たった今、こんな文があって‥‥」
 驚くギルド職員。見せてくれたそれには、こう書かれていた。
『賛成派の村から、敵を一掃してくれ! 手段は問わない!』
 文面を見て、顔色を青ざめさせる村人達。と、パープル女史は目を輝かせてこう言った。
「仕方ないわね。手伝ってあげるわ」
 この所、腕がなまってしょうがなかったのよ‥‥と、楽しそうに呟く彼女。こうして、ギルドには彼女の手で、こんな募集がかけられていた。

『隣村と戦争やるらしいから、警備と護衛とこいつを退ける軍師か何か募集ーーーー!』

 いかにも彼女らしい文章である。

●今回の参加者

 ea8110 東雲 辰巳(35歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 eb5288 アシュレイ・クルースニク(32歳・♂・神聖騎士・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb5584 レイブン・シュルト(34歳・♂・ナイト・人間・ロシア王国)
 eb5634 磧 箭(29歳・♂・武道家・河童・華仙教大国)
 eb5690 アッシュ・ロシュタイン(28歳・♂・ファイター・ハーフエルフ・フランク王国)
 eb5706 オリガ・アルトゥール(32歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb5885 ルンルン・フレール(24歳・♀・忍者・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 eb6447 香月 睦美(33歳・♀・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

 目的は、無駄な血を流すことなく、争いを収める事。手段は様々だが、冒険者の心境は複雑だった。
「嫌ですね、お互いがお互いを憎みあって傷つけあうようなことは‥‥。今回の依頼も、寂しい限りですね‥‥」
 そう話すオリガ・アルトゥール(eb5706)。戦と言うのは、いつの世も後ろ向きだ。と、アッシュ・ロシュタイン(eb5690)も忌々しげにこう話す。
「まったく何でこんな事で争うのかねぇ‥‥。反対するにしたって他にやる事はあるだろうし、言うべき相手も他にいるだろうにな。馬鹿どもが‥‥手段と目的を履き違えやがって‥‥」
 彼の文句は止まらない。アシュレイ・クルースニク(eb5288)も、「双方とも故郷のことを思ってのことなのに、互いに争うことになるとは‥‥」と嘆く。
「同じ土地に住む者同士、いがみ合う事など無いであろうに‥‥。変化が起これば波風が立つのは仕方ない事か」
「村おこしになるのに、どうして‥‥あっ、選ばれなかった村の妬みもあるのかな? だったら悲しいですよね」
 半ばあきらめたような香月睦美(eb6447)のため息に、ルンルン・フレール(eb5885)は、その根っこに人の暗い部分が関わっているのではないかと、推測する。
「‥‥とりあえず戦争にならないよう、努力するべきなのだろうな。その為に一週間、大きい諍いを起させなければ良いのだな」
「私、軍師か何かになって、村人さん達を守っちゃいます! 偉い人の都合で村同士が争うなんて、悲しい事だから‥‥」
 睦美が言うと、自分の役割を宣言するルンルン。と、アッシュも周囲を見回しながら、こう言った。
「しかし‥‥。一週間守り抜けば何とかなるらしいが‥‥本当にそれで良いのかね? このままほおって置いたら何度も同じ事が起きる気がするな‥‥」
「いや、今回は反対派サイドに行っている知り合いが、黒幕を探している最中だ。それまでに、この村を守ればいいんだろう」
 アッシュの当然とも言える疑問に、東雲辰巳(ea8110)がそう答える。その手には、依頼書の写しが握られていた。
「そうは言いますけど、何処から来るか分からない以上かなり大変な事になりそうですねぇ‥‥」
「はーい、それなんだけど、あっちの知り合いから、内部情報さくっとゲットしたから、時間はすぐにわかるわ」
 オリガがもっともな不安を口にすると、そこへパープル女史が、白樺の手紙を見せびらかす。
「うふふふ。このパープル様の目の黒いうちは、横暴なんてさせないわよ」
 ライトハルバードを握り締め、彼女はそう言った。自分自身が横暴だと評判なのに、まぁったく気付いていない。
「‥‥まぁ、本人が楽しんでるんだから、いいか」
 あきれつつも、ちょっと嬉しかったりする東雲さんだった。

 さて、話し合いの結果。オリガと睦美の提案で、数人に分かれて見回りを行う事になった。その一週間は、村人達に外出を控えてもらい、どうしても言う場合、磧箭(eb5634)の案で、三人一緒に動いてもらうと言うことになった。
 その見回りの結果、数日の間は、何事もなく過ぎた。反対派が抑えてくれていたことも功を奏していたらしい。だがそれでも、夜になると偵察の松明が、見え隠れしており、いつまでもそのままにはしておけなかった。
「ふぁぁ、よく寝たでござる。お、あれは‥‥」
 そんな中、いつものように夕方までの仮眠を取り、目を覚ましたかわやは、湖に向かおうとする漁師を見つけ、声をかける。
「この季節も漁でござるか? ならば、護衛と手伝いをするでござるよ」
 言われた通り、3人で行動しているようだ。今から、網を仕掛けに行くのだろう。手に手に目印と桶を持つ彼らに、かわやはその荷物を持ってやりながら、こう尋ねる。
「この船は、このあたりではよくあるサイズなのでござるか?」
 彼らの話によれば、この湖は真冬でも凍らない為、冬場の食料調達によく使われるらしい。それは、反対派勢力の村も同じなので、当然船や漁師道具も、ほとんど同じものを使っているとの事だ。
「なるほど。では、使ったとしても、目立たぬでござるなぁ」
 物欲しそうな顔をして、かわやがそう言うと、漁師さんたちは『何か使うなら』と言ってくれた。それを見たかわやは、あわてて首を横に振り、こう答える。
「い、いや。み、ミーは獲れたての新鮮な魚を食べたいなどとは、思ってないで御座るよ」
 明後日の方向を向いて言っても、説得力はゼロだ。が、漁師さんたちは、かわやが河童なので、新鮮なお魚が恋しいんだと誤解したらしく、ごちそうはしてくれるそうだ。
「いやー、一時はどうなるかと思ったでござるよ」
 で、その結果、かわやは無事、船を一艘借りることが出来た。もっとも、あくまでも漁師が出来るレベルしか、操船はできないのだが、それでも水には慣れている。ほっとするかわや。
「よかったな。では、私はこっちで見張っている。なぁに、目を慣らせば、かえって明かりがない方が見えるだろうしな」
 自分で作ったパンを、もふもふと食べながら、防寒服と毛布を羽織る睦美。本当は、焚き火でも欲しいところだが、それではこちらの居場所を教えるようなものだと、彼女は言った。
「心得たでござる。反対勢力も、船は同じだそうでござるから、気をつけるでござるよ」
 と、そこへ手に大き目の白樺の皮をもったルンルンが、手を振ってくる。
「いたいた。はい、これ村の地図。赤の×印は、東雲さんが仕掛けた罠だそうですから、触らないようにお願いしますね」
 それには、賛成派の村近郊の地図が書いてある。そして、ところどころに、印がいくつもつけられている。そのうち赤いものは、東雲が仕掛けたものだそうだ。
「湖の周囲と、村の入り口に集中してるな。この青いのは?」
 船の進入を防ぐ為だそうで、網が張ってあるとの事。そう気付いた睦美は、色の違う印の意味を尋ねる。
「そっちは、村の人が作った、安全なものです。反対派の人は、そっちを回ってくるそうですよ」
 そう言って、ルンルンはそれを設置した時の事を話した。話は、昼間の段階までさかのぼる。
「後に禍根を残しちゃ駄目ですから、なるべくバカっぽいのでお帰り願います」
 腰くらいの深さの穴に、落ち葉を詰め込んで、落とし穴にしている。狩猟用なら、底に尖った石や枝でも仕込んでいるものだが、今は怪我をさせないのが大前提。なるべく平らにして、子供が落ちても怪我をしないように、注意して作成していた。
「水だと風邪引いちゃうわねー。じゃ、土にしておきましょう」
 何故か楽しそうにそれに加わっているパープル女史。いたずらに関しては、イギリスで散々やってきたので、お手の物と言った調子だ。
「いや、これはどちらかと言うと泥のレベルじゃ‥‥」
 足を引っ掛ける為のロープを張っていた東雲、彼女が落とし穴にしかけたものを見て、突っ込みを入れる。が、パープル女史曰く「怪我さえしなけりゃいいのよ」との事。
 その結果。
「なるほど、しゃれになる方で、反対派を足止めと言うわけか」
 出来上がった罠を見て、そう感想を言う東雲。一段下がった場所に、落ち葉を敷き詰めたその上には、道しるべのように石が乗せられている。が、ちょっと押すと、それはすぐに落ち葉の中に沈んでしまうレベルだ。
「これなら、すぐにお家に帰って、身体を洗いたくなりますから」
「うむ。実際俺もそうだった‥‥」
 そう解説するルンルンに、嫌な事でも思い出したのか、眉をしかめる東雲。
「と、兎も角。どちらからきても、すぐに対応できるようにしておきましょう」
 報告を受けたオリガ、あらあらあら‥‥と、苦笑しながら、そう告げたと言う。

 そして。
「来たぞ。南からだ!」
 見張りをしていた睦美が、大声で叫ぶ。見れば、松明がこちらへ数本向かってきていた。
「と言うことは、集団ですね」
「ええ。実際、複数で引っかかってます」
 オリガの台詞に、そう答えるルンルン。と、罠を仕掛けた東雲は、パープル女史の左側で、刀に手をかける。
「出来るだけ、追い払う程度にしてくれよ」
「手加減苦手なんだから、やり損ねても、文句言わないでね!」
 あっさりと答えた彼女の様子を見るに、これは自分がなんとか峰打ちにしないと、被害が大きそうだ。もっとも、彼自身はスタンアタックは使えないので、仕方なくソニックブームを足元の落ち葉に炸裂させて、粉のように舞い上がらせている。
「この様子じゃ、話をしたくても、無理そうだな。扇動に乗っている連中からすれば、村を守ろうとする俺達は、只の妄言を吐く敵にしか見えないだろうし」
「大丈夫。動きを止めるだけなら、前衛じゃなくても出来ますから」
 アッシュが難しい表情でそう言うと、オリガは笑顔のまま、魔法を唱えた。10秒後、15m先の村人が、アイスコフィンで氷漬けになる。
「多少の怪我はやむをえんと言うわけか。心配せずとも、死なせはせん!」
 それを見て、睦美も刀の峰を返す。刃を触れさせさえしなければ、なんとかなるだろう。幸い、反対側の冒険者には、リカバー使いが居るようだとのことだし。
(「もっとも‥‥。武装した戦士が出てくる時は、この限りではないがな‥‥」)
 そう思い、周囲を見回す彼女。だが、いるのは村人ばかりだ。
「湖面の皆さんは、板の向こうから、泥団子を放ってください! 当たらなくても構いません!」
 と、その視線の先で、板を張った船の上で、枯れ葉を扇状にふりつつ、ルンルンがそう指導している。と、その当たった先で、相手の船が、大きく揺れた。
「皆さん、頑張って追い返しちゃいましょう!」
「もうやってるでござるよー」
 檄を飛ばすルンルンに向かって、水面から手をふるかわや。村人達がそれに答え、泥団子を投げつけている間、ルンルンはちょっぴり優越感に浸って、こう呟く。
「ふふ。私、前から一度、こういうのやってみたかったんです☆」
「と言うことは、私の主な役目はこう言う事ですね」
 泥団子の勢いに押され、固まった村人へ、今度はオリガがアイスブリザードを浴びせた。寒さで動きの鈍った彼らに、今度はアシュレイが、コアギュレイトを発動させる。
「呪文が切れる前に、ロープで縛っちゃってください!」
 彼女の台詞に、いっせいにロープを持ってくる村人達。だが、そこは素人なので、取り逃がした者達も多い。
「く、聞かない状況なら、あえて話を聞いてもらえる状況にするしかないからな。許せよっ!」
 そう言って、村人の下へ、体を滑り込ませるアッシュ。振り下ろされた棍棒が、筋肉質の体に衝撃を与える。
「く‥‥」
 こらえる彼。ここで耐えなければ、話を聞いてもらえないと思ったから。
「援護するでござる!」
 そこへ、水からあがってきたかわやが、陸上戦に備えて用意していた鞭で、びしびしと地面を叩いた。舞い上がった落ち葉は、周囲の行動力を奪う。その中で、かわやはくちばしを打ち鳴らした。
「クエ〜ッ、クエックエ!」
 まるで怪鳥のような声が、辺りに響いた。一瞬、場の空気が凍りつく。そんな中、アッシュは立ち上がり、こう一喝。
「話を聞け! お前達!」
 殴られて、血が出ていた。彼の体にしてみれば、かすり傷だろう。それでも、見慣れていない村人達は、驚いて固まっている。そんな中、アッシュは彼らに問いかける。
「で、貴様達は何がしたいんだ? こうやって暴力に訴えて、自分と意見の違う者を排除して、満足か?」
 静まり返る中、彼はこう続けた。
「いいか? こんな事をしても何も変わらない。いや変わるか‥‥憎しみが増して相争う状況がずっと続く事になる。それで満足なのか?」
 村人達は誰も答えない。答えようがないと言ったところだろうか。
「自分達の子供が、子孫が、醜い争いを続ける事になるのが、満足なのか?」
 回答の出ない中、今度はアシュレイが諭すように告げる。
「とりあえず、捕らえた方は、あちらでお話を聞きましょう。全てはそれからです」
「それに、船を沈められたら、明日からの生活が出来ないで御座ろう?」
 火矢を手にしたかわやに、脅迫するように言われて、残りの面々は、大人しく従ってくれるのだった。

 そして。
「なるほど‥‥。誰かがずっと耳元でささやいていたような気がするのですね。そして、不満と言うのは、漠然とした不安でしかなかった‥‥と」
 捕らえられた反対派の村人だが、アシュレイの尋問に、思いのほか素直に応じた。根は普通の村人さんである。彼女が、不満を聞く姿勢を見せると、あっさりと事の次第を話した。やはり、反対派側から、連絡されたように、漠然とした不安を、いつのまにか煽られてしまったらしい。
「何故強攻策を取ろうとまで思ったのだ? こういう騒ぎが起きる発端には、大抵それによって恩恵を受ける者が居るものだが、今回はどういう利益になるのかちょっと見当がつかぬ。いったい誰が襲撃などと言い出したのか、首謀者の名を教えてもらおう」
 睦美が尋ねると、村人は中核メンバーの名を上げた。それを聞いた彼女、賛成派の村人に「心当たりはあるか?」と尋ねる。だが、いかに隣村とは言え、村人全員の名を覚えているわけではない。首を横に振る彼ら。どうやら、その御仁が、この騒ぎの中心人物なんだなと考えたアシュレイ、ゆっくりとこう諭す。
「故郷を思う気持ちは良くわかります。でも、よく考えてください。武力で誘致計画を打ち壊しても、後に残るのは荒れ果て、隣人同士の信頼を失った故郷です。この地の平穏を願うあなたたちが、この地の平穏を壊そうとしているのですよ」
「お前達は人だろう? なら話し合え。総てそれで解決できるはずだ」
 俺に言えるのはこれ位だな。と、表情を変えないまま、アッシュも言った。
「いきなり会合をって言っても無理だろう。向こうが片付いたら、宴席でも設けるといい」
「なるほど。ただ襲撃を退けたのでは、根本的な解決にはなりませんからね」
 東雲の提案に、頷くアシュレイ。こうして、『ささやかな』パーティが開催された。テーブルの上にピロシキにボルシチ等の、郷土料理が用意される。その中で、東雲はこう提案してみた。
「どうだろう。ホットレイクを温泉等に活用して、保養所と共に観光資源等として活用できないか?」
「ジャパンみたいに、湯船に浸かる習慣はないわよ。この辺りは」
 そう突っ込みを入れるパープル女史。この地方では、風呂はサウナに取って代わるそうである。そんな中、ルンルンが何か小さな種を、村人へと差し出した。
「仲直りの証に、各村で育ててみてください。花言葉は『心豊かに』って、今決めました!」
 きっと、春になったら、一面の花畑が見れるだろう。王妃エリザベータも、喜ぶに違いない。