【豪州国交】人魚の料理屋さん

■ショートシナリオ


担当:姫野里美

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:3 G 32 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月28日〜12月31日

リプレイ公開日:2010年01月05日

●オープニング

【豪州国交】人魚の料理屋さん
 キエフを襲った危機。表にはあまり出ないが、その助力となったのは確かに豪州の力だった。恐竜達は『恐ろしい竜』とジャパン語で書くだけあって、その力は計り知れないが、それでもその地でそれだけの力を持つ『国家』として成立している為、ここは仲良くしておいた方がロシアの今後の為だろうと言う風潮が、貴族達の間に広がっていた。
「珍しいな。王妃様が外政に関わるとは‥‥」
「あれでも小国としてのロシアの女王だ。それなりに影響力はあるだろうさ」
 その中心には、王妃の姿があった。トーマを助けてくれた冒険者達への感謝の気持ちもあるのだろう。相変わらず表情は薄いが、それでも主張するべき事だけは主張している。その姿に、戸惑う者もいたが、主に自分の領地と豪州の事だけに関わっている為、おおむね受け入れられているようだった。
 そんな国政はともかく、豪州の国交申し出を受け入れる話し合いが行われている中、もう1つ問題があった。それは王妃宮勤めの料理人達が気にしている事だった。
「この調子で行くと、ゆくゆくは向こうの偉い方が、こちらで食事をなされる事も多そうだね」
「そうすると、メニューや向こうの舌にあわせた料理ってのも作る必要があるよなぁ」
 会食の機会も多い。せっかく遠方から訪ねてくるのだ。美味しくないモノを出すわけには行かない。考えた料理人達は女官を通じ、王妃様に申し出ていた。
「向こうの方の好みを覚えたいのですが‥‥何とかなりませんか?」
 その結果、視察と言う形で、ロシア側の代表者と共に、材料等を調達する冒険者を募る事になったらしい。問題は、その代表者だが。
「トーマ、行ってきてくれますか?」
「‥‥仰せと、あらば」
 戻ってきてからのトーマは、口数が少なくなった。それでも、言う事に素直に従っているのは、詫びる気持ちの表れだろうか。
「危険かもしれませんが‥‥」
「‥‥‥‥私のような身分には、ちょうど良いでしょうね」
 心配する王妃に、トーマは自嘲気味にそう答えるのだった。

 その頃、豪州では。
「えーと、お手紙では、なんだかかの君のお友達が、食料が足りなくて困っているようなのです。細かい事は分からないのですが、ひとまず東岸の恐竜を、何匹か狩りたいとの申し出です」
 ハイド少年が、パープル女史から受け取った手紙を読み上げていた。それには、こちらの味を覚えたい旨と、その材料等は自分達で調達したい故、案内を頼みますと書いてあった。
「では、ついでですから、遺跡で発生した竜達の退治をお願いしましょう。興味のある方もいらっしゃるようですから」
 クイーンズランドの名の通り、女王が治める国では、モササウルスの肝薬で調子の良くなった女王が、政務に復帰していた。その指示で、アリススプリングスの近くにある教会遺跡で、異常発生したブロントサウルスを何匹か間引きする事を書き記す。
「あまり草食竜ばかり増えると、向こうで栽培している作物に影響が出ます。恐竜達には申し訳ないとは思いますが、3〜4匹も狩れば充分でしょう。よろしくお願いいたします」
 なお、狩った肉の一部は、クイーンズランドの伝統料理になる模様である。こうして、めぐりめぐってギルドに乗った依頼には、こう書いてあった。


『ブロントステーキを食いたい奴は名乗り出ろ。ただし、狩るのは自己責任だ』


 どうやら依頼文章を書いたのはパープル女史らしい。

●今回の参加者

 ea0029 沖田 光(27歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea0664 ゼファー・ハノーヴァー(35歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea4202 イグニス・ヴァリアント(21歳・♂・ファイター・エルフ・イギリス王国)
 ea6228 雪切 刀也(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8110 東雲 辰巳(35歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 eb2404 明王院 未楡(35歳・♀・ファイター・人間・華仙教大国)
 eb3530 カルル・ゲラー(23歳・♂・神聖騎士・パラ・フランク王国)

●リプレイ本文

 ロシアが真冬を迎える時、オーストラリアは夏の盛りを迎える。春に生まれた子供達が巣立ち、大きなシダが繁茂する季節だ。
「大人しいとは言え、襲ってきたら、大変ですから‥‥。まずはどこかに動きにくく出来る場所がないですか?」
 沖田光(ea0029)が様子を観察しながら、そう言っている。本当はじっくりと記録に残したい所だが、これも調印式の為。それに、増えすぎたブロントが、アリス周囲の畑に手を出す事を考えると、いたしかたない。
「水に入られる可能性の方が高いだろう」
 イグニス・ヴァリアント(ea4202)がそう答えている。水辺の生き物だと考えると、向ってくるよりは驚いて安全な場所‥‥すなわち、湖の中に入ると考えた方が妥当だ。
「もしかしたら、近くに出来たかもしれん。とにかく行ってみよう」
「そうですね。事前の情報収集は大切ですし」
 ゼファー・ハノーヴァー(ea0664)がブロントの近くを指し示すと、明王院未楡(eb2404)がイグニスから聞き出した情報を、メモしている。初めて向う場所なので、慎重になっているようだ。
「こうしてみると、恐竜には少し申し訳ない気がしてきたな」
 イグニスの指示に従いつつ、湖際に進む彼ら。そこには、数多くのブロント達がおり、既に湖で寝そべっているモノもいる。さしずめ、温泉地で大浴場に群がる観光客のようだ。
「私はあのあたりに陣取った方が良さそうだ。木の上だからちょうど良かろう」
 ゼファーが持っていた荷物と共に身を隠す。湖の周囲には、大きなシダも生えている。下の方は既に食われているが、上のほうには、まだ身を隠す余力が残っていた。
「ぼくはこれで姿を消して、足元にいた方が良いね」
 カルル・ゲラー(eb3530)は例によって、ミラージュコートを着用し、姿を消した状態で、ブロントの足元へそっと近づいて行く。全く気付いていない恐竜さんが、何の気なしに座ったりするので、ちょっと危なっかしいが、さほどスピードがあるわけではないので、充分避けられる。
「これで平気なのでしょうか‥‥」
「ああ、大丈夫だ。元々はおとなしい動物だし、ちょっと大きい牛みたいなものだと思ってくれればいい」
 不安そうに尋ね来る未楡に、イグニスは頷いてくれた。牛にしてはちょっと大きすぎるが、行動パターンは似たようなものなのだろう。確かにそっと近づく分には、その反応はまるで水牛のようである。
「なるべく湖から遠い個体から狙うのが正解だろうな」
「そうだな。準備が整ったのなら、さっそく豪州との国交の礎になって貰うとするか」
 ゼファーが距離を測っていると、イグニスは申し訳なさそうな顔をしながら、一番手前にいた恐竜に狙いを定める。
「こっちも終わった。いつでもいけるが、射程距離が短いんで、何とかしてくれ」
 そこへ、準備を整えた雪切刀也(ea6228)が知らせに来てくれた。アリスに残っている対恐竜用杭撃ち機のロープを張りなおし、発射出来るようにしてきたそうである。その着弾地点をしっかりと脳裏に刻み込んだ未楡が前のほうへ進み出る
「まずは、あの一番手前のブロントさんの足元を狙ってください。逃亡されたら困りますから!」
「わかってる。眼を狙っても、止まらないだろうからなっ」
 沖田が、アリスの外側に張り巡らせた堀を指し示し、そう言っていると、ゼファーが早速足元に矢を放つ。的が大きいだけあって、その狙いは外れず、前足の中ほどに突き刺さる。
 が、普通なら驚くなり暴れるなりするはずの反応が、かけらもない。確かに矢は突き刺さっているのだが。
「硬いよー?」
 こっそり忍び寄ったカルルが、つんつんと武器の先でつつくが、全く反応がない。と、思った直後だった。
「みぎゃあーーーー」
 たっぷり10秒ほどだったろうか。いきなりブロントが首を長く伸ばした。どうやら、反応が遅かっただけのようだ。
「追い込むのが面倒じゃないか。何とかこっち側に誘導しないとっ」
 東雲辰巳(ea8110)がとりあえず、ソニックブームを放ってみるが、あまり効いていない。流石にそれだけの巨体だと、かすり傷でも盛大な生命力を持っているようだ。
「えぇい、いい加減倒れてくれっ」
 イグニスが。げんなりした表情を浮かべている。戦いは、結構長く続いていた。何しろ、普通の動物とは大きさからして違う。その為、3回で落とせるはずの脚も、5回くらい叩かないと、倒れてくれないのだ。さっきから膝のあたりにダブルアタックを食らわせているが、ひざをついた様子はない。
「お母さんがきづいてこっちにきちゃいましたよっ! 何とか隔離を!」
「こっちだこっち!」
 未楡が何とか逃亡出来ないように回り込み、足元を狙う。沖田がぐるぐるとファイヤーバードで空を舞いつつ、頭をつつこうとしているが、そこに今度は親のブロントがなにさらすんねんと突っ込んできた。そこへ、なるべく湖から遠く離そうと矢を射るゼファーだが、おめめを射抜いても、その歩みはやはり止まらない。そこで、脚を狙うのに切り変える。
「太陽は出ているな!?」
「カンカンよ!」
 レディさんが言う通り、真夏の太陽は膝の下に黒々とした影を作ってくれる。シャドウバインディングのスクロールを広げたゼファー、その足元に魔法のナイフを放つ。
「ならば、これで‥‥とめるっ!」
 親ブロントの動きが何とか止まる。その間に、3人がかりで蹴り倒して、ようやく脚をつくブロント。
「今のうちに、弱ったのをバラして!」
 未楡がそう言って、首の辺りへと切りつけた。同じ様に、急所を狙ったイグニスのソニックブームがぶっ飛んでくる。それでもなお、じたばたともがくブロント。
「準備できた! こいつを食らえ!」
 そこへ、スマッシュEXをたたきつけた刀也が、銛の準備が出来た事を告げた。なんとか魔法の拘束を解こうと暴れる親ブロントに、東雲がソニックブームを投げつけているが、じたばたと暴れる足元は、踏み付けと尻尾の恐怖を、刀也達に与えている。
「うっ、あんなつぶらな目で見られたら、闘志が鈍りますっ」
 見上げたブロントの顔が、まるで訴えるような表情に見えてしまい、沖田の動きが鈍る。「出来れば苦しみは少なくしてやりたい所だが」とはイグニスの弁。
「出来るだけ恐怖を与えないようにして、最大の敬意と感謝をこめて刈り取るのです」
「わかってる。ちゃんと、美味しく残さず食べるから‥‥ごめんねっ」
 未楡が真摯な表情で武器を振り下ろす。それに倣い、沖田もまた、トドメとばかりにその首へと体当たりするのだった。

 倒したブロントの頭の部分を撫で、感謝の祈りを捧げる冒険者達。
「ブロントさんごめんね。おいちくいただきますなの」
「ジーザス教の作法はよく知らないが、とりあえず拝んでおこうか」
 様々な国の出身者が居る為、作法はバラバラだ。東雲や刀也等、ジャパン出身者は自国の祈り方だし、レディさんはジーザス教に乗っ取っている。一通り、供養の祈りを捧げ終わった彼らは、肉が悪くならないうちに、早速解体に取り掛かる。かなりの重労働だったが、皆の協力もあって、何とかアリススプリングスへと運び込んでいた。
「さて、料理は門外漢なので、お任せするよ」
「俺も食べるの専門かなぁ」
 イグニスと刀也、料理は得意そうな者に任せる気らしい。のんびりとシダ茶で水分補給している。
「私も専門外だが、とりあえず素材の味を知る為に、最初はステーキがいいんじゃないだろうか」
「ふむ。ブロントステーキか‥‥」
 ゼファーの提案に、何やら思いを巡らせている東雲。そんなわけで、とりあえず、焼いて見た。
「なんとなく薄味の鶏肉って感じかなぁ。牛肉の蒸し焼きみたいなのを作ってみようとおもうんだけどにゃあ」
 皮を剥き、処理をして焼いた肉を試食したカルルが首をかしげている。普通に塩で焼いて見ただけなのだが、鶏肉に比べて、少し緑っぽい気がした。
「ひき肉にして、型に入れて蒸すのが良いかもしれないですわ」
 未楡、臭み消しの方法はあるので、後はその匂いを出来るだけ抑えるように、挽いてから調理するよう提案している。
「わかった。やってみるね。えーと、味付けとか、協力してもらおうっと」
 とててっと、カルルが人魚の料理人さん達を呼びに行った。彼らなら、こちらの風土にあった調理方法も知っていることだろう。試食は、まず彼らからだ。
「骨は先に出汁やにこごりを取る必要がありますわねー。岩塩はありましたわよね?」
「ああ。こっちではネギも育っている筈だ」
 未楡の問いに、洗って乾燥してあると、イグニスは言う。細かく刻めば、立派な香辛料だ。とりあえず、出来るだけ肉をそぎ落とした骨は、たっぷりの水でゆっくりと煮だして行く。
「あとは氷漬けのにしたお肉をあぶって‥‥と。にんにく醤油は大丈夫かしら」
 持ち込んだ調味料で、手際よく調理して行く未楡。新鮮な生肉は軽くあぶって、お刺身に。挽いたお肉は肉まんに入れたり、手早くまとめて団子汁にしてみたり。内臓も綺麗に洗って、材料だ。
「‥‥何人前作るつもりだ?」
「アリスの人々にも振舞えば良いさ。こっちは向こうとは違う。向こうで何があろうが、こちらではあまり問われる事はないさ」
 そんな光景を、冷めた表情で眺めるトーマに、刀也が肩を叩く。割り切れ、と言われて、彼はぷいっとそっぽを向いた。
「ふむ。そういえば、肝薬って、これでも作れるのか?」
「多分大丈夫だと思いますが‥‥」
 刀也、今度は問合せ先を、未楡に変えた。肝薬は、材料の恐竜が変わっても、ある程度の栄養はあるらしい。ジャパンでも、肝は薬や栄養になると知っている刀也、それを捧げたい相手がいるようだ。こうして、色々と処理をした結果、まるでパーティのようなご馳走が出来上がる。さすがに量が多いので、アリスに残っている人々にも声をかけて、ちょっとしたパーティと言うような形になった。漂うおいしそうな匂いに、次々と集まってくる人々。
「ふむ、上手に焼けましたと言ったところか」
 イグニスが興味深げに、巨大な腸詰を摘んでいる。
「ソーセージが一番楽でした。腸が大きいから、ハムになっちゃってますけど」
 未楡曰く、元のサイズが大きいので、普通の100倍くらいの大きさだ。だが、保存と言う点では、これが一番無難だったらしい。
「水中に暮らしてる人魚さんは、どちらかと言うと茹でるって所なんだね。初めて知ったよー」
 カルル、火を通すものは、マーメイド達に取っては『湯を通すもの』と解釈されるらしい。まぁ水は余っているので、火より水を使う方が都合が良いと言ったところか。
「こっちも出来たぞ。シンプルだが、この短時間なら、上出来だろう」
 ゼファーが、ころんとした丸いブローチをテーブルの上に乗せる。骨のとがった部分を針にしたものだ。他にも、釣り針を意匠化したりと、けっこうかわいらしいモノが出来上がっていた。一通り準備が終わったところへ、東雲が戻ってくる。
「どうだったの?」
「だめだな。1人じゃどうにもならなかった」
 教会遺跡へ、エレメンタルスピアを持って行った彼だったが、魔法陣や封印に関しては、皆のパワーを集める事くらいしかわからなかったらしい。とにかく、細かい事は食事をしながらと言う事で、箸を取る東雲。感謝の祈りを捧げつつ、料理を口に運ぶ。
「こ、これはっ!」
 沖田の目がきらんっと輝いた。
「ネギをアクセントに、恐竜肉とソースの調和が、美しいハーモニーを‥‥っ」
 長いのでそのあとのリアクションは割愛するが、どうやらとても美味しかったらしい。

 そんな光景を、ふしぎそうに眺めていた者がいる。遠巻きにパーティを見つめる黒曜石。
『人と言うのは、面白いものだな』
 食事という概念のなかった彼女に取っては、栄養補給で盛り上がる人々が、不可思議なモノに映るらしい。
「黒曜石、体調のほうは、大丈夫なのか?」
『別に問題はない。何故そんな事を聞く‥‥』
 刀也がそばへと寄って来た。尋ねられて、ふいっと目をそらすが、その色は若干薄い。
「魔法陣封印の時、気になったから。あの黒曜石で、力を奪われたりしていないだろうか」
『騒動の時には、少し弱くなった気がするがな。今は平気だ』
 その割には、声が少しかすれている。気を使っているんだろうな、と思った刀也は、手を伸ばしてその頭をくいっと抱き寄せる。
「偶には甘えとけ。それに、僕もそっちの方が嬉しいしね」
『‥‥久しく味わなかった感覚だな』
 抵抗しない黒曜石。いまだ不思議そうな顔をしていたが、刀也に問われて首を横に振った。
「駄目か?」
『‥‥悪くはない、な』
 そんな彼女が、肝薬を受け取っている様子を見て、懐かしそうな表情を浮かべているのは、レディだ。
「ふふ、相変わらずな子ね」
「レディ、ちょっと」
 そのレディ、東雲に呼ばれ、パーティ会場から離れる。人気のなくなった辺りで、彼はそんな彼女を後ろから抱きしめていた。
「ちょっと、誰かきたらどうするのよ」
「聖夜祭のプレゼントには、少しばかり遅くなってしまったけれど‥‥」
 顔を朱に染めるレディの左手薬指に、アメジストの指輪をそっと嵌める東雲。安全を願うその紫色の宝玉に、レディさんはそっとキス。
「‥‥大丈夫よ。私は」
「そうか? あのレミエルとかいう女、レディの記憶を知っているのかもしれないのに‥‥」
 そう言って、肩の辺りに顔をうずめてくる東雲の頭を撫でるレディ。
「失われた記憶を戻したら、今までの記憶を失うかもしれないじゃない。それは‥‥困るわ」
「なんとか、両方残れば良いんだがな」
 もしかしたら、左手が治らない理由も分かるかもしれない。けれど、レディさんは首を横に振る。
「そうね。でも、左は任せたわ」
「‥‥ああ。そのつもりだ」
 夜は、そんな恋人達のささやきを懐に納め、しっとりとふけて行くのだった。

「と言うわけで、人魚さん達の好みは、どちらかと言うとジャパンのモノに近いようです。ただ、気候風土的に大雑把な料理を好まれるそうなので、味付けはイギリスに近いのかもしれないです。まる」
 一夜明け、カルルの報告書には、そう書かれていたと言う。