敵は金髪でストレート!

■ショートシナリオ


担当:姫野里美

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 35 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月09日〜11月14日

リプレイ公開日:2004年11月18日

●オープニング

「ふむ‥‥。よく効くお守りが欲しいとな」
 キャメロットの路地裏。とある裏寂れた占い館で、フードを目深に被って、机の上に木製のカードを並べている老婆が1人。
「ああ。もっとも、俺が使うわけじゃないんだが。何か良い方法ないかね? ばーさん」
「そうじゃのう‥‥」
 占い道具をひねくり回しながら、目の前の客と思しき男に、彼女は続けた。
「ふむ‥‥月の精霊さまは、次のように申しておる」
「なんかでたのか!?」
 結果に目を輝かせる男。と、老婆はいかにもと言った大げさな仕草で、こう告げた。
「恋を成就させるには、愛し合う事を生業とする者の金髪を、ピンクの布で包んでお守りにしろ‥‥だそうじゃ」
「わ、わかった! ありがとな!」
 その言葉を最後まで聞き終わらないうちに、男は占い館を飛び出していく。
「‥‥単純な奴じゃのう‥‥」
 礼金として置かれたGを、ポケットに押し込みながら、老婆はそうほくそ笑むのだった。

 まぁ、そんな事があったのはさておき、輸出するには、材料が必要とゆーわけである。そこで、キャメロットギルドに、次のような依頼が張り出されていた。

『お守りを作りたいので、金髪を集めて来て下さい』

 依頼人曰く、『よく効く恋のお守り』を作るのに、長さ1mほどの、ストレート金髪が、比較的大量に欲しいそうだ。しかも、近所の占い師が、恋のおまじないを込めやすい様に、特殊な条件下の金髪を指定してきているらしい。
 その特殊な条件は、依頼に付属する形で、こう併記されていた。

『キャメロット内の娼館に赴いて、抜け落ちて5日以内の金髪でお願いします』

 それだけでは、漠然としすぎてよく分からない。と、それを見越したかのように、依頼書には、向かって欲しい娼館の宣伝用看板が付け加えられていた。

『夜間の外出許可が下りない方々の為に、当館では、昼間の営業もおこなっております。是非是非、ふるって起こし下さい』

 つまり、営業時間外を狙って、昼間の家に拾ってくると言う作戦は使えないようだ。もっとも、24時間営業と言うわけではなさそうではあるのだが。
「それから、一番拾い上げた奴には、ケンブリッジの一番風呂チケットが贈られるらしい」
 どこからそのチケットを手に入れたのかは知らないが、
「依頼人は、次回の月道が開くまでには、何とか材料を揃えたいらしい。したがって、集めてくるのもその時間に間に合うようにしてくれ」
 そう説明を終えた担当官は、渋い表情で、やけくそ気味に冒険者達にこう告げた。
「死ぬほどいかがわしい店だが、おゼゼの為だ! 我慢しろッ! つーか、見たくないなら、頭を使え。以上だ!」
 なお、数は1人頭20本ほど集めればOKだとの事である。

●今回の参加者

 ea0729 オルテンシア・ロペス(35歳・♀・ジプシー・人間・イスパニア王国)
 ea1745 高葉 龍介(34歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2545 ソラム・ビッテンフェルト(28歳・♂・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea2788 ビルジニー・ダルク(22歳・♀・ジプシー・エルフ・ノルマン王国)
 ea3692 ジラルティーデ・ガブリエ(33歳・♂・ナイト・人間・神聖ローマ帝国)
 ea3747 リスフィア・マーセナル(31歳・♀・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea4109 ヴィルジニー・ウェント(31歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea6954 翼 天翔(33歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea8247 ショウゴ・クレナイ(33歳・♂・神聖騎士・人間・フランク王国)
 ea8255 メイシア・ラウ(24歳・♀・ウィザード・エルフ・ビザンチン帝国)

●リプレイ本文

「どうでしょう。感想など製品開発協力してもらえると、お試しという事で‥‥」
 インセンス屋を生業としているヴィルジニー・ウェント(ea4109)が、商売道具の試供品を持って、店の主人と交渉している。
「その代わり、香材として、髪の毛を貰うって事で」
 半分は嘘である。香料に、人の髪の毛は、普通‥‥使わない。
「え、いいんですか?」
「はい。実は重要な材料でして。人の臭いを隠し香に入れたい時などに、いい香料になるんですよ」
 店主にはそう言った知識はなかったらしく、信じ込んでしまったようだ。と、そこへ、店の扉が開いて、オルテンシア・ロペス(ea0729)が現れる。
「あら、いい匂いね」
 彼女は、主と思しき男性が、何やら商談しているのを見て、ぴたりと胸を押しつけながら、こう言った。
「初めまして。ひと晩店で躍らせてくれないかしら?」
「ま、まぁ構いませんが‥‥」
 一瞬渋る店長だったが、二つ返事でOKを出してくれる。
「親方ー! 厨房の方に、雇って欲しいっていう流れの料理人が来てるんですけど、どうしますー?」
 雇い入れ申し込みをしてきたのは、オルテンシアばかりではないらしい。それを見て、ウェントはことんと試供品を置いてみせた。
「お忙しいようですわね。では、また来ますわ」
「うーん‥‥。予言どおりだ‥‥」
 何か思い当たる節でもあるのか、そう言う店主。
「どうです? 私の占いは、当たったでしょう?」
「ああ。驚いた‥‥。それで、どうしたら良いんだ?」
 夜、闇に紛れる様に姿を見せる占い師‥‥ビルジニー・ダルク(ea2788)。
「そうですわね‥‥。もし、あなたが本当に幸運を手に入れたいのでしたら、今から1週間毎日このお店の営業が終わった後で、店に働く者の手で店を綺麗に磨き上げ、シーツやカーテンを毎日新しいものに取替えるのです。そして、あなたに幸運を導くものを店に引き止めることが出来ればあなたは素晴らしい幸運を手にすることでしょう」
「わ、わかった。今は営業で手一杯だが、すぐにでも人を雇い入れて、そうしてもらうようにしよう」
 彼女が事前に予告していた通り、雇い入れ希望者が多数押しかけてきた。それを思い出し、店主がそう言ってくれる。
「‥‥これで良しと」
 根回しは充分。これで、何の疑いもなく、依頼をこなす事が出来る‥‥そう思うビルジニーだった。

 その娼館は基本的に昼も夜もやっていたのだが、稼ぎ時は、やはり夜である。仕事を終えた市民達が、大勢やってきていた。
「いいぞー! 新人ー!」
 異国の踊りを披露するとかで、歓声を浴びて居るのは、オルテイシア嬢である。
「そんなに黒髪が珍しいのかしら‥‥」
 今まで、金髪一番人気を誇っていたレディは面白くない。
「いえ、あれは多分、あの扇情的な異国の踊りが、気に入られてるだけだと思いますよ」
 そんな彼女の心情を慮ってか、メイシア・ラウ(ea8255)はそう言う。
「じゃあ、あたしもやってようかしら」
 で、彼女の言葉に、レディさんは、今度ステージに上がる時は、彼女の異国風の民族舞踊を取り入れてみようと、そう呟いている。と、そんな2人に、店の客が声をかけてきた。
「見慣れないけど、もしかして今日、お初?」
「え、ええ‥‥」
 どう対処するべきか、思い悩んで居る様子のメイシアに、お持ち帰り攻勢を仕掛けてくる。
「姉様、どうしましょうか?」
 そう言うのを目撃しても抱き寄せられても、動じるようなやわな精神は、持ち合わせていなかったが、正直、酔っ払いの相手は好きではない。
「はいはい。新人に無理言わないの」
 と、それを庇うような仕草のレディさん。彼女も、酒くさい男の相手は、あまり好きではなさそうだ。
「えー。いいじゃねぇかよー。なぁ?」
「まぁ、普通の時なら構わないんですけど‥‥。でも、酔っ払いの相手は嫌ですね」
 金髪を集める都合上、レディの味方になっていた方が得策でもある。そう思い、彼女はさらりとした口調で、酔っ払いを突き放す。
「うるせぇな。一杯引っ掛けた方が、調子が良いんだよ! 大人しく俺様と付き合いやがれ!」
「引っ張らないで下さい。これだから酔っ払いは‥‥」
 無理にメイシアを連れて行こうとする客2人。そんな彼らに遅れを取るような彼女ではなかったが、こんな所で魔法をぶっ放すわけにも行かず、どう対処すべきか、悩んでいると。
「はい、エールお待ち!」
 そんな声と共に、酔っ払いの頭に、中身の入ったエールのジョッキが降ってきた。
「痛ぇー‥‥。何すんだよ!」
「酔っ払いは帰って寝てろ」
 ぎんっと睨みつける高葉龍介(ea1745)。にこりともせずに、そう言う彼の姿に、客は喧嘩を売られたと勘違いしたようだ。
「この野郎! やるか!?」
「アイスコフィン」
 そこへ、ソラム・ビッテンフェルト(ea2545)が、魔法で酔っ払いを氷の棺に閉じ込めてしまう。
「皆さんの迷惑になりますので、頭を冷やしてください」
 穏やかにそう言って、暖炉の前へ転がす彼。その様子に、用がすんだと思った高葉、無言で自分の仕事場へと戻っていく。
 それを見た、メイシアは。
「あれ? どこ行くのよ」
「ちょっと☆」
 レディに軽く一礼すると、彼の向かった店の2階へと向かうのだった。
 そして。
「しかし、なんで俺、こんな事やってるんだろなー」
 仕事の合間を縫って、ゴミの中から、金髪を捜していた高葉、目的の髪を見つけ出してはコソコソと懐へしまう自分の姿に、虚しい気分になってしまっていた。
「高葉さん☆」
 そこへ、メイシアが後ろから声をかける。
「あん? どうしたんだ。舞台は」
「休憩時間になったから。あんまり張り付いてると、怪しまれるしね」
 彼女は、そう言いながら高葉が持っていたシーツの、反対側へと回る。
「って、何を‥‥」
「1人じゃ、大変でしょう?」
 どうやら、ベッドメイクを手伝うつもりらしい。戸惑いながらも、その申し出を受ける彼。
「あら、邪魔しちゃ悪そうですね。ここは、私1人で頑張る事にしましょうか」
 その様子を見たソラムは、そう言いながら、1階へと戻っていくのだった。

 さて、店に集うのは、そう言った目的の踊り子ばかりではない。恋の歌を奏でる吟遊詩人もまた、店の従業員の一人だ。
「そういえばこの店って娼館なんですよね。一体どれくらいの人が働いてるんです?」
 竪琴の調子を整えながら、そう尋ねるソラム。と、その金髪の吟遊詩人は、多少困惑した表情ながら、こう答えてくれた。
「そうだな。最近、急に人が増えてるけど、キミで16人目くらいかな」
 最近、店主がどこかの占い師に言いくるめられたせいらしい。一番人気は、長い金髪が自慢の踊り子さんの様だ。しかし、そのもう1人の吟遊詩人さんは、続けてこうも説明してくれる。
「けど、残念ながら、あいつは年下が好きだから、あまりお声はかからないと思うぞ。従業員はライバルだと思ってるし」
「そうですか‥‥。残念です」
 依頼の為、側仕えとして潜り込んだメイシアが気に入られているのも、オルテンシアが突っかかられているのも、その辺りが理由のようだ。
 と、そこへ店主が、彼らを呼んだ。彼ら歌い手までご指名とは、よほど気前のいい客らしい。その着飾った様子に、そう思うソラム。
 前もって予約されていたのだろう。出迎えの従業員が並ぶ中、入ってきたのはまだ若い銀髪の‥‥仮面の男。
「まずは品定めをさせてもらおう」
 そう告げる仮面の青年‥‥ジラルティーデ・ガブリエ(ea3692)。恭しく頭を下げる店主を尻目に、居並ぶ詩人達を値踏みする様な視線で眺め始める。
(「やはり‥‥、全面に出てくるのは、美しくないな」)
 そう思う彼。確かにきれい所の青年や少年は揃っているが、こんな店に勤めている者らしく、話してみると、どこか媚を売った雰囲気がある。
 と、そんな仮面の君の視線が、ソラムへと映った。
「ふむ‥‥。確かに金髪もいいが、純白の髪も捨て難いな‥‥」
「え‥‥?」
 まさか、自分がターゲットになるとは思っていなかったのだろう。面食らった表情の彼に、仮面の君は、こんな事を言い出した。
「決めた。今宵の相手は、お前にしよう」
「そ、そんなっ。私は別に‥‥っ。ただの吟遊詩人として‥‥」
 引き寄せられる。逃れようとするソラムに、彼はこう囁いた。
「この手の店に勤める以上、覚悟はできているだろう? 嫌がる姿も中々そそられる‥‥」
「や‥‥アイスコフィ‥‥んっ!?」
 魔法を唱えようとした唇が封じられる。言葉を失う彼に、仮面の君が一言。
「主人。上の部屋を借りるぞ。用意は出来ているな?」
 頷く店主。他の参加者が、こぞって髪の毛を拾い集めたのだ。チリ1つ落ちていないだろう。
「や‥‥っ。助けて‥‥」
 ベッドへ放り出され、組み敷かれるような姿勢になるソラム。首筋に舌を這わされ、ぞくぞくとした感覚が這い登るのと、必死で戦いながら、仮面の君を突き飛ばそうとする。
「普段は余り嗜まんがな。たまには良かろう。そう言うわけだ。覚悟しろよ」」
 視線を明後日の方向にそらしながら、そうのたまっている所を見ると、要は、依頼にかこつけて、美男を侍らせたいだけのようだ。改めて、ソラムへと抱き付いて来るジラ。
「って、ちょっと‥‥っ」
 態度も何もかも変わらず、やおらソラムの上着に手をかける‥‥。
「安心しろ。全身全霊を持って愛でてやる‥‥」
 仮面の奥で、にやりと笑ってみせるジラ。その指先によって、特有の白い肌が晒され、薄いブルーのベッドの上に、純白の雪にも似た長い髪の毛が、花の様に散る‥‥。
 そして。
「あぁ‥‥っ」
 その後、ソラムと言う華もまた、ジラの手で手折られてしまうのだった。

「何? 今の」
 そう言いながら、髪をかきあげる翼天翔(ea6954)。長い金髪は、そのまま店の方針とあったらしく、大して苦労もなくもぐりこめていたのだが、お呼びがかからない。それどころか、目の前で仮面の青年に『捕獲』されて行ったのは、彼女達女性陣ではなく、並べられた非常勤の中でも、あまり手馴れていなさそうな新人君だ。
「うちには、ああ言う奴も来るのよ。気前が良いから、親方上機嫌だったみたいだけど」
 他の従業員の女性が、ほくほくした顔の店主を見て、そう言った。だが、翼としては不満顔である。同郷の出身とかで、仲良くなった子に、翼はこう尋ねた。
「ずいぶん達観してるけど‥‥。この業界入って長いの?」
「んー、もう5年にはなるかなー」
 指折り数えて、そう説明する彼女。その姿に、翼は、前から聞いて見たいと思っていた事を口にする。
「若いのに苦労してるのねー。まさか、借金のカタとか?」
「違うわよ。それだったら、こんな警備ゆるくないだろうし」
 笑顔で首を横に振る彼女。その様子を見る限り、首が回らなくなっているわけでは、なさそうだった。
「いらっしゃいませ。お一人ですか?」
「あ、ああ‥‥」
 と、そこへ、緊張した面持ちで、顔を真っ赤にしているショウゴ・クレナイ(ea8247)が入ってくる。
「初めてのようですから、ご案内致しますね。女性のタイプは、どのような方がお好みですか?」
「え、えーと‥‥、あの‥‥き、金髪の‥‥人を‥‥」
 耳まで朱に染まり、口ごもる彼。
「かしこまりました。丁度、新しい子が入ったんですよ。翼ちゃーん! 11番テーブルご指名ー!」
「はぁい、ただいまー」
 その指定に適合したのは、どうやら翼らしい。お呼び出しコールを受け、彼女はそう言って席を立つ。
「あら、お兄さんってば、真赤になっちゃってぇ」
「つ、翼さんッ! そんなに胸寄せないで下さいよっ。恥ずかしいじゃないですか‥‥」
 こう言う場所は、慣れていないらしい彼を見て、翼の悪戯心が、むくむくと持ち上がってきた。
「うふふふ。照れちゃって、かーわいー☆」
 顔に走るショウゴの傷跡をつつつっと撫でながら、そう言う彼女。と、そんな事をやっている2人に、先ほどの女性従業員が声をかけた。
「あらら、楽しそうじゃない。どうかしたの?」
「こ、こんばんわお嬢さん。美しい髪ですね」
 見れば、綺麗なブロンドである。翼に突付かれ、ここぞとばかりに、そう言う彼。
「引き付けられてしま‥‥あう!?」
 が、最後の最後で、声を詰まらせてしまう。そのまま、げふげふと咳き込む彼に、お姉さんがあたふたと背中をさすっている。
「残念ッ。もうちょっとだったのにねー」
 ケタケタと楽しそうな翼。
「いきなり噛むなよ自分‥‥」
 沈み込む彼。色事は苦手だが、他人様と仲良くなるのは、自信があっただけに、どよーんっと見た目にも分かる暗さを背負っていた。
「こんな事では騎士の名折れッ! せめてお詫びの印でもさし上げなければ、気が済みませぬ!」
 その分、立ち直りも早いのか、そう言う彼。
「どうする?」
「そぉねぇ、なんか初々しくて可愛いかも。お小遣い貰えて、調教できるなんて、美味しいバイトかもねぇ」
 女性従業員はと言えば、何だか妙にノリ気のようだ。言っている意味がよく分からず、目を瞬かせるショウゴ。その目の前で、彼女はきょとんとした表情で、こう問うてくる。
「え? だってそう言うことでしょ?」
「あ、まぁ‥‥その‥‥。はい、そう言う事‥‥です‥‥。あの、お相手して、頂けます‥‥か?」
 うつむきながら、そう答える彼。相当照れくさいようだ。
「喜んで。ねー? 翼ちゃん」
「面白そうだしね」
 ニヤリと笑う翼。まぁ、こう言うのも悪くはないだろうというわけだ。
「「可愛らしく鳴いてね☆」」
 もう1人と、セリフがハモる。
「うっぎゃぁぁぁぁぁ‥‥」
 悲鳴を上げる彼。その割には、嬉しそうだった事を追記しておく‥‥。

 翌日。
「失礼します。この間の薫香屋ですけど、感想伺いに来ましたー」
 ウェントが、集められた髪の毛を回収しにやってきていた。ついでに、おいて行った香料の事を聞いている。
「ああ、この通り大盛況だよ。まぁ、一時的なものかもしれないんで、もう少し継続して使ってみるけど、本当に効果があるなら、また頼むかもしれない」
「はい。その時はよろしくお願いしますね」
 髪の毛を渡しながら、そう言う店主。その言葉に、満足して帰っていくウェント嬢だった。