【聖人探索】影武者の悪夢

■ショートシナリオ


担当:姫野里美

対応レベル:5〜9lv

難易度:やや難

成功報酬:2 G 74 C

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月07日〜09月12日

リプレイ公開日:2005年09月13日

●オープニング

 事件と言うのは、いつも何でもない日常の光景から始まるものだ。

 ――それはオクスフォード候の乱の開戦前まで遡る。
「王、ご報告が」
 メレアガンス候との戦端が開かれる直前のアーサー王を、宮廷図書館長エリファス・ウッドマンが呼び止めた。
 軍議などで多忙のただ中にあるアーサー王への報告。火急を要し、且つ重要な内容だと踏んだアーサーは、人払いをして彼を自室へと招いた。
「聖杯に関する文献調査の結果が盗まれただと!?」
「王妃様の誘拐未遂と同時期に‥‥確認したところ、盗まれたのは解読の終わった『聖人』と『聖壁』の所在の部分で、全てではありません」
 エリファスはメイドンカースルで円卓の騎士と冒険者達が手に入れた石版の欠片やスクロール片の解読を進めており、もうすぐ全ての解読が終わるというところだった。
「二度に渡るグィネヴィアの誘拐未遂は、私達の目を引き付ける囮だったという事か‥‥」
「一概にそうとは言い切れませんが、王妃様の誘拐を知っており、それに乗じたのは事実です。他のものに一切手を付けていないところを見ると、メレアガンス候の手の者ではなく専門家の仕業でしょう」
「メレアガンス候の裏に控えるモルゴースの手の者の仕業という事か‥‥」
 しかし、メレアガンス候との開戦が間近に迫った今、アーサーは円卓の騎士を調査に割く事ができず、エリファスには引き続き文献の解読を進め、キャメロット城の警備を強化する手段しか講じられなかった。
 ――そして、メレアガンス候をその手で処刑し、オクスフォードの街を取り戻した今、新たな聖杯探索の号令が発せられるのだった。

 さて、その頃キャメロットでは、ドーバーのバンブーデン伯爵夫人と、そのお世話係のトゥインちゃんが、お友達のお見舞いに訪れていた。そのお友達とは、聖杯戦争の際、グネヴィア王妃の影武者を務めた女性である。
「マグダレーナ様、知り合いから、心を癒すと言うハーブを分けてもらいましたの。どうぞ、お使いくださいな」
「ありがとう‥‥。こんな格好でごめんなさいね」
 手土産代わりに持ってきたカモミールティーを差し出したトゥインに礼を言って、マグダレーナさんが身を起こす。
「何故、こんな事になったのじゃ‥‥」
「分からないのですが、王妃様の影武者役を仰せつかった直後から、徐々に具合が悪くなってしまって‥‥」
 顔色の優れない彼女を心配しつつ、問うて来た御方様に、マグダレーナさんは事の次第を語る。なんでも、あの事件の数日後から、身の回りに不運が起き、気がついたら体調不良でベッドから降りられない生活になってしまったのだと。
「何か、心当たりはございませんの?」
「影武者のお役をしていた時に、怪我をしたのが原因かしら‥‥。髪も、切られちゃったし‥‥」
 この頃は視界もかすんでしまって‥‥と、そう告白するマグダレーナさん。その事を聞いたトゥインちゃん、はたと思い当たったように、こう提案した。
「ねぇ、マグダレーナ様。一つ提案がありますの。冒険者の皆様におすがりになってはいかがでしょう?」
「冒険者に?」
 怪訝そうに首を傾げる彼女。と、トゥインちゃんはその理由をこう述べた。
「だって、髪の毛を奪われてから、具合悪いんでしょう? それって、呪いじゃないのかなぁって」
「簡単に言うでない。そうと決まったわけではないのじゃし」
 しかし、御方様に反対されて「むぅ‥‥」と、やっぱり頬を膨らませている。
「そうね、家の者とも相談してみる事にするわ」
 そんな彼女に、マグダレーナさんは、こう申し出てくれるのだった。

 その夜、仕事から帰って来たマグダレーナの夫は、昼間の話を聞いて、悩んでいた。
「あなた‥‥」
 そこへ、目を覚ましたらしいマグダレーナ夫人が、うつろな目をして起きてくる。ふらふらと視界が見えていないような歩き方をして、倒れ掛かる彼女を、夫君が支えた。
「夢に‥‥。水に沈んだ街が出てくるの‥‥。焼けたマーメイドが彷徨っていて‥‥。怖いわ‥‥。なにか、恐ろしいものが潜んでいるような気がして‥‥」
 その腕の中で、訴えるマグダレーナ。よく見れば、その身が小刻みに震えている。
「心配しないでも良い。すでに手は打った。お前は回復に専念しておいで」
 子供をなだめるかのようにそう言って、夫人を運ぶ夫君。そのまま、再び眠りに落ちる彼女を、しばし見つめていた夫君は、家人にこう尋ねた。
「急がないと奥が衰弱死してしまうな‥‥。連中の行方はどうなっている?」
「オクスフォード侯の手の者だとはわかっておりますが‥‥。すでに手がかりは‥‥」
 その問いに、勤めている御仁は軽く首を横に振った。報告書から、その影にデビルがいるらしき事はわかっているが、消息はわからないと。
「別方面からアプローチは出来んかな」
「まずはその行方を探しに行った方が得策かと‥‥。確か、カンタベリーのヨシュア殿のところに、占い師がいると聞いた覚えが‥‥」
 彼女の不調を、占いで確かめようとする召使に、彼は首を横に振る。
「それだけでは、不十分だな。奥を呪ってなんとするのかが、分かれば‥‥」
 手の打ちようもあるのだが‥‥と、続ける彼。
「奥方様の様子から、何か伺えませんか?」
「夜な夜な、同じ夢を見ると訴えてくる。あれを信ずるなら、水に沈んだ都市に、手がかりがあると思うのだが‥‥。この近くで、そんな場所はあったかな‥‥」
「昼間、奥方様のところに来ていた、バンブーデン伯爵夫人が、ライの街に、似たような伝説があると話しておりました」
「私もそれらしき話は聞いた。カンタベリーのヨシュア殿が、探索の命を受けていてな‥‥。私のところにも、協力要請が来てはいる‥‥」
 彼が勤める王宮では、聖人や聖壁と呼ばれる聖杯伝説に関わる品の探索が急務とされている。もしかしたら、今回の病も、何か関わりがあるのかもしれない。
「カンタベリーには聖教会があると聞く。呪いを解ける司祭も多いだろう。冒険者を募り、奥の呪いを解ける‥‥もしくは、その材料を入手できる手がかりを探して来てくれ」
 主の命に、頭を垂れる召使。彼が、ギルドに書状を提出したのは、まもなくの事。

『妻が、謎の病に苦しんでいます。その原因と治療法を調べて来て下さい』

 こうして、2つの街を舞台にして、聖なる遺物の一大捜索が始まろうとしていた。

●今回の参加者

 ea1135 アルカード・ガイスト(29歳・♂・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea1169 朝霧 桔梗(31歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea4665 レジーナ・オーウェン(29歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea7641 レインフォルス・フォルナード(35歳・♂・ファイター・人間・エジプト)
 eb2238 ベナウィ・クラートゥ(31歳・♂・神聖騎士・パラ・ビザンチン帝国)

●リプレイ本文

●館へ
 依頼を受けた冒険者達は、まずは被害者を励まして、事情を聞こうと言う事で、マグダレーナ夫人の館へと向かっていた。
「それにしても、呪いとはね‥‥」
 アルカード・ガイスト(ea1135)が、レジーナ・オーウェン(ea4665)とベナウィ・クラートゥ(eb2238)と共に、高級住宅街へと向かう。通行証は、すでに依頼の時に受け取っていた為、ゲートではすんなりと奥へ通してくれた。
「ありえない話じゃないですわねぇ。さて、お命が危ないと言う事ですし、ご助力出来ればよいのですが」
 まるで、他人事の様にそう言う朝霧桔梗(ea1169)。
「はい‥‥。どちらさまでしょうか」
 応対に出た館の召使に、ベナウィは軽く一礼して、こう挨拶する。
「初めまして♪ ベナウィー・クラートゥと申します」
「は、はぁ‥‥」
 戸惑う召使に、レジーナが慌ててこう言った。
「依頼で参りました。国の為に危険な任務につき、その身を危険にさらしているマグダレーナ様を、死なせるわけには参りません。必ずや助けて見せましょう」
「ありがとうございます」
 ようやく理解した召使さんは、そう言って深々と頭を下げる。
「まずは、どう言う状態なのか確認をしたい。通してくれないか?」
 レインフォルス・フォルナード(ea7641)が申し出ると、その召使は、「かしこまりました。こちらへどうぞ」と、マグダレーナ夫人の休んでいる寝室へ通してくれるのだった。

●貴婦人の見る夢
 寝室では、まだあまり起き上がる事が出来ないのだろう、寝巻きの上に上着を羽織ったまま、冒険者達を出迎える。
「ご気分が優れないとは思いますが、少しお話を聞かせていただきたいのです」
 傍らで、そう申し出るレジーナに、彼女は「はい‥‥」と頷いた。その顔色が、不安そうに青ざめているのを見て、ベナウィは安心させるようにこう言った。
「人数は少ないのですが、他の冒険者は、カンタベリーで調査を行っている最中なんです」
「わかっております。私のところにも、そんな話が来ておりますから‥‥」
 気丈に創話すマグダレーナさん。そんな彼女を、レジーナが「気を落とさないで下さい。ね?」と励ますと、マグダレーナは、「ええ‥‥」と、力なく微笑んでみせる。
「病気なのか、呪いなのか、はっきりさせたいんだが‥‥。判別つくか?」
 その様子を見て、レインフォレスがアルカードに尋ねると、彼は首を横に振る。
「髪の毛を奪われてからの事を考えると、おそらく病ではないでしょうね。医者ではないので、はっきりした事は言えませんが‥‥」
 確かに、植物には詳しいが、それを活用する術はわからない。ただ、雑学レベルで、それらの薬草の中には、滋養に役立つ物があることくらいは知っていたが。
「マグダレーナさん、薬茶を飲んでも、効果はなかったんですよね?」
 落ち着き払った声で、そう確認するアルカード。と、マグダレーナは、「ええ。せっかく持ってきてもらったのに‥‥」と、悲しそうだ。話を聞くと、食欲が落ちているのは、眠れなくなってからだと言う。最近は、目も殆ど見えなくなっているとか。
「食欲がないと言うわけではなく、ただ衰弱している。と言う事は、やはり誰かが呪っていると見て、間違いはないようだな」
 このままでは、お役目に復帰する事もままならないと嘆くマグダレーナに、レインフォレスはそう呟く。
「心当たりは、ないですよね?」
「私も、王妃様の側近くに仕えるべく入ったわけですから、それなりに怨みは買われていると思います。おそらく、その中の誰かが、私を追い落とそうとしたのかもしれません‥‥」
 頷いてそう言う彼女。王妃の親衛隊として、勤めている間に、目を付けられていたとしても、不思議はないと語る。そして、それをネタに、誰かが情報を引き出そうとして、自分の髪の毛を利用しているかもしれない事も、合わせて告げた。
「夢の内容に、ヒントはなかったのか?」
「追われる子供の夢を良く見ます。私が、その追われる子供になっていて‥‥。黒い‥‥瘴気のようなものや、背の高い黒い服の男に追われているのです‥‥。いつも、殺される所で、目を覚ましますわ‥‥」
 出てくるのはいつも、金髪の、6歳くらいの少年。そして、追い立てるのは、黒い影。得体の知れないそれに、恐怖感ばかりが続くと。
「それでは、気も休まりませんわね」
 気の毒そうにそう言うレジーナ。
「見る夢は、それだけなのですか?」
「いいえ。何か‥‥獣の手足のようなものの描かれた壁が、何やら水没して行く時の様子を、よく見ますわ」
 ベナウィがそう尋ねると、彼女はそう答えた。
「どう思います?」
「悪夢を見せると言えば、夢魔が考えられますが‥‥。確かめる術がありませんね」
 レインフォレスに、首を横に振るアルカード。クレリックでもいれば、何とかなりそうな気配だが、その程度なら既に家の者とて確かめているだろう。王妃の側仕えを勤めるほどの女性に、コネがないとは思えなかった。
「やはりここは、その技術を持った者を呼びに行くしかないですね」
「もしかしたら、聖人探索に関わりがあるかもしれませんしね」
 ベナウィの提案に、頷くレジーナ。
「もしくは、その夢の現場を探す‥‥」
 その夢が、何か重要な事を告げているのなら、夢の場所が真実である可能性がある。以前受けた依頼の情報を元に、冷静に判断するアルカード。
「あの‥‥?」
 話しこむ冒険者達に、不安さをかきたてられたらしいマグダレーナが、そう尋ねると、朝霧がこう言った。
「ああ、すみません。あの、少々お尋ねしたいのですが、もし、手がかりがライの街にあった場合、船とか借りられるのでしょうか?」
「私事なら、難しいのですが‥‥、それが公儀に関わる事でしたら、私からお願いしてみますわ」
 もし、夢の内容が、聖人に関わる事なら、OKがもらえると思う。そう語るマグダレーナだったが、体力が尽きてしまったのだろう。倒れこんでしまう。
「無理はなさらないで下さい」
「すみません。私が、こんな体なばっかりに‥‥」
 気遣うレジーナ。申し訳なさそうな表情を浮かべるマグダレーナに、毛布をかける。
「気を落とさないで下さい。必ず俺達が病を解く手がかりを見つけてきますから」
 そんな彼女に、ベナウィは安心させるようにそう約束して、屋敷を立ち去るのだった。

●議長定宿にて
 一行は、その足で、偶然にもキャメロットに滞在していたギルバード・ヨシュアの元へと向かった。
「と言う事なのです。聖人探索の、何らかの手がかりになるやもしれないのですが」
 レジーナの報告を聞いた議長は、こう教えてくれる。
「リムーヴカースの使い手か‥‥。そうだな。この間の司祭に頼んでみよう。あの一件以来、こちらに協力的な姿勢を見せてくれているのでな」
「だったら、俺が使いになりますよ。少しでも早い方がいいでしょうから」
 ベナウィが、そう言ってセブンリーグブーツを見せる。それを使えば、少しは早くカンタベリーに着くはずだと。
「わかった。これを持っていけば、私からの使いだとわかるだろう。よろしく頼む」
「かしこまりました」
 レジーナが、恭しく彼からの招待状を受け取る。
「話はついたのか?」
「ええ。これから迎えに行くところですわ」
 馬に乗り込むレジーナ。その様子を見て、レインフォルスが、役割を決める。
「ふむ。俺はその間、聞き込みに回る。あまりそう言った交渉ごとは得意じゃないのでな‥‥」
「私もお供するわ。そうね、港町なら、船乗りに話を聞くのがいいんじゃないかしら」
 そう申し出る朝霧。少なくともライは港街だ。海賊が出ると言うと言うならなおさら、船乗りに聞いた方が早いだろうと、彼女は淡々と語る。
「だったら、ここよりもドーバーへ向かった方が良い。馬なら、半日でつくだろう」
 二手に分かれる冒険者達に、議長はそう助言してくれるのだった。

●呪いを解いて
 そして、数日後。カンタベリーで合流した冒険者達は、集めてきた情報を突き合わせ、それを整理していた。
「ふむ。聖人と言うのは、かの街へ向かったまま、行方不明と言う事か?」
「はい。そうなのです」
 アルカードに答えるレジーナ。彼女にその話をしたのは、亡霊騒ぎに救援要請を出してきた東洋系の司祭だった。
「そして、日記に寄れば、途中で子供を拾った‥‥。なるほど、姿形は、マグダレーナ様の夢に出てきた方と一致しますわね‥‥」
 彼から話を聞くに、日記に記されていた『先代の司祭が旅の途中で拾った子供』の容姿が、マグダレーナ夫人の夢に出てくる子供と、良く似ていた。
「もしや、何か関わりがあるのでしょうか」
「可能性はあるわ。夢の話も、ライの街の話に、酷似しているし」
 ベナウィに頷く朝霧。彼女が、ドーバーの街で聞きこんできた話によれば、ライの街には海賊がおり、その半数はマーメイドだと言う。
「確か、聖人探索には、聖壁も含まれているそうです。遺跡めいた形で、ひっそりと眠っていると言う話を聞きましたが‥‥」
 以前にも聖人探索の任についたアルカードが、そう話す。聖人とは、聖杯の伝承を受け継ぐ者の事、そして、聖壁はその伝承が記された遺跡の事だと。
「聖壁‥‥。そうか、それですわ! マグダレーナ様は、おそらく聖壁と聖人の事を、夢に見ているのです」
 きっぱりと、レジーナがそう言った。
「誰がそんな事を‥‥」
「そこまではわかりません。もう少し痛めつけた上での強迫だったのかもしれませんし」
 レインフォレスが、首を傾げると、アルカードはそう答える。単純に考えれば、誰かが王室に近い彼女を苦しめ、その見返りに彼らが集めてきた情報を奪い取ろうとしたのかもしれない。
「いずれにしろ、その呪いを解除すれば、おのずと道は開けるとは思いますがね」
「なるほどな‥‥。人を呪わば、穴二つか‥‥」
 彼の弁に、うなずくレインフォレス。
「でも、今からライの街へそれを確かめに行く時間はありませんわね‥‥」
 そんな中、レジーナは意を決したように、ベナウィにこう尋ねた。
「確か、聖教会と言うからには、立派な教会があるのですよね?」
「え、ええ‥‥」
 頷く彼。と、彼女はこんな事を言い出した。
「背に腹は変えられないと申しますわ。それに、曲がりなりにもジーザス教の教会。断るわけにもいかないでしょうし」
 その厳しい表情は、まるで敵地に赴く時のよう。
「どこへ行くつもりです?」
「‥‥聖教会」
 アルカードが尋ねると、彼女はきっぱりとそう言うのだった。

●刻まれる焼印
 そして。
「すみませんね。つき合わせてしまって」
「なぁに、これも雑用の一環ですから」
 何かあったら困るからと言う理由と、手が空いていたからと言う理由で、ベナウィが付き合ってくれた。2人は、聖教会の一員だと言うある教会へと、足を向ける。
「呪いで苦しんでおられる方を、どうかお救い下さいまし」
 カンタベリーでも、教会勢力の強い部分で、布教を続ける彼らの元で、そう訴えるレジーナ。ベナウィも、それに習う。
 と、応対に出た司祭は、無表情にこう言った。
「ふむ。そうだな‥‥。そなたらとその者が、我が聖教会の一員となるのなら、すぐにでも司祭を派遣しよう」
「‥‥仕方がありませんね。お願いいたします」
 マグダレーナの元に、彼らを呼び寄せる為なら、致し方ない。そう思い、レジーナは深く頭を垂れるのだった。