三連騎で行こう!

■ショートシナリオ


担当:姫野里美

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 62 C

参加人数:10人

サポート参加人数:2人

冒険期間:09月13日〜09月20日

リプレイ公開日:2004年09月17日

●オープニング

 酒場と言う場所は、色々な人々が集まる憩いの場所だ。中では、夜が深けるにつれ、次第に増えて行くお客達に、マスターが「いらっしゃいませ」と声をかけている。そんな中、小銭を数えてはため息をついている男が1人。
「おや、どうしましたか?」
「いやねぇ、ここの所、稼ぎが少なくて‥‥。地道に真面目に労働してるつもりなんですが」
 隣に座った商人風の青年が声をかけると、彼はそう答えた。そして、再び小銭を数えては、ため息を増やしている。
「失礼ですが、御仕事のほうは何を‥‥?」
「ええ、案内人をやってます。ここの所、キャメロットにも人が増えてるんで、良い稼ぎ口になるかと思ったんですが、中々上手く行かなくてねぇ」
 勢い、愚痴大会となってしまうのは、いたしかたあるまい。と、そんな疲れた案内人に、商人がこう言った。
「商売と言うものは、どこも難しいものですよ。私も、細々と物売りやってますが、やっぱり人は大手に流れてしまうものでねぇ」
 やはり、どんな職業でも苦労はありそうだ。お互い商売で苦労していると思ったのか、2人はお互いの苦労話を垂れ流しながら、意気投合してしまう。
「どこかに、手っ取り早く稼げるイベントは転がってませんかねぇ」
「イベント‥‥そうだ。良い事を思いつきましたよ」
 と、そのセリフに、商人はぺちんと手を叩いた。そして、こう続ける。
「イベントがなければ、作ってしまえば良いんですよ。幸い、このあたりには一攫千金を夢見る冒険者やら、名誉を求める騎士さまがいらっしゃいますし‥‥」
 ごそごそとその手段を耳打ちする商人。それを聞いて、案内人の方も目を輝かせる。
「なるほど。その方法ならば、私も大きなツアーが組めますしね。早速、知り合いのつてを頼って、近くの貴族様に打診しましょう」
「忙しくなりますね」
 今まで下降気味だった気分が、その『計画』によって一気に上向きになったようだ。
「それでは、前祝に」
「「乾杯☆」」
 明るく酒を酌み交わす2人。そんなわけで、酒場はいつも賑やかなのだった。

 数日後。
「試合観戦ツアー?」
 ギルドで人員募集の書類を提出する案内人の姿があった。
「ええ。キャメロットから3日くらいの村で、騎士様を集めて、試合をしていただこうと思いまして。それで、せっかくだから見に行こうというツアーを組もうと。主催と開催場所の皆さんだけでは、人も足りませんし、こうして募集をかけにきたのです」
 あれから、各地の貴族や有力者などに声をかけたところ、とある村で、村おこしを兼ねて、場所を提供してくれるとの約束を取り付けたらしい。あとは、人を呼び込むだけと言うわけだろう。
「ふむ‥‥イベントの手伝いですか」
「はい。募集する人員については、こちらに記載してありますので」
 リストには、実際に試合をおこなう騎士をはじめ、ツアー客の護衛、司会進行にアシスタント、さらにはサクラなんてものまである。
「けっこう種類がありますね‥‥。全部ですか?」
「8割がた埋まれば良いかな‥‥」
 全てが埋まれば良いと言うわけでもないらしく、彼はそう答えている。
「あれ? この、3人一組と言うのは‥‥」
「ええ。馬上槍試合と格差をつけるため、今回はメインの騎士様に、従者と言う形で2人ついていただき、3人VS3人で試合していただこうと思いまして。集められるならば、それで構わないのですが、どうしても2名調達できない場合は、村の方が手伝ってくれるそうです」
 ルールについては、こちらに書いてありますので。と、別の書類を差し出す彼。それを見て、担当官は納得した様に頷く。
「わかりました。では早速承認作業に入らせていただきます」
 こうして、お祭の歯車は回り始めるのだった。

●今回の参加者

 ea0356 レフェツィア・セヴェナ(22歳・♀・クレリック・エルフ・フランク王国)
 ea0370 水野 伊堵(28歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea1916 ユエリー・ラウ(33歳・♂・ジプシー・エルフ・ビザンチン帝国)
 ea2231 レイヴァート・ルーヴァイス(36歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3497 レーリ・レインフィールド(25歳・♀・ファイター・エルフ・イギリス王国)
 ea4329 李 明華(31歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea5883 神宮司 朱雀(29歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea5956 レオン・ストライフ(29歳・♂・ファイター・ジャイアント・イギリス王国)
 ea6622 ユウル・ストライフ(57歳・♂・ナイト・ジャイアント・イギリス王国)
 ea6758 サザビー・ストライフ(31歳・♂・神聖騎士・ジャイアント・イギリス王国)

●サポート参加者

アーサリア・ロクトファルク(ea0885)/ ノエル・エーアリヒカイト(ea5748

●リプレイ本文

「皆様ッ! 大変長らくお待たせいたしましたっ! これより、第一回三連騎で行こう! 大会を開催いたしまぁす!」
 ユエリー・ラウ(ea1916)の司会のもと、出場予定のレイ達の協力により、簡単ながらもしっかりとした観覧席が設けられたそこでは、試合前から、早くも盛り上がっている。
「なお、司会は私、ユエリー。アシスタント、レーリ、レフェツィアでお送りいたしまーす」
 わーーっとひときわ大きな歓声が上がった。その拍手を向けられた先は、アシスタントとして紹介されてしまったレーリ・レインフィールド(ea3497)とレフェツィア・セヴェナ(ea0356)である。
「何であたし達がこんな格好を‥‥」
 特に、救護班として雇われた筈のレフィは、ものすごく不満そうだ。
「‥‥男性は、こう言う格好を喜ぶのでしょうね。しかたありませんよ」
 2人の格好は、いつにも増して露出度が高い。特にレーリは。肩や腕だけではなく、足も露出させて、オヤジ達の良い目の保養になっていた。
「それで早速、第一試合のカードを発表いたします!」
 ユエリーの合図に従い、レーリとレフィが、試合出場選手の名前を書いた木の板をもって、ゆっくりとアリーナを一周する。
「ストライフ一族VS新陰流兵法!」
 聞き慣れない名前に、観客のノリがイマイチである。それを見たユエリー、混ぜておいたサクラに、バラの花びらを舞わせながら、こう言って煽った。
「皆! 騎士様を呼ぶ声が小さいぞ! 俺に続け! せぇの、朱雀様ーーー」
「朱雀様ーーー☆」
 サクラ達が、ついでとばかりに、神宮寺朱雀に向かって、熱い声援を飛ばす。もっともそれは、水野伊堵(ea0370)が、前もって頼んでおいた事なのだが。
「なんで、向こうが呼ばれるんだっ」
「仕方ないだろう。客の大半は、見かけの麗しい御仁の方が好きみたいだからな」
 納得行かないのは、引き合いに出されてしまったジャイアントの3人である。不満たらたらのレオン・ストライフ(ea5956)と、サザビー・ストライフ(ea6758)。
「えぇい。ジャイアントの隆々たる筋肉が美しくないとゆーのかっ! そんな事はないっ! 断じてないっ!!」
「その通りッ。ストライフ一族の強さ、見せてやるぜっ!」
 サザビーの激に答えるレオン。既に睨み合いを飛ばす彼らの間に立ち、ユエリーは高らかに宣言する。
「それでは皆さんお待ちかねー! 三連騎で行こう! 第一試合、レディーーーーーーGOッ!!」
 かーーんっと、バケツとお玉で作ったお手製ゴングが、盛大に鳴り響いた。
「取りあえずシねぇぇぇ―――――イッッッッ!!!!!」
「うぉぎゃあああっ」
 開始直後、中央にいた相手の騎士役に向かって、いきなりソニックブームをぶっ放す水野。当然の事だが、物言いが入った。その刹那、水野嬢は、頬を膨らませて、猛抗議する。
「何か文句があるんですか! 飛び『道具』ではないんですっ! これは、厳しい鍛錬によって生み出した技です! 技!」
 まぁ確かに、ソニックブームは、魔法でも道具でもないのだが。判断には迷う所である。そこで、ユエリーは、解説役の村長さんに、責任を押し付けた。うなずく所を見ると、OKらしい。
「と言う事です! まぁ、かまいませんが、試合中、騎士道・武士道に反した行動はダメですよ。観客の中には騎士に憧れるレディーやお子様も居る事を忘れないで下さいね!」
 とりあえず、盛り上がれば良さそうなので、ユエリーは事前に頭に叩きこんだ注意書きを再度読み上げた。
「おのれっ。女だと思って手加減すれば、なめやがって! 遠距離攻撃が、ジャパン騎士だけの得意分野だと思うな! 食らえッ! コナン流必殺! ソードボンバー!」
 ストライフ一族も黙ってはいられない。そう言いながら、サザビーが力任せに突撃して、ソードボンバーをぶっぱなす。
「えぇい、やられたらやり返すのが、喧嘩の基本! 要は、確実かつ正確に、そのでくの坊に当てればよいのだろーが!! くらえぇいっ!」
「ああっ! 兄者っ!」
 撃ち返した水野嬢、メインの騎士が、彼女のソニックブームにやられて、すっ転んでしまう。
「おぉーっと! これはいきなりの大・どんでん・返しっ! 水野選手のソニックブームに圧倒されて、ストライフ一族、中核を担う騎士がふっ飛ばされたーーー!」
 派手な撃ち合いに、観客が沸いた。なお、その騎士は書類不備があったので、名前で呼ばれないらしい。
「メイン騎士! 戦闘不能! よって、新陰流兵法チームの勝ちッ!」
 盛り上がる観客の影で、じたばたと暴れるメイン騎士。しかし、背中の布は外れ、既に負けは決定している。
「く、くうっ! こうなったら仕方がない。おとなしく負けを認めるのも騎士の勤め‥‥」
 悔しそうな表情をしながらも、レオンがそう言った。驚いたのはサザビーの方である。
「レオン! それでいいのか!?」
「その代わり、小遣い稼ぎくらいはさせてもらうっ!」
 どうやら、名誉は諦めて、小遣い稼ぎに走るようだ。「じゃ! そう言う事で!」と動きをシンクロさせつつ、片手を上げて、退場しようとする2人。
「そう言うときは、僕にお任せ☆ シャドウバインディング!」
 人、それを逃走と呼ぶ。そう言う訳には行かないので、レフィが無防備な影を、地面に縫いとめる。
「怪我は、そのまま放っておくと、大変な事になるんだよ。だから、大人しく治療させてもらうからねー☆」
 一応、むやみやたらに攻撃しては、観客に示しはつかないと言う事だろうか。
「勝てもせぬのに前へと出るのは士道などではない、ただの愚かさよ!」
 そんな彼らに、神宮司朱雀(ea5883)がぼそっと一言。
「ほぉら、つれてけーー」
 レフィの号令で、さっさと運ばれてしまうレオンとサザビーだった。

「えー、ただいまより、決勝戦を行いたいと思いまーーす!」
 そんな様子で、試合はあっという間に、最終戦を迎える事になる。
「それでは、改めまして選手の紹介です! まずは、華麗な空中戦で、ここまで勝ちあがってきた新陰流兵法チーム!」
 朱雀達のチームには、その華麗さから、男性ファンが多いようだ。
「対するは、地元イギリス本家本元の強みか、正々堂々たる戦いぶりで、ここまで勝ち上がってきた真性ナイト、ルーヴァイス・チーム!」
 もっとも、相対するレイヴァート・ルーヴァイス(ea2231)達のチームも、女性陣への人気は、負けず劣らずと言った所である。
「果たして、勝利の女神様は、いったいどちらに微笑むのか!?」
 無駄に盛り上げるユエリー。その後ろでは、一回戦負けしたレオンとサザビーが、トトカルチョの真っ最中だ。
「はーい。勝つほうに1C〜。まだ受け付けてるよー」
 まぁ、賭けるのは、酔っ払いのオヤジどもなので、うるさい事この上ない。おかげで、ユエリーに怒鳴られてしまう。2人が、小銭の入った小箱を持って舌打ちする中、ユエリーは咳払いを一つすると、試合を続行する。
「両チーム、前へ!」
 進み出るレイヴァートと朱雀。それぞれの国に則った形で、深々と礼をする。
「それでは皆さんお待ちかねー! 三連騎で行こう! 決勝戦、レディーーーーーーGOッ!!」
 お約束の台詞をぶちまけながら、お手製ゴングが最終決戦の開始を告げる。
「相手は女性の従者です! ノエル、絶対に怪我をさせないように! それからアーサリア、無理をしないでくださいね!」
 従者として参加している二人に、そう厳命するレイヴァート。
「きぇぇぇぇぇいっ!」
 試合開始直後、ソニックブームをぶっ放す水野嬢。
「当たるかっ! お願いしますよッ!」
 いくら最凶プリンセスでも、女性は女性。傷つけるわけにはいかないと、避けに専念するレイ。かけられたオーラ・エリヴェイションが、偶然の回避率を上げていた。そこへ、アーサリア・ロクトファルク(ea0885)がコアギュレイトを叩き込み、彼女を動けないようにしてしまう。動きの止まった水野嬢に、ノエル・エーアリヒカイト(ea5748)がスマッシュをぶちこんだ。
「手加減して下さいって言ったでしょう!」
 腹に一撃を食らわされて、顔をゆがめる彼女を見て、レイが注意する。だが、そんな事を言われても、相手は全力でかかってきているのだから、中々上手くは行かない。
「戦力で劣るなら、頭を狙えば良い話です! 布さえ落とせば、こちらの勝ちなんですから!」
 そんなレイを明らかな大将格と見た李明華(ea4329)、他の2人を無視し、得物の鞭で、足元を攻撃し始める。狙うはその背後にある星マーク入りの黒布だ。
「行かせるわけにはいかん!」
 助力をしようとしたアーサリアは、水野嬢に止められてしまっていた。
「ほらほら、どうしたんですか!? 全然攻撃が当たりませんよ!」
「そんな事言われましても‥‥っ。うわっ」
 ダブルアタックEXや、トリッピングで翻弄されて、次第に従者の2人から離されてしまうレイ。そこへ、朱雀が刀を抜く。
「よし、良い感じだ。新陰流兵法、神宮寺朱雀。いざ、参る!」
「女性にばかり戦わせて、何を考えているんですかっ!」
 リーダーの朱雀に、つっかかる彼。しかし、朱雀は聞く耳を持たない。
「我が士道は敗北の中にはない! 背に民を負うものが己の誇り程度のもので敗北を受け入れられようか? たとえ恥辱にまみれようとも、『誰かの為の勝利』を目指すのがもののふの道よ!」
「その心意気は認めますがねっ!」
 ほとんど1対1となった瞬間、レイが動いた。今まで回避に専念していた相手に、積極的に仕掛けていく。
「おぉーーっと! しかし神宮寺選手、レイヴァート選手に、次第に押されていく! これはピンチか!?」
「もう少しひきつけなければ‥‥」
 じりじりと押し戻される中で、朱雀はそう呟く。
「しかも! 頼みの従者達は、ルーヴァイスチームの従者達を相手にしているっ! どうする!? 新陰流!」
 ユエリーの実況は、あえて気にしないでおいた方が良さそうだ。
「これで、お終いですッ!」
「かかったな!」
 レイが、とどめとばかりに、大きく振りかぶる。だが、ダブルアタックを放とうとしたその瞬間こそが、朱雀が待ち望んでいた瞬間。
「策略だと言うのか!?」
「戦術と答えて欲しいね! 攻守に置いて構え無く、無形にこそ神髄有り。これぞ! 新陰流兵法゛転”の極意なり!」
 朱雀が自分を引き離すように動いていた事に、ようやく気付くレイ。
「食らえっ! 我が紅焔の舞いッ!」
 朱雀の剣に炎が宿った。攻撃力を増したそれが、彼へと襲い掛かる。
「一対一なら、負けはしないっ!」
 しかし、レイとて負けては居ない。力で押してくるなら、カウンターで返せば良いだけ。そしてそれは、彼の得意な戦法なのだから。
「煙に見えないっ? さぁ、いったいどっちが勝利したのかっ!?」
 激突の瞬間、おりしも舞い上がった強風に、アリーナが隠される。沈黙の時間はしばらく続いた。それが収まった時、現れたのは。
「レイヴァート選手の肩口に、剣が振り下ろされ、神宮寺選手の胸元が切り裂かれている! これは絶妙な相打ち加減だー!」
 レイの左肩パット、ちょうど布をとめてある辺りが、熱で黒く焼け焦げ、朱雀の胸元からは、着物の奥のさらしが覗いている。
「女性の方だったのですか‥‥」
「ふん。だからと言って、えこひいきはしないで貰おう」
 ため息をつくレイに対し、いまだやる気は満々の彼女。ところが、レイはその場で持っていた剣を、鞘に収めてしまっていた。
「おーっと、どうした事だ? レイヴァート選手、突然剣を納めたぞー!」
 会場がざわめきを見せる中、彼が発した一言は。
「‥‥棄権します」
「へ?」
 目をぱちくりとさせるユエリー。しかし、聞き間違いではないようだ。
「き、貴様! 私を愚弄するつもりか!」
 怒ったのは朱雀の方である。だがレイは、きっぱりとその理由を告げる。
「剣を手にした方に対して失礼だとは思いますが、騎士として、男として、命をかける戦場でない場所で、婦女子に剣を向けるようなことはできません。ご理解下さい」
 どよめく会場。まさか、こんな結末になるとは、誰も予想していなかったのだろう。ジャッジ連中も、ぼそぼそとなにやら話しこんでいる。
 その結果。
「えー、協議の結果、棄権が受理されました。よって、決勝戦は、神宮寺朱雀選手率いる、新陰流チームの勝利になりますっ!」
 レイの紳士的な棄権宣言は、『ナイトとして尊敬できるものである』として、無事受理され、朱雀の勝利が確定したようだ。
「しかぁしっ! 試合内容は五分と五分! 何よりも女性を大切にするレイヴァート・ルーファイス選手にも、惜しみない拍手を!」
 会場から拍手が起こる。照れくさそうなレイ。
「ま、まぁ‥‥勝ったのだから、よしとするか‥‥」
 優勝賞金3Gと、副賞の『鍛冶・武具手入れセット』を受け取りながら、朱雀はそう呟いていた。
「だー。儲けゼロじゃねーかー」
 胴元のレオンは、むすっとした顔でそう騒いでいた。結局、小遣い稼ぎはチャラになってしまったらしい。そんな彼に、レフィとレーリが『賭け事は身を滅ぼすよー』だの『ほどほどに』だのとお小言を漏らしていた。
「それではっ! これにて、第一回、三連騎で行こう! 大会を終了いたします! また次回がありましたら、お会いしましょうっ!」
 ユエリーが、閉幕の言葉を告げる。こうして、とある村を貸しきって行われた武道大会は、好評のうちに幕を閉じたのだった‥‥。