息子の敵は強欲男
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:HINA
対応レベル:フリーlv
難易度:易しい
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:3人
サポート参加人数:-人
冒険期間:04月10日〜04月15日
リプレイ公開日:2009年04月20日
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●オープニング
わしは村の村長をやっているものじゃ。爺の情けない独り言を聞いてほしい。
そろそろ村長の職を降りようと思ってな。
長年、務めてきたが、村はのどかなものじゃ。
わしが村長を辞めるとなると、次期村長選挙を行わなければならん。
そこで問題が出てきたのじゃ。
まず、わしの息子のロバートが出馬することになった。
この村で生まれ育ったロバートは、村のこともよく知っておる。
わしの背中を見て育ってきたから、よりよい村を作ってくれるだろう。
わしはロバートに次期村長になってもらいたいのじゃ。
まだ三十路という若さ、それと臆病な面が選挙に響かないといいのじゃが。
しかし、問題が起こってな。
対抗馬に、ディランという五十歳の男が出てきたのじゃ。
五年ほど前に、ディランという隣の村の者が、この村に引っ越してきた。
この村でも一番と言ってもいいほど、立派な家に住んでおる。
村民たちの憧れの対象となっているといってもいいのじゃ。
今まで色々な人間を見てきたが、ディランの目の奥の輝きは強欲そのものといってもいい。
地位と名誉が欲しいのじゃろう。
そのために、出馬してきたとしか思えないのじゃよ。
この村のためにも、どうか息子のロバートを村長にしたい。
ロバートの選挙活動をどうか手伝ってもらえないかのう。
●リプレイ本文
村の掲示板には村長選挙の候補者のポスターが貼られていた。
ポスターに写っている対抗馬ディランはどこかしら威圧感を感じさせるものがあった。それに比べ、ロバートはまだまだ若造という印象である。
「さて、三人でロバートさんにお話を聞きに行きましょうか」
ジークリンデ・ケリン(eb3225)は、ポスターをつらつらと眺めている神名田少太郎(ec4717)とスト・ハン(ec5617)に話しかけた。
「そうですね。お話を聞いてみないことには、ロバートさんがどんな人か分からないものです」
少太郎は指をぱちんと鳴らす。少太郎は上着に半ズボンとブーツ。志士らしからぬ格好をしている。
「じゃあ、行きましょう」
ハン達三人は村長の自宅、つまりロバートが住んでいる家へ向かった。
トントンッ。トントンッ。
ケリンが村長の家のドアを叩く。しかし、何の反応もない。
「あの、何かご用でしょうか」
後ろから、野菜を両手に持った青年が立っていた。畑仕事をしているのだろうか。肌はこんがりと焼けている。長身の細身でなかなかの好青年と見受けられた。
「あなたがロバートさん?」
ハンが尋ねる。
「はい。あ、もしや、親父から選挙のお手伝いを頼まれた方々でしょうか」
ロバートはとても穏やかに丁寧な口調で話す。
「そうです。良かったら、お話をと思いまして」
ケリンは、両手に野菜を持ったままのロバートに吹き出しそうになっている。
「ああ、どうぞどうぞ」
ロバートはドアを開けようとするが、両手に野菜である。そのことに今更気付いたようで、もぞもぞと野菜を片手に持ち替えると、ドアを開け、三人を家の中へと通した。
「大丈夫ですか?この人」
少太郎はひそひそと二人に耳打ちする。二人とも苦笑するしかなかった。
家の中に通された三人は、ロバートから椅子へ座るように勧められ、ロバートはお茶の準備をしてやってきた。
「この度は私のためにありがとうございます」
ロバートは深々と頭を下げる。
「普段は畑仕事を?」
「畑仕事の合間に、親父の秘書的な仕事をしています。子供の頃から親父に村を良くするにはどうすればいいと思うかなんて聞かれていましたね。お年寄りが幸せに暮らせるようになればいいとか子供の頃は答えていましたけどね」
ロバートは照れ笑いをしながら、話している。おっとりとした口調だが、村のことを子供の頃から真面目に考えていたことが充分に三人には伝わった。
その時である。外からディランの演説と思われる声が聞こえてきた。
「あ、ディランさんですね」
ロバートは窓から外を見ながら呟いた。
「じゃあ、私が様子を見てきましょう」
ハンは立ち上がり、外へ出て行った。事前に三人で打ち合わせをした結果、ハンはディランの行動観察、ケリンと少太郎はロバートの援助と役割を決めたのである。
「ロバートさん、村の方に、村に対する要望とか聞きに行きませんか」
ケリンはロバートに提案した。
「分かりました」
ロバートたちは、ディランの演説を尻目に、一軒ずつ話を聞いてまわることにした。
「あら、ロバートちゃん。どうしたの?こちらはお友達?」
家から出てきた初老のおばあちゃんがロバートとケリンと少太郎の姿を見て、目を白黒させている。
「いや、あ、はい。村に対する要望を聞こうと思いまして」
どこか頼りないロバートである。
「そうねぇ。私みたいな年寄りが一人ぼっちでずっと暮らすのは寂しいでしょう。いつ何が起こるか分からないし」
おばあちゃんは一人暮らしの生活に不安を持っているようだ。
その後、どの家を訪ねても、老人は同じ事をこぼした。
「この村にはお年寄りが多いんですね」
ケリンはロバートに話しかけた。
「ええ。若者が街などに働きに出かけてしまうもので。お年寄りの不安を解消するサービスの充実、そして、村における若年層の雇用拡大が課題になると私は感じているのですが」
ロバートの話に、少太郎はぱちんと指を鳴らした。
「そのことを演説すればいいんじゃないですか。立派な提案ですよ」
「人前で、立派に話せるかどうか」
ロバートは不安げな顔をする。ロバートの陰から、ケリンはロバートにフレイムエリベイションを使った。
「貴方ならできますよ」
ケリンの励ましに、ロバートの目はみるみるやる気を増した。
「じゃあ、早速」
人が変わったように、やる気に満ちたロバートは村の広場に向かい、意気揚々と演説を始めた。
一方、ディランは有権者と握手を交わしていた。
「ありがたや。ありがたや」
お年寄りがディランと握手して、有り難がっている。不審に思ったハンは有権者の振りをして、ディランと握手をした。手の中に何か違和感を感じる。ディランは握手するふりをして、お札を配っているのだった。
「これはまずいですね」
ハンは一人でつぶやく。ケリンと少太郎に相談しようと、その場から離れた。
「お年寄りが寂しい思いをしないようなサービスの充実と、村役場の雇用を拡大して、若者がこの村で働けるような政策を打ち出していきたいと思います」
ロバートが力強く演説している姿を、ハンは見つけ、近寄っていった。
「ディランは不正を行っていますよ」
ケリンと少太郎に耳打ちし、お札を見せた。
「選挙委員会にディランの不正を伝えた方がいいですね」
ケリンの提案に、ハンは村役場に設けられている選挙委員会に向かうことになった。
数日後の村の新聞では、ディランの不正がでかでかと載っていた。ハンの告発により、選挙委員会役員は村人に調査したようだ。
このことにより、ディラン候補は失脚することになり、ロバートが村長へとなることが決定した。
「うーん。何と言いますか。これで良かったのでしょう。私たちもそれなりに役に立ったでしょうし」
少太郎の呟きに、ハンとケリンもただただ頷いた。