占拠されたアトリエ
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■ショートシナリオ
担当:日向葵
対応レベル:1〜3lv
難易度:普通
成功報酬:0 G 78 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:10月12日〜10月19日
リプレイ公開日:2004年10月19日
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●オープニング
小さな森の中に、青年は自分専用のアトリエを持っていた。
絵を描くのに静かで穏やかな環境が欲しいと願って、やっと手に入れたアトリエだった。
日々、森の風景を描き、動物たちを描き、心の中の思いを描く。
そんな平和な生活を続けていたある日のことだ。
運が悪いと言うべきか……森に盗賊たちが流れて来た。
森の中の小屋を見つけた盗賊たちは、自分たちのアジトにちょうど良いと、アトリエを手に入れるべく襲ってきたのだ。
こちらは戦いなど慣れない画家で、向こうは荒くれ者の集団だ。
あっという間にアトリエは乗っ取られて、そのまま彼らのアジトとなってしまったのだった。
近くの村にかけあっても、そこも小さな村ゆえ森まで出て行って盗賊を追い払うほどの戦力はなく、青年は冒険者を頼りにパリの街までやってきた。
「お願いしますっ。私のアトリエを取り返してくださいっ!」
涙ながらにギルドを訪れた青年は、必死の形相でそう叫んだ。
●リプレイ本文
とりあえず森から一番近くの町の宿までやってきて、一行はさっそく作戦会議を開始した。
ロミルフォウ・ルクアレイス(ea5227)がにこりと穏やかに微笑んだ。
「外に誘き出すのでしたら、周辺に罠を作るのも有効かと思うんです」
こちらは八人で向こうは十人ほど。話だけ聞けば人数差はそうないように思えるが、依頼人が確認した人数が十人というだけだから、それ以上の人数がいる可能性も考えなければならない。
そう考えたら、人数差を埋めるために罠を作るというのは有効な手段だ。
「実際に罠を仕掛ける前に偵察に行きたいわね」
逢莉笛 鈴那(ea6065)の意見に、御影 紗江香(ea6137)もコクリと頷いた。
この二人はジャパン出身の忍者であり、偵察などの隠密行動はお手のもの。行って偵察して帰ってくるだけならば忍の二人でも充分だろう。
「ならばその間にこちらはある程度の作戦を詰めておこうか」
向こうの状況が詳しくわからない状態では大雑把な作戦しか立てられないだろうが、と付け足して。李 風龍(ea5808)がそんなふうに提案した。
「うんうん。少しでも早くアトリエ、取り返した方が良いモンネ!」
やたらと明るく笑って言ったのは羽生 天音(ea6687)だ。口調に緊張感は薄いけれど、言っていることはとても正しい。
「遅くなれば、それだけ荒らされている確率もあがりますし」
凛と澄んだ声で天樹 燐(ea7438)が告げた。
こうして一行はまず偵察組と聞き込み組に分かれることにした。
偵察に行くのは忍者の二人。残りはここで盗賊や森に関しての話を聞いて大まかな作戦を作る組。
――偵察組が戻ってきたのは翌日朝。
「どうだった?」
レシオン・ラルドフォール(ea2632)の問いに、鈴那と紗江香が笑みを浮かべた。
偵察時点でアトリエ内にいたのは六人ほど。外に見張りが三人。見回りなどということはしていない様子で、依頼人が言ったとおり、十人程度の小さな盗賊団のようだった。
森の地形や盗賊たちの様子を詳しく聞いて、一行は揃って森へと出立した。
◆
夜のうちにこっそりとアトリエ周辺に罠を設置し、実際に行動に出るのは朝方。油断している時を狙う意味もあって食事時に行動を起こすことにした。
夜だと言う事とあまり派手なことはできないということで簡単な罠しか作れなかったが、盗賊たちの動揺を誘うには充分だろう。
まず先にアトリエに向かうのはマミ・キスリング(ea7468)、燐、風龍の三人だ。
できれば戦闘の時には盗賊たちを外に追い出したいということで、先に小人数で行って盗賊たちを誘き出すことにしたのだ。
アトリエから少し離れた木の陰で風龍とマミが待機。
燐は一人で、見張りたちの前へと歩き出した。森の中で一人でいるには少々不似合いな女性の登場に、盗賊たちは少々不思議そうな顔をした。
「すみません、道を教えていただけないでしょうか?」
「迷ったのか」
「ええ」
ニヤリと、見張りの盗賊が笑みを零した。良いカモが来たとでも思っているのだろう。
男はあまり深く考える性質ではないらしい。すぐさま燐を捕らえようと手を伸ばしてきた。
慌てて避けたというふうを装い身を翻すと、盗賊たちは楽しげに喉を鳴らして追って来る。
さすがに一人はその場に残ったが、一人くらいならば中に気付かれずに倒す事も可能だろう。残った一人は放っておいて、燐は風龍とマミが待つ場所へと駆け出した。
木陰に隠れて様子を窺っていた風龍は、近づく気配を察して戦闘態勢を取った。
「そろそろだな」
「がんばりましょうっ」
同じく木陰に隠れているマミが、小声で宣言してロングソードを握りなおす。
燐が二人が隠れてる場所を通りすぎた次の瞬間――マミと風龍はほぼ同時に盗賊たちの前へと飛び出した。
相手は二人、こちらは三人。
奇襲である事も手伝って、勝負がつくのは早かった。
「さ、向こうのお手伝いに行きましょう」
「ああ」
手早く盗賊たちを縛り上げ、三人はすぐにアトリエの方へと引き返した。
◆
一方、見張り二人が去った直後のアトリエでは、春花の術が大活躍。
まず見張りを眠らせ、さっさと一人を縛り上げる。
「さすがに、全員を一度に眠らせるのは無理ですけれど‥‥」
「でも、二人で手分けすればほとんどは眠らせられると思うわよ」
ただし、この術は本当にただ眠らせるだけなので、起こされればすぐに目を覚ましてしまう。
「隙が出来るだけでも十分ダヨ」
天音はにこりと笑って気合を入れた。
盗賊は寝室とアトリエに分かれて、賑やかに騒いでいた。
絵は纏めて端っこに寄せられていた。乱暴に扱ったらしく傷がついているものもあったが、元より部屋の端に置かれていた物は無視されたようだ。
春花の術が効かずに暴れられても困るので、春花の術を使うのは寝室のみで行うことにした。
寝室にいたのは二人――こちらはあっさりと眠りに落ちて、残る四人は煙で燻す作戦で、だがアトリエの絵に影響が出ないよう気をつけて実行する。
台所から煙を流したこともあり、彼らは火事でも起こったのかと思ったらしい。
慌てて外に出てきたところをレシオン、ロミルフォウ、天音の三人が強襲する。
騙されたと知って小屋に戻ろうとした盗賊たちと小屋の間を塞ぐようにレシオンが立った。
「残念‥‥あんた等此処で終わりだ‥‥」
四対三で始まった戦いだが、すぐに見張りを倒しに行っていた燐、風龍、マミも合流して四対六。
盗賊は中にいるほかの仲間を呼ぼうとしたが、その時には寝室で春花の術にやられた盗賊たちを紗江香と鈴那が縛り上げていた。
援軍もないと悟った盗賊たちは、あっさりと白旗をあげた。
「‥‥これに懲りたら、盗むより真面目に働くことをお勧めしますわ。自分の手で何かを生み出すって、とてもやり甲斐があって楽しいことですわよ?」
ロミルフォウは、たおやかに微笑んで告げた。
◆
多少の損傷はあったものの、ほとんどの絵と絵の具は無事にすみ、依頼人は大喜びであった。
ほっと喜びの笑みを零す一行の中で、唯一燐だけが少々残念そうな顔をしていた。
盗賊が良い武器か道具を持っていたら拝借しようと思っていたのだが、彼らはロクな物を持っていなかったのだった。