PRESENT

■ショートシナリオ


担当:日向葵

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 71 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月30日〜07月06日

リプレイ公開日:2004年07月07日

●オープニング

「いらっしゃい。いいところに来てくれた」
 ギルドの親父は入ってきた冒険者たちにニッと笑みを見せた。
「ちぃと頼みがあるんだが‥‥。まあとりあえずは話だけでも聞いてくれるか?」
 言いながら親父は、テーブルの上に地図を広げた。指差したのはここからさして離れていない小さな村と、そこから一日ほどの距離にある町。
「もうすぐ孫の誕生日だから、このプレゼントを孫の住む町まで届けて欲しいっつう依頼でな。まあ、それだけなら冒険者じゃなくても、流れの旅人に預けても良いんだが‥‥」
 前日の真夜中、村長宅で起きた盗難事件のせいで、前日村にいた人間は一歩たりとも外に出すなという命令が出ていたのだ。
「このままじゃこのプレゼントを届けられねえってんで、急いで泥棒を捕まえて欲しいそうだ」
 そうすれば村長の戒厳令も解除されるからプレゼントが届けられる。
 と、そこまで言ってから、ギルドの親父はイタズラッぽく笑って見せた。
「まあ、他に手があれば他の手を使っても良いんだけどな。要は期日までにプレゼントを届けられればいいんだから」
 さてさて、貴方はこの依頼、どう解決します?

●今回の参加者

 ea1683 テュール・ヘインツ(21歳・♂・ジプシー・パラ・ノルマン王国)
 ea1695 マリトゥエル・オーベルジーヌ(26歳・♀・バード・エルフ・フランク王国)
 ea1944 ふぉれすとろーど ななん(29歳・♀・武道家・エルフ・華仙教大国)
 ea1953 ジェイミー・ジェスティ(33歳・♂・バード・人間・ビザンチン帝国)
 ea2100 アルフレッド・アーツ(16歳・♂・レンジャー・シフール・ノルマン王国)
 ea2181 ディアルト・ヘレス(31歳・♂・テンプルナイト・人間・ノルマン王国)
 ea2954 ゲイル・バンガード(31歳・♂・神聖騎士・ドワーフ・ロシア王国)
 ea3026 サラサ・フローライト(27歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

 パリを出たばかりの街道を歩く八人の冒険者たちがいる。
 本来ならば落ちつけるところできちんと作戦を練ってから出発するところだが、今回は急ぎの仕事ゆえ、歩きながらの相談となったのだ。
「っつーことはだ。出してもらえないだけじゃなくて、入れてもらえない可能性もあるんじゃないか?」
 一通りの自己紹介と依頼内容の再確認を終えて、最初に口を開いたのはジェイミー・ジェスティ(ea1953)だった。
「そうだね。それに話を聞いてるとその村長さん疑り深い性格みたいだし、警戒されそうだよね」
 大きな街ならいざ知らず、片田舎の小さな村では、冒険者イコール落ちついた暮らしのできないはみだし者なんてイメージが定着している場合もある。
 ふぉれすとろーど ななん(ea1944)言葉に他の面子が頷いて、サラサ・フローライト(ea3026)が提案をあげた。
「楽団ということにするのはどうだろう。私含めて本職が四人もいるんだ。疑われても充分に切り抜けられるだろう」
 こうして一行は、楽団とその護衛として村に向かう事に決定した。

◆ ◆ ◆

 村の入口には見張りらしき男が二人、立っていた。よく見れば入口だけでなく、他の場所にも複数の見張りが立っている様子。もし期限まで出られなかった時のことを考えて――シフールでありレンジャーでもあるアルフレッド・アーツ(ea2100)ならば容易く出れるだろうが、彼一人で行かせるわけにもいかない――村の外で待機する事になったディアルト・ヘレス(ea2181)を残し、一行は村の入口へと向かって行く。
 案の定、入口のところで止められた。
「すまないが、今、村の出入りが制限されてるんだ」
「村には入れないのかしら?」
 マリトゥエル・オーベルジーヌ(ea1695)の問いに、見張りの男は困ったように苦笑した。
「いや、入れるなとは言われていないけど‥‥村から出すなって言われてるんだ」
 言って、男はちらと一行の姿を見る。現在、一行はいかにも楽団と言った格好をしていて、男もすぐにそれはわかった様子。
「楽団さんだろ? 稼ぐならここは迂回して別の場所に行った方が良いと思うよ」
 どうやら好意で言ってくれているらしい男に、一行は顔を見合わせた。

 結局。
 食料や水を調達する必要があるなどと適当に言いくるめて、一行は無事村に入ることに成功した。
 依頼人の家へ向かいがてら、世間話の要領で、大まかに事件の概要や今の村の状態を聞いて行く。大筋のところではギルドで聞いた通りの話そのままだった。
 これと言った目撃者もおらず、犯人のアテさえない状態。
 村長の振る舞いには村人たちも困っているようだった。それでも根は悪い人ではないのか、嫌われているというわけでもないようだけれど。
「ふぅ、なんだかある意味すごい村長さんだねぇ。話を聞いてると、普段もいろいろ大変なんじゃない?」
 ふぉれすとろーど ななんの苦笑に、一行は思わず同意を示して頷いた。
「あ、ここみたいだよ」
 今回の旅の最初から、何故か妙に浮かれているテュール・ヘインツ(ea1683)が明るく指さした先には、小さな家が一軒。ノックをすると、人の良さそうな老夫婦が冒険者たちを迎えてくれた。
 届け物のプレゼントは手作りのぬいぐるみ。ものによっては村長に確認してもらってから持ち出すという手が使えないかと考えていたのだが‥‥。
「確認の段階でボロボロにされるな、これは」
 ジェイミーの呟きに、誰一人欠けることなくコクリと頷く。
 盗まれたのは小さな宝石。ぬいぐるみの中に隠しているのかと疑われ、せっかくのプレゼントがばらばらにされる光景が目に見えるようだ。
「まだ時間はあるし、今日のところは泥棒を探しに行ってみましょう」
 村からの脱出口を探すにしても、村の様子は知らなければならないわけだし。
 マリトゥエルの意見に反対する者はなく、一行は聞き込みのために村へと出掛けていった。

◆ ◆ ◆

「今話題になってる宝石を見つけたら、村のヒーローじゃない?」
 首尾よく村の子供たちと仲良くなって、そう持ち掛けたのはテュールである。彼のそばには、年が近いからという理由でいつのまにやら組みになっているアルフレッドもいた。
 テュールの提案に、子供たちは瞳を煌かせてわっと村中に散っていった。
「それじゃ、僕たちも探しに行こう。僕も七月一日に誕生日が来たばっかり‥‥だから。誕生日の喜びはよくわかるし‥‥誰かに祝ってもらう嬉しさもわかるんだ。
 ‥‥絶対に‥‥プレゼントと依頼人さんの『おめでとう』を、届けるよ」
「うん。頑張ろうね」
 即答の裏で、テュールが素直ながらも不穏な疑問――シフールの羽切ったらどうなるのかな‥‥? また生えてくるのかな? 試してみたいかも‥‥――を考えていたのは内緒の話である。

◆ ◆ ◆

 一方その頃のマリトゥエルとサラサの二人は、村長宅付近に調査にやって来ていた。
「どう?」
 マリトゥエルの問いに、サラサは小さく首を横に振る。
「私の今の力では一日遡るのが限度だな‥‥」
 パーストの魔法で泥棒を見つけられないかと思ったのだが、泥棒が入ったのはもう数日前。サラサのパーストで見つけるには少々無理があった。
「家の中から探せれば良いのだけど」
 言って、マリトゥエルはふうと溜息をついた。
 一度村長に調査協力を申し出たのだが、にべもなく断られてしまったのだ。
「仕方がない、一度戻ろう」
 ぐるりと村長宅の周辺を探してみたが、侵入者の形跡は見つけられなかった。よほどの腕か、内部犯か‥‥。
 どちらにしても、村長の協力を得られなければここでこれ以上の調査は難しそうだ。
「そうね、他の情報が入ってるかもしれないし」
 そして二人は、一旦合流することにした。

◆ ◆ ◆

 残る二人――ジェイミーとふぉれすとろーど ななんは、村の中心近くにある広場に来ていた。
 ジェイミーの見事な演奏に、村の人が集まってくる。
 曲が一段落すると、わっと拍手とおひねりが飛んできた。話しかけてくる村人たちに、それとなく事件や村長のことを聞いてみる。
 やはり真夜中ゆえに目撃者はいないらしい。
 また、村人の中には村長のカンチガイではないかと言う者もいた。まあ、誰一人目撃者もなく、怪しい物音を聞いたという者もいないのでは、そう思いたくなるのも無理はなかろう。
「宝石が見つかればいいんだけどねえ‥‥どこに行っちゃったのかしら」
 世間話の軽さで、村のおばさんが溜息をついた。
「小さな宝石だからね。案外家具の裏に隠れてたりして」
 誰かの台詞に、二人はぱっと顔を見合わせた。
「なくなった宝石を知ってるの?」
 ふぉれすとろーど ななんの問いには、村人のほとんどが頷いて見せた。
「村長の家の居間に飾ってあったから。村の話し合いは村長の家でやるし、村の大人ならほとんどの奴が知ってるよ」
 話を聞いて、二人は思わず顔を見合わせた。それはますます内部犯の確率が上がったのではなかろうか?

◆ ◆ ◆

 その日の夕方。合流した一行は、宿の一室に顔を付き合わせて今後の方針を相談していた。
「どうする?」
 誰ともなく視線を交し合う。
 プレゼントはぬいぐるみ。アルフレッドでも充分に持てる重さである。
 村の大半の者は快く協力してくれそうだが、あと一日で探し出すのはさすがに少々難しそうだ。
 だったら、出るのは早い方が良い。
「じゃあ‥‥僕はプレゼントを持って、一足先に村を出ることにするよ」
 アルフレッドの言葉に全員が頷いた。

 ――そしてその日の真夜中。

 村から少し離れた―――と言っても村の入口から徒歩十数分程度の距離だ――場所で野営の準備をしていたディアルトは、やってくる小さな人影に目を細めた。
「‥‥アルフレッド殿?」
「泥棒、見つけるのに、時間‥‥かかりそうだったから」
 可愛くラッピングされたプレゼントを抱えて簡単に告げると、ディアルトはうむと鷹揚に頷いて、
「そうか。ならば明日の朝イチで出発しよう」
「うん」
 特別危険な道があるわけでもなし。
 二人が順調にお届け先の家まで行って、帰りに村に寄った頃には、時間をかけた調査のおかげで無事宝石も見つかっていた。
 人騒がせな宝石紛失騒動。どこに宝石があったのかと言えば。
 滅多に人の入らぬ村長宅の地下室であった。
 どうやら、床に落ちたところを鼠に持って行かれていたらしい。
 まったくもって傍迷惑な村長は、村人と足止めしていた旅人たちに、深々頭を下げて謝罪をしたとか。