魔法使いガディーとお仕え剣士デビの珍道中

■ショートシナリオ


担当:HIRO

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 44 C

参加人数:6人

サポート参加人数:11人

冒険期間:01月28日〜02月01日

リプレイ公開日:2007年02月03日

●オープニング

 僕はデヴィッド・クライマン。17歳。有名剣士になることを夢見て、旅立とうとしている駆け出し冒険者だ。うん、ちょっとドキドキしていた。いや、本当はかなりドキドキしていた。
「じゃあ、行ってくるよ」
 爽やかに両親に別れを告げ、かっこよく故郷の村を出た。まではよかった。
 ちょっと近道しただけなんだ。森の脇道に入って。人気はないけど、うん、結構安全な道のはずなんだ。昔からたまに利用してたから、安心して入ったんだけど。
 でも気付いたときには、なんかゴブリンがいっぱい前にいて。どのくらいいるかな? ちょっと多いね。10匹くらい? ううん、もうちょっといるかな。20? うん、軽くその倍はいるね。その数に僕は取り囲まれている。ゴブリンの一匹や二匹くらいなら、僕だって難なく倒してみせるけど、これはちょっと無理そうかな。ゴブリンの奴らもそれを分かっているのか馬鹿にするように小石を投げてくる。
 はは、何で僕はこんなことになっちゃったんだろう?
 意気揚々とドキドキ胸まで弾ませて旅に出たのに、いきなり、それも、ゴブリン相手に死を覚悟しなきゃいけないなんて。
 はは、何なんだろう、僕の人生って・・・・。
 そのとき、ドオオォォーーンって音がして、気がついたら、森の木ごと無数のゴブリンが吹っ飛んでいる!
 これは確かグラビティーキャノンって魔法だ!
 それにしても、凄い威力! よほどの使い手に違いない!
 ビビッてわらわらと逃げ帰って行くゴブリン達と入れ違いに一見奇抜な・・・・妙に尖った肩をした白いローブに、ぎざぎざの前垂れが垂れていて、つま先が剣の切っ先みたいに鋭い木靴を履いている。目は小さく表情に乏しい割に、口は正反対に大きい。髪はボサボサで真っ赤な朱に染まっている。やけに尖った耳をしているからエルフなんだろう。その奇抜な青年が変な鼻歌歌いながら、こっちに近づいてくる。そして朗らかにこう言う。
「やっぱグラビティーキャノン適当に吹っ飛ばすと気分が晴れるな」
「ええ〜! この人、気晴らしに魔法打つの〜!」
 彼はどうやらこちらに気がついた。
「む、誰だ、お前は!」
「え・・・・あ、いや、危ないところをどうもありがとうございました」
「む、何の話だ?」
 やはりどうやら適当に魔法を打っていたらしい。僕は簡単に事情を説明し、さっさと立ち去ろうとした。見るからに危ない人だ、近づかないほうが賢明だろう。しかし・・・・。
「待ちたまえ! 君、聞くところによると俺は君の命の恩人らしいじゃないか。名前くらい名乗っていきたまえ」
「はあ・・・・そうですね。え〜と、デヴィッドです」
「デヴィッド・・・・デビか」
 略すほど長い名前でもないんですが。
「俺はグレゴリアス。気安くガディー様と呼んでくれ」
 何気に様付け強要されて、ちっとも気安くねえ! いや、その前にガディーってどこから来たー!?
「ガディーってのは、ニックネームっすか?」
「いや、ただ今日気分的にそう呼んでもらいたいだけだ」
「・・・・。いや、まあいいけど。じゃあ、ありがとうございました。ガディーさん」
 立ち去ろうとする僕を彼はまた止める。
「君、危ないところを助けてやったんだ。少しくらいはお礼を置いて行きたまえ」
 なんか図々しいよ、この人?
「え・・・・少しくらいってどのくらいですか・・・・? 僕、貧乏なんで、そんなにお金とか持ってないんですけど・・・・」
「そうだなあ、見るからに貧乏そうで気も弱そうで足臭そうな顔してるもんなあ」
 え〜初対面の人に何失礼なこと言ってんの! っていうか、足臭そうな顔って何だよ! 顔のどの部分でわかるんだよ! 怖いよ、この人! 何か色んな意味で怖いよ!
「どのくらいお礼すればいいですか・・・・? 僕ちょっと急いでるんで・・・・」
「そうだなあ」とガディーさんは腕を組んで悩みだす。そして顔を上げたときにこう言う。
「面倒くさいから身包み全部置いていくだけでいいよ」
 何か爽やかに全財産要求!? 追剥より遥かに性質悪いよ、この人―!
「いやその、なんていうか、僕の身包みなんて全然おいしくないですよ、汚いし臭いし・・・・」
「はっはっは、わかってるよ、そんなこと」
 気さくに笑う彼の目が怖い。っていうか、何気に僕の服が汚くて臭いことを肯定されてる・・・・?
「ジョークだよ、服は置いてかなくていいよ。財布だけ置いてけば」
 やっぱ僕の全財産狙ってる! 笑いながら悪辣過ぎだよ、この人!
「いや、その・・・・僕このお金でキャメロットまで生き延びなきゃいけないんで、それだけはちょっと・・・・」
 すると今度は僕の脇に差してある剣に目をつけた模様。
「駄目です、これは! 代々我が家に伝わる家宝ですからね!」
 猛反論する僕。すると彼は何を思ったのか、地面を掘って土を両手にすくい上げる。
「じゃあこれと交換しよう」
「ただの土じゃないですか! 我が家の家宝、どんだけ価値ないの!?」
「いや、違う違う。この土を水に溶かすと黄金に変わるんだって。え〜と、錬金術の初歩?」
「そんな錬金術聞いたことないよ! っていうか、そんな嘘に引っ掛かると思ってんの? どれだけ馬鹿なの、僕?」
 彼はチッと舌打ちする。めちゃ怖いよ、この人。
「命助けてやったのに。金なくて死にそうな俺を助けようともしない。あ〜、助けるんじゃなかった」
「助けようと思って助けたわけじゃないでしょ? 偶然でしょ? 何でそんな恩着せがましくできんの? っていうか、そんだけ強けりゃ、ギルドの冒険者として食っていけるでしょ?」
「む、何だ、そのギルドの冒険者というのは?」
 僕は彼に冒険者ギルドについて簡単に説明してあげると、彼はしきりに肯いてこう言う。
「なるほど、そんな仕事があるのか」
「僕もキャメロットで冒険者としてスタートしようと思ってるんだけど・・・・」
「そうなのか? うむ、それはちょうどいい」
 なんか嫌な予感がする。
「うむ、では俺もお前と一緒に行ってやろう」
「ええ〜!」
「舎弟・・・・ゴホッ・・・・しゃて・・・・じゃなくて仲間として、一緒に行ってやるから」
 思いっきり舎弟って言った。しかも言い直してまた舎弟って言いかけた・・・・。絶対仲間と思ってねえ・・・・。
 いや、でもこの人わけわかんないけど強そうだから、一緒に依頼受けていくと一気に名を上げられるかも。
 こうして僕はガディーさんと一緒に旅をすることに決めた。


 ギルドの受付嬢に言われた通りの手続きを終え、僕らは壁に貼られた依頼を順々に見回っていった。
「最初は簡単な依頼がいいよね。どれにしようか、ガディーさん?」
 僕らの目に止まった一件。

      村に度々現れるようになったオーグラ二匹を懲らしめて下さい。
      くれぐれも村には被害が出ないようにして下さいね。
      あと、できるなら、村の周辺の畑にも。

 それを見たガディーさん。
「懲らしめるって? 目を指で突くとか、爪の間に針を入れるとか?」
「痛々しいよ、その発想! ここでいう『懲らしめる』は普通に成敗してくださいってことだよ!」
「そうか。簡単そうじゃないか」
「オーグラって結構強いんじゃないの? そんなの大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。いざとなったら、デビを餌にして逃げるから」
「鬼だ、あんたは!」
 というような経緯で、僕はこの風変わりなウィザードとともに初めての依頼を受けるに至る。

●今回の参加者

 ea1553 マリウス・ゲイル(33歳・♂・ナイト・人間・フランク王国)
 ea2708 レジーナ・フォースター(30歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3179 ユイス・アーヴァイン(40歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea7468 マミ・キスリング(29歳・♀・ナイト・人間・フランク王国)
 eb5295 日高 瑞雲(34歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb5818 乱 雪華(29歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)

●サポート参加者

イフェリア・アイランズ(ea2890)/ イルダーナフ・ビューコック(ea3579)/ 小野 織部(ea8689)/ 衛竜 獅音(ea9779)/ ルシファー・パニッシュメント(eb0031)/ 若宮 天鐘(eb2156)/ ベルナベウ・ベルメール(eb2933)/ 十野間 修(eb4840)/ エレイン・ラ・ファイエット(eb5299)/ グフ・ラーン(eb5607)/ エフ・エム(ec0874

●リプレイ本文

「あんたがゴリはんか」
 見送りのイフェリアさんを見た瞬間、ガディーさんの顔がとろけた。
「シ、シフシフか〜あい〜!」
「キモっ! 気持ち悪いよ、ガディーさん!」
「デビ、飼っていい? このシフシフ飼っていい?」
「駄目だよ、ペットじゃないんだから! この人も冒険者だよ!」
 するとガディーさんが凄まじい勢いでヘコみ始める。そんなガディーさんの頭をイフェリアさんがはたいた。
「元気だしや」
「うん、僕元気になる!」
 ガディーさんの凄くイイ笑顔。・・・・何か気持ち悪いよ。


「僕らはシフール探索隊〜♪」
 何か変な唄歌っとる! 別にシフール探しにいかねえし!
 しかしそんなガディーさんを除けば、僕の初依頼の旅立ちは順調なものに思えた。今回、集った六人のうち三人は女性、それもこんな美人だなんて! 緊張して挨拶すると、マミ・キスリング(ea7468)さん、にっこり会釈。
「オーグラは厄介ですが、今回は技量の高い人ばかりですし、きっと大丈夫ですわ」
 彼女の清純な黒髪からは甘い香りが漂ってくる中、金髪の乙女、乱雪華(eb5818)さんも優しく声をかけてくれる。この充実感! これが青春やでぇ! と僕が一人盛り上がっている間、ガディーさんの奇行をじっと見つめ続けていたのはレジーナ・フォースター(ea2708)さん。どこかお嬢様っぽい感じの人だ。彼女は「なるほど」と肯き、僕に駆け寄ってくる。
「いいですか、デビ君、一見奇抜な言動や外見ではありますが、それはきっとガディーさん流の照れ隠しです。冒険者たるもの人を見る目を養わなければいけません」
 ええ〜! 何でそんな好意的な解釈するの!? と心で叫んでいる間に、彼女、今度はガディーさんの元へ赴き、何やら耳打ち。その声はしっかりと聞こえた。
「成る程デビ君て苛めたく・・・・いや虐待したくなるタイプですね」
 ちょっとー! 何悪い方向に言い直してんのーこの人!


「アレな方ですか〜。 世の中には色々な方がいて面白いですよね〜」
 やけに間延びした口調で僕を憐れむように言うのは、ユイス・アーヴァイン(ea3179)さん。日高瑞雲(eb5295)さんも溜息混じりに、
「どうしてあんな馬・・・・アレな奴と組んでんだよ? 明らかにどっか逝っちゃってる奴だって解んねえのか? もしかしてお前さんもアレなのか?」
 そんな僕らの会話を聞きつけ、ガディーさん。
「アレってのはどういう事だ?」
 僕らはギクリとした。彼の機嫌を損ねると魔法が飛び交うかもしれない。緊張感走る中、彼は険しい面持ちで声静かに言う。
「アレってのは・・・・ニコタンQの事か?」
「ニコタンQって何だー!?」
 僕らはツッコんだが、ガディーさんは意に介さず、ただ一人恥ずかしそうだった。
「それは人の心の中にいつしか生まれるものさ。まさかデビもそうだったとは」
「いや、意味わかんない! それが何なのかわかんないよ!」


 村に着くと、剣術師範のマリウス・ゲイル(ea1553)さんが未熟な僕に稽古をつけてくれた。さすが歴戦の勇士、僕の攻撃など軽くいなしてしまうし、その動きには無駄がない。あっという間に僕の剣は弾き飛ばされていた。
「デビさん、何事も修練の積み重ねです。精進してください」
 とマリウスさん、温かく微笑む。するとガディーさん。
「そうだぞ、デビ、そんなんじゃ、玉葱一つ切れないぞ」
「そのくらい切れるよ! それに料理のために剣を振るうわけじゃないからね?」
「何かあなたも大変な人に関わっちゃいましたね」
 マリウスさんの言葉は明らかに同情が篭ってたよ・・・・。
「ガディーさん、あなたの実力も拝見したいものです」
「あ、見たい?」
 何でもなさそうにガディーさんが応える。
「ええ、凄い魔法を使うのでしょう? 是非とも」
「見る? 俺のグラデビーキャノン」
「ちょっとー!!」
 僕は思わずツッコむ。
「グラビティでしょ? 何、グラデビーって?」
「だから、俺が念を込めると、デビが全速力で敵に向かって飛んで行くっていう」
「いや、飛んでいかないよ! 嫌だよ、そんな役」
 僕はブルブル震えて首を振る。
「それは私もちょっと見たい気が〜」
 ユイスさんが遠い距離から囁くのが聞こえた。この間合いに入ってこようよ。そしたら、そんな事言えないから!


「お気をつけ下さいね、ガディーさん。貴方が何かを指さして笑う時、うち指3本は自分を向いてますので」
 乱さんがぼそっと一言。するとガディーさん、僕を指差して
「あれえ! ホントだー! どうしてえ!」
 と何だかよくわかんないけど、嬉しそう。何だ、この人・・・・。
「あ、乱さんてハーフエルフですよね。狂化条件とかって聞いたら失礼ですか?」
 僕は乱さんと爽やかな会話をしたかったのに、やっぱりガディーさんは割り込んでくる。
「全く君は物を知らないなあ、デビ。ハーフエルフの狂化条件は昔から犬の糞を踏んだらって決まってるだろ? べちゃっとね」
「汚ねえ! 汚いしそんな狂化条件聞いた事ねえ!! というか、それはある意味、誰でも狂化しちゃうからね!?」
 それまでガディーさんの話にムキにならず適当に流し、心の平静を保っていた乱さんの顔もさすがに引き攣っている。
「おかしいですねー。私、血を見てないのにあの人見てたら狂化の衝動がちょっと・・・・うふふふ」
 ホント、この人は他人の神経を逆撫でるツボをことごとく突いてくるよ・・・・。


 村長さんの家に宿とご飯をお世話になる。待ってましたとばかりに大酒を飲む瑞雲さん。
「さ、デビ殿も無礼講ですわ。命を賭して戦う私達に、皆さんは精一杯厚意を示してくれているのですから、それを受けるのは礼儀ですわ」
 さすがマミさん。慎ましやかな礼儀の中に、人の思いを受け止める大らかさと優しさが。こんな人と楽しく夕食ご一緒できるなんて幸せ! とか思いながら、食器に目線を落とすと、そこにあったはずの料理が消えていた。あれ? 視線を隣のガディーさんに移すと彼の皿には料理が山盛り。
「ちょっとー!! それ僕のだろー!!」
 料理をほぐほぐ大口に詰め込みながら、ガディーさん、
「無・礼・講」
「この距離では遠慮しようよ!!」


 翌朝。僕らのオーグラ討伐作戦が始まる。ユイスさん、間延びした口調で、
「はてさて〜 、こっちのオシゴトもあったんでしたね〜。 すっかり忘れてましたよ〜」
 むしろこっちがメインでしょ? みんなガディーさんを敵視し過ぎ。いや、その気持ちは分かるけど。
「誰かが囮となって誘き出してくださると助かるのですけども〜」
「囮か。そういう事なら任せてくれ」
 とガディーさん。まさか・・・・?
「うちのデビが全裸で頑張りたいと言っている」
「やっぱりか、畜生! しかも何故全裸!?」
「いや、だってそりゃお前、服の中に密閉された体臭を開放するためだよ」
「いや、臭くないから、僕!」と抵抗すると、彼は何故か突然にキレだし、
「うるさいよー! この玉葱剣士がー!!」
 ええ〜、変な仇名つけられた? もう本当に鬱陶しいよ、この人! その時、見かねた瑞雲さんがガディーさんの首根っこふん掴まえ、
「てめえが囮になりやがれ」
「放せ! 俺は先約があるんだ、この筋肉ムキムキマンがー!!」
 ジタバタする彼を村の外まで引きずっていった。そんな二人を取り成したのは大人なマリウスさん。
「まあまあ、ここは私が囮になりますので」
「え? 全裸で?」
「何で全裸なんですか!」
 マリウスさんもさすがにつっこんだ。


 オーグラは森から現れた。臨戦態勢に入る僕達・・・・あれ、レジーナさんとガディーさんがいない? どこに行ったんだろう? しかし、今は目の前のオーグラに集中。しようと思ったその時。木の上から突如轟く人の声!
「平穏な町の平和を乱す悪鬼ども! 瞠目せよ、この絶対乙女エクセレント仮面がお猫様に代わって成敗!」
 何か変な仮面被った恥ずかしい人が!!
「あ〜、僕、エクセレント仮面二号ね」
 二号さん、木の枝に寝そべってヤル気ねえ! というかあの人達は!
「レジーナ殿・・・・かなり恥ずかしい事になってますわね」とマミさん。
 やっぱりか〜、やっぱり恥ずかしいのか!
「戦え愛の乙女! 人生生きてるうちが花なのよ、死んだらそれまでよ!」
 ああ・・・・愛という名のオーラを纏い、一号、いやレジーナさんがガディーさんのサイコキネシスの力を借り、宙からオーグラに突っ込む。
 先約ってコレかー!?
「ガディーさん、何やってんの?」
「さっき登場演出手伝って欲しいってお菓子とお小遣い貰ったのだもの」
 だもの、じゃねえだろ!
「要するにレジーナさんに買収され・・・・おわ!」
 僕の足元に突き刺さるダガー。今レジーナさんが投げたよ?
「私は正義の味方!! それ以上でもそれ以下でもない!」
 レジーナさんの背を追い、仕方なく皆がオーグラに襲い掛かる。乱さんが弓を掻き鳴らしている間、瑞雲さん、マリウスさんが剣で応戦、その後ろからユイスさんが魔法で援護するといった感じだ。
「僕らも参戦しないと」
「じゃあグラビティキャノンで」
「皆にも当たっちゃうよ!」
「そこは愛と勇気で乗り越えて貰おう」
「何綺麗に纏めようとしてんの!?」
 その時、マミさんと乱さんが飛んできて、「ぐぅ」でガディーさんを眠らせようとする。殺気満々だよ、この人達。だけど、逸早く気付いたガディーさん、僕を盾にして受け止めたー!
「へぶん!」
 大地を転げ回る僕。
「あーやっちゃった?」
「やっちゃった? じゃねえ! 彼女達の気持ちを受け止めてよ!」
 気を取り直し、僕らは敵を振り返った。あ、戦い、もう終わってました・・・・。
 オーグラの二体の屍を足元に、
「愛! 努力! 友情! そして勝利!」
 エクセレント仮面が臭い言葉でしめたー!
「まあ、何ですか〜? アレな方と剣士君の組み合わせは、今後も放置しておく方が楽しそうですよね〜」
 ユイスさんの言葉が風のように流れる中、僕の初依頼は終わった。僕、結局何もやってねえ・・・・。