【渡月開橋】 あなたへあいにゆく
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■ショートシナリオ
担当:紺一詠
対応レベル:7〜13lv
難易度:難しい
成功報酬:3 G 80 C
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:12月30日〜01月04日
リプレイ公開日:2006年01月07日
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●オープニング
嵐山、大覚寺、大沢の池。
それはなんのさきがけもなしに、おこなわれた。
「月道だよ!」
冒険者たちは、目をこする。真冬の夜の夢――たしかに目の前にあるのに、爪をひっかけられそうなほど近くの出来事なのに、それでもなかなか受け入れられない。
満月でない夕べに、開くはずのない月道は、しかし、水鏡のごとし奇蹟にかがやく。その下で依頼人は、滔々と、昔話をつむぎはじめる。
※
御伽噺すらおいつかないぐらいの、古さびた無限。
――‥‥『それ』はかつては、大和の石舞台古墳の地下にあったという。しかし、大仰な機巧を組み込めるほど聖別された土地は、また、別の悪しきものどもを閉じる磁場としても都合がよかった。果たしてそこには、黄泉大神以下のあまたの黄泉人が封緘され、しかしそれとひきかえに一点に集中したおびただしい悪意により、ついに『それ』は破壊され、つかいものにならなくなってしまった。
もしやをこうじて『それ』が他の地――洛外・嵐山――にもしかけられていたは、幸いだった。石舞台古墳のものにくらぶれば、添え星である『それ』は幾分小降りで、ふたたび稼働させるまでにも少々手間のかかる代物だったけど、いちからことごとくやりなおすことを考えれば、よっぽど気楽だ。
ところが、それで問題がすべてかたづけられたわけではなかった。石舞台古墳が黄泉人の封印の場として目を付けられたように、『それ』は嵐山全体にも少なからぬ影響をおよぼした。といっても、『それ』が小さいだけに、石舞台古墳のときほど極端な異変ではなかったが。
嵐山の月はうつくしい。
ただ、それだけだ。しかし、それだけのことに秘められた真相は、たいしたもので。
まさか誰も思うまい。『それ』は『それ』たる資質によって、その地の月精を活性化し、結果、他のどこよりも月白を透きとおらせているなど。
ただし数人の異才は、真実にはいたらねど、直感によってあるていどまでは近いところに到達した。たとえば、『それ』の正確な位置。彼らはそこにあるものの正体までは気付けなかったが、そこがもっとも月天が美しく照り映える箇所であることを悟った。
そして、彼らは観月のために、とてつもない規模の治水工事をおこなったのである。
「‥‥まさか、こんなに大きな池がつくられるなんて」
彼は呆然と、大沢池を見やり、つぶやいた。
古代の人々は『それ』を掘り起こすことまではしなかったものの、逆に『それ』を水底にしずめてしまったのだ。たしかに水底でふらふらゆらめく月ノ輪は、天空にひっそりただよう耿然とはまたおもむきのことなる、格別の味わいがある。しかし、それを楽しむためだけに、周囲四半里の湖沼をつくりあげたというのは、ただごとでない。
奇蹟と呼んでもさしつかえないような、昔日の執念と努力に、彼はあきらめによく似た感動をおぼえた。そこまで思われりゃ、月だってまんざらではなかろう。しかし、『それ』を再びめざめさせるという、彼の使命は、容易ならざるものに変貌した。
「こうなったらもう、『あれ』は僕ひとりの力じゃどうにもならない。水の精であるきみの力を借りないと」
急に呼び出して悪いね。彼の陳謝を、川姫はしずかに首をふり、中和する。
「三笠大蛇さまのお役にたてること、川姫、身に余る光栄に存じます。ですが、三笠大蛇さまにおつとめがあるよう、川姫にも操をもって準じねばならぬ、たいせつな本分がございます」
「つまり、川姫の試練を僕にもくだそうということかい?」
「いいえ。川姫ごときがどうして、三笠大蛇さまを采配することなぞ、できましょうか。‥‥三笠大蛇さまはヒトのために、いにしえの楼門をひらくおつもりなのでしょう?」
「あぁ、そうだけど」
「では、川姫の試練をうけるにあたいするは、三笠大蛇さまではなくヒトであるべきかと愚考いたします。彼らは楼門の彼方において、あまたの困難に直面することでしょう。川姫のつたなき試練ごときをのりこえられずして、この先、なにをどうして立ち向かえましょうか」
「‥‥なるほど。キミの意見には、一理ある」
三笠大蛇、と、呼ばれる彼は瞳を閉じて、深く、空より深く、首肯した。
「では、僕が川姫の試練をうけるものを、ここへ連れてくるとしよう。僕とキミとは、ただの鍵。鍵を鍵穴につきさす存在が必要だ。彼方へ旅立つ者、冒険者を」
『それ』に名はなく、ただ役目をまっとうするだけの――心越す悠遠への橋梁――『それ』の本分をひとことでまとめうるなら、特殊月道起動装置、と。
※
「おめでとう、川姫にみとめられたようだね」
彼は――冒険者ギルドに川姫をいざなった依頼人の青年は、蜻蛉玉のような瞳をぺかぺかといたずらめいて光らせながら、なつこい笑みを冒険者たちに投げかける。
「キミたちの力により、新たな月道はひらかれた。江戸でかぐやがみちびくように、この地の道では、僕が、三笠大蛇が、キミたちの案内をつとめる任をになう」
でも、ただじゃあ通さないよ。
青年――三笠大蛇――はだいじなおもちゃを愛するように、目を細めて月道をみかえる。
「はじまりの冒険に、壮大な旋律を。旅立つものの不安に、なぐさみの歌謡を。新天地の希望に、勇猛な律動を。僕たちの協奏で!」
これは試練だ、と、彼は言葉をつぎたす。
川姫が冒険者らに試練を課したように、彼もまた冒険者らをためそうとしている。
「さぁ、キミたちの渾身を僕にみせてくれ。剣を、弓を、魔法を、祈りを、知性を、キミたちの持ちうる力量をすべて、僕にぶつけてごらん」
月の光をつぶさに受けて、青年の体はそろりそろりと、折り符がほどかれるようにひらかれて――展開をすっかり終えたとき、そこには、深山すらその身でくるめそうなほどに長大な白蛇が、人身のときとそれだけは別のない青い瞳で冒険者たちをみつめている。
●リプレイ本文
●礼にはじまり、
空から天河を借りてきたよな長大さから「大蛇」とは呼ばれているものの、三笠大蛇の全体は白くふさふさした毛で冬山の獣のようだし、脚は平らか、鼻から口辺にかけては四角四辺で、犬っぽい。
おもしろい。
眺め回してから、御影涼(ea0352)、そう結論づける。博物学的な好奇がついに、戦略的考察と見地を超える。油断は禁物。そんな分別もいつしかおちつき、あとはただ一途、閑か。山の端へ、橙の微塵ににくだける、入り日に照らされるままの心持ち。
過去への後悔も、試練に打ち勝たねばならぬ――他から試されるのではなく、己を試す――という気負いも、おっつけくもりは晴れて、唯々の静虚になる。
カヤ・ツヴァイナァーツ(eb0601)も、そうだ。さまざまなことが、つい今し方まで、表でも裏でもどよめいていた。だけどもう、覚悟を決めるしかないではないか。
「‥‥そうじゃない、かな」
居直りじゃなくって。
観念や責任や拘束でもなくって。
それにあずける名前を考えるあいだに、ツヴァイは目をしばたかせて‥‥襲の色合いのような重複の彩が、ふたたび、乾坤を見据える。本日は小春日和で、けれど、風は肩をすくませるほどに冷たい。その背反がここちいいから。
それだけでいいか、と思う。
そのかたわら、フィーナ・グリーン(eb2535)、とっても犬好き、ずっと三笠大蛇のそこかしこをくるくるした碧眼で観察をつづけている。
「‥‥ふわふわ‥‥もこもこ‥‥肉球もあったりするのでしょうか」
梅花模様、フィーナのあたまのなかでは早々満開。フィーナ、くらっと立ちくらみ。日比岐鼓太郎(eb1277)はキリっと涼しい眉をそびやかし、強い目つきで、
「卑怯だぞ。まどわしの術で闘志をそぐとは」
「使ってないよぅ」
三笠大蛇の本性は、膝丈ぐらいの高み分浮いているだけ。それでも楽々と、約六尺四寸の日比岐よりもなお上背、高い。
「お相手、宜しくお願い申し上げます」
だから、松浦誉(ea5908)が正式な作法で立札しても、目線はどうにも拮抗しない。ちょっと居心地は悪かったが、御神楽澄華(ea6526)もたおやかに深々と腰を曲げる、ランティス・ニュートン(eb3272)は打たれて「あ、あぁ。うん」木製を接いだような、いくばくかぎこちない風情で、頭を下げる。
はじまる。
●(その最中、表現は不要)
三笠大蛇はたいして高度をあげやせず。南雲紫(eb2483)がかざす、血風紅塵、剣を、外套のうしろの夜から世界のおもての昼に、華を、
「‥‥紫電の剣姫‥‥参る!」
桔梗の娘は、彼岸の華を、咲かせる。誇りの暦乱。三笠大蛇の表層で、霊刀から放射状にめぐる気が、さざなみをたたせる。さきがけの一撃が実をやどしたことを見て、紫はあわく唇をまげた。
はじめるときの、預言を待つのにも似た緊迫も嫌いじゃないが、紫を愉しませるのは、やはりこの実践。天道にもとづく、力、をふるう場があること。それを公明正大に受け止める相手がいること。
どこまでも、この真剣の遊戯に陶酔していたい。絶対不可な誘惑すら、裾を引く。
「叶わぬ願いだ‥‥。だが、だからこそ、」
いっかな終わりの見えてこぬ人生だろうと、停滞よりは前進をのぞむ。
「私は勝利してみせる!」
別に、浮き世をきらめかせた弁柄は、澄華の刃の身。炎をおびる太刀は、待ち合わせたがごとく、紫と同等の一点を打ち付けた。白毛がちぎれるのが、澄華の豊穣な胸を痛ませる。しかし、これは引き受けたこと。
ところで、澄華はあらかじめ三笠大蛇へ確認をとったのだが、火霊の付与は最初からやっておいてもよい、と軽薄な受諾。
「だって、女の子の秘密を邪魔するほど、無粋じゃないもん」
秘密ってゆうのかな?
「精霊は魔法に縁の深いようですから、きっと秘密の宝物のように、魔法もたいせつにあつかってらっしゃるのですね」
あるがままのものをあるがままで、あくまでも、善良な見方をつらぬく澄華なのである。
と、順調、快調。「好調!」澄華や紫と反対の側へランティスは身をおどらせる、雲をつく巨躯はその分、近くの見通しもききづらい。ランティスは、双刀、二重螺旋で引き下げる。
「俺のすべてを出し切らせて貰うよ。未知への扉を開く、鍵となる為にもね」
けれど。
三笠大蛇は突如、ぐるっと回転。ランティスの右と左の剣はようやっとかすめるが、それはうわべをちろっとざわつかせただけ。だけでなく、重力まで。三笠大蛇、ごろん、と、ランティスのほうに横転してきたのだ。痛いってか重い。
「もしかして、気のせいかもしれないけど。俺だけ、あつかいがつらくない?」
「僕、男性にはきびしいの」
「まぁ。わんこさんは『れでぃーふぁーすと』を心得てらっしゃいますのね」
フィーナがまたも、面持ちを、ふにゃあ、とくずす。
まちがってる、と、ツッコミのすきまを縫うのは、めくらましに、日比岐は左の手の鎖を三笠大蛇にからませた。体毛をまとめてしばりあげ、目方をぶらさげるにはじゅうぶんな起点をかたどる。
かっと地を蹴る踵では、すきとおった翼が、のびやかに。日比岐を三笠大蛇の頭頂へ、はこぶ。滞留の手間賃代わり、名告って。
「俺の名前は『日比岐中太郎(ひびき・ちゅうたろう)』だ」
「ふぅん‥‥嘘?」
三笠大蛇がじらすようにまばたきすると、日比岐のしなやかな精神は、うがたれる罪にくらくなる。しかし彼は、欺瞞をかさねずにすんだ。
「名前をかくしても、この場に巨人族はキミぐらいしかいないから、それでじゅうぶんなんだけど。だいたいキミぐらい腕のある相手に、ムーンアローなんて弱っちいものをやってもね」
むしろこうして、と、三笠大蛇、爪をしならされば、青い黄色に澄む光矢はまっしぐら、ツヴァイの持つ経書を中心から引き裂いた。
‥‥永遠ともまごう空白のあとへ、ゆら、と、ツヴァイの襟髪がかまくびをもたげる。
「僕? ううん、平常心だよ。でも、グラビティーキャノン連続十回の乱射ぐらい、ちっとも危なくないよね?」
それ=ツヴァイ縛っておいたほうがいいか、との三笠大蛇の提案、諸手こぞって、冒険者らは受け入れる。
「まさかこちらから、影縛りをおねがいしましょうとはねぇ」
それも、ツヴァイを相手に。誉はほころぶように苦笑した。三笠大蛇が使用すると予想される術のうち、もっとも手強いものが、シャドウバインディング。もしものときはツヴァイがマグナブローの火明かりで消去してくれる手筈が、それを自発的になしにしようというんだから。
誉は剣をおろしている。三笠大蛇が便宜をはかってくれてるのだから、そのあいだこちらも待機するのが、儀礼だと信じて(もっとも先にやらかしたのは、三笠大蛇のほうなんだが)。
「‥‥そろそろ、よろしいでしょうか?」
風刃、波紋。異国の剣から進化するそれは、まるで、三日月の鏑矢。誉の愛する駒の名にも、ふさわしい。
三笠大蛇の強健なこと、麗句をつらねるまでもない。
予想どおり――というのもなんだが――冒険者たちは苦戦した。たしかに魔法も使いこなしてきたが、真に脅威だったのは、意外だが、爪。縦横斜めの三軸をすべれば、さすがのフィーナもすべては受け止めきれず、紫ですら避けきれず、創傷は雨粒がはじけるよう、上へ上へ重ねられる。
「一気火成の型ぁっ!!」
がん、と、渾身をぶつけるようにたたきつけるが、日比岐の必死も、武具のあとをのこすだけ。精霊殺しですら真価を発揮できぬほど、魔力の装甲は硬い。そして、魔法への抗性も高い、実際へと戻ってきたツヴァイがグラビティーキャノン(注:まとも)で天地をなくそうとしても、成功は降臨しない。
剣をふりかぶりつづけて、涼の腕は棒のような芯に腫れ上がっている。吐息の重さときたら、鉛でも飲み込んだか。けれど、風に吹かれる棒きれのように、涼はくりかえす。半自動的な、たたら。それも、だんだんと鈍くなってきて。
と、三笠大蛇は宣告する。
これまでに、しよう。
●礼に終わる。
「‥‥もっと食い下がりたかったかも、な」
日比岐、無念そうに、舌打ちをひとつ。
「しかたがないよ。僕、体力お化けだし」
「お化けなのは、体力だけじゃないだろう。どこから胸で、腹なんだか」
「じゃ、この姿やーめた」
人身に転じた三笠大蛇は、壺皿を配る。これで癒せ、と。もしも余らしたら、持って帰ってもよいとのおまけつき。それで冒険者たちがすっかり傷をなくして、ぴかぴかのはだえになおるのを、三笠大蛇は満足そうに打ち見て――と、だしぬけにひざまずく。女性陣の手前。
「月姫たち、手荒なまねをしてすまなかったね。あとののこらない怪我で、よかった。キミたちの雪肌のまえには、月光も荒みを恥ずかしがり、色あせる」
冒険者ら、こけた。
ひとり冷静だった紫、とりあえず手近にあった霊刀「オロチ」をばっさり、三笠大蛇のつむじへ刺してみる。さすが霊刀、よく切れる。
「ふ、つれないね」
「わっ」
三笠大蛇も、こけた。白いふわふわのしっぽが、ぴょこん、と突き出る。
主犯は、ランティス。いつのまに背後に回っていたのか、喇叭にまるめた両手を、そろそろとほどく。
「尻尾だけなんだ。耳は出ないのかい? まぁ、さっきのおかえしだよ」
「けが人になにをするんですー」
人、じゃなくって、精霊なんだけど「そのほうが、かわいそうじゃないですか!」って、たった今かつがつの渡り合いしたばかりじゃないか。が、そのへん余所とはことなるものさしではかっているフィーナは、ランティスを峰打ちで撥ねる(むしろ、そっちで、ランティス軽傷)。
「三笠大蛇さん。平気でしょうか? 私もお薬を持ってきていますが」
「気持ちはうれしいけど、人間用の薬じゃいまいち効きがわるいし」
「では‥‥」
フィーナは肌衣から、繊維を一本だけ、引き抜く。はげしい攻防のすえ、ちょっと悲しいめの三笠大蛇の尾へ結んでやると、気に入ったらしく、ぱた、ぱた、とふりかぶった。
「さて。僕はもどって、装置をいじってこようかな」
「じゃあ、俺、そばで見学させてもらってもいいかな? お詫びに、子守歌なら唄えるよ?」
「わ、私は‥‥できましたら、ほんの少し、撫で撫でさせていただければ‥‥」
ランティスはにこにこと、フィーナはどぎまぎと、それぞれの思いを打ち明ける次、誉は尋ねる。先のふたりとは違い、青い瞳は、不安定にゆらぐ。
「これから三笠大蛇さまが古の楼門にお触れになるということは‥‥私たちは‥‥勝てたのでしょうか?」
は、と、涼はうろたえる。
それを知りたかった。そのための戦いだったはずだ。けれど、それを言語へ転置するのは死刑宣告にも均しい、恐懼。が、三笠大蛇は、かぶりをふる。すべて煙に巻く、みたいに。
「気概は、たしかめさせてもらった。それだけだ、勝ち負けなんて知らない」
澄華はふぃっと首を巡らす。その目は三笠大蛇を過ぎて、ここからは見えぬ、大沢の池。
そこでは月道が耿々と、まるいあぎとを開けている、新しい幻想。おとないを許された我ら、冒険者。
気概、とだけ、三笠大蛇は云った。実力は‥‥とりわけ口にしなかったのは、秘するが花、けれど、
「心では負けたと思っていませんよ」
誉の云うように。
冒険者らは難敵・三笠大蛇に対して、一歩も退くことをしなかった。
心、あぁ心。それだけじゃあ、なんにもできない。それがなければ、なんにもできない。
「‥‥本日は、ありがとうございました。ここへの来訪が不可能であった、私の愛するものたちに代わり、厚く御礼を申し上げます」
誉ははじまりより更に深々と、頭をたれる。彼の背には‥‥羽根はないけど、羽根のように道しるべになる、たくさんの人々の、気持ち。
月道は、往く。
しかし、その先にあるものの枠組みは誰も知らない。感じても、いない。
今は、まだ。