【ウォールブレイク】とにかくぶっ壊せ
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■ショートシナリオ
担当:一乃瀬守
対応レベル:8〜14lv
難易度:普通
成功報酬:4 G 98 C
参加人数:4人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月09日〜06月14日
リプレイ公開日:2008年06月17日
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●オープニング
──事件の冒頭
「つまり、このグレートウォールとやらを破壊したら、ジ・アースに帰還できる月道が完成するのですね?」
静かな研究室の中に、ジョディ・ジョーカーの声が響きわたる。
ここはミハイル研究所。
今日もまた、ミハイル教授がジ・アース帰還の為の方法を模索している。
明日には神殿の調査に向かうため、引き継ぎの作業を助手のジョディに御願いしていたのである。
「まあ急ぐな。まだそうと確定したわけではない。精霊武具やアルテイラの話もある。ただ可能性としてそういうものがあるということぢゃから」
「ということは、私達はジ・アースとこのアトランティスを行き来することができるようになると?」
──スパァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
瞳を輝かせてそう叫ぶジョディの後頭部を、ハリセンで力一杯ぶったたくミハイル。
「確定ではないといっとろう!! ワシ一人だけが帰れる月道という可能性もある」
「けれど‥‥お話では、ジ・アースで教授がこのアトランティスに繋がる月道を発見したから、ジ・アースの人たちがこれるようになったのですよ? 今回のグレートウォールでも、そうなる可能性は否定できませんよね?」
その言葉に、ミハイルは静かに肯く。
「まあ、ジョディは頼んでおいた作業を続けてほしい‥‥」
と告げて、ミハイルは再び準備に入る。
●冒険者ギルド
──受付
「つまり、あの壁を破壊できる猛者を集めて欲しいという事ですね?」
受け付けの男性が、ジョディにそう問い掛ける。
「ええ。ミハイル教授に内緒でね。報酬は弾ませてもらいます。とにかく腕利きの人たちを御願いね‥‥」
ということで、ミハイル教授にこっそりと頼み込んだジョディ。
なにやら一波乱の予感‥‥。
「これで教授がジ・アースに帰ったら‥‥あの研究室も発掘品も、地位も名誉も私のもの‥‥うふふっ‥‥」
こらねーちゃん。
何を腹黒い事を企んでいる?
●リプレイ本文
●そして壁を壊す
──グレートウォール前
一体、誰が、何の為に作りあげたのだろう。
もしくは、これは一体、どこからきたのだろう‥‥。
正式な名前など誰も知らない。
ただ巨大なだけのその壁を、いつしか人々はグレートウォールと呼んでいた。
そして、誰かは知らないが、興味本意に壁を傷つけた。
その崩れた場所から宝石が出てきた事から、サカイ商店が全面バックアップで、グレートウォール発掘が始まった‥‥。
「ふう。それじゃあはじめますか?」
そうにこやかに告げつつ、時雨蒼威(eb4097)がグリフォンの背中につんであるスコップを一つとりだす。
「そうですねぇ。とりあえず、ミハイル教授が戻らないうちに、チャッチャと始めちゃってくださいね」
と告げているのは、今回の依頼人であるジョディ・ジョーカー。
功名心に煽られたのかどうかは定かではないが、今回、この壁を破壊するようにギルドに依頼をだしたのである。
「まあ、出来る限りは掘って掘っては掘りまくりますわ」
と、手にしたスコップにオーラを纏わせているのはセシリア・カータ(ea1643)。
「そうだな、俺も微弱ながら協力する‥‥」
鳳レオン(eb4286)も依頼を受けた一人。
そして3人はイソイソと発掘作業を開始。
周囲では、金銀財宝目当ての人間たちが必死に壁を崩している。
──ガキガキガキィィィィィン
なんとなく調子がいい。
壁の強度に耐えられなくなったスコップが音を立てて砕けていくが、それでも蒼威は順調に掘っていた。
「これで‥‥8本目‥‥と、しっかし、不思議な壁だよなぁ‥‥」
と腕を組んで頭を捻る蒼威。
大勢の人たちで下から破壊していけば、いつかは強度不足になって崩れるのではという考えがあったのだが。
一行にそんなそぶりもない。
「でもさぁ‥‥これ‥‥普通に下から崩しているなら、いつか倒れるんじゃないの? ぺきっと」
「そうかもしれませんね。けれど、人の手では、限界がありますね‥‥」
と告げているものの、スコップにオーラパワーという大胆な事をやりつつ、硬い壁にサクッと突き刺して壁を破壊しているセシリア。
オーラが掛かっているだけでも、かなり違う。
そしてそれは、のんびりと掘りまくっていたレオンの耳にも届いていた。
「もっと効率よく破壊できればいいのだが‥‥」
──サクッ‥‥サクッ‥‥
丁寧に、しっかりと壁を破壊するレオン。
と、ふと気がつくと、遠くからどよめきが聞こえてくる。
──ゴウンゴウンゴウンゴウン
上空にやってくる『特務艦グリフィン』。
それはすぐ近くの開けた場所に着地すると、ゴーレムとドラグーンを一機ずつ降ろしていった。
「まったく‥‥丁寧に扱ってくださいよぉ‥‥」
「大丈夫だ‥‥心配するな」
と、風信器から聞こえてくるグリフィン・ゴーレム責任者のシヴァさんに、シャリーア・フォルテライズ(eb4248)がそう返答をする。
ゆっくりと立上がったイーグルドラグーンの右手に、巨大なハンマーが握られていた。
そして左手には鋼鉄の杭。
──ゴゥッン
翼を広げて壁に向かうイーグル。
その光景に、壁際で発掘していた人たちが壁から離れる。
そして静かに着地すると、シャリーアはイーグルドラグーンを自在に操り、まずは左手で壁に向かって杭を突き刺す!!
──ドゴォッ
深々と突き刺さった杭。
そしてシャリーアは両手でハンマーを構えると、いっきにそれを杭に向かって振りおろした!!
「瓦礫になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!」
──ドゴォッ
その一撃で杭自体がくだけ散る。
「‥‥そこの女。その杭では、イーグルドラグーンの一撃には耐えられない。とっととイーグルから下りろ。というか、そんな土木作業にイーグルを使うな馬鹿者め!!」
と、風信器から聞こえる女性ゴーレムニストの声。
「やれやれ。仕方ないですね‥‥」
と告げると、シャリーアはイーグルドラグーンから降りて、愛用のストーンゴーレムに搭乗。
そのまま杭を手に、再び作業を続けようとするが‥‥。
「杭はないほうが早いですねぇ‥‥」
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
その刹那、ストーンゴーレムによって叩き込まれたハンマーが、壁を大きくえぐる。
その破片は周囲に吹き飛び、大勢の作業員立ちにも降り注ぐ!!
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁ」
「殺るなら殺るって言えェぇぇぇぇぇぇ」
「まったく、宝石まで砕く気かぁぁぁぁぁぁぁ」
誰かしらないけれど、やるの発音ちがいますぞ?
ということで、シャリーアはゴーレムの稼動時間一杯まではストーンで壁掘り。
その後、人力で壁を破壊に入った‥‥。
●作戦は?
──グレートウォール付近、ベースキャンプ
依頼期間は5日間。
その間に最も効率のいい掘り方は何か?
その日の夕方、蒼威の作った夕食に舌鼓を打ちつつ、一行は明日からの作業について色々と打ち合わせをしていた。
「私は最初のうちにゴーレムで破壊活動に専念させて貰う」
「なら、おれはそのかけらの中から宝石を探し出す」
「俺達とセシリアは、少し離れた場所で壁壊しに専念したほうがいいな」
「そうだな。時雨さんと鳳さんは、途中で私とゴーレムの操縦を交代してください」
と告げている。
確かに、ゴーレムの稼動時間は短い。
一日のうちでまともに扱えるのは長くても1〜2時間ぐらい。
ならば、他にも扱えるものも乗るべきという事で、セシリア以外は搭乗となった。
そして翌日から、壁破壊と大量の瓦礫発掘が始まった。
ゴーレムでの発掘は思ったよりも早い。
その一撃が、達人の生み出す会心の一撃と一緒、そしてゴーレムでの会心の一撃となると、一体どれぐらいになることやら‥‥。
●アフター・ザ・カーニバル
──グレートウォール
ということで、発掘に精を出し尽くした5日間。
破壊したスコップの数は計り知れず、ストーンゴーレムの維持に必要な大金も吹っ飛ぶ。
さらにゴーレム用のハンマーも全て破壊、散財してしまっている一行。
だが、選られたものもそこそこである。
セシリアはサファイアを2つゲット。
時雨はダイアモンド1つとエメラルド2つ。
シャリーアはアンバーを2個確保。それ以外はゴーレム工房に収めている。
そして鳳は銅の塊を2つとトパーズを1つ。
大極で見れば赤字ではあるが、それでも未来に何かを見出している一行にとっては、そんなことはまったく気にするそぶりもない。
ということで、彼等の穴掘り人生は、まだまだ続く‥‥のか?
──Fin