精霊の洞窟と、道標の兜

■ショートシナリオ


担当:一乃瀬守

対応レベル:8〜14lv

難易度:やや難

成功報酬:7 G 5 C

参加人数:8人

サポート参加人数:2人

冒険期間:10月30日〜11月11日

リプレイ公開日:2007年11月07日

●オープニング

──事件の冒頭
 静かな森。
 その中を、ミハイル・ジョーンズ教授は歩いていた。
 いつもながらの遺跡調査。
 今回は、『精霊の住まう古き洞窟』という情報を得て、この森にやってきているらしい。
「‥‥全く。ここまで複雑な場所とは、思ってもみなかったわい‥‥」
 やれやれという表情で、ミハイル教授は近くの岩に腰を降ろす。
 そして再び周囲を見渡すと、バックバックの中から取り出した羊皮紙の地図をじっと眺める。
「このあたりなのじゃが‥‥と‥‥ここの先か‥‥」
 一休みして水袋の中に入っているワインを口の中に流し込み、パンと干し肉を口の中に放り込む。
 そして体内に活力が湧いてくるのを確認すると、ミハイル教授は再び立ち上がり、先を急いだ。

──そして
「‥‥これは深いのう‥‥」
 森の中にある小さな丘。
 その麓にあいている穴蔵を覗きこむ。
 奥行き2m、その地面に直径2mほどの縦穴。
 縦穴の底は見えず、時折風が吹き出している。
「さて、どうしたものか‥‥」
 そう呟きつつ、ゴソゴソと鞄を開く。
──コーーーーン‥‥
 と、鞄から『兜』が転がり、縦穴に落ちていった‥‥。
「しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 絶叫するが既に刻遅し。
 一人で穴に降りるにも勇気が必要。
 ということで、ミハイルはとりあえず街に戻ることにした。


●ということで冒険者ギルド
「‥‥では、こちらの書面に必要事項を記入の上、こちらに。依頼料と、支払い報酬をこちらに‥‥ええ、あ、ここはサインで結構です‥‥」
 淡々と手続きをする事務員を相手に、ミハイルは黙々と書類を作成。
 そして一通り書きおえると、ゆっくりとギルドの外に出た。
「ふぅ‥‥硬い奴が相手ぢゃと、疲れるのう‥‥」

●今回の参加者

 ea1683 テュール・ヘインツ(21歳・♂・ジプシー・パラ・ノルマン王国)
 ea3651 シルバー・ストーム(23歳・♂・レンジャー・エルフ・ノルマン王国)
 ea4919 アリアン・アセト(64歳・♀・クレリック・人間・ノルマン王国)
 ea5597 ディアッカ・ディアボロス(29歳・♂・バード・シフール・ビザンチン帝国)
 ea7891 イコン・シュターライゼン(26歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 eb0342 ウェルナー・シドラドム(28歳・♂・ファイター・人間・ノルマン王国)
 eb4326 レイ・リアンドラ(38歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb7871 物見 昴(33歳・♀・忍者・人間・ジャパン)

●サポート参加者

ジェイス・レイクフィールド(ea3783)/ 飛 天龍(eb0010

●リプレイ本文

●まずは落とした兜の回収
──ということで深き森の奥のまた奥
「ふぅむ。どうじゃ?」
 件の穴蔵の入り口で、ミハイル・ジョーンズ教授がテュール・ヘインツ(ea1683)にそう問い掛けている。
 そのテュールはというと、縦穴の入り口で、静かに詠唱中。
「光と太陽よ、我に害なすものの居場所をしめしてくださいっ!!」
 テュールがリヴィールエネミーを発動。ゆっくりと縦穴の中を見る。
 だが、なにも反応はない‥‥。
「テュールさん、それは『貴方に対して敵意を持っている者』を探し出すのであって‥‥」
 そう説明しつつ、シルバー・ストーム(ea3651)もスクロールを広げる。
──キィィィィィィィィィィィン
 やがてシルバーの全身が輝き、そして光が消える。
「‥‥隙間が‥‥ありすぎる‥‥参ったな」
「ふーん。なるほどねー」
 と告げて、テュールは小石を落としてみる。
──ヒュルルルルルルルルルルル‥‥コーン
 そこでハネたらしく、音が反響してくる。
「深さは10mってところだね☆ 降りる準備をしないとねー」
 そう告げて、テュールはいそいそと荷物の準備。
 その近くでは、アリアン・アセト(ea4919)がミハイル教授と話をしていた。
「ミハイル教授? 落とした『兜』というのは、噂程度にしか知りませんが『知識の兜』の事でしょうか?」
 そう問い掛けるアリアンに、ミハイル教授は頭を楯に振る。
「うむ。そのとおりぢゃ。このアトランティスで色々と学び、そしてここから帰還する方法を調べてみた。で、アトランティスから元のノルマンに戻る方法は今の所一つ!!」
 その説明に、シルバーやテュール、そしてイコン・シュターライゼン(ea7891)やウェルナー・シドラドム(eb0342)といった『天界』からヤってきたチームにとっては興味があるのであろう。
「ミハイル教授、よろしければ私達にも教えて頂きたいのですが」
 そう告げるイコン。
「そうですね。僕も興味があります」
 ウェルナーもそう告げて、ミハイル教授に向き直るが。
「そんなことはあとにして下さい。今はギルドの依頼で、兜の回収及び洞窟の調査が先でしょう?」
 ディアッカ・ディアボロス(ea5597)がつとめて冷静にそう告げる。
 そして
「ミハイル教授、兜の形状を思い描いて頂けませんか? 皆で探すのに、外見が判ったほうがいいかと思いますので」
 と補則を加えるディアッカ。
「うむ。こんなかんじじゃな‥‥」 
 そう呟くミハイル教授の思考を、リシーブメモリーで引っ張ってくるディアッカ。
 さらにそれを『ファンタズム』で幻影を作り出し、一同に見せる。
「ほうほう。対したものぢゃな」
 そう感心しているミハイル教授に、さらにディアッカが話を始める。
「教授の求めている者は、『精霊武具』と呼ばれているものですね。このアトランティスにも極わずかですが伝承が残っています‥‥」
 さすがはバード。
 依頼に関する事の下調べは完璧というところである。
「で、その精霊武具だが、この『知識の兜』もその一つなのか?」
 いままでずっと話を聞いていたレイ・リアンドラ(eb4326)が、そう問い掛ける。
「ええ。正確には、『一つのペンダント』『道標の剣』『守りの楯』『月光鎧』『陽炎の衣』『知識の兜』『清水の靴』と7つの武具が存在するのよ。それらの全てが精霊の加護を受けていて、秘められた力を解放できると‥‥ここまでしか、私でも判っていないのよ」
 ディアッカの説明に、拍手するミハイル教授。
「うーむ。御前さん、ワシの助手をやらぬか? こっちに来てから、有能な助手を探しておったのぢゃ‥‥」
「考えておきます」
 そう流すディアッカ。
「それじゃあ、大体の事は判った。早速ここに潜り込むとするか‥‥」
 そうレイが告げると、誰が入るかという事になったのだが‥‥。



●穴の底から地の果てまで
──洞窟の下
 苔むした岩と枯れ木。
 そして濡れている岩肌と、穴の奥に向かってゆっくりとくだっている洞窟。
「これでよし。それじゅあ、あとは頼む」
 物見昴(eb7871)が縄梯子を洞窟のそこまで降ろすと、シルバーとディアッカの二人がまずは下に降りて安全を確認し、その後一同が降りていった。
 ランタンの灯で周囲を照らすが、どこにも兜は落ちていない。
「‥‥何かいるよ?」
 その洞窟の先をじっと見ていたテュールがそう告げる。
 もっとも、テュールには、その存在が『青白く光っている』ので、明らかにテュールに対して敵対心を持っているのは明らかであった。

──ガササササッ

 奥から姿を表わしたのは、5匹のコボルト。
 異臭を放つ皮鎧を身につけ、鉄の剣を手にしている。
「金属の反射光‥‥いい感じに敵がおでましというところか?」
 スチャッと武器を構える昴。
 その後方では、後衛がミハイル教授に状況を説明していた。
「ミハイル教授、どうやらあのコボルトが兜を‥‥」
 アリアンがそう告げつつ、奥に居るコボルトの被っている兜を指差す。
 そこには、確かに『知識の兜』が乗っかっていた。
「そうと判ったら、取り返すだけだな‥‥」
 スルリと剣を引き抜くウェルナー。
 そしてアリアンとミハイル教授の前にはレイとイコンが回りこみ、後衛防御に入り込む。
「イコン、ここは任せられるか?」
 そう問い掛けるレイに、イコンはオーラシードを発動させてしっかりと肯く。
「なら任せる。多勢に無勢だからな‥‥」
 そしてレイも刀を引抜きウェルナーの横に回りこむ。
 日の光が届かない為、テュールは後方で防衛モード。シルバーは手の中に形成したアイスチャクラを構えて、後方からの援護を開始。

──ヒュンッ!!

 氷の刃がコボルトの肉体を切り裂いていく!!

「‥‥」
 高速詠唱で、ディアッカがコボルトの足をシャドウバインディングで固定。
「そこでじっとしていて下さい。まあ、生まれの不幸でも呪っていてください‥‥」
 そう呟くディアッカ。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」
「ふん‥‥この程度の雑魚が‥‥」
──ドシッ!! ズバァァァァァァァァァァァァッン
 そこに駆けこんできたレイとウェルナーで、コボルトを一体斬りつけた。
 そのまま絶叫を揚げるコボルト。
 残ったコボルト達は、その情況を見て、さらに奥地に逃げていく。
「にがしませんっ!!」
「その通りっ!!」
 すぐさま追撃に入る一行。
『風、疾・・・・風よ、我が動きを疾風と化せ』
──ヒュンッ!!
 疾走術によって、昴はいっきに逃げているコボルトの背後を取る。
「‥‥無事に、逃げおおせると思ったか‥‥不憫な‥‥」
 その素早さ、正に風の如し‥‥。
 忍者等の一撃で、コボルトは体勢を崩し、なんとか振り向いて昴に対して迎撃体勢をとったが‥‥。
「いつまでも、同じ所に居ると思うな‥‥」
 既に後方に下がっている昴。
 まさに一撃離脱の戦法であろう。

 そして30分後には、残った3匹も撃退し、兜を無事に取りかえしていた。

──キィィィィィィィィィィィィン
「セーラよ。彼の者の傷を癒したまえ‥‥」
 アリアンが怪我をしているレイとウェルナーにリカバーを唱える。
 見る見るうちに傷が癒えていくが、どうやらその傷口から何かの毒が入っていったらしい。
 レイとウェルナーの二人の視界が霞んでいく。
「‥‥ああ、傷はなんとか‥‥だが‥‥視界が‥‥」
「毒か。目の前が霞んで見えない‥‥」
 そう告げる二人に、ウェルナーとイコンの二人が、何かを思い出そうとしている。
「えーっと、ほら、この症状は。確か‥‥」
「ええ、そうですよ。きっとそれなんですが、それが‥‥喉まででいるのですが‥‥」
 つまり、よく判っていない。
「‥‥で、この症状がどういうことなのですか?」
 冷たく二人に問い掛けるディアッカ。
「‥‥これはコボルトの持つ武器によく添付されている鉱物毒ですわ」
 アリアンがそう静かに告げ、その後手、コボルトの持ち物から『解毒剤』を探し出したシルバーが、二人に外れを手渡す。
「これを飲めばOK。コボルトは、大体毒と毒消しの二つを持っていことが多いからな‥‥」
 そうつげられて、薬を呑む二人。
 そしてしばらくの間傷と体力が言えるのを待っていた。


──そして
 一行はコボルトを退治したのち、その奥の調査を開始。
 だが、予想外に地下に続いているのと、どうやら『人為的』に作られたものであることが判明。
 時間が無かった為、可能な限りの地図を作成した。
 そして、その奥にあった『封印されし石扉』を確認すると一行は地上に戻り、次の調査の為の準備に入った。

──Fin