【ラン動乱】ザバ分国戦線・九月
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■ショートシナリオ担当：一乃瀬守 対応レベル：8〜14ｌｖ 難易度：難しい 成功報酬：7 G 96 C 参加人数：4人 サポート参加人数：-人 冒険期間：09月21日〜10月02日 リプレイ公開日：2008年09月30日 |
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●オープニング
──現在のできごと「まさか‥‥このような事態になるとは‥‥」
ラン議会は混沌としている。
先日の『エレメンタルブースター』についての論議が行なわれ、議会では一致で『カーガン・カーム』の身柄を拘束、彼の『悪魔の研究』の全てを凍結することとなった。
だが、既にカーガンと彼の側近達の消息は不明、おそらくは側近が持ち出していったであろう『空戦型アザレア』と『エレメンタルバスター』の消息も今だ不明となってしまった。
そこにきて、ザバおよびフォーモリア二つの分国での正体不明国家の進軍が始まり、前線を維持するのが精一杯であった。
２機のアザレアを失った『ラン傭兵騎士団』には、当面のあいだキャペルスが支給される事になり、カーガン工房の残された有志によるバックアップが行なわれる事になった。
当然ながら、有志達には監視が付く事になったが。
●前線
──ザバ分国沖合の島
すでに未確認部隊により橋頭堡が築かれているザバ沖合の島。
フロートシップやゴーレムシップなども偵察部隊によって確認され、さらにはカオスニアンや恐獣までもがあちこちに配備されている。
おそらくは定期的に部隊が派遣されているのであろう。
「報告します。敵ゴーレムの数は確認された数で１０。ストーンが大部分と思われますが推測の域を越えられません」
偵察部隊からの報告を受けたビリー・アンデルス卿は、その話をきいてしばし考える。
「厄介ですね。アザレアがない今、あそこに向かうのはかなり難しいです‥‥まあ、ロータスによる強襲という方法しかありませんが、フォーモリア付近にかなりの敵が展開している以上、ラン傭兵騎士団でどうにかする必要がありますか‥‥」
と告げると、アンデルス卿はいそぎ高速艇ロータスをウィルへと向かわせた。
●高速艇『ロータス』 及び
中型フロートシップ『オーキッド』搭載戦力
・グラシュテ×３（ロータス）
（装備としてロングソード、カイトシールドを搭載）
・鬼殺し１号×３（積載はオーキッド、装備は同上）
・風の精霊砲×１（各艦に１門ずつ船首搭載）
●今回の参加者
ea1643 セシリア・カータ（30歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国）eb4286 鳳 レオン（40歳・♂・天界人・人間・天界（地球））
eb4313 草薙 麟太郎（32歳・♂・天界人・人間・天界（地球））
ec5470 ヴァラス・シャイア（37歳・♂・鎧騎士・パラ・アトランティス）
●リプレイ本文
●不可能を可能にするには──高速艇ロータス・ブリーフィングルーム
「正直、今回は戦力が足りず、敵殲滅は不可能に近い。なら敵フロートシップやゴーレムシップを優先して攻撃してはどうか」
そう後藤艦長に進言しているのは鳳レオン（eb4286）。
確かに、今回のロータスの戦力では、敵を殲滅するにはいたらず、無駄に戦力を消耗するよりはそのほうがいいだろうと判断したらしい。
「なるほど。確かにその意見には一理ありますねぇ‥‥」
「ですが、敵の戦力が集中しているような場所で仕掛けるのはまずいかと思います。今の戦力は、以前のような戦闘はできませんから」
草薙麟太郎（eb4313）もそう進言すると、横に座っていたヴァラス・シャイア（ec5470）も静かに肯く。
「さて。それじゃあどういう作戦で行きましょうかねぇ‥‥」
そう後藤艦長が頭を掻きつつ呟くと、レオンがある作戦を提案してきた‥‥。
●決死の奇襲
──ザバ南方海上
天候は曇り。
作戦開始にはやや危険が伴っているものの、作戦は決行される。
──ヒュンヒュンヒュンヒュン
精霊制御板から精霊力の高まりが聞こえてくる。
やがて、ロータスは静かに浮上を開始すると、静かに低速で海上を移動する。
「目的は敵要塞横・簡易港に接舷しているゴーレムシップ‥‥」
後藤艦長がそう叫ぶと、操舵手が精霊制御球に手をかざす。
やがてロータスの速度があがり、中速で海上を飛ぶ。
「ゴーレム部隊および陸戦部隊に連絡。あと５分で敵船体横に接舷、あとは作戦通りによろしく」
そう風信器から聞こえてくると、麟太郎とれおん、そしてヴァラスの３名はグラシュテに搭乗。
セシリア・カータ（ea1643）も魔法兵団と共に甲板上で待機という形になった。
「まあ、オレが操舵手を務めるより、この船の奴のほうが腕がいいっていうことか‥‥」
そうレオンが制御胞の中で呟く。
やがて全員の風信器に、後藤艦長からの声が届く。
「敵艦接舷まであと１８０。ということでよろしく」
その言葉と同時に、３機のゴーレムは静かに起動、ただしまだ４つんばいの体勢で待機というかたちになった。
──ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
やがてロータスは加速、そのまま一気に敵艦手前で減速を開始すると、ゴーレム部隊は静かに立ち上がり、看板の右端にあつまる。
右舷の精霊制御板から悲鳴にも似た精霊力の音が響く。
そして敵ゴーレムシップの真横ギリギリを抜ける瞬間、３機のゴーレムは一気に敵ゴーレムシップに飛び乗った！！
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
そのままゴーレムシップが左側に傾き、そしておそらくは精霊力の反動によるものであろう、転覆を防ぐかのように船体が元に戻っていった。
だが、それは３機のゴーレムにとっても好都合。
「こちらラン傭兵騎士団。はむかうならば容赦はしない！！」
麟太郎の叫びが制御胞の外に向けられる。
甲板上にいたカオスニアン達はそのまま船から逃亡、残ったわずかのンカオスニアンも無駄な抵抗はみせていたものの、やがて勝てないと判断し逃亡。
そして遠くで反転してきたロータスが素早く敵艦左舷に停泊し、そしてロータスの船員とセシリア達が飛び乗ると、再び全力で船体から離脱していく。
「魔法兵団は私と共に船内に！！ 敵ゴーレムシップを制圧ののち、全力でこのまま逃亡する！！」
そう叫ぶと同時に、いっきに船内に飛込むセシリア達。
すでにカオスニアンの殆どが逃亡した為に、占拠するのはきわめて容易かった。
そして一緒に飛び乗った船員の一人が操舵手を務め、敵ゴーレムシップは徐々に加速を増しつつ港から離れはじめる。
だが、その時点で敵のゴーレムシップに向かって追撃を開始、後方から別のゴーレムシップとゴーレムグライダーが向かってくる。
──ヒュンヒュンッ！！
ゴーレムシップからの大量の矢が振り注ぐ。
「これは不味い！！」
「ええ。ですね」
レオンと麟太郎のグラシュテがゴーレムシップの後方に移動すると、巨大なカイトシールドを構えた！！
──ドゴォォォォォォォォォォォォォォォッ
その瞬間、後方から敵精霊砲が発射される。
初弾は大きく外されてきたが、２撃３撃と続いていくうちに、照準があってくる。
「敵精霊砲のタイプは？」
そう叫ぶセシリアに、魔法兵団の一人が叫ぶ。
「炎の精霊力、おそらくはファイアーボムかと！！」
「カウンター準備。手の空いている水兵は船内に移動、オールの準備！！」
甲板でてきぱきと指示を飛ばすセシリア。
「ええっと‥‥」
その動きに、ヴァラスは動揺するが、すぐさまレオンからの指示が風信器から聞こえてくる。
『ヴァラスは甲板中央に待機、敵が右舷か左舷に展開したとき、そっちの防衛にまわってくれ！！』
『了解』
そう返答を入れると、ヴァラスもまた、カイトシールドを後方に向かって身構えた。
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
そして間もなく、後方から精霊砲が放たれた。
その弾道から察する限り、直撃は真逃れないが‥‥。
「魔法兵団！！」
そうセシリアが叫ぶと同時に、魔法兵団達が一斉に高速詠唱を開始、素早く飛来してくるファイアーボムに向かってウォーターボームを発動した！！
──ドッバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ
海上でそれは直撃し、巨大な爆発の後対消滅する‥‥。
「す、凄い‥‥」
自分で指示を飛ばしていたものの、セシリアは驚いている。
魔法兵団の話では、『対消滅は不可能ではない』とは聞いていたものの、『絶対可能』ともきいていない。
対消滅による余波、それによる被害がどれぐらいなのかまでは計算できなかったのである。
「いけます。その調子で御願いします！！」
そう檄を飛ばすセシリア。
だが、その動きが敵船団にも確認されている以上、同じ手は今度は相手も使ってくるであろう。
「敵よりも一歩進んだ戦術。それで攻めていくとはたいしたものですねぇ」
そう麟太郎がセシリアに叫ぶが、セシリアはそれどころではなかった。
両舷に展開してくる敵船団に対して、魔法兵団を両舷に展開させつつも船体を守らなくてはならなかったから。
「レオンさんは後方に、麟太郎さんは左舷、ヴァラスさんは右舷にまわって防衛を御願いします！！ 魔法兵団は攻勢に切替えてください！！」
そう叫ぶと同時に、両舷に展開した魔法兵団が素早く印を組み韻を紡ぐ。
そして次々とウォーターボムやライトニングサンダーボルトを敵船体、特にその後方で水面下にあるであろう精霊制御板に向けて打ち込んでいた。
●そして
──ザバ分国港町
かなり船体にダメージを受けたものの、搭乗員の被害は０。
魔法兵団の手により追撃の船団にダメージを叩き込み、そのまま逃亡に成功したセシリア達。
途中でロータスとも合流し、さらなる追撃をとも考えたものの、敵ゴーレム船のほとんどは以前のような速度での進軍は当面不可能であろう。
「今しばらくは、両軍共に戦力を蓄える時期でしょうから‥‥」
というビリー・アンデルス卿の連絡を受て、ロータスは１度王都ダーナに移動、そこでさらなる補給と修復を開始。
次の出撃の為の準備に入った。
──Ｆｉｎ
