【生と死の狭間】難破船迎撃命令

■ショートシナリオ


担当:一乃瀬守

対応レベル:8〜14lv

難易度:やや難

成功報酬:6 G 97 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月16日〜11月25日

リプレイ公開日:2007年11月24日

●オープニング

──事件の冒頭
 ザザーーーンザザーーーーン
 海岸線に波飛沫が舞う。
 昨夜の荒れ模様から、其の日は掌を返したかのように快晴。
 波は穏やか、静かな時間。
 そんな海岸に打ち上げられた、一隻の大型船。
 船体は酷く損傷し、大型帆もマストが折れてしまっている為に使用不可能。
 専門のドックでなければ修復はほぼ不可能であろう。
 その浜辺では、船に載っていた者たちが降りてきて、今後について色々と打ち合わせをしている。
「ということだ。この際、ここにたどり着いてしまったことは仕方が無い。納品の時間にもどうやら間に合いそうにもないし、船に積んでいた風信機も完全に割れちまっている。まったく、本国の方も、ゴーレムシップぐらい貸してくれればいいものを‥‥」
 ブツブツとン何かを呟いている商人らしき人物。
「おれ、止めた。嵐の中、船は危険」
「オリバーのせい。嵐の中、強行突破言ったのはオリバー」
 二人のカオスニアンに攻められているのが、商人のオリバーというらしい。
「ええーーい、そんな事は判って居る。そもそも商品である『あいつ』を期限まで捕まえてこれなかったお前たちにも責任はあるだろが。まあいい、とりあえずここを拠点とし、元々の作戦を実行するしかあるまい」
「‥‥わかった。ここ、拠点にする」
「ここきょてん。で、どうする?」
 そう問い掛ける二人のカオスニアン。
 どうやら、なにかひと波乱が起きそうな予感で。


●定時連絡
──ウィル東方・フオロ領とハン国境族の海岸線
「‥‥特に今日も異常なしと。お隣のハンも静かなものだしな」
「ああ、全くだ。このまま海岸線を下って、本陣に戻るとするか‥‥」
 海岸線の上空をホバリングしているゴーレムグライダーにのっている二人の偵察兵が、そう打ち合わせを終えた後、ゆっくりと海岸線を南下しはじめた時。

「おい、難破船だぞ‥‥」
 遠くで座礁している船を発見。
 そのまま上空まで飛んでいった途中で、二人はそのまま一気に加速を開始、本陣に向かった。
「確認したな‥‥あれはまずい」
「カオスニアンが20、あとは‥‥あれは恐獣だな‥‥という事は」
「間違いない、バの手の者がここにもやってきたということだ‥‥」
 
──フオロ分国・空戦騎士団詰め所
 慌ただしい空気が流れている。
 偵察部隊の報告から、どうやら『バの軍勢の先発部隊しき船がフオロ領北東に到着、恐獣の兵団を引き連れて進軍準備をしている』という事が告げられた。

「フロートシップスタンバイオッケイ」
「ゴーレムグライダー搭載完了」
「エレメンタルキャノンのチャージも完了」
 次々と伝えられる報告に、このフロートシップの艦長を務める『アーレン・フィルマー』は静かに肯く。
「陸戦騎士団のバガン搭載は?」
「間もなく完了。フロートシップ『グリフィン』はいつでも出発できます!!」
「よろしい。鎧騎士のスタンバイはどうだ?」
「正規搭乗員が事故の為搭乗不可能。現在、予備兵員から搭乗可能な兵力を送って貰っています」
「うーむ。止むをえんか。ならば、兵員到着後、バガンの搭載を確認したのち、直ちに出発する」
 かくして、ゴーレムと恐獣という戦いが、間もなく始まろうとしていた。

●今回の参加者

 ea1704 ユラヴィカ・クドゥス(35歳・♂・ジプシー・シフール・エジプト)
 ea5597 ディアッカ・ディアボロス(29歳・♂・バード・シフール・ビザンチン帝国)
 eb4181 フレッド・イースタン(28歳・♂・鎧騎士・エルフ・アトランティス)
 eb4213 ライナス・フェンラン(45歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb4288 加藤 瑠璃(33歳・♀・鎧騎士・人間・天界(地球))
 eb4313 草薙 麟太郎(32歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 eb4324 キース・ファラン(37歳・♂・鎧騎士・パラ・アトランティス)
 eb4333 エリーシャ・メロウ(31歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)

●リプレイ本文

●難破船迎撃命令
──フォロ領・フロートシップ駐留所
 実験艦フロートシップ『グリフィン』のブリッジに向かって、エリーシャ・メロウ(eb4333)が歩いている。
──ギィィッ
 静かにドアを開き、艦長席に座っている『アーレン・フィルマー』の元を訪れる。
「報告は受けました‥‥」
 小脇にヘルメットを持ち、軽く敬礼をしてから告げるエリーシャ。
「御苦労。なら話は早いな。恐獣戦闘も予測される展開だ。バガン乗りは恐獣と、ゴーレムグライダー及びチャリオット乗りはカオスニアンの殲滅。それでよいな?」
 そう問い掛けるフィルマー艦長に、エリーシャは一拍おいて返答。
「進言します。まず出発の事前準備として、現地領主に連絡し住民の避難を要請。そしてフロートシップで現場付近に到着次第、グライダーによる徹底した偵察を提案します」
 そのエリーシャの進言に、フィルマー艦長は顎鬚をなでつつ。
「いいだろう。事前準備、領主の件についてはこちらから要請しておく。グライダーによる現地での偵察は、君が中心になってチームを編成、作戦行動として許可する。以後、今回の事件解決まで、戦闘における命令権を君に一任、それでいいな?」
 その言葉に、エリーシャは敬礼。
「了解しました。あと一つ。この船ですが『実験艦』というのはどのような?」
 その問い掛けに、フィルマー艦長は一言。
「様々な局面においての戦闘を想定した実験を行う船、と考えてくれて構わぬよ」

──ブリーフィングルーム
「エリーシャ副長、銀のランスを申請していたのですが」
 そう告げるのは草薙麟太郎(eb4313)。
「申請していたランスの貸与については、ゴーレム工房の方で止められたらしい。理由については判らない」
「‥‥了解」
 落ち込みつつ返事を返す麟太郎。
「各ゴーレムグライダーの風信機の調整は?」
「実験的に搭載し、すでに調整も終えているそうだ」
 キース・ファラン(eb4324)の問い掛けに冷静に告げるエリーシャ。
 グライダーの風信機搭載については、『グリフィン』が初めての全機搭載実験となる。
「ゴーレムの兵装はどのように?」
 それはバガン担当のライナス・フェンラン(eb4213)。
「対恐獣戦においての兵装など前例がない。通常兵装から必要に応じてハルバードに換装」
「はい了解と‥‥」
 そう告げ、ライナスは個室に移動。
 その後、各自とグライダーチームは偵察エリアに付いての打ち合わせを開始、のち少し休息を取った。

●エリア18戦闘前線
──フォロ北東海岸線エリア18
『こちらブリッジ。戦闘エリアに到着、各員作戦行動開始っ!!』
 伝声管からフィルマー艦長の声が響く。
「グライダー1・加藤瑠璃です。感度良好よ」
「グライダー2・草薙麟太郎。感度良好っ!!」
「グライダー3・キース・ファラン。同じく感度良好だ」
 そう風信機に告げる加藤瑠璃(eb4288)と麟太郎、キースの3名。
『バガン1のエリーシャだ。作戦開始、各時の安全を祈る!!』
 そう風信機に叫ぶと、グライダーが次々と空中に浮ぶ。
 そしてゆっくりとバランスを取ると、瞬時に加速し、3機が一斉に空中展開する!!
──キィィィイン
 爆音を上げて加速するグライダー。
 そしてそれを見送った後、ユラヴィカ・クドゥス(ea1704)とディアッカ・ディアボロス(ea5597)の二人も一気に羽根を広げて低空まで滑空。
 そのままグライダーでは侵入できない森の中に飛込む。

「それじゃあ、後程‥‥」
「了解。気を付けてな」
 お互いの安全を告げて、ユラヴィカはまず金貨を取り出し、サンワードを発動。
──キィィィィン
「太陽よ。この近くに存在する『恐獣の位置』を教え賜え」
 その問い掛けに、太陽からの声は『距離2200m、西の方角』と答えを返した。
「了解と‥‥こちらユラヴィカ、敵恐獣の方角は西、距離2200ms推定」
『こちらグリフィン、了解、各機その方角に偵察を‥‥』
 フロートシップを中継しての命令が走り、船も転進。

「こちらディアッカ。現在位置は森の奥、偵察のカオスニアンを2名確認、これより襲撃を開始する」
『了解、他のカオスニアンに感付かれないように頼む』
 そのエリーシャの声を聞くと同時に、ディアッカは近くの茂みに体を潜め、その背後で待機しているグリフォンの『バリオス』『クサントス』にテレパシーで命令を告げる。
「ターゲットはあのカオスニアン、脚止めして、動けなくしてくれ」
 その言葉に、グリフォン達は一気に翼を広げて上昇し、カオスニアン達の上空まで近付くと、急降下し、カオスニアン達を襲う。
──ドカドガドガッ
 そのまま不意を打った2頭のグリフォンは、カオスニアン達を身動き取れない程度にまで叩きのめした。
「そこまでだ」
 2頭のグリフォンの攻撃を制し、ディアッカはグリフォンに運ばせていたロープを使って二人を捕縛。
「こちら偵察のディアッカ。カオスニアン2名を捕縛、至急回収を頼む!!」
『こちらグリフィン。回収了解‥‥』
 そのままフロートシップは二人のカオスニアンを回収、ディアッカは引き続き地上から偵察を兼ねて移動を開始した。

──グライダー1
 海岸線を難破船の打ち上げられた方角に飛ぶ加藤機。
「このあたりには足跡も既に存在せず‥‥」
 ゆっくりと難破船の方に向かい、その場でホバリングをすると、ゆっくりと上空から難破船を見る。
「グライダー1・加藤です。難破船を確認、敵カオスニアンの動きは見えず、引き続き周囲の探索を開始します」
『こちらグリフィン、了解‥‥』
 そう告げられて、グリフィン通信兵はゴーレム待機のエリーシャにその事を告げる。

──グライダー2
 森林エリアを飛んでいるのは麟太郎のグライダー。
「森の中に獣道と‥‥何か大型動物の通ったあとがあるか‥‥」
 それらを確認し、一旦機体を空中停止すると、麟太郎はその跡についてさらに詳しく調査する。
 だが、特に何も感じられない。
「‥‥確かに、何かが‥‥いた!!」
 少し前の木の影で、グライダーを観察しているカオスニアンを確認した廉太郎。
「こちらグライダー2、カオスニアンを確認、これより攻撃を開始します」
『攻撃はちょっと待て、奴等の本営を叩くから、そのまま追跡に入ってくれ』
 バガンの中からエリーシャが告げる。
「了解、追跡に入ります」

──グライダー3
 同じ森林地帯。
 巨大恐獣が鎖に繋がれ、はずれにいる。
 居住地では複数のカオスニアンが、何か細かい打ち合わせをしているようだ。
 それを高々度から確認し、キースは連絡を入れる。
「こちらグライダー3。敵カオスニアン及び恐獣を確認。攻撃命令が出るまで待機」
『了解、こちらもまもなくそちらに向かう。グライダー1と2はグライダー3に合流』
 大きく転進し、『グリフィン』がグライダー3のいた方角に飛ぶ。
 そして飛行高度を森の木々のギリギリにまで近づけると、バガン1とバガン2は大地に向かって降下した!!
──ズッシィィィィィィィィィィィィィィィィン
 激しい音と地鳴りが響く。
 木々が揺れ、鳥達がその衝撃に驚き飛ぶ。
「副長、本当に大丈夫なのか?」
 先にジャンプして着地したエリーシャに、ライナスが問う。
「衝撃はある、少しキツいが、フロートシップが着地する場所はないからな‥‥」
 その言葉に、ライナスもジャンプ。
──ズッシィィィィィィィィィィィィィン
 その衝撃は、確実に敵カオスニアン達にも届いているのは明らかである。
「全速前進。このままオペレーション1から2に移行!!」
『グライダー1了解です』
『グライダー2了解した』
『同じくグライダー3了解。オペレーション2、殲滅作戦に入る』
 走っているバガンの後方から、加藤と草薙のグライダーが飛んできて追い抜く。
 だが、このあたりの森は木々が密集している為、ランスチャージは不可能。
「ターゲット確認‥‥」
 キースがグライダーに装備されている『砲丸投下装置』のレバーを引く!!
──ゴトッ‥‥
 胴体下部の射出孔より真っ直ぐに砲丸が打ち落とされ、逃げていくカオスニアンの頭部に直撃。
 もんどりうってその場に崩れるカオスニアン。
「ふぅ‥‥凄いな‥‥これは」
 上空に飛び上がり、砲丸を補充。
 一発ずつ補充しなくてはならないという欠点はあるものの、まずまずである。

「‥‥その調子です‥‥」
 草薙の眼下では、大勢のカオスニアンがお互いに殺しあいをしている。
 印を組めない為、高速詠唱でカオスニアン達に『敵の幻覚』を見せる。
 そのまま仲間同士の乱戦に持ち込むと、草薙は少し高度を上げて、そのまま上体を確認、数が減ってきた所で、数名を生け捕りにするべく、偽りの死を見せて気絶させた。
「あとは、周囲が収まってからですね‥‥」

「逃がしはしませんっ!!」
 加藤は最前列で逃走しているカオスニアンを発見、そのまま上空からスピアによる攻撃を行なおうとしたが、思うように狙いが定まらない。
「高度をこれ以上低くすると、木々にぶつかる‥‥」
 そのまま何か策を探す加藤。
 そして素早く前に回りこみ、上空でホバリングすると、そのままスピアーをカオスニアンに向かって投げ付けた!!
──シュンッ!!
 その攻撃を躱わすカオスニアンだが。
「甘いですっ」
 機体を楯90度反転し、翼でカオスニアンに一撃を叩き込む。
 そのまま騎手を上に無理矢理向けて、揚力が下がり墜落する前にスロットルを全開にする。
──ドゴォッ
 一気に加速し上空に飛び上がる加藤。
「‥‥こ、この作戦は駄目ね‥‥墜落しそうになるから‥‥」
 それでも耐えぬいたのは凄い。

──一方
 やがてグライダーの視界にカオスニアン達の居住区が確認されると、それぞれが戦闘を開始した!!
「こちら偵察のユラヴィカ。敵カオスニアン4名が後方に撤退ぢゃ、至急追跡を頼むぞ」
 テレスコープで敵の動きを上空から確認するユラヴィカ。
 それを風信機に伝えると、さらにディアッカがそれに反応して2頭のグリフォンでそちらに回る。
「こちら偵察のディアッカ、撤退中のカオスニアンはこちらで対処、残りは任せる!!」
『了解』
 次々と反撃に来るカオスニアン。
 手にした弓で上空を飛ぶグライダーを狙うが、その機動力にうまく狙いを定める事が出来ない。
「随分とデカいな‥‥先制いくぜっ!!」
──キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
 フロートシップ艦首エレメンタルキャノンを操るフレッドが、まずは鎖から解放された恐獣をターゲットロック。
 砲門内部に精霊力が圧縮され、高出力のエネルギーに変換されていく。
 そして
「シューートッ!!」
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォッ
 トリガーを引いた瞬間、エレメンタルキャノンが炎を吐き出す!!
 それは一直線に飛んでいくと、恐獣に直撃した!!
──グゥォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
 のけぞりつつも雄叫びを揚げる恐獣。
 体長12m、体高4mの巨体がうねり、その場で暴れまくる。
「まさか、このウィルでこんな奴と戦う事になるとは‥‥」
「ああ。全くだ。そもそも、このバガンは対恐獣戦を想定しているのか?」
 エリーシャがそう呟き、ライナスがそれに相槌を打つ。
「だが、いつまでもその巨体を好きにさせる訳にはいかないっ!!」
──ドゴッドゴッ!! 
 全速で駆け出すバガン1。
 それの後を追いかけていくバガン2。
 そして、そのバガンの動きを察知したのか、恐獣はバガンを敵と確認し、そのまま全力で走ってくる!!
──ダッダッダッダッ
 そのままいっきにバガンとの間合を詰めると、まずは手近なバガン1・エリーシャ機に対して噛付いてくる!!
──ガギィィィィッ
 その一撃を楯で受け流そうとするが、そのエリーシャの速度よりも恐獣の攻撃が優っていた!!
「何ッ、は、反応が遅いっ!!」
 そう叫ぶエリーシャだが、バガンの反応はほぼ限界に達している。
 巨大な顎によって、バガン1の左肩がかみ砕かれ、いきなり千切れ落ちた!!
「じ、冗談じゃないっ!! この破壊力は何だっ!!」
 一対一を想定して突撃していたエリーシャ。
「止むをえん、援護に入る!!」
 楯を棄て、ロングソードを構えて突入してくるバガン2・ライナス機。
 エリーシャ機が後方に下がり、敵バガンを引き付ける。
 その間にライナス機が側面に回り、一気にカタを付ける。
 そのまま残った腕で楯を構え、恐獣を牽制するエリーシャ。
 その動きに、恐獣も引き付けられ、次々と牙を向いてくる。
 が、今度はエリーシャ機の方が上。
──ズバァァッ
 その最中、ライナス機がロングソードで恐獣を斬りつける!!
──グゥァァッ
 素早く体を捻る恐獣。
 尻尾が振回され、ライナス機がそのまま直撃を受けて吹っ飛ぶ!!
──ドゴォォォォッ
「ライナスっ!!」
 風信機に向かって叫ぶエリーシャ。
『そのまま後方に下がってください!!』
 それはフロートシップからの声。
 上空で、フロートシップの船首が恐獣を捕らえた!!
──ドッゴォッ
 フレッド・イースタン(eb4181)の2撃目。
 それは恐獣を捉え、直撃させた!!
──グウォぉぉオ
 炎に包まれ暴れる恐獣。
 だが、それでも怯むことはない。
 倒れているバガン2を踏みつけ、その頭部に牙を向く!!
──ミシミシ‥‥ゴギッ
 かみ砕かれ、破壊されたバガン2。
──ヒュルル‥‥ドスッ
 フロートシップから落下してきたハルバードを受け取ると、バガン1が腰溜めに力一杯ハルバードを叩き込む!!
──ドガッ!! 
 それは恐獣の胴部に深々と食い込む。
 大量の血が吹き出し、絶叫を揚げる恐獣。
 そのすきにバガン2も立ち上がり、後方に下がってからハルバードを受け取った。
「視界0。有視界に切替えるっ!!」
 ハッチを開放し、そこから外を確認するライナス。
 その後、戦いはさらに激しさを増していった。


●そして
 グライダー隊によるカオスニアンの殲滅。
 偵察による早期発見及び、カオスニアン偵察兵を倒す事による襲撃作戦。
 それらの効果が在ったため、ほぼ作戦は成功した。
 エレメンタルキャノンもチャージされていた弾を総て打ちつくし、さらに2機のバガンの損傷は重度。
 それほどまでに、カオスニアンの強さは異常であった。
 難破船を調べてみても、用意周到、何も証拠は残されていない。
 生き残ったカオスニアンからリシーブメモリーを使って情報を聞き出そうとするが、そのカオスニアンも舌を噛み切って自害。
 なにも判らないまま、全てが終った。
 エリーシャの提案で、唯一の証拠となった難破船を専門家に調査を依頼し、どこの国の流れを組むものか、材質などを調べてもらうこととナった。
 詳しい報告については確定してから後日という事になったが、それでもまったくないよりはましであろう。

 ゆっくりとフォロ領ゴーレム工房に帰投する『グリフィン』。
 そして作戦は終了し、一行は『苦い勝利』を得ることとなった。

──Fin