【大整理】ミハイル研究所再生計画

■ショートシナリオ


担当:一乃瀬守

対応レベル:8〜14lv

難易度:難しい

成功報酬:3 G 32 C

参加人数:6人

サポート参加人数:3人

冒険期間:12月09日〜12月14日

リプレイ公開日:2007年12月13日

●オープニング

──事件の冒頭
 あれはいつのことぢゃったか‥‥
 まだわしが駆け出しの時。
 小さな遺跡を、一人で調査しておった‥‥。
 まだトラップというものをよく知らなかった時代。
 ワシは、落とし穴にはまり、地下階層に叩き落とされていったものぢゃ。
 そこで、左右の天井の穴から、大量の水が祖々がれ、危機一髪ぢゃった‥‥。

 うすれ行く意識の中、懐かしい時代を思い出す。
 人というのは、最後の瞬間には、こうもあっさりとくるのだろうか‥‥。
「‥‥授‥‥ハイ‥‥教授‥‥」
 遠くから、ミハイルを呼ぶ声が聞こえてくる。
(あれは‥‥わしの助手のジョディ‥‥わしは‥‥)
 必死に誰かが、大量の『それ』を除けている。
 いつものように仕事を終えて、ジョディは自宅に帰る所であった。
 だが、ふと胸騒ぎがしたため、慌てて戻ってきたら、研究所は惨劇に包まれていたのである。
「あーーーーーーーーーーっ。邪魔くさいこの発掘物!!」
 そう叫ぶと同時に、ジョディが『ローリンググラビティ』を発動し、大量の遺物に埋まっているミハイル教授を無事に救出。
 そして急いでその場を後にすると、二人は冒険者ギルドに走っていった。

──という事で
「えーっと、今回の依頼内容は『ミハイル研究室の大掃除』ですね。しかし突然どうしたのですか?」
 そう問い掛けている冒険者ギルド総監『カイン・グレイス』。
「い、いや、次の調査に必要な物品を整理していたら、突然崩れてのう。それを押さえようと慌てて走ったら、別のものに引っ掛かって外れが崩れて‥‥」
 ということで、大量の遺物によって支配されているミハイル研究室の大掃除依頼。
 貴方なら受けますか?

●今回の参加者

 ea1704 ユラヴィカ・クドゥス(35歳・♂・ジプシー・シフール・エジプト)
 ea1819 シン・ウィンドフェザー(40歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea3651 シルバー・ストーム(23歳・♂・レンジャー・エルフ・ノルマン王国)
 ea4919 アリアン・アセト(64歳・♀・クレリック・人間・ノルマン王国)
 ea7891 イコン・シュターライゼン(26歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 eb4578 越野 春陽(37歳・♀・ゴーレムニスト・人間・天界(地球))

●サポート参加者

レン・ウィンドフェザー(ea4509)/ 市川 敬輔(eb4271)/ 来栖 健吾(eb5539

●リプレイ本文

●では、早速混沌の海へ
──ミハイル研究所
 静かな朝。
 陽精霊の輝きが周囲に降り注ぐ、そんなのどかな朝。
 通りを走る行商人の声と、子供達の喧騒。
 夜勤を終えた騎士たちが帰路につき、これから任務に赴くのだろう冒険者は冒険者ギルドへと向かう。
 なんて平和な朝なんだろう。
 ユラヴィカ・クドゥス(ea1704)はそう思いつつ、集った移動と共に依頼人であるミハイル研究室に向かう。
「おお。よくきた。では早速頼むぞ」
 研究所の入り口で、ミハイル・ジョーンズは一行を迎え入れる。
 いつもの陽気なくそじじい。
 それが一同の感想だった。
 けれど、これから起こる出来事が、一同のミハイル教授に対しての認識を改めさせるとは、同行記録係の私『ミュラー・ステイメン』も思ってもみなかった。
「あ、ちょっとすいません、記録係さん邪魔です」
 そう告げて、越野春陽(eb4578)が私の前を取っていく。
 そして一人、また一人と室内に入っていった。
 さて、私もそろそろ記録に専念しよう。
 これから起こる狂気の宴を。


●危険度B〜A、所によってSS
──精霊関係倉庫
 大量の石碑と書簡、発掘物に埋もれている第一倉庫。
 そこには、精霊関係の様々な資料が入っていたらしい。
 シルバー・ストーム(ea3651)とユラヴィカは入り口の鍵を開けて室内に入った。
「‥‥シルバー、戻るのでしたら今のうちぢゃな‥‥」
「ええ。ですが、ここで戻ったら私達の負けです。私も冒険者の端くれ、多少のことでは死にはしません!!」
 そう告げると同時に、シルバーが倉庫に『抜刀』して突入。
 その直後、ユラヴィカも後方で印を組み韻を紡ぐ。
「陽精霊よ、その力を我に化し与えたまえ!! サン‥‥レーザァァァァァァァァァァァァァ!!」
──ヂュッ!!
 窓から注ぐ太陽の輝き。
 それを集めて、ユラヴィカが『それ』にむかって サンレーザーを叩き込む!!
──ズバァァァァァッ
 さらに踏込んだシルバーの一撃が、『それ』の凶悪なまでに厚い皮膚をつらぬき、致命的な一撃を叩き込む。
「ふう‥‥あと何体ですか?」
 べっとりと血の付いた剣を振りぬいて血を落とすと、シルバーはユラヴィカにそう問い掛ける。
「わしに向けられている殺気だけでもあと6。行けるか?」
「ああ。こんな所で、こんな状況で、こんな大量の荷物の海で死ぬなんて御免だ!!」
 そう告げると、シルバーは敵の海へと飛込んでいった‥‥。



●危険度S〜C、一部Z
──カオス関連倉庫
 反応はない。
 倉庫の外で、シン・ウィンドフェザー(ea1819)が手にしたヘキサグラムタリスマンをじっと握る。
「そこまでする必要があるのですか? それにタリスマンに反応するカオスって‥‥」
 そう問い掛けるイコン・シュターライゼン(ea7891)に、シンが静かに一言。
「反応する奴がいないという核心はないからな‥‥と、それじゃあ行くとするか。イコン、武器の準備を」
 そう告げて、アルマスを引き抜くシン。
「え? 倉庫の整理でですか?」
「ああ。可能性はな‥‥なにせ、あの爺の事だ、封印しているカオスのなんとかが倉庫で暴れていないとも限らないだろう?」
 ええ。その通り。
 精霊関係倉庫は、いま正にバトルロイヤルです!!
「それじゃあ‥‥」
 そう告げて、イコンはオーラを発動。
 その動きに触発され、無言で武器を構える越野。
 そして三人は扉の向うに飛込んで‥‥。
 
 大量の荷物が雑多に置かれている空間。
 なにがなんだかさっぱり判らず、床に散乱している武器の山と書簡、大量に置いてある石版と粘度版が、その空間ものすごさを歌っている。
「それにしても、古い者から新しいものまで、様々な荷物があるな」
 越野がそう告げつつ、近くの箱を一つ一つチェック。
「まあ、そうだろうな」
「もっと整理整頓のできる助手を探せばいいものを‥‥」
 シンの言葉にそう返答しつつも、越野は荷物を開封、チェック、目録に記入を繰り返す。
「さて、それじゃあ先に、この床のものから片付けるとしますね」
 奥に積まれているものにたどり着く前に、前の荷物を片付けるイコン。
「ああ、そうだな‥‥」
 一つ一つの武器を、ミトンを填めた手に取って調べるイコン。
「これは‥‥封印剣バンデルってかいてありますね」
 剣に付いている札を読み返して、それをシンに手渡す。
 シンはそれを受け取って新しい木箱に入れると、目録を作ってそれを閉じる。
 そんな事を繰り返しつつ、時間はかかるものの、丁寧に作業を開始、続けていた。
「紋章剣『激震』。と、これもそっちですか?」
 柄だけの剣をシンに手渡すと、シンはそれをブゥンと振る。
「ほう。激震か。失われていなかったのか‥‥」
 と告げてから、コマンドワードを唱える。
──ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
 柄からオーラの輝きを発した刀身が生まれる。
「へぇ。それも魔法武具なんですね。こっちの『一角獣』もそうですか?」
「ああ。取扱には細心の注意をな‥‥」
 そのまま別の箱に紋章剣を修めると、また別の作業を開始した。



●危険度E〜X
──ノルマン土産倉庫
「それにしても、随分と大量の荷物ですわね‥‥」
 そう呟きつつ、アリアン・アセト(ea4919)は荷物を一つ一つ調べていく。
 積まれている荷物の殆どに『送り主:パリ・ミハイル研究室』と記されている事から、一方通行ではあるが連絡が取れているようである。
 もっとも、こちらからは一切連絡できない為、シャーリィも一か八かで荷物を送っているようではある。
「封が空いているワイン樽が三つ、適度に醸されている保存食と‥‥」
 どう考えても危険なものを、アリアンは一つ一つ選り分ける。
 もっとも、その殆どが『廃棄処分』と記されている箱に放り込まれているのは、さすがアリアンであろう。
「まあ、ノルマンからの荷物ですから、呪われている物品などはないと思いますけれど‥‥」
 そう告げつつ、幾つかの荷物を確認したとき、ふととある長い木箱に手が止まる。
 そしてアリアンは直感した。
 これは、危険であると。
「恐らくはカオス関係の荷物が混ざっているのでしょうね‥‥どれどれ」
 そのまま木箱を手に、隣のカオス倉庫に移動。
「シンさん、この荷物、こちらに紛れていましたわ」
「ああ。済まない。そこに置いておいてくれ。そっちの調子はどうだ?」
 そう問い掛けるシンに、アリアンは一言。
「パリの思い出が色々とありまして、愉しいですわ」
 とにこにこと告げる。
「こっちはそれ所じゃないっ‥‥」
「荷物大杉‥‥」
 いや、大杉いうなやイコン。
 

●そして最終日
──精霊関連倉庫
 漆黒のそいつは、高速で倉庫を徘徊、追い付くのがやっとであった。
「仕掛ける場所は‥‥この先の5連続カーブ!!」
 低空飛行で敵を追いかけるユラヴィカ。
 そのまま一気にカーブを曲がった先で、敵を追い抜いて一撃を叩き込むと、次の獲物をマーク!!
「いまだっ!!」
 シルバーも横から回りこみ、会心の一撃を叩き込む!!
──ズバァァァァッ
 血飛沫? を上げて絶命する『そいつ』。
 これなんて頭文字G?
 そんなこんなで、最終日まで戦いつづけたシルバーとユラヴィカであったとさ。

──ノルマン土産関係
 綺麗に整理された倉庫で、のんびりと過去の記録に目を通しているアリアン。
「あら、こんなことまで‥‥懐かしいですわ」
 思いは遠く、ノルマンの地。
 今、別れた仲間たちはがんばっているのだろうか。
 そんな思いに身を馳せつつ、アリアンはのんびりとティータイム。

──カオス関連倉庫
 ガキィィィィン
 激しい剣戟が鳴り響く。
「いやだにゃ☆ あたちはもっとあそぶにゃ☆」
 漆黒の派手な衣裳に身を包み、頭にはネコミミをつけたイコンが、桃色の闘気を発している武器を手に越野と戦ってている。
 早朝一番、イコンは手にした武具に呪われた。
 精神を支配されてしまい、素早く『呪いのビスチェ』を装備。
 そのまま笑いつつ剣を振回す様は、見ていて痛々しい。
「は、恥ずかしい。同性として、見ていてはずかしいわ‥‥」
 そう告げつつ、越野は必死に応戦。
 だが、その異常なまでに高められた能力で、越野でさえ追込まれている。
「上等だっ!!」
 素早く紋章剣を構えて応戦に入るシン。
 なお、この激しい騒動は、イコンの鎧と剣を破壊しするまで続いたそうで。
 

──そんなこんなで・研究所居間
「おお、終ったかそうか‥‥」
 ニコニコと笑いつつティータイムの準備をシているミハイル。
「ええ。ですが教授、あんな奴等が住み着いているなんて、聞いていませんでしたよ‥‥」
 シルバーがげっそりとした表情でそう呟く。
「うむ。全くぢゃ。なんとか荷物は整理したが、それよりも戦っている時間のほうが長かったぞ」
 ユラヴィカもそう告げつつ、ハーブティーを呑む。
「敵? 何か出たのですか?」
 そう問い掛ける越野に、二人は同時に。
『いや‥‥思い出したくない‥‥』
 と一言。
「そうだじいさん、紋章剣、必要なときに借りにきていいか?」
 そうシンが問い掛けると、ミハイルは一言。
「うむ。いつでも来い‥‥ワシのいるときのみ」
 と告げる。
 そしてイコンはというと。
 窓のそとをじっと眺めている。
「旅に出たい‥‥誰も、ボクの事をしらない場所に‥‥」
 ああ、そんなに恥ずかしかったのね。
 大丈夫。
 みんなの記憶にはしっかりと残っているからね。

──Fin