【ラン遠征】対バ包囲網・ランサイド

■ショートシナリオ


担当:一乃瀬守

対応レベル:8〜14lv

難易度:やや難

成功報酬:9 G 96 C

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月29日〜03月15日

リプレイ公開日:2008年03月09日

●オープニング

──事件の冒頭
 まもなく3月。
 華の都ランでは、3月に始まる陽光の恵みを祝う『陽霊祭』の準備がちゃくちゃくと行なわれていた。
 陽精霊を象ったランタンが町のあちこちに掲げられる為、街のなかではその準備や大きな飾りなどを作っている。
 だが、そんな光景を横目に、王都ダーナにあるラン王城では、いま正に緊急会議が開かれていた。
 ラン国王コンラート・ダーナが病に倒れ、国政は全て『元老院』によって維持・運営されている。
 病の原因・治療方法は全て不明。
 最初はたんなる熱病かと思われていたが、つい先日、議会のさ中に倒れ、そのまま意識が戻らない。
 そして、まことしやかに流れている噂が一つ。

 国王暗殺のために、東方のある国の暗殺者がラン国内に侵入している。

 それが真実かは定かではない。
 だが、現実に国王が倒れている。
 そして新たに報告された案件に、議会は困惑している。
「フォーモリア分国東方の海上に、所属不明の船団が確認されました」
 その報告を受けた騎士団は、急遽その船団の調査の為に空戦騎士団の手配を掛けた。
 だが、それと同じタイミングで、ラン南方のザバ分国が、カオスニアンと所属不明の傭兵騎士団に襲撃を受け、そちらの鎮圧に動かなくてはならなくなってしまった。
「‥‥ウィルに援軍を求めてはいかがでしょうか‥‥」
 五賢老の一人、アンデルス卿がそう提案する。
 その意見に対しての異論はなく、『ラン親善傭兵団』を迎え入れ、さらに別に援軍を要請するという事で議会は終った。
 ラン屈指の騎士団はダーナの護り、そしてザバ分国とダーナ領の中間の森に進出している所属不明の敵の鎮圧に向かう。
 その為、ウィル援軍とラン親善傭兵団は、フォーモリア東方海域での所属不明船団の長さに向かう事となった。



●高速艇『ロータス』搭載戦力
・ゴーレムグライダー ×4
・アザレア      ×2
 (アザレア装備としてロングソード、ハルバード、カイトシールドあり)
・艦首精霊砲『雷撃』

●今回の参加者

 ea0760 ケンイチ・ヤマモト(36歳・♂・バード・人間・イギリス王国)
 ea3866 七刻 双武(65歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 eb4313 草薙 麟太郎(32歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 eb4333 エリーシャ・メロウ(31歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb4412 華岡 紅子(31歳・♀・天界人・人間・天界(地球))

●リプレイ本文

●所属不明船団
──ラン王都・ダーナ・フロートシップ停泊場
 それは壮観な風景。
 ラン空戦騎士団所属フロートシップ『オルテンシア』と高速艇『ロータス』、そしてその横にはウィル所属フロートシップ・特務艦『グリフィン』が停泊している。
 その近くにある建物では、現在確認されている所属不明艦隊の動きについて、空戦騎士団のもたらしたデータを元に色々と打ち合わせが行なわれていた。
「グリフィンとしては、敵艦隊の所属を確認し、それが敵対国家であるならば、その場にて駆逐する方向性で考えている」
 そう告げるのは、グリフィン艦長のアーレン・フィルマー艦長。
「それについては、私も同意見ですはい。まあ、今回は殲滅というよりは調査目的。その方向性でいきましょうや」
 と告げるのは、高速艇ロータス艦長である『後藤喜市』。天界人でロータス艦長まで上り詰めたベテランである。
「うーむ。しかし、敵対国家という可能性も考慮すれば、悪の芽は早く積んでしまうのが得策かと」
「様子を見てからという事で。それとも、グリフィン自慢のイーグルドラグーンに実戦経験を積ませたいとでも?」
 と告げる後藤艦長に、アィルマー艦長は言葉を失う。
「では、よろしく御願いします‥‥」
 ということで、作戦内容は決定した。

──その頃のロータス外
 ズラリと並んだアザレアが5機。
 その中の2機の肩には、空戦騎士団の紋章が刻まれている。
 そして残りの3機には、ロータスの記章が刻まれていた。
「ついにロータスに3機もアザレアが‥‥」
 そう呟きつつ、目の前のアザレアをじっと見つめているエリーシャ・メロウ(eb4333)。
「今回の任務では、アザレア搭乗は副隊長と僕しかいませんよ」
 と、横で告げている草薙麟太郎(eb4313)。
「ああ、残りの一機は実験機です。ロータスには今回も乗せませんよ‥‥」
 と、通りすがりに呟くカーガン・ゴーレム工房長。
「実験? まだこの機体はつよくなるのですか?」
 そう問い掛けるエリーシャに、カーガンは一言。
「まだまだ弱いですよ。この程度ではどうしようもありません‥‥まあ、今回の任務、アザレアメンテナンスでうちのプラウドを同乗させますのでヨロシク。ではそういうことで‥‥」
 と告げて、その場を立ちさって行く。
「今のはカーガン工房長? 何かあったのですか?」
 と、カーガンと入れ違いにやってきた華岡紅子(eb4412)。
 その後ろにはケンイチ・ヤマモト(ea0760)と七刻双武(ea3866)の姿もある。
「いえ、特になにもないですね。それよりもそろそろ出発ですね?」
 とエリーシャが告げると、全員がロータスに搭乗。出発までの待機モードに入った。



●所属不明船団
──エリアE12S18
 グリフィンと共にダーナを出発したロータス。
 順調に航路を進み、フォーモリア分国に到着。
 そこからさらに空戦騎士団の確認していたポイントまで移動を開始。
 その夜には、大体のポイントまでたどり着く。
 夜も深く、其の日の偵察などは危険な為、翌朝日が昇ってからの調査開始ということになった‥‥。

──そして翌朝
「とりあえず拙者たちは、敵所属不明船団が確認されるまでは甲板待機ぢゃな?」
 そう船員に問い掛ける双武に、甲板上の船員は静かに肯く。
「グライダーには乗れないのですか?」
 と問い掛けられるが、それには横からケンイチが話し掛ける。
「私達はゴーレムには乗れません。けれど、魔法や格闘などで戦うことができます。役割分担ということになりますね?」
 と告げる。
 これには船員も納得がいったらしく、そのまま肯いて持ち場に戻っていった。

「偵察にいくのなら、私も後ろに乗せてくれませんか?」
 とグライダー乗りに話し掛けているのは紅子。
 だが、それにはやんわりと断わられてしまう。
「偵察任務には起動性能も必要です。が、二人乗りになると、どうしてもそれは失われてしまいますので‥‥」
 と告げるグライダー乗りに、紅子は外を飛んでいるゴーレムグライダーを指差す。
「あれ、早いですよね?」
 その指先では、グリフィンより飛び出した攻撃機『天雷』『震電』『秋水』が飛び出し、ランのグライダーを颯爽と追い抜いている。
「ウィルのグリフィンは特務艦で実験艦。あそこのゴーレム機器は特別なんです!!」
 と告げられる。
 まあ止むを得ず、紅子は後藤艦長の元に向かい、精霊砲の射手としての待機命令を受けてきた。
「ゴーレム機器は扱えるから、精霊砲も問題なし。まあ、いいんでない?」 
 という後藤艦長。本当に日和見ですこと。

──その頃のアザレア
 甲板に下半身を格納し、上半身は甲板に設置されているグリップを掴むという独特の膠着スタイルを持つアザレア。
 その横では、携帯型風信器で随時情報を確認しているエリーシャと麟太郎の姿があった。
 第一次偵察から戻った二人は、そのままアザレア横で待機モードの模様。
『ザーーーッ‥‥こちらウィザード1。所属不明の艦隊確認』
『こちら秋水、同じく確認。タイプは小型帆船3、ガレー船2、それを牽引しているゴーレムシップ2‥‥乗員については、まだ肉眼では確認できず。現在移動はしていない模様‥‥』
 その報告を受けて、エリーシャと麟太郎の二人はアザレアに飛び乗る。
「今、お前に命を吹き込んでやる‥‥」
 麟太郎はそう告げると、起動制御球に手をかざす。
『アクセプト!!(同調開始)』」
 二人の叫びと同時に、アザレアが静かに起動する。
 すかさず背部のムーバルスラスターを展開し、風の精霊力を吹き出しつつ飛び上がるエリーシャのアザレア1に対して、麟太郎のアザレア2は、ゆっくりとスラスターを展開、静かに飛び上がる。
「どうした麟太郎?」
「ま、まだうまく同調していない‥‥いや‥‥大丈夫です」
 そう告げて、二つのアザレアは真っ直ぐに正体不明の船団に近づいていった。

『‥‥不明船団の後方に、魚竜の姿確認‥‥』
 その一報がグリフィンより送られる。
 と同時に、グリフィンよりイーグルドラグーンが出撃、敵船団の上空にまわりこむ。
 そしてその横で、グライターパイロットが個艦隊先頭の帆船に向かって移動し、上空より叫ぶ。

「こちらウィル空戦騎士団所属特務艦グリフィン‥‥。この海域はラン国海域であり、通行するならば許可を求めるか、それが出来ないならば立ち入り調査を行う」
 その声は甲板に居た船員の耳にも届いたらしい。
 そして通信兵が甲板に出てくると、携帯型風信器らしきもので、ウィルのグライダーに合図を送ってくる。
 その通信は、アザレアに搭載されている風信器からも聞こえてきた。

「作戦の関係上所属を明かすこと叶わず。なお、今回の侵攻はラン進軍ではなく、セトタ進軍にともなう移動上の事故である。現在、船の補修作業の為停泊、明日早朝、修復が完了した時点でラン海域より離脱するものである」

「‥‥了解した。だが、それらについての判断は本国が行う。我々は、今の言葉を上層部に報告する。それまでの時間はあたえる‥‥以上だ」
 エリーシャがそう告げると、そのままアザレアで後方に下がるように各機体に伝達。
 そして一旦全機が後方に下がっていった。


●艦長判断
──グリフィン・ブリーフィングルーム
 そこには操舵手などを除く全員が待機している。
 今現在、所属不明の船団が停泊している件で、ここからでは本国の騎士団に連絡を取る事が出来ない。
 そのため、現場にて判断を行う必要が有った。
「セトタ侵攻というのであれば、すなわちウィルの敵。この場で処分してしまうのが得策かと」
 と告げるフィルマー艦長。
「まあ、ランにとっては危害はないし。あれがバの船団ならば敵と判断し、即時攻撃も可能ですけれど‥‥どう思います、みなさん」
 と、その場のメンバーに問い掛ける後藤艦長。
「バの船団ならは攻撃対象でしょうけれど、その確認が出来ない以上はどうにも‥‥」
 とケンイチが告げる。
「看板から見た限りでは、どうも船体修理は本当のようぢゃな。密かに海に潜って何かを企てているような気配もない。が、その動き自体が囮という事も考えられる」
 と告げるのは双武。
「明らかに敵対しそうな雰囲気ですね。後方を追従している魚竜がバのものであることを告げているような感じがしますし‥‥」
 エリーシャの言葉にも一理ある。
「恐獣使いとすると、バではなくカオスニアンという考えもあります。ですが、カオスニアンがゴーレム機器を持っている筈もなく。とすると、やはりバの進軍と考えたほうが」
 麟太郎の言葉に一同肯く。
「なにかこう、確定要素がないと動くのは危険ね‥‥」
 紅子の言葉もまた然り。
「敵の進軍方向がセトタである以上、私達ウィルの敵。ならば、ここでその芽を積んでしまうのが‥‥」
 グリフィンの搭乗員がそう告げると、それに続いてグリフィンサイドの意見が出はじめる。
「彼女の意見と同じだ。『ラン親善傭兵団』にも登録している身だが、現在の立場はウィルの鎧騎士、本国を護るのは騎士の義務だ」
「まあ、この映像を見てくれ‥‥」
 とグリフィン搭乗員の一人がデジカメのモニターを見せる。
 それには、上空から撮影した所属不明船団の姿が写されている。
 それも拡大してあり、カオスニアン以外の船員の姿も写されていた。
「‥‥他国の服装などは解らないけれど、どうみても普通の船員よね‥‥」
 と告げている横では、今回だけグリフィンに『特別搭乗許可』を貰った、メイからやってきた騎士がじっとそれを見ている。
「この部分なんだが‥‥」
 と告げるメイの鎧騎士。
 その指し示されているのは修復中のガレー船。
 その上に幌を被っている部分があり、そこから見える金属部分に、一同の目が注がれた。
「これがなにか?」
 と問い掛けるエリーシャに、メイの鎧騎士は一言告げる。
「俺の昔いた『オルボート城塞』での戦いで見た奴だ。バのストーンゴーレム・バグナ。その肩当て部分だな‥‥」
 その言葉で全て決定された。
 そして各員が持ち場に付くと一斉に作戦は開始された。



●そして戦い‥‥
──エリアE12S18
「こちらラン親善傭兵団。貴公らがバの艦隊であることは確認された。これより実力にて排除させて貰う!!」
 エリーシャの叫びが風信器に伝えられる。
 それと同時に、グリフィンより出撃したイーグルドラグーンもまた、風信器に向かって叫んだ!!
「こちらウィル空戦騎士団所属・特務艦グリフィン。貴殿らを『セトタの敵』と判断し、実力をもって排除させてもらう!!」
 と告げられた。
 事実上の宣戦布告である。
 それと同時に、バの艦隊も覆いや幌をとりはらい、精霊砲などが次々と姿を現わした。
 そしてカオスニアン達も手に武器や弓を取り、臨戦態勢に入った。
 海上では魚竜がジャンプし、アザレアやドラグーンが低空で近寄ってくるのをじっと待っていた。
──ドゴォォォォォッ
 一気に低空飛行に切替えると、エリーシャと麟太郎のアザレアが、手にしたハルバードで魚竜に向かって一撃を叩き込む。
「手応えあり‥‥引き続き二撃目っ!!」
「申し訳ないけれど、このまま潰します‥‥」
 素早く深海へと潜っていく魚竜。
 だが、そのままアザレアは海面に意識を集中し、魚竜の姿を追い続けていた。

──その頃の武道家
「甲板ギリギリで速度を落とします。あとはお任せしました!!」
「応、まかせるのぢゃ」
 とグライダーの上で叫んでいるのはケンイチと双武。
 そのままガレー船に超接近すると、双武はガレー船に飛び下りた。
──ドガガガガッ!!
 そして素早く体勢を整えると、駆けつけてきたカオスニアン二人をまずは殴り飛ばす。
「ふぉっふぉっ。命知らずだけ掛かってきなさい。こちらも全力でいかせて貰うぞ」
 と叫ぶ。
 
──その頃のロータス
 右前方デッキの一つ下の階層。
 そこの扉を開くと、精霊砲が姿を表わす。
 過去の戦いを踏まえ。両舷下部に設置された精霊砲は、船体下部に対しての射撃を可能とした。
「ターゲット捕捉‥‥」
 静かに精霊砲の制御球に手をかざす紅子。
 視認での精霊砲射撃、それも試射はなく、実戦での射撃。
「よく狙ってください。この精霊砲は下部に設置する為に軽量化されていますから、封じられている『ファイアーボム』のチャージ数もそれほど多くありません‥‥」
 ゴーレムニストの言葉に耳を傾けつつも、紅子は横に置いてある伝声管に向かって叫ぶ。
「角度調整、そのまま右舷を敵の船体に並行させて頂戴!!」
──ゴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
 紅子の叫びに操舵手が反応する。
 そして紅子が敵帆船を取りえた瞬間!!
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォオツ
 激しい火球が精霊砲より射出される。
 それはマストに直撃し、そのまま帆に飛び火した‥‥。
「続いて第二射!!」
 そう叫びつつ、次の目標を探す紅子であった。

──1刻後
 敵艦隊は次々と海の中へと沈んでいく。
 アザレアとドラグーンの連携、グリフィンとロータスの水面ギリギリでの精霊砲の一斉砲撃と、攻める側に有利な戦いであった。
 パの艦隊も海上での『ゴーレム戦』など想定している筈もなく、魚竜の脅威をアザレアが排除したあとは、ただひたすら破壊の限りを尽くしていた。
 ゴーレムシップは1隻を拿捕、それには抵抗をあきらめたカオスニアンが搭乗。
 そのままフォーモリアの港まで牽引し、カオスニアン達は捕虜となった‥‥。
 作戦は完了し、一行はそれぞれウィルへと帰還する。
 
 バの軍勢がセトタにまで侵食を開始。
 その証拠と鳴るであろうバの騎士たちはみな海に飛込んだりその命を散らせてしまった。
 カオスニアンからの事情聴取はランの海戦騎士団の仕事となり、詳しい報告を一行は本国で待つだけとなった‥‥。
 
──Fin