いかだレース2ND〜林檎杯争奪筏レース〜
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■ショートシナリオ
担当:戌丸連也
対応レベル:1〜3lv
難易度:やや難
成功報酬:5
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:11月01日〜11月06日
リプレイ公開日:2004年11月09日
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●オープニング
収穫祈願祭の‥‥‥‥日の河原で。
「参加者が集まらないのでレース中止。よって夜の宴会も無し!」
「NOOOOOOOOO!!」
エントリーを見て、慟哭する村長と村人達。
アップルパイは冷たく冷え、シードルの泡は消えて、とぼとぼと家路に帰るコトに。
いやいやいやいや、中止になんかさせまへん!
と、言う訳で!!
いよいよ寒くなってきましたが、川の水は冷たくなってきましたが、ええいんなものかまうも物かと言う者達は是非!
林檎祭りのメインイベント、いかだレースが参加者が定員に達しなかった為、中止‥‥‥‥との話が出たのですが、村人一同楽しみにしていたレースです。中止する訳には参りません!
と、いうことで今回は1人、または2人どちらでも参加可能と致します。
賞金はレースですから、優勝者には賞金1Gが! そして、一番面白いいかだを作ったチームにも称号を贈らせて頂きます。ただし、優勝者が両賞を独占した場合、称号を一つに当方特産の干し林檎を贈らせていただきます。
実りの季節の当村一大イベントを貴方の力で盛り上げてみませんか?
参 加 者 大 募 集!!
いかだの材料は当方で準備させていただきますが、終了時にいかだとして返却していただきます。もし、レース中に壊れたとしても何も徴収する事はありません。
村にある物でしたら出来る限りで協力をさせていただきますが、もしそれが無かった場合には代用品を準備させていただきます。
さあ、勝利のゴールを駆け抜けて栄光のシードルをスプラッシュさせてみませんか?
●コース・ルール説明
レースコースとなる川はなかなか色々な表情を見せる川です。
レース序盤は川幅が狭く、二艘並んで航行できるかどうかといったところです。スタートダッシュによってこの時点での順位は動かしがたくなるでしょう。
中盤に差し掛かると流れは急激に速くなり、瀬が続きます。この場所では注意深く行動しなければ転覆または筏の損壊が予想されます。
浅い部分が増えますが、川幅は4艘並んでも大丈夫なほどです。
終盤は一転して水深も深く流れもゆったりとし、川幅も急激に広くなります。正にラストスパート! 直線一気です。こぎきりましょう。
当レースはあくまでお祭りのレースなので、乗員に対する攻撃を禁止します。
ただし、筏に対する攻撃はアリ、周りの環境に対する攻撃等もアリです。ここでも出来る限り乗員の死傷は避けるようにしてください。
あまり悪質な物は失格対象となります。
パートナーは全員が指名し、それぞれがエントリーシートに書く物とします。
二人で組んだ方が推進力は増すでしょうし、漕ぐスピードも早くなります‥‥‥‥半面小回りはききません。
どちらを選ぶかは皆さん次第というコトで、良いレースを!!
●リプレイ本文
●レーススタートッッ!!
華やかに太鼓が打ち鳴らされる中、進む5人の勇者たち!
延期になったフラストレーションはすべてこの瞬間に弾けようとしていた。
今年も無事開催筏レース!!
紆余曲折はありましたが‥‥‥‥すでにシードルで出来上がっちゃってる村人たちにはもう関係無いのやもしれない。
「Aコース! 当レース男性人気既にヒートアップ!! 野郎ども、喉枯れるまで応援しやがれ! ケイティ・アザリス(ea1877)嬢〜!! Bコース! その白いかぶり物は気合の証拠か! 突っ走れカモメの乗り手!! セドリック・ナルセス(ea5278)!! Cコース! ちょっとまってくれ。兄弟だが兄妹だかしらんけども、シフール初・参・戦! レースの台風の目となれるか、フェザー・フォーリング(ea6900)&レイニー・フォーリング(ea6902)! そしてDコースはケンブリッジの学生君の挑戦だ! 名門の意地を見せてくれ、バルタザール・アルビレオ(ea7218)!!」
既に水面にある四艘の筏達。
フォルムはとりあえず置いて、一列に並ぶ選手の間に飛び散る火花。
「お〜早そうな筏ですねぇ〜恰好も良いから飾り付ければ、外見でも結構良い所行くんじゃないですか?」
シフール兄弟の兄、フェザーがBコースのカモメ野郎(?)セドリックにそう話し掛けるが、対するセドリックはかぶり物の奥でかすかに笑みを浮かべるのみだった。
「がんばりまぁす、よろしくねっ♪」
いや、ちょっと待ってくれケイティよ。そんなキャラじゃなかったような気がするんだが、とまあいいや、なんか知らないけど女の格好をしているシフールのレイニーをバルタザールは不思議そうな顔で見ていた。
「そんな服だと、濡れたら大変じゃないですか?」
どう見ても女物の、しかも結構高そうな服を着ている少年? 少女? を見てそう声をかけるが、秀麗な顔をしたシフールは曖昧な表情で笑みを浮かべると、兄をジロリと睨みつけた。
「こいつがこんなんじゃなかったら‥‥‥‥」
よく分からないがどうやら弟らしい。世の中って広いなあと思いつつ、バルタザールは気を取り直して前を見据えた。
そして。
「さあさあさあ! 来ましたレースの始まりだ! みんな準備はいいな。GO FIGHT!」
各筏を係留していたロープをが断ち切られ、流れにのって筏がゆっくりと動き始めた。
次の瞬間一斉にオールを動かして、にわかに川面はにぎやかになった。
そんな中、まず猛然と飛び出したのはアヒルちゃん(はぁと)!
カモメとアヒルのペア‥‥‥‥いやいや、アヒルの船首像をつけた筏に乗っているカモメのセドリック! 追撃するのはバルタザール、僅差でケイティそしてシフール兄弟と言う順番だ。
序盤での先頭争いはどうやらこんなもののようだが‥‥‥‥。
「きゃんっ。つめたあっ。胸に水かかったあ!」
観客の中に彼女の友人でもいれば頭痛を禁じえないのだろうが。ケイティはこんな寒空ではあるのだが、比較的露出のある服を着用しているようで。まだ流れも急でもないために筏の操作に集中することもなく‥‥‥‥すぐ前を行くバルタザールの耳にその声はいやでも入って来る訳で。
だが、そんな純朴な若者なバルタザールの筏を捕らえる速い流れ。
オール操作にすべての神経を集中するセドリック。危ういながらも何とか形になっているその捌きだが、続くバルタザールもケイティも普段オールなんか持つ機会は早々無い!
「う、うわ‥‥‥‥早い!!」
「きゃあああっ!」
そんな二艘に後ろから忍び寄る影。そう、シフール兄弟だ!
「二人で一くくりにしないで下さいっ! 私の名前はフェザー、そして妹の名前」
「一くくりよりもまず、俺を妹と紹介するなあっ!」
トップのセドリックが最初からあんなに飛ばすのは計算外だったが、この瀬の部分こそ、フェザーが狙っていた、その部分だった。
相当な急流である以上、そう簡単に突破できないだろう。で、あるなら、シフールの飛行能力と積載量が少ない=軽量な筏の特性を生かしてショートカットしてしまえばいい、と。
無論、非力なシフールが二人集まっても然程持てる訳ではないが、流れの具合によって筏がはねる瞬間、同時に飛べば‥‥‥‥!!
「いけーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
混乱するバルタザールとケイティを尻目に、ついに二位に踊り出るシフール兄弟! そして、その視界にセドリックのカモメが見えてくる!
二人のシフールの筏は漕ぐのではなくて飛びながら前方引っ張る後方押すなタイプだ‥‥‥‥が、何せ軽いのが欠点だ。波の影響をどうしても受け、瀬で飛んだりしたので体力の消耗が著しい。
そんな二人の後ろではバルタザールがまず、態勢を整え、すぐ後にケイティも何とかまっすぐに船首を向ける。
「あーん、もう、びしょびしょだよおっ」
「だ、だいじょうぶですか!!」
「ありがとう、優しいんだね。キミの名前アルビレオ、だっけ?」
飛沫に濡れた髪を掻き揚げながらにっこりと笑うケイティ。冷たい水に晒されて薄紅色に染まった肌が妙に色っぽくて‥‥‥‥いいかげん透けるような服ではない訳だが、何か照れを感じてしまうバルタザールくん14歳なのでした。
さて、そんな中でひたすら先頭を走るセドリック。
ラストの直線も近いところで、観客の数もぽつりぽつりと増えてきた。
「このまま、いけるといいですが‥‥‥‥いやいや、ジャパン人の諺の中にも勝って褌の尾を締めよという言葉もありますし。油断大敵、褌締めなおしてがんばりましょう!」
一応、風紀の問題もあるので褌一丁というわけにも行かないセドリックだったが、締めた褌の締まり具合を確認しつつ、手にしたオールに力を込めた。
●GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOL!!
そして、流れはゆっくりとなり。
川幅は広くなり、水底のでどんどん深さを増していく。
ゴールはもう、目前!!
先頭にいるのはやはり、セドリック。そして、その後を追撃してきたのは‥‥‥‥なんと、バルタザール!!
その猛追撃の秘密は必殺の(殺さないけど)フレイムエリベイションだった。
「明日の筋肉痛カマーン! 優勝はーーーっ貰いましたあっっ〜!!」
「若い奴に負けてたまるかっ!」
パラだけに、見た目はかぶり物をした美少年なセドリックだったが、実はこの面子の中では一番年長だったりする。
そして、最年少のバルタザール。
その前に、優勝争いを演じていたシフール兄弟は、ややペースを落としていた。
巧みに瀬を乗り切った二人だったが、セドリックの先行作戦にペースを乱されたか、そして決定的な部分はやはりいかだが軽量で波の影響をもろにかぶってしまったところであった。
「兄の為に力強く筏を押す妹、すばらしいですね‥‥‥‥さあ、ゴールまであと少し‥‥‥‥最後まで全力で獲りに行きましょう」
「今更言われなくても力一杯優勝狙いだっ! それからつべこべ訳判らん事言ってんじゃねえ! 俺は男だぁああぁっ!!」
フェザーの言にそう答えるレイニー。
さあ、さあさあ、さあ!
猛然とゴールを狙う三艘‥‥‥‥だったが、スタミナと状況による疲労のフェザー&レイニー号。前半を快調に飛ばしたが、思ったより急な瀬だったため、休息より寧ろ疲労が出てしまったところに誤算が生じたセドリック。
そして、必殺のフレイムエリベイションで、ついにセドリックを捕らえるバルタザール。
「このまま優勝‥‥‥‥あ、あれ‥‥‥‥もしかして、切れ、た?」
「呪文に頼るだけが全てではないって事です!」
そういって遅れるバルタザールの筏を置いていくアヒルちゃん、ではなくてセドリック。しかし、その斜め前方に生えていた木が、光とともに弾けた!
「この勝負、貰ったっ!!」
猫かぶって完全に脚を‥‥‥‥ではなく、体力を完全に温存していたケイティだった。しかも、目の前に来そうな障害物にサンレーザーをぶちかますと言うオマケつきである。
そろそろ冬も近いイギリスの木は程よく乾燥していて、ぷすぷすと煙を発してセドリックのカモメちゃんにON!
‥‥‥‥しそうになるが、かろうじてそれをオールで払いのけるセドリック。
「このっ‥‥‥‥行儀が悪いですよ!」
「行儀より、大事な物もあるわ。ぼ・う・や♪」
そう言ってウィンクとともに抜き去るケイティ‥‥‥‥その行く手にはGOOL!
大歓声が、ケイティを。そして、セドリックを。フェザーとレイニー、へろへろのバルタザールを包み込んだのだった。
●シードルスプラッシュ!!
三段に整えられた石の頂上にケイティ。そして、二段目にセドリック。三段目にフェザーとレイニー。今回は残念ながら、バルタザールは第四位入賞と言う事で地面であった。
冷たく凍えた参加者の前には赤々と焚き火が燃やされていた。事前にセドリックが連絡していた要請に答えた物だった。
実は、表彰石の上に乗ってないバルタザールが一番この焚き火の恩恵を受けていた。
「あったか、です♪」
とは言っても結構でかい焚き火なので、寒い、というわけでもなく、粛々と表彰式は進んでいく。
そして。
「さあ、称えてくれ! 村の大切な大切な祭りに集った勇者達を! そして、このレース優勝の栄冠に輝いたケイティ・アザレス嬢、そして‥‥‥‥彼女を守るナイト達を!」
「は?」
ちょっと予想外な台詞だったので、ぽかんとした表情で一同は村人たちを見る‥‥‥‥と、村人おのおの何か陶製の瓶を持っているではないか。
「ばんざーーーーーーーい!」
満面の笑みの村人たちの手から同時に放たれるシードルスプラッシュが一同に襲い掛かって。ドライであるから、意外にべたべたしない、とかそういう問題ではない訳なのだが。
「な、なんなのーーーー!! もう、貸しなさい、あんたらにもかけてやるわっっ!!」
「妹には手を出さないでください! かわいい妹にーー!」
「だから違うって言ってるんだろーがよ!!」
「お酒は飲めませんから! かけるだけって、それもいやですーーーっ!!」
「お疲れ‥‥‥‥どころじゃない、な‥‥‥‥こりゃ」
実は林檎祭りの締めくくりは、シードルかけ祭りでございまして。
有名人は、格好の標的だったのでございました。