●リプレイ本文
晴れた日の朝、何処にでもあるような村。
その入り口に冒険者達の姿があった。
冒険者達は早速、依頼人の村長の家の前まで来た。ドアをノックすると中から村長が出てきた。
「おお、よくおいでくださいました。ささ、中へどうぞ」
村長は冒険者達の姿を見ると安堵の笑みを浮かべ家の中に招き入れた。
居間に通されすすめられた椅子に座るとオリバー・ハンセン(ea5868)が質問する。
「早速だが、その問題のオークが出る場所を詳しく教えてもらえるか?」
「はい、場所は依頼したとおり村と村の間で、だいたいこの村から道沿いで歩いて一日くらいの距離です。片側に森、もう片側には川が流れているのはお聞きのとおりです。川は川幅はありますが深いところでも腰ぐらいまでしかないですが、森は結構深く奥のほうは暗くて見えません」
「大体でも、オークの縄張りは分かるでござるか?」
山岡忠信(ea9436)が続けて質問する。
「縄張りですか‥‥襲われた場所は毎回ほぼ同じようなのでその周辺ではないかと思います」
「不要な荷物を預かっといてもらえるか?」
村長が質問に答え終わるとカルブアラクラブ・ラサラス(ea8532)が許可を求める。
「ええ、いいですよ」
村長の許可をもらうと冒険者達は出発の準備を始めた。
準備が終わり冒険者達が出発しようとすると村長が家の奥から何かを持ってきた。
「これは、襲われた行商人達が用意してくれた二日分の保存食です。現場と村の往復時に食べてくれとのことです。では、どうかよろしくお願いします」
村長はそう言うと保存食を冒険者達に渡し、出発する冒険者達を見送った。
目的の場所までオークの襲撃を警戒しつつ戦士系の者達が交代で一行の前後両端を挟んで移動していく。
日が暮れ始め辺りが暗くなってきた頃、冒険者達は野宿の準備を始めた。
「罠の四方に目印として木の枝を刺しておく。注意してくれ」
アルヴィン・アトウッド(ea5541)が罠を仕掛けた場所の目印を仲間達に告げる。
冒険者達は前後衛の連携を練習しつつ、戦闘時の作戦の入念な打ち合わせを行いその日の夜は更けていった。
次の日、朝早くから移動を開始し目的地を目指していた。
「川の水は冷たいな、まあこの時期なら当たり前か。道幅は思っていたより広いな」
目的地が近づいてくるとハイラーン・アズリード(ea8397)が川に手を入れながら確認する。
「これなら戦いやすいな」
秋静蕾(ea9982)がハイラーンの言葉をうけ呟く。
ハイラーン、カルブアラクラブ、忠信の三人が囮として弱いふりをしつつ歩いていく。
アルヴィンは、三人が囮として歩いていくのを見ながらライトニングトラップを唱え、数箇所に仕掛け目印の木の枝を刺していく。
しばらく囮の三人が歩いていると森の奥の方からガサッっと音がしたかと思うと、二つの黒い影が三人の前に飛び出してきた。
飛び出してきた黒い影、オークは戦槌を振り上げながら襲い掛かってきた。
ハイラーンとカルブアラクラブ、忠信が振り下ろされた戦槌をかわしながら斬りつける。
「‥‥退くぞ!」
一、二合剣を交えた後、カルブアラクラブがそう叫び三人が逃げ始めると二匹のオークは調子に乗って追いかけてきた。
囮の三人が待っていた仲間達の下につき、うまく目印を頼りにライトニングトラップをかわし向き直る。
オーク二匹はそのまま突っ込んでくる。後2mという所まで迫ってきたところで地面から電気が二匹のオークの体を走りぬける。
ハイラーンはオリバーにバーニングソードをかけてもらうと、オークに斬りつけ、静蕾がいつの間にかそのオークの背後にまわりこみ、二刀流で素早く切り裂く。
オークが後ろに向かい戦槌を振り回すがそこには静蕾の姿はない。
するとオリバーが唱えていたファイヤーボムの呪文が完成する。その手のひらから放たれた炎の玉がオークの後方に飛んでいきそこで爆発しオークを巻き込む。
ハイラーンが吹き飛ばされ起き上がったオークにすかさず斬りつけると、静蕾がダガーを投げつけ、それを追うように接近する。
「これでも食らいな!」
静蕾が蛇毒手を腹部に決めるとオークはそのまま崩れ落ちた。
同じ頃、もう一匹のオークに忠信が二連撃を食らわせ、横からカルブアラクラブが斬りつける。
「空の牙を食らえ!」
忠信の背後からアルヴィンのウインドスラッシュが飛んできてオークの体を大きく切り裂く。
オークは忠信めがけて戦槌を振り下ろすが左手に持つダガーによって受け流され、逆に日本刀で斬りつけられる。
カルブアラクラブが忠信の逆側から渾身の力で斬りつけると、オークはどうに致命傷を負いそのまま動かなくなった。
アルヴィンがもう一匹の方を見てみると、静蕾が、オークの亡骸からダガーを抜いているところだった。
「怪物とはいえ躯をうち捨てるのも哀れ。せめて埋葬してやるでござる」
戦闘が終了した後、忠信がオークの亡骸を見ながらいい、穴を掘り始めた。
仲間達もそれを手伝い、埋葬し終わると村へと戻っていった。
道中、野宿をし村に着くと早速村長の家へ向かう冒険者達。
ドアをノックするとすぐに村長が出てきた。
「おお、良くぞ戻られました。それでどうでしたか?」
「ちゃんと退治していた。もう安心だ」
カルブアラクラブがそう言うと村長は手をとり何度も礼を言った。
「ありがとうございます。これで旅人や行商人達が襲われることもないでしょう。本当にありがとうございます。ささ、お疲れでしょうから我が家で休んでいってください」
村長はそう言うと冒険者達を家の中へと招き入れ、冒険者達もその好意に甘えその日はゆっくりと休んだ。
翌日、村長に見送られ帰っていく冒険者達の姿があった。