●リプレイ本文
●村、情報収集
のどかな何処にでもあるような村。
その入り口に冒険者達の姿はあった。
「まずは、村人から情報を集めましょうか」
フレア・レミクリス(ea4989)がそう言って村の中へと入って行くと仲間達も続いて中へと入っていった。
村のほぼ中央にある村長の家の前にたどり着くとアレクサンドル・リュース(eb1600)がノックする。
「はい、どちらさまでしょうか?」
すぐに中から壮年の男が出てきた。
「村長か? 俺達は依頼を受けた冒険者だ。若者の居場所について見当がついてると聞いたのだが、詳細を教えてもらえるか?」
「ああ、よくおいでくださいました。私が村長です。ささ、中へどうぞ」
アレクサンドルが用件を伝えると村長は冒険者達を中へ招き入れた。
「早速だが、若者がいそうな場所を教えてもらえるか?」
雷電月光(ea5511)は勧められた椅子に座ると話を切り出した。
「わかりました。‥‥‥‥森の北西にある川、北の洞窟、東にある沼のどれかにいると思います。距離的には大差ありません」
村長は、村の周囲の地形を思い出しながらそう答える。月光はテーブルの上に広げた羊皮紙に、高級羽根ペンで村長が話す村の周囲の大まかな地形を書き込み、簡単な地図を作る。
「あと、聞きたいのですがゴブリンやコボルトの集っている所などは、分かりますでしょうか?」
「う〜ん、詳しい場所などは分かりませんが森の北側や沼の周辺で見かけたと聞いてます」
フレアが聞くと少し考え込みつつ村長は答えた。
冒険者達は村長から情報を得ると礼を言い村長の家を出た。
「では、三つに分かれて探すとするかのう」
ヴィクトリア・フォン(eb1055)が家を出たところでそう提案すると冒険者達は探す場所を分担し森に向かい村を出っていった。
●北の洞窟
月光と李白虎(ea5582)の二人は森の北側にある洞窟付近を捜していた。
「雷電殿、後は洞窟の中だけであろう。さ、向かおうか」
白虎は月光に声をかけると洞窟の中へと二人で入っていく。
洞窟の中はかなり広く、人が四人並んでも歩けるくらいの幅がある。しばらく進むと人影が見えた。
駆け寄ろうとする白虎を手で制し、月光は武器を構えた。
「ゴブリンだ。‥‥参る!」
暗闇に浮かび上がるその影は二匹のゴブリンだった。
月光はまだ態勢の整っていないゴブリンに斬りかかる。
慌てて攻撃を防ごうとするゴブリン。しかし月光の一撃の方が速く、なすすべもなく切り捨てられた。
仲間がやられたことでもう一匹が月光に殴りかかろうとするが、白虎が横から殴り、続けて蹴り飛ばし壁に激突し動かなくなる。
二匹を倒した二人だったが洞窟の奥から多数の足音が近づいて来るのに気付くと洞窟から脱出した。
●東の沼
東にある沼に向かうルーン・クラリス(ea7784)達三人。
呼びかけながら若者を探しているとやがて沼にたどりついた。
「ここだな。ここを中心に探そう」
レインフォルス・フォルナード(ea7641)は言うと周りの草をかきわけつつ探し始めた。
「‥‥ん? 何かいます!」
探し始めて小一時間経った頃、ルーンが森の奥の草むらがガサッっと揺れたのを見た。
それは身構える三人にだんだん近づいてやがてその姿を現した。
姿を現したのは二匹のコボルトだった。そのまま襲い掛かってくるコボルト。
レインフォルスは咄嗟にミドルシールドをかざし攻撃を受け止める。
もう一匹のコバルトがフレアに斬りかかるがサッと飛びのきその攻撃をかわし、すかさず薙刀による反撃で倒した。
レインフォルスは自分に斬りかかってきたコボルトをルーンにバーニングソードをかけてもらったロングソードで上段から振り下ろし絶命させた。
コボルトを倒した三人は一息つくとまた捜索を再開した。
●北西の川
川に着いたアレクサンドル達三人は早速、若者を探し始めた。
川とその周りは1〜2mほど森より低くなっていた。
しばらく探しているとアデライーラ・ウォレス(eb1404)が森との境目に人影があるのを発見した。
人影はやはり行方不明になっていた若者だった。近づいてみると木の枝が雨露を防ぐように出ていた。
「大丈夫かの」
ヴィクトリアが声をかけると若者は憔悴しているようだがそれでもはっきりと返事をする。
「ええ、なんとか。ところで貴方達は?」
「俺達はお前を探しに来たものだ」
アレクサンドルがそう言うと安心したのか若者の顔がほころぶ。
「そうですか。ありがとうございます」
「それにしても、山菜採りで迷うなんて何やってんだか。死んでからじゃ後悔もできないわよ?」
アデライーラが眉をしかめながら言うと若者は落ち込んでしまった。
「そのくらいでいいじゃろう。さて、歩けるかの?」
ヴィクトリアが聞くと若者は首を横に振る。どうやらそこまでの元気はないようだ。
それを聞くとアレクサンドルは若者に寝袋に入ってもらうと担いで森の入り口に戻っていった。
●村へ帰還
辺りは日が暮れてだんだん暗くなってきていた。
アレクサンドルが若者を担いで森の入り口に戻ると他の仲間達が戻ってきていた。
冒険者達は若者が無事見つかったことに安堵しつつ、日が完全に暮れる前に村へと戻っていった。
村に着くと若者の家に若者を寝かせると冒険者達は村長の家に向かった。
「おお、どうでしたか? 無事見つかりましたか?」
村長は冒険者達の顔を見るなり聞いてきた。
「ええ、無事見つかりました。今はご自宅の方で眠ってます」
「おお、それは良かった。ありがとうございます。ささ、お疲れでしょう、たいしたおもてなしもできませんがどうぞ」
フレアが報告すると満面の笑みを浮かべながら頭を下げ、冒険者達を家の中へと招きいれた。
出された料理を食べているときに白虎が洞窟にゴブリンの巣のようなものがあったこと、それを皆で潰したいことを仲間達に伝えると皆も賛同する。
「こちらとしてもありがたいです。では、今夜はゆっくりと休んでください」
村長はそのことを聞くと礼をいい、冒険者達に寝床を提供するのだった。
●殲滅
翌朝、北の洞窟付近まで来た冒険者達。
近くの草むらに身を潜めつつ洞窟の様子を窺ってみると入り口に二匹のゴブリンが居た。
月光とアレクサンドルの二人が二匹へ奇襲を仕掛ける。
突然のことに声を上げることさえできずに絶命する二匹。
そのまま洞窟内へと突入し、身を潜めていた仲間達とも二人に続く。
洞窟の奥にたどりつくとそこには10匹のゴブリンがいた。
冒険者達の姿にゴブリンたちは敵意を剥き出しに襲い掛かってきた。
「この薙刀にかけて遅れはとりません」
フレアは襲い掛かってきた一匹のゴブリンを斬り捨てつつ言い、次の敵へと向かっていく。
白虎は、ゴブリン二匹の攻撃をさばいていた。
攻撃をかわされ泳いだゴブリンのその体に膝蹴りをいれ、よろけた所で肘を振り下ろすと白虎の相手は一匹になっていた。
アデライーラのホイップに打たれ、怯んだゴブリンにレインフォルスの一撃が決まり崩れ落ちる。
ゴブリンの一撃をかわすと月光の右の拳が炸裂し、続けて頭に蹴りをいれ吹き飛ばすとゴブリンは動かなくなった。
アレクサンドルがゴブリンを斬り捨て周りを見ると立っているのは仲間達だけになっていた。
もうゴブリンがいないことを確認すると冒険者達は洞窟をあとにした。