森の恐怖
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■ショートシナリオ
担当:神楽
対応レベル:1〜3lv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:6人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月19日〜09月24日
リプレイ公開日:2004年09月27日
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●オープニング
冒険者ギルドにやってきたのは顔色の少し悪い初老の男だった。
「どうも、はじめまして」
男はそう言うと深々と頭を下げた。
「皆さんにお願いがあります。ゴブリンを退治してください」
いきなり説明もなく用件を言う男。
詳しく話を聞いてみると男は近くの村の村長で、村の近くの森にゴブリンが棲みついたらしい。
森に山菜を採りに入った村の若者が襲われ、なんとか村に帰ってきたが重傷を負って家から一歩も出れない生活らしい。
若者が襲われたのはゴブリンの数は六匹。その中に一匹他と比べて大柄で体格のいいゴブリンがいたという。おそらくボブゴブリンが一匹混じっているということだろう。
「森で採れる山菜は村の大事な食料なんです。それに村の子供達の遊び場でもあるんで森に行かないよう言ってありますが、いつ村を抜け出し森に入っていってしまうか心配でなりません」
村の食料も少なくなり、子供達もいつも遊んでいた場所に行けず寂しい思いをしている。このままではどうしようもないと思い、こうして依頼しに来たとのこと。
「おそらく、襲われた場所の近くの洞窟に棲みついたんだと思います。洞窟までは私が案内します。どうか、退治してください」
村長はそう言うとまた深々と頭を下げた。
●リプレイ本文
まるで危険なんてない穏やかなに見える森。だが、ここには確かに村人が危険な目にあい、恐れるモノがあるのだ。
「さて、作戦通り草を刈りながら行こう」
辻篆(ea6829)が皆に向かってそう言うと周りに生えてる雑草を黙々と刈り取り始め、他の冒険者達も続いて刈り始めたが、
「手が汚れちゃうじゃない。土いじりはお任せするわ」
そうアンジェラ・シルバースノー(ea2810)は言うと、一人草を刈らずに森を興味深げに観察していた。
タイタス・アローン(ea2220)は、刈り取った草を束ねて自分と篆の二人の馬に括り付けていく。洞窟に着くころには干草になっているはずだ。
「もう、この位刈れば十分でしょう」
十分な量の草を馬に括り付けるとタイタスが満足そうに言い皆に声をかけると、冒険者達は草を刈る手を止め道案内役の村長と洞窟への移動を再開した。
洞窟までもう少しというところで、一旦止まり永倉平太郎(ea6957)がブレスセンサーでゴブリンの動きを探る。
「1匹‥‥2匹‥‥出てきました。洞窟の入り口付近と思われる場所で止まってます。見張りか何かでしょう」
皆に振り返りつつ平太郎が言うと、冒険者達は頷きあい洞窟の入り口の見えるところまで移動し様子を窺ってみることにした。
洞窟の入り口から少し離れた場所で様子を窺ってみると二匹のゴブリンが入り口の前にいる。
ここまでに刈っておいた草がちょうどいい具合に干草になっていることを確認し馬から下ろし、村長には礼を言い危険なので村に戻るように言う。
用意が済み、村長の後姿が見えなくなるとタイタスが入り口に向かってショートボウを構え、アンジェラとカーク・ウィリアム(ea1049)が魔法の詠唱に入る。
二人が詠唱している間にタイタスが矢を三発放つ。詠唱が終わったアンジェラがアイスブリザードを放ち、続いてカークがウインドスラッシュを放つ。
ゴブリン二匹に矢と氷の吹雪、真空の刃が襲いかかる。二匹のうち冒険者に背を向けていたゴブリンは完全に不意をつかれその場で倒れ伏した。もう一匹は全身傷だらけで恐怖の声を上げながらも洞窟内に逃げていった。
「フフフ‥‥今倒されるのと後で倒されるの、どちらがいいのかしらね」
アンジェラは髪を掻き上げながらその顔に微笑を浮かべ呟いた。
入り口付近から敵がいなくなった。篆と平太郎は干草に火をつけると次々、洞窟の奥に投げ込んでいく。そこにアンジェラが燃え易いよう油をかける。
徐々に火が大きくなり、煙が洞窟の奥まで流れていく。
しばらくして冒険者達がそれぞれ戦闘にそなえ入り口の前で待機していると、洞窟の奥から複数の足音が近づいてくる。
「さあ、楽しませてくれよ‥‥ゴブリンちゃん」
カークは、いつでも魔法の詠唱に入れるように身構えながら自分を奮い立たせるように呟いた。
やがて煙にゴブリン達が燻し出されその姿が見えた。
相手が混乱しているうちに矢を三発放つタイタス。一発は避けられたが先ほど逃げ込んだゴブリンに二発命中し、息の根を止める。
ゴブリン達はいきなり現れた冒険者に戸惑っていたが仲間が倒されたのを見て襲い掛かってきた。
「来い! お前の相手は私がしよう!」
平太郎はそう叫ぶとゴブリンに向かい日本刀を振り下ろす。袈裟懸けに斬られ体勢が崩れたところにカークのウインドスラッシュが命中し息絶える。平太郎は次の敵に向かう。
「自分も負けてられんな」
篆は仲間の戦いを見て呟くと、敵を誘うように敵の側面へと回り込みダブルアタックでゴブリンをなぎ倒す。そこに駆けつけてきた平太郎がスマッシュで止めを刺す。二人は一瞬目を合わせるとそれぞれ次の敵へと駆けていった。
ショートボウからクルスソードに持ち替えゴブリンに向かうタイタス。裂帛の気合と共に正面から打ち下ろす。その衝撃でよろけたところを横から駆けてきた篆がシュライクで斬り裂く。
あっという間に仲間を倒されたホブゴブリンは怒りの雄叫びを上げながらタイタスに向かい斧を振りかぶり襲い掛かってくる。
「クッ」
タイタスはその振り下ろされた斧をなんとか避けるが体勢を崩してしまう。もう一度振り下ろそうとするホブゴブリン。だが、その顔面にカークの放ったウインドスラッシュが命中し怯んだ。続いて側面から篆がダブルアタックで斬り付ける。
「これで最後です!」
逆方向から平太郎が突き刺した。
ホブゴブリンはその一撃で力尽き、その場に崩れ落ちた。
「ありがとう、助かりました。ちょっと油断してしまいました」
三人に苦笑しつつ礼を言い頭を下げる。
「礼はいいよ、当たり前の事しただけだから」
カークがそういうと、後の二人も頷く。
「これで終わりか?」
篆は日本刀に付いた血を払いながら周りを見渡す。
「そうみたいね。多分これで大丈夫だと思うけど念のため、ね」
武器を持っていないため戦闘を見学していたアンジェラはそう言うと洞窟の入り口まで歩いていき、奥に向かってアイスブリザードを放ち、洞窟が凍っていく。
少しはなれたところで様子を見るためしばらく待機していたが変化はない。
「終わりみたいだ」
カークが呟いたのを合図に皆は緊張をとき、村に報告に行く。
「これで少しは俺の名前も広まるといいね」
有名になった自分を想像しながら笑顔で歩くカーク。
「ふぅ‥‥今回はあまり私の綺麗な氷晶を見せることができなくて残念だったわ」
アンジェラは少し残念そうにでも依頼がこなせたことの嬉しさを感じながら呟く。
そんな二人の様子を興味深そうに見ている平太郎。
「何か面白いことでもあるのか?」
近くにいた篆が平太郎が何か面白いことでも見つけたのかと聞く。
「人を観察するのは面白いですよ」
微笑を浮かべながら答える平太郎。そんな平太郎によく分からないといったふうに首をかしげながら歩く篆。
村が見えてきた。村の入り口で誰かが待っている。
「おお、皆さんご無事でしたか。それでどうでしたか?」
近づいてみるとそれは村長だった。
無事、ゴブリンを退治したことを伝えると村長と近くで聞いていた村人達は大喜び。
「ありがとうございました。これで安心できます」
深々と頭を下げた村長。その顔には笑みが広がっていた。
こうして、村に平和を取り戻し今回の依頼は無事成功に終わったのだった