【ケンブリッジ奪還】町を救うために

■ショートシナリオ


担当:神楽

対応レベル:1〜3lv

難易度:普通

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月20日〜09月25日

リプレイ公開日:2004年09月30日

●オープニング

「なに? モンスターがケンブリッジに!?」
 円卓を囲むアーサー王は、騎士からの報告に瞳を研ぎ澄ませた。突然の事態に言葉を呑み込んだままの王に、円卓の騎士は、それぞれに口を開く。
「ケンブリッジといえば、学問を広げている町ですな」
「しかし、魔法も騎士道も学んでいる筈だ。何ゆえモンスターの侵入を許したのか?」
「まだ実戦を経験していない者達だ。怖気づいたのだろう」
「しかも、多くの若者がモンスターの襲来に統率が取れるとは思えんな」
「何という事だ! 今月の下旬には学園祭が開催される予定だというのにッ!!」
「ではモンスター討伐に行きますかな? アーサー王」
「それはどうかのぅ?」
 円卓の騎士が一斉に腰を上げようとした時。室内に飛び込んで来たのは、老人のような口調であるが、鈴を転がしたような少女の声だ。聞き覚えのある声に、アーサーと円卓の騎士は視線を流す。視界に映ったのは、白の装束を身に纏った、金髪の少女であった。細い華奢な手には、杖が携われている。どこか神秘的な雰囲気を若さの中に漂わしていた。
「何か考えがあるのか?」
「騎士団が動くのは好ましくないじゃろう? キャメロットの民に不安を抱かせるし‥‥もし、これが陽動だったとしたらどうじゃ?」
「では、どうしろと?」
 彼女はアーサーの父、ウーゼル・ペンドラゴン時代から相談役として度々助言と共に導いて来たのである。若き王も例外ではない。彼は少女に縋るような視線を向けた。
「冒険者に依頼を出すのじゃ。ギルドに一斉に依頼を出し、彼等に任せるのじゃよ♪ さすれば、騎士団は不意の事態に対処できよう」
 こうして冒険者ギルドに依頼が公開された――――

「んで、お前らにやってもらうのはケンブリッジの町に徘徊してるモンスターの討伐だ」
 冒険者ギルドの親父は依頼書を差し出しながら言う。
「町外れをお前らにはやってもらう。おそらく、かなりの数のモンスターが町の中を徘徊しているだろう。油断しないようにしろよ」
 話を聞いて急いで向かおうとする冒険者達。しかしそれを止める親父。
 冒険者達はなぜ止めるんだという目で親父を睨むが、親父は話を続ける。
「まあ、最後まで話を聞け。ここから徒歩で向かうのは時間がかかりすぎる。緊急事態ということで馬車が貸し出されるそうだからそれで行け」
 親父が馬車を貸し出している場所を告げると急いでそこに向かう冒険者達。
 親父はそれを見送るとまた仕事に戻った。

●今回の参加者

 ea4295 アラン・ハリファックス(40歳・♂・侍・人間・神聖ローマ帝国)
 ea5575 梁 暁黒(34歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea6592 アミィ・エル(63歳・♀・ジプシー・エルフ・ビザンチン帝国)
 ea6686 鳳 蘭花(28歳・♀・武道家・エルフ・華仙教大国)
 ea6900 フェザー・フォーリング(26歳・♂・ウィザード・シフール・イギリス王国)
 ea6902 レイニー・フォーリング(26歳・♂・ウィザード・シフール・イギリス王国)

●リプレイ本文

 ケンブリッジの町へ向かう馬車。冒険者達は、はやる気持ちを抑えながら乗っている。
 鳳蘭花(ea6686)は今回が初めての実戦。緊張しつつ準備をしている。
「おっほっほ、わたくしがいれば問題ないですわ」
 高笑いしながらアミィ・エル(ea6592)が言う。
 その言葉を聞き緊張が解けていく冒険者達。自然と冒険者の顔には自身が満ち溢れてくる。
 そうしているうちに馬車が止まりケンブリッジの町に着いた。
「いいか皆、最初から一気に畳み掛けてワンサイドゲームにするぞ! 後で美味い酒飲ませてやるからな、死ぬなよ! いくぜ!!」
 アラン・ハリファックス(ea4295)が皆を見渡しながら言い、馬車から一番に飛び出していく。
 馬車から降りるとコボルト達の姿が見える。冒険者達は全員で町の入り口の前まで走る。皆が走る中、フェザー・フォーリング(ea6900)がライトニングトラップを道の途中に仕掛け、その場所を皆に伝える。
 冒険者達が町の入り口に着き、そこを防衛ラインとし敵を待ち受ける。
「ここより後ろに行かせはしない!」
 コボルトのいる方を見ながらアランは自分に言い聞かせるかのように叫んだ。
「詐欺師の名に掛けて、コボルトを騙して参りますわ、おっほっほ!」
 アミィが笑いながら囮になるため梁暁黒(ea5575)と共にコボルトのいる方に駆け出す。
 四匹のコボルトが二人の前に現れた。
「おっほっほ! わたくしを捕まえることができるのなら、捕まえてごらんなさい!」
 馬鹿にしたようにコボルトに向かって言うアミィ。言葉は分からなくても馬鹿にされたことは分かるのか一斉に襲い掛かってくる。
「こっちだよ、こっち!」
 暁黒も挑発しつつ、冒険者達の待っている所まで誘導する。
 冒険者達の前で一匹のコボルトがその場所に足を踏み入れると突然コボルトの体を電気が走る。
「いっけぇ〜」
 蘭花が電気を受け動きの止まったコボルトにオーラショットを放つ。
 レイニー・フォーリング(ea6902)が上空からライトニングサンダーボルトを放ち、止めを刺す。
「じゃかあしいんだよお前ら! 雑魚は雑魚らしくオネンネしてろ!!」
 コボルト二匹が襲って来るのをかわしながら叫ぶアラン。
 アランはラージハンマーの柄にロープを結んだものを振り回す。
 一匹がその一撃を喰らい体勢を崩す。体勢が崩れたところを側面から暁黒の拳が炸裂し吹き飛ばす。
「まだまだ、これからだよ」
 続けてもう一匹に蹴りを入れながら言う暁黒。
「あたしだってぇ、がんばりますよぅ〜」
 蘭花はその拳と足にオーラパワーを使い、残った一匹に連続攻撃をする。
 そのとき上空でフェザーがブレスセンサーを使う。すると新たに二匹近づいてくるのが分かる。
「ちぃっ、次から次と!」
 それを聞いたアランが目の前の一匹を蹴りで薙ぎ倒しながら鬱陶しそうに吐き捨てる。
「逃がさないよ」
 暁黒の前から逃げようとした一匹に追いつき背後から三連続で攻撃し息の根を止め、その懐から解毒剤を奪う。
「これは貰っておくよ」
「は〜い、終わりぃ」
 蘭花がコボルト蹴り飛ばしながら言う。
 レイニーが新たに姿を現した二匹にライトニングサンダーボルトを放つ。
 アランはレイニーの魔法が放たれるとコボルトに向かい走り出しライトニングサンダーボルトが命中した一匹に蹴りを入れる。
 もう一匹は蘭花がオーラを溜めた拳で殴り体勢を崩し、暁黒の三連続攻撃を決める。
「これで最後だ!」
 アランはそう叫ぶとラージハンマーによる重い一撃でコボルトを弾き飛ばし止めを刺す。
「この付近にもう敵はいないのかな?」
 暁黒が聞くとフェザーがブレスセンサーを使う。少なくとも効果範囲内には敵の反応は無いようだ。
「これでぇ、終わりでしょぉ」
 蘭花が笑顔でそう言うと冒険者達は緊張を解いた。
 町の中を覗くと住民が家の戸から不安そうにこちらを窺っている。
「安心なさいませ、わたくし達がコボルトを殲滅いたしましたわ。今、ケンブリッジは大変なことになっておりますが、冒険者に任せておけば安心ですわ。おっほっほ!」
 アミィは自信満々に仲間達の方を示しながら住民にそう話す。
 その言葉を聞いて安心したのかぎこちないながらも笑顔を浮かべ家の中に入っていった。
「しかし、何故こんなに発生したんだろうねぇ。何かの前触れじゃなきゃいいけど」
 暁黒が腕を組み考え込みながら呟く。その顔には少しの不安が浮かんでいた。
「まあ、先のことなんて分からないだろう。それより全員無事だったんだ。約束通り美味い酒飲ませてやるよ」
 そう皆に向かい笑いながら言うと馬車に向かい歩き出すアラン。その後にフェザーとレイニーが続く。
 暁黒も考えるのをやめ後を追う。蘭花は安心し笑顔を浮かべ、アミィは高笑いをしつつ馬車に向かう。
 ケンブリッジの町から遠ざかっていく冒険者達の乗った馬車。
 この付近の敵は殲滅された。今頃は町の各場所で戦いが終わっているだろう。
 すぐに町に活気が戻ってくる。そんなことを思いつつ冒険者達は帰っていった。