廃墟に住むもの

■ショートシナリオ


担当:神楽

対応レベル:1〜3lv

難易度:普通

成功報酬:0 G 71 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月16日〜11月22日

リプレイ公開日:2004年11月26日

●オープニング

 ここは冒険者ギルド。
 今日も冒険者達で賑わっている。
「今回の依頼はですね、廃墟に住み着いたジャイアントラット退治です」
 受付嬢が冒険者達を見ながらそう告げ、詳しく話し始めた。
 とある村の外れにある廃墟があるのだが、そこににジャイアントラットが住み着いているらしい。
 今までは特に問題もなく気にはしていなかったのだが、近年村の人口が増えてきていて家を建てる場所が足りなくなってきており、その場所を作るのに廃墟が邪魔になったのだという。
 そこで村人総出で廃墟を取り壊そうとしたが、村人達が廃墟の壁を壊すと中にジャイアントラットがいて飛び掛ってきた。
 幸いけが人は出なかったが危険なので取り壊しができなく困っているので今回村から依頼が来たという。
「と、いうことです。ジャイアントラットは複数いたことが村人達によって確認されてます」
 冒険者達に依頼内容を告げ終わると受付嬢は依頼の書かれた羊皮紙から顔を上げた。
「では、がんばってきてください」
 

●今回の参加者

 ea2193 ベルシード・ハティスコール(27歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 ea2475 ティイ・ミタンニ(27歳・♀・ファイター・人間・エジプト)
 ea5936 アンドリュー・カールセン(27歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea6089 ミルフィー・アクエリ(28歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea7371 ナナシ・ギガフィールド(43歳・♂・ウィザード・シフール・イギリス王国)
 ea7864 シャフルナーズ・ザグルール(30歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)
 ea8505 マラザック・エッジ(35歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

 ここは何処にでもあるような村。
 最近人口が増えてきて活気に満ち溢れている。
 夕方、村の入り口に冒険者達の姿があった。冒険者達は村に着くと早速、村長の家へと向かった。
「おお、お待ちしておりました。よく来てくださいました」
 村長の家を訪ねると出てきたのは初老の男、村長だ。
「ささ、どうぞ中へ。いや〜ちょうど良かったです。今、廃墟の取り壊しをやっている者もきてますので」
 村長が冒険者達を促しながら言う。居間に着くと大きな丸いテーブルでお茶を飲んでいた壮年の体格のいい男が冒険者達に会釈をしてきた。
「さて、早速だが廃墟の元住人、空き家になってからの年数など廃墟について詳しく聞きたいのだが、話してもらえるか?」
 アンドリュー・カールセン(ea5936)が村長に向かって問いかけると村長は壮年の男に目配せすると男が話し始めた。
「では、俺の方から質問に答えさせてもらう。住人と空き家になってからの年数についてだが、どっかの貴族の別荘だったようだ。年数は詳しくは分からんが百年はたってるだろうな。場所はこの村の南の外れにある。目立つからすぐに分かると思う」
「燻り出しをしようと思いますので、廃墟の間取りを教えてもらえますか?」
 ティイ・ミタンニ(ea2475)が男に質問する。
「間取りは、元は二階建てだったらしいのだが今は崩れて一階部分しかない。一階には広間と食堂、厨房と後は小部屋が何部屋かあるくらいかな」
「魔法なんかで廃墟が壊れても大丈夫なのかな?」
 次にベルシード・ハティスコール(ea2193)が念の為に聞いておく。
「勿論かまわんよ。むしろ壊す手間が省ける分、こちらとしては大助かりだ」
 男がそう答えるとベルシードは途端に嬉しそうに微笑んだ。
「さて皆さん、長旅でお疲れでしょう。もう日が暮れます。今日は狭いですが家に泊まって明日から依頼の方に取り掛かってください。後、この村に滞在中の御食事は村の方から出させていただきます」
 村長の言葉に冒険者達は甘え、食事をご馳走になりそれぞれ明日に備え眠りについた。

 次の日の朝、冒険者達は村長から借りたスコップなどを持ち、廃墟に向かった。
 廃墟に着くとそこには、十数人の村人達がいた。
「俺たちにもなんか手伝えることはないか?」
 そう言いながら近づいてきたのは昨日村長の家であった男だ。
「戦うことはできんがそれ以外なら役に立てると思うのだがね」
 男がそう言うと男の背後で村人達が頷いている。
「じゃあ、手伝ってもらおうかな」
 シャフルナーズ・ザグルール(ea7864)はそう言うと村人達と一緒に作戦の準備を始めた。
 まずは、燻り出す前に廃墟の周囲の窓や扉を塞ぐことから始めた。
「なかなか大変だな」
 村人達と協力して窓に板を打ち付けていたナナシ・ギガフィールド(ea7371)はそう呟きながら初めての依頼を成功させるためがんばっていた。
 煙の入り口と出口以外をだいたい塞ぎ終わる頃には日が暮れ始めていた。
「今日はここまでですねぇ」
 ミルフィー・アクエリ(ea6089)が暗くなり始めている空を見上げながら呟き、皆に今日は終わりにして明日続きをすることを提案すると、村人達は自分の家に帰り始め、冒険者達も村長の家に戻っていった。
 次の日、冒険者達は残りの穴などを塞ぐのを再開するのと同時に罠や燻し出す用意などを始めた。
 アンドリューは村人達と共に出口付近を中心に直径3m、深さ3〜4mほどのすり鉢状の穴をいくつか掘り始める。スコップを借りて浅い所では村人にも手伝ってもらい、深いところは自分で掘り、終わったらあらかじめ木などに結んだロープを使って穴から出て、ジャイアントラットに怪しまれないよう偽装する。そんなことを数回繰り返し落とし穴を完成させた。
 ミルフィーとシャフルナーズ、マラザック・エッジ(ea8505)の三人で廃墟のすぐ脇にある森で燃やすため落ち葉や枯れ枝を集めていた。
「これだけ集めれば十分だよね」
 マラザックが持ってきた大きい袋一杯に集めた枯葉を見ながら二人に聞く。
「うん、十分だと思うよ」
 シャフルナーズがそれに同意する。
「じゃ、皆さんのところに戻るのです!」
 ミルフィーが気合を入れつつ言うと三人は大量に集めた落ち葉などを持ち、廃墟に戻っていった。
 三人が戻ると準備が整い、後は夜が来るのを待つだけとなった。

 夜になり、燻し出す前にベルシードが敵を誘き出す地点に幾つかファイヤートラップを仕掛け、念の為に廃墟の周りの塞いだ所の下にファイヤートラップを仕掛けておき、その場所を仲間達に伝えておく。
 ティイとシャフルナーズは、皆が出口付近で待機しているのを確認すると入り口に積み上げた枯れ葉に火をつけた。大量の煙が廃墟の中に吸い込まれていく。
「こ、これが僕の初仕事‥‥がんばらなくちゃ‥‥ああ、でも血は‥‥」
 待機しているマラザックが緊張と不安に硬くなりながら呟く。
 しばらくすると出口から多数のジャイアントラットが飛び出してきた。
 次々と穴に落ちていくジャイアントラット。穴に落ちなかったものもファイヤートラップにより突如吹き上げた炎に巻かれ焼け死んでいく。
 それでも数匹のジャイアントラットは罠を潜り抜け冒険者達に向かい駆けてきた。
「どんな装甲でも打ち貫くのみなのですぅ!」
 ミルフィーは叫ぶと向かってくるジャイアントラットの一匹にスピア片手にチャージングをくらわせ貫く。
「お願いします当たって下さい倒れてくださぃぃぃぃ!」
 フェイントアタックを使ってフレイルで殴っているマラザック。
「くらえ!」
 ナナシがライトニングサンダーボルトを放ち穴から出てこようとしていたジャイアントラットに命中させる。
「そっちにファイヤーボム、いくよ!」
 ベルシードが村人達にファイヤーボムを放つ穴を宣言するとその場所に球形の爆発が起こる。
「次はこっちだ」
 アンドリューが数人の村人と共にファイヤーボムが炸裂した付近の穴のジャイアントラットを生き埋めにして回る。
「コ、コナン流棍術奥義! スネーク・ボムァァァァァ!」
 フェイントアタックとスマッシュの合成技で一匹にマラザックが止めを刺す。
 出口で戦闘が始まった頃、入り口の方でも飛び出してきたジャイアントラットと二人が戦っていた。
「そんなんじゃ、当たらないよ!」
 まるで舞うように華麗に攻撃をかわながら攻撃していくシャフルナーズ。
「これで終わりです!」
 ティイが気合と共にロングソードを振り下ろしジャイアントラットを一刀両断にする。
 次から次にでてくるジャイアントラットを退治し終えると冒険者達は、廃墟の中に入っていった。
 まだ少し煙が残っているが気にするほどでもない。周りには結構の数の煙に巻かれて死んだジャイアントラットの死骸がある。
「んーみゅ、何かありますかねぇ‥‥? こう調査っていうと、夢が膨らみますねぇ♪」
 ミルフィー楽しそうに言う。
 生きてるジャイアントラットがいないか確認しつつ、めぼしいものがないか探してみるがあるのは割れて粉々になった元壷、朽ちた家具があるばかりで価値のあるものどころか使えそうなものもない。どうやら値打ち物は元の住人が持っていってしまっているようだ。
 若干、落胆しつつも外にでる冒険者達。
 村へ戻る前にシャフルナーズがジャイアントラットの死骸を埋めてあげたいという。
「そんな悪い事してた訳でも無いし。これくらいはしてあげようよね」
 その言葉に皆も手伝い埋めていく。全部埋葬し終わり、冒険者達と村人は村に戻っていく。

 村長の家に着くと無事終了したことを伝えた。
「おお、ありがとうございます。これで無事取り壊しができます。皆様お疲れでしょう、ゆっくりとお休みください」
 村長は礼を言うと冒険者達にゆっくり休むよう言い、冒険者達も疲れたのかすぐに眠りに着いた。
 次の日の昼過ぎ、冒険者達は村の入り口にいた。そこには村長と男もいた。
「本当にお世話になりました。ありがとうございました。またいつかこの村に遊びに来てください、歓迎します」
 冒険者達は村長と男に見送られながら村を後にした。