【桜花絢爛】 春の妖気は陽気です
|
■ショートシナリオ
担当:からた狐
対応レベル:フリーlv
難易度:易しい
成功報酬:0 G 78 C
参加人数:8人
サポート参加人数:3人
冒険期間:04月20日〜04月25日
リプレイ公開日:2006年04月28日
|
●オープニング
京の都には妖怪が住む。比叡山の鬼は恐怖を持って語られ、その配下は日に夜に悪行を重ねる。流れる血の数に恨みを抱いた怨霊が泣き、未練を残した死人が起き上がる。
淀む闇には生き血をすすらんと魑魅魍魎が手薬煉ひいて待ち構え、精霊たちも荒れてその力を振るう。
――だが、そんな恐怖とは無縁の奴らも確かにいる。
春はお花見の季節。普段の憂いもどこへやら。咲き誇る花を愛でに、今日もどこかで花見が行われる。
その界隈も桜が綺麗で、連日多くの花見客が花見と称して団子やら酒やらを手に騒ぎに来る。
つかの間の休息。酒も入って程よくいい気に楽しみだす頃、どこからともなくばさりと何かを被せられる。布状のやけに薄くて大きな何か。その癖、変に柔らかくてまるで体温のような温かさもある。
被せられた面々は驚いてそれを撥ね退ける。宴に水注す無粋な悪戯。
誰の仕業かと正体を見れば、
「はーっはっはっは。愚かな人間たちよ! 我らの雄姿をとくと見るがいい!!」
素っ裸の少年が三人。惜しげなく股間も晒して高笑い。そして、傍らにはやはり高笑いの大きな狸一匹。先の布状の物を被せて来たのはその狸だった。
いや、それは布ではなく――八畳ほどに長く引き伸ばしたそいつの金玉だったのだ!!
「最近、おとなしゅうしておると思ったら、そんな新技を開発しおって!! しかも、それを世の為人の為に役立てるのではなく、悪戯に使うとは!!」
とある件より、四匹の化け狸と住んでる和尚さん。声も荒げて吼えまくる。
「‥‥頼む。もう少し小さな声で説明してくれ」
興奮する気持ちは分かるが‥‥。同情しつつ、ギルドの係員は周囲の目を気にする。ギルドには女性や子供も多いのだ。
気付いて、和尚も頬を染めて一つ咳払い。
「とかく馬鹿狸ども! もにゅもにゅを被せて驚かせ、逃げた人の残した弁当やらを食い散らかしておるのだ。そんな目的の為に、人様の娯楽を邪魔しようなんぞ!! 今日まで奴らの更生を願って説法を続けてきたが、どうやらきっつ〜いお灸を据えねばならん時が来たようだ!! なので、是非、手を貸して欲しい!!」
言ってる内に、また腹に据えかねてきたのだろう。顔が怒りに歪み、赤黒く変色しだしている。
「まぁ、放置しとくと、この高齢の和尚さんの天辺切れて仏の仲間入りしそうだし。せっかくの花見を悪戯で台無しにされ続けるのも面倒だからな」
言って係員は募集の貼り紙を作り出す。
狸さえどうにかすれば桜の綺麗な場所だ。正規の楽しみ方を満喫するのも良いだろう。
-----------------------------------------------------------
<馬鹿狸お・し・お・き のしおり>
御挨拶
桜花爛漫の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。春の陽気に誘われて桜の花も美しく咲き誇り、それに図に乗った馬鹿狸が悪さを繰り広げてます。仏に使える身として今日まで耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んで仏の御心を説法してまいりましたが、もはや勘弁なりません。
そこで有志が集い、迷惑千万な狸どもが重々反省するよう、きついお仕置きを行う事となりました。各種武器も使用可能ですので、御家族、御友人お誘い合わせの上でぜひお越し下さい。
日程:神聖暦1001年4月下旬
会場:とある桜並木の綺麗な場所
入場:無料
催し:
馬鹿狸いてこまし放題。その他、思いつく限りのお仕置きを。
後援:
とある寺の白和尚
※ご注意※
・飲食物の持ち込みはできますが、御利用の際の塵は持ち帰るようお願い致します。
・会場内への危険物の持ち込みは周囲の迷惑を考えて程ほどに。
・動物の連れ込みはできますが、世話はきちんとしましょう。狸を噛んだりするのはあえて見逃します。
・会場内での飲酒の際は、他の花見を楽しむお客様のご迷惑にならないようお願い致します。
・桜の樹は大変繊細な生き物です。樹や花にはお手をふれぬようお願いします。
・その他、危険行為や迷惑行為はおやめ下さい。ただし、馬鹿に対しては例外です。
-----------------------------------------------------------
●リプレイ本文
「‥‥いつかやるとは思ってましたけど。そんな技を習得して花見の邪魔とは‥‥頭が痛い話です」
「そうやね‥‥。人化け状態でされるよりはマシやけど‥‥」
苦々しげに目頭を押さえている藍月花(ea8904)に、ニキ・ラージャンヌ(ea1956)は答える。
その言葉はどこか棒読みで表情も抜け落ちていて。まぁ、狸の八畳敷きと似た事が出来ると知れば、それも当然か。もっとも出来るからといって実行しようとする者は普通無いが。
「確かにミミクリーに似ておるの。まぁ、金玉伸ばして食料を奪う馬鹿に力を貸す神様仏様はおらぬじゃろうが‥‥。ほんに魔法とは便利であるし、人を助けるのにも良く使える。わしは才覚が無くてそっちはからきしじゃが、そんな事が出来るなら高い所に飛んだ洗濯物をとったり、自分で背中の痒い所が掻けたり」
化け狸四匹を預かっていた――というか、住み着かれていた寺の和尚は感慨深く頷いている。
「せっかく、そんな頼もしい能力を身に着けたというのに! あやつらと来たら何故こうもつまらん真似ばかりしおるんじゃ!! もっとその力を世の為人の為に使えばいいものを!!」
歯をきしませ、握る拳は血も滲まんばかり。顔どころか剃った頭の鉄片まで茹でた蛸のように紅潮してしている和尚。
「そんなに興奮されるとお体に障りますよ。よければお水をどうぞ」
「先ほどの診察でも、脈拍がずいぶんと速くなっておられたしな。薬を処方したので、きちんと飲んで下さい」
そんな和尚に同情の眼差しを向けるサトリィン・オーナス(ea7814)と、白翼寺涼哉(ea9502)。
「でも、和尚さんが危険領域に突入するのも分かる気がするよね。そのまま涅槃に旅立ってしまう前に、きっちり狸さんたちに仏罰を下しちゃおー」
和尚に合掌して拝んで見た後、気合も十分、クリア・サーレク(eb3531)が楽しげに笑う。
「それでボーズマンか。‥‥ふふふ。こそっと書いたらきっとやってくれると思っておったぞ」
和尚は感涙に噎せっている。
「詳しくないけど、お坊さんって頭を丸めると聞いたような。‥‥‥‥。花見の平和を守るために、皆様がんばってね」
思案していたステラ・デュナミス(eb2099)がものすごい晴れ晴れとした笑顔で皆を送り出す。
「宗派によっては丸めない所もあるからそれは気にする事はないじゃろ。それに、子供という意味の坊主とかもありかなとか考えておったりしたんじゃけどのー」
「なるほど。でも、こちらも冗談だから安心してね」
押さえた微笑でステラが頷く。
「ボーズマンか‥‥。私は超音戦士が好きだったな」
「うん、あれは確かに面白い絵芝居じゃった」
懐かしがっている天螺月律吏(ea0085)に、なぜか和尚も涙して頷いていた。
春爛漫。天気も良好。陽気な日差しは温かく、春風が木々を揺らせば桜の花びらがはらはらと降り注ぐ。
まさしく絶景。なのに、花見する人の姿は少ないのは狸の悪さのせい。
その事に怒りはあれど、そのおかげでこうして綺麗な花を愛でる機会に恵まれた事にはほんの少しだけ感謝したくもなる。
そして、
「見て見て〜、でっかい蜥蜴〜〜〜♪」
「きゃああ、ジミィさん?!?」
見た目は子供、その実は化け兎のうさは本日も絶好調。目敏くサトリィンのペットを見つけると、首根っこ引っつかんで意気揚々と持ち上げている。
驚いたのは一角蜥蜴・ジミィの方で、興奮して暴れかけたのをサトリィンがどうにか宥めている。
「来てくれたんは嬉しいんやけど。あんまりおイタはせんといてな」
苦笑いしながらニキが告げると、うさは満面の笑みで頷いている。
ちなみに陰陽師・小町は仕事の都合がつかず、猫は何故かあちこちと隠れまくって接触できなかった。
「うささんが来てくれたなら、楽しくお話したいな。お月さまの話も聞きたいしね。こっちに食べ物もあるよ」
「むー♪」
手招くクリス・メイヤー(eb3722)に、ひょいひょいと着いていくうさ。
花見に来ていた人に事情を説明し、被害が及ばぬように少し離れた奥所、月花が知り合いに取って貰っていた場所に準備を始める。
美しい桜に被害が及ばぬよう竈を組むと、鍋をかけて宴会用の料理を作り出す。
「知り合いの話によれば、山の方から来るらしいですけど。念のため周囲に罠を仕掛けますから」
月花が聞いた情報を元にあちこちに猟師用の罠を設置。
「こっちも餅を撒いとくわ」
「いちた。狸が出たら任せたぞ。‥‥殺狸にならん程度にな」
そして、ニキもわさび入りの餅をあちこちに仕掛ける。律吏が柴犬・いちたに命じると、生真面目にわんと答えた。
「狸が出るまで。ひとまずはこの花を楽しむとしようか。さーて、特選食材はまだかな〜」
クリアが笑うと、伝授されたスッポン鍋を掻き混ぜる。
満開の桜の元で美味しい料理に美味い酒。話が弾み笑いも絶えず、興が乗れば兎が踊る。
なんとも和やかな一時。いい加減、何しに来たのか忘れかけていた頃、
「「「「ぎゃあああああーーーー」」」」
派手な物音と共に上がった四つの声。それが何なのか。お初の冒険者でも分かるというもの。
「誰だ! 景気付けに食った餅が激辛くて、のた打ち回ったら何かこう踏み抜いた足が絡まってどぼんといったら熊犬ががうがうな事を仕組んだ奴は!!!」
「きれいに掛かってますね」
「ほんま、学ばん子らやね」
ご立腹しているのは予想に違わぬ化け狸四匹。内三匹が人化けしている。網に絡まって簀巻きの団子でいちたにがうがう噛まれながら、四匹支えあがって動いている姿は何か感動すら覚えた。
「出たな! 馬鹿タヌ!!」
宴の楽しい雰囲気もどこへやら。即座に、うさは杵を手にする。
「えーーーと。‥‥おお、ぽん吉にぽん輔にぽん侍にぽん菜か! 相変わらず愉快な事をやっているな」
酒気を帯びたため息をつきつつ、律吏はいちたにもういいと手招きする。
「ふふふ、我らに恐れをなして逃げ帰るとは愚かな犬だ‥‥」
「いちた、やっちゃえ」
「ああああ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
またがうがう噛まれて、泣いて謝る狸たち。
「狸たちや! 人様に御迷惑をかけたなら大人しく謝るのだ!!」
「うん。ほら、てんかすもあげるし美味しい食事もあるよ」
「お酒もね。珍しいのがあるのよ」
そんな中、和尚が怒りも露わに説得を試みる。クリスやサトリィンも食事を餌に誘う。
「やなこった」
が、反応は思った通りというべきか。べーっと四匹舌を出す。
「せっかくだ!! 我らの奥義、とっくり見せてやる!」
「ぎゅ!!」
狸が鳴くや股間をさっぴらかす。四匹纏まってる所に他三匹が器用に足を使って、伸びた金玉を空へと広げた!
「はーっはっは。思い知ったか、馬鹿兎!!」
見事に敷かれた金玉に、胸を張って喜ぼうとして転びかける四匹。
「‥‥でもさ。奴らのいた辺り、何かもっこりしてない?」
「おーい、秘儀に目覚めた我らの秀才。妙なことしてない?」
「ぎゅぎゅ!」
冒険者のいた辺りだけ、何故か大きな球状に盛り上がっている。めくってみると、宴の準備はあるものの、人の姿はそこになく。
「そこまでだよ!」
「むっ!! 何奴」
静止の声がかけられ、がんばってそちらを振り返る狸たち。
「ボーズマンレッド!」
「ボーズマンブルー‥‥ということで」
「ボーズマンクローやね?」
「ボーズマンシローだねぃ」
「仏罰戦隊ボーズマン! 仏と和尚さんに代わって雷を落としてあげるよー」
クリア、月花、ニキ。涼哉が名乗りを上げると、クリスが代表して狸たちをびっしと指差す。
「というか、揃って名乗って格好付けまでは詳しく打ち合わせてなかった気がするんだけどねぃ」
「‥‥和尚の趣味やて」
かすかに首を傾げる涼哉にニキが和尚を示す。木陰で和尚さんはご満悦。
「食事はホーリーフィールドで守らせてもらいましたんや。‥‥そういう訳で、ここからはお約束いかせていただますえ」
「喰らえ♪ ぼーずまんふぁいあー!」
悪びれない笑みを浮かべると、クリアとニキが狸の広げた金玉に赤々燃える豆炭ぽとり。
「ぎゅ? ぎゅぎゅぎゅぎゅ!!」
「わー! 暴れるな! 転ぶ〜〜〜〜〜」
ばたばたと暴れだす金玉狸。絡まったままなので纏まったまま大変な事になっている。
「人々の楽しみを邪魔した罪は重く。仏の罰を思い知りなさい」
月花が熱いお湯を浴びせると、じゅっと小さな音を立てて豆炭鎮火。だが、狸はさらに酷い事になっている。そこへさらに容赦なく月花は龍叱爪とハリセンで叩きのめしている。ぼこられ狸は逃げ回るが、転んで自身の金玉に撒かれてさらに不自由な事に。
「ちょっと可哀想だし。少し冷やしてあげようか」
傍で見ていたステラ。同情半分、困ったようにウォーターコントロールで動かすとクーリングでその水に触れる。
たちまちに凍りつき、でかい氷の塊が狸の金玉に貼り付く。‥‥冷たさに狸が泣くが、火傷の治療には丁度いいかも。
「うぉにょれーー!」
「こうなりゃ総攻撃だーー!!」
網を無理矢理に引き千切り脱出する。塵を投げ捨てると、素っ裸を惜しみなくさらしてボーズマンたちと対峙した。
「‥‥暴れちゃ駄目だろ。それに変な物を露出させるのは周りに迷惑だ」
ふよふよと浮かんだクリスが、空から続けざまに蹴りを入れる。
「全裸はいかんぞ。あっという間にタヌキ鍋にされ‥‥そうか、それを望んでいたんだな。気付かずすまん」
窘めていた律吏だが、ふと何かに納得して素直に頭を下げる。
「そうなんだ。だったら、さっそく食材変更! ぼーずまんくらーーーっしゅ!!」
鍋用においていた元気なスッポンを掴むと、クリアが投げつける。一度噛み付いたら離さないと有名な亀は、狸に噛み付くとやっぱり離れない。
「ういてててて! いてて‥‥て‥‥げ‥‥」
スッポンを外そうとあちこち暴れまわっていた狸たちだが、順に動きが止まっていく。
「白の母なる力の捌きを受けなさい! ‥‥先生、モラルの無い狸たちに聖なる導きを」
コアギュレイトをかけたサトリィンが、天に向かって優しい祈りを捧げる。
「シローの裁きとしては。ここはやっぱりネギリス四千年の葱捌きをご披露だねぇい」
にやりと笑うと、片手に二本ずつ葱を手にして涼哉が華麗な動きで次々と葱を突き刺していく。
「お。おのれ‥‥。なんて体にいい攻撃を‥‥!!!!」
呪縛されて動けず。狸はかろうじてそれだけの声を絞り出す。悶えたくても出来ない焦燥だけは、見る雰囲気で伝わってきた。
「ふふふ。けなしでムイタ方がいいかもしれないねぃ。どんなにいいタマを持とうと使いこなさなきゃ意味ないんだねぃ」
動けぬ相手に涼哉は短刀・月露をちらつかせる。
「俺っちの褌姿はどうかねぃ? これで子供をつ」
「はい。じゃあ、そろそろ止めといこうか♪ 仏罰・ぼーずまんさんだー!!」
話を区切ってクリアが詠唱し、気付いた涼哉が慌てて狸のそばから逃げる。
唱えた呪文はライトニングサンダーボルト。クリスも同じく放った魔法は、狙い違わず狸たちに命中した!!
「「「「ぎゃああああ!!」」」」
呪縛されてやっぱり悲鳴にならないが、そう叫びたかったに違いない。
「‥‥かわいそうだから当てないようにするつもりだったんだけど。葱に雷が落ちたみたいという事で」
「うん、まぁいいよね。雷鳴でスッポンも離れたんだから」
申し訳なさそうに告げるクリスと、クリア。それに抗議する声は無く、全身からぷすぷす煙上げて狸たちばたんきゅーだった。
「「「「えぐえぐ。ごめんなさいもうしません〜〜」」」」
縄で改めて縛り直された四匹が涙ながらにそう告げる。サトリィンにリカバーで治してもらいはしたが、さすがに恐怖も強かったようで、金玉狸もせっかく覚えた新技を忘れてしまったらしい。‥‥代わりに人化け方法を思い出したのは僥倖なのか何なのか。
「よーく反省してるみたいだし。あとは仲良く皆で花見といかない?」
クリアが告げると、うさが諸手あげて喜ぶ。
「わーい。狸鍋〜♪」
「‥‥‥‥いえ、狸鍋はしませんよ」
「しないの〜〜〜?」
「そ、そんな胸をきゅんとさせられるような目で見つめられてもっ」
お願いの姿勢で見つめてくるうさに、クリアは胸を抑えて後退る。
「まぁ、忘れてくれたのはよかった。仕置きでいっそ勘弁と泣くまで引き伸ばそうと思ったが‥‥これはまずいよなぁ」
「「「「あ、大きく出来るなら是非♪」」」」
「ジミィさん、殺って下さい」
悩む律吏に、開けっぴろげに股間さらして見せる狸たち。サトリィンの命によりジミィががっぷり噛み付いていく。
「あんまり、引き伸ばしてるとさっくり切り落とすからな?」
律吏が満面の笑顔と共にオーラソードを突きつける。不自然なまでに笑っているけどこめかみが痙攣して浮き上がっていた。
「せめて下着ぐらいは穿きなさいな。風も無いのにふらふらさせてはいけないわよ?」
「そうそう、褌はいい。漢なら褌を穿くべきだ!」
窘めるサトリィンに、涼哉も強く頷くが。
「「「「いいや! 俺たちは自由に生きるんだ!!」」」」
「まだお仕置きが足りないみたいですね」
「ほんまに懲りへん」
突っぱねる狸を、ニキが呆れ、どこどこと月花は殴り叩く。
「後は寺の木にでも吊るして一週間ほど放っておくべきですね。それぐらいで桜も散るでしょう」
「その方がよさそうじゃの」
月花の提案に、和尚は溜息つきながら承諾する。
「何はともあれ、お疲れ様よね。せっかく準備したんだから花見の続きと行かない?」
「うささんも。そんな隅っこで落ち込まずに花を愛でよう」
お茶を配るステラに、クリスもうさを手招く。
「‥‥ところで。戦隊モノならやっぱり巨大絡繰がいいと思わないか?」
「そうじゃの。やはり定番かのぉー」
とりあえず、狸は縛って花見のやり直し。律吏が話題を振ると、和尚も神妙な顔して頷いてたり。
「「「「お前らー。今に見てろ〜〜〜〜〜」」」」
「‥‥やっぱり反省をすぐに忘れてるね」
「馬鹿タヌ、うるさい」
「手伝いましょう」
恨みがましい声を上げる狸たちに、クリアは頭を抱える。
そして、うさの杵と月花のハリセンが狸たちに落ちた。