【寺田屋の台所】 兎は餅がつきたい
|
■ショートシナリオ
担当:からた狐
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:12月21日〜12月26日
リプレイ公開日:2006年12月29日
|
●オープニング
「もー いーくつねーるとー おめでとおお〜♪」
浮かれ調子の子供が一人。冒険者ギルドで歌ってる。
いや、一件子供に見えるが、その実子供ではない。その正体は妖怪・化け兎。周りからはうさと呼ばれている。
「おしょーがつにわあ 餅ついてー 餅を供えて 餅食べてー♪ は〜やくつーけーつーけ しーろーいーもーち〜〜♪ って事で餅作るぞー」
おー、と陽気に拳を振り上げるうさ。釣られて訳も分からないまま拳振り上げて応える冒険者の姿もあった。
「‥‥よう分からんが、仕事の邪魔だ。妖怪騒がせとくなら、ギルドの方で腕っ節強い奴へ依頼出すぞ」
「失礼ね。ちゃんとした依頼よ」
うんざりとしているギルドの係員を軽く睨みつける一人の少女。陰陽寮所属の陰陽師で名前は小町。うさの保護責任者である。
「あのねー。猫爺寝ちゃったからお餅こねてくれる人足んないのー。だから誰か手伝え♪」
「いや、その用件で来たんじゃないよ」
ひょいと顔を出すうさ。邪気の無い笑顔を向けるも、その内容に少々係員は首を傾げた。
「猫爺って、あの武器耐性持ったけったいな化け猫男の事か? 寝込んだってどうした?」
「化け猫じゃなくてワーリンクスよ。別種なの。仮にも陰陽寮管轄に在籍するならちゃんと区別をつけ‥‥」
「んとねー。この婆がねー、『あんたはちょっと頑丈なんだから、ここにある餅ぐらい平らげて見せなさいっ!』ってうさの御餅をいっぱい口に放り込んだら、お腹一杯で幸せ一杯で夢の中にばたんきゅー。この幸せを新たな思い出に埋もれさせたくないから奥に引っ込んでうんうん言ってる」
問いかける係員に、話を逸らすように小町は説教垂れるも、さらに元気一杯の声で喜び勇んで話すうさ。多分事実とは異なっているだろうが、何が起きたのかは大体想像できる。が、出来ない部分もある。
「無理やり餅を食わせて腹を壊すかしたのか? 何故餅をそんなに食わせる? そうか、妖怪の作る餅だから妙な毒成分でも‥‥」
「失礼な! 皆に愛される美味しい御餅しか作んないもんっ!」
疑問を投げかける係員に、うさはむっと怒りを表す。あからさまに小町はしばし目を泳がせやがて肩を力無く落とした。
「いやその。餅は大丈夫なのよ、うん。うさは妖怪といっても人に化ける以外能が無いし、人に害を加えるような子でもないわ。ただねぇ‥‥やっぱり妖怪なんだなぁというか‥‥なんか感性が人と違うというか‥‥」
がっくりと項垂れる小町。
「‥‥家がね、餅に占領されているのよ」
新年に向けて餅を搗くのだとはりきる化け兎。ふと気付けば、屋敷中のいたる所に餅がある。右を向いても左を向いても製作途中の餅があり、見上げると干している餅が簾のように垂れている。庭ではうさが餅搗きに精を出す。
「去年もそうだったけど。今年はまた一段と餅尽くしで‥‥」
「御近所さんにー、お愛想振りまいて〜、うさは餅搗きたいのーって言ったら〜、がんばれっていっぱいくれた〜。だから、がんばるの〜」
満面の笑顔で愛用の杵を振り上げるうさ。悪気とかは微塵の欠片も無い。
「冗談抜きに連日餅料理なのよ。下手に止めると家出してどこかで餅搗いて持ってきそうだからそれも出来ないし‥‥」
げんなりしている小町。屋敷に溢れかえってる餅を消費する為に、一体幾日餅を食さねばならないのか。いや、今なお増え続けている事を思えば御餅は永久に不滅かもしれない。
「で、秘策を思いついたの。要するに、あの子は餅がつければいい訳。で、ついた餅を捨てたりせずにちゃんと食べたらそれで満足なのよ。
でも、うちだと使用人やら御近所さんたちとかぐらいしか食べてくれそうにないし、‥‥中には妖怪が作ったって事で敬遠する人もいるじゃない? だから、妖怪を物怖じしないような人たちが大量にいる所へ持っていけばいいのよ」
「どこだよ、妖怪を物怖じしないような人たちが大量にいる所って」
「お登勢さんとこ」
すなわち寺田屋である。常連客には冒険者も多く、少々の事では動じまい。中には『いやそれ人の喰うもんじゃないだろー』という物まで食べちゃう強者もいたりするぐらいだ。それを思えば兎がついた餅ぐらいどうって事ないはず。
「話はもうつけてあるの。御餅自体は問題無いからいいって事だったんだけど、店に出す以上はちゃんとした料理じゃなきゃダメって話なのよね。でも餅料理も結構あるし、雑煮とか善哉とか汁粉とかになると地方でかなり違うでしょ。だから、何がいいんだか。‥‥板さんたちが了解出来る物じゃなきゃ店に並べてくれないしねー」
はぁああと盛大なため息一つ。
「なので、お願い。寺田屋に置いてもらえそうな餅料理を考えるの手伝ってくれない? 客の冒険者がこれ欲しいって言ったら、お登勢さんだってそうそう断らない‥‥かな? ついでに家の餅を少しでも消費してくれたら助かるわっ!!」
両手を上げて必死の形相で頼み込む小町。本当に大変な事になってるらしい。
「うさはー、一緒に餅ついてくれる爺婆が欲しいのー。虫でも亀でもいいけどー」
「いや、それは程ほどにしておいて。まだちゃんと寺田屋で消費してくれるって確定した訳じゃないから」
諸手上げて催促するうさに、小町は涙目で訴えかけていた。
●リプレイ本文
「だらしないっすよ、猫殿。こんな美味い餅をこの程度の量で倒れてしまうなんて。しょうがないっすね〜」
「お前さんと違って、俺の胃袋は有限なんだ。ってか、どこに入ってくんだ、お前のそれはっ!」
「ちゃんと腹の中っすよ〜。これぐらい朝飯前のおやつにもならないっす♪」
顔色悪く横になったままの猫に、笑顔で告げる太丹(eb0334)。身につけたるダグザのマントで十分な実力をより遺憾なく発揮させ、その手は喋りながらも休まず餅を口に運んでいく。見ているだけで腹が一杯になるような喰いっぷりだ。
「この闘い‥‥。敵勢力がいかに強大であろうとも負ける訳にはいかん! いざ勝負じゃ!」
「むー、負けないのだ〜♪」
本気の闘志を燃え上がらせて、同じく餅を食い続けるのは枡楓(ea0696)。ちなみに敵とは餅製造兵器と化した餅搗き兎のうさの事。けして丹の事ではない。
そして、張り切って餅を食す二人に刺激されて、いつも以上にうさは餅を作りだす。
「餅は一人じゃ作れないだろう。手伝ってやるぜ! うさ公!」
「ありがとう、亀公!! やっぱり亀は亀でもいい亀だね!」
気軽に黄桜喜八(eb5347)が声をかけると、明るい笑顔でうさは承諾する。
「だーかーらー。おいらは亀じゃない!! 河童ってのも誰が名づけたかよう分からんが、とにかく亀ってのはよくない。オイラの事は喜八と呼ぶように!」
「ヤダ。亀が亀だと認めるまで、うさは亀を亀と呼ぶっ!」
が、名前指摘すると、途端に機嫌損ねたようにふいっと横を向く。あくまでそれは認めない態度。
「だから喜八だ! 亀だと頭の悪い亀の奴と間違えちまうだろう?」
「あれは悪い亀。こっちはちょっといいかもしれない亀」
「うわ何その微妙さ! いやいや、いいとか悪いとかの問題じゃなくて。そもそも亀を見た事あるのか?」
不服そうにしているうさを懇々と説教する喜八。問われてうさは軽く首を傾げる。
「甲羅があってー、手に水かきがあってー、大体緑色でー、口が尖っててー、頭がつるつるで〜」
「そうそう。丁度、オイラみたいな‥‥って、え? 亀がオイラで‥‥オイラ、亀?」
この世に生まれて五十年。喜八、ようやく気付いた衝撃の事実(?)。
「むー。そんな事を言ってる間に腹ペコ爺婆が次々と餅を食べてくれてるのだ。ここは新しいお餅をつくって歓迎しないと!! 急げ、亀!! 負けてはいけない、がんばるぞ!!」
杵振り上げて猛然と餅作りに勢を出し始めるうさ。つられて喜八も餅の手伝いを始めるが、まだ頭は混乱状態にあった。
その様を他の冒険者たちは微笑ましく見つめる。
「うささんが頑張る度に、寺田屋のお品書きが増えるのはとても良いですね。偉いです」
藍月花(ea8904)が褒めてうさの頭を撫でると嬉しそうに笑みを見せるうさ。しかし、それもそこそこ杵を振り上げると、早々に餅搗きに全力を出す。
「今回ばかりは、寺田屋と話がついてよかったと思うわよ。さすがにどうしようよね、この餅」
「確かに、大変そうですね」
疲れきった表情で二人と一匹の餅風景を見つめる小町を見てから、小都葵(ea7055)は屋敷の中を見回す。至る所餅だらけでどこもかしこも真っ白。下手すると外より家の中の方が白く見える。
「で、食べすぎで猫さんは寝込んでるですね」
床に伏したまま動こうとしない猫を見ながら、しみじみと告げるティーレリア・ユビキダス(ea0213)。言ってから、自分の言葉が妙に駄洒落てるのに気付き、一人くすくすと笑い出す。
「‥‥お前、人が苦しんでるのがそんな楽しい訳?」
「違いますよぉ。あ、私、この間二十歳になったんですよ〜。お祝いして下さいな〜」
「この調子で、誰かのお祝い気分に入れるか〜〜〜! ま、とりあえずおめでと」
青い顔して寝そべっている猫に、ごろごろと抱き付くティーレリア。体調悪いので逃げる気も起きないようで。まったくもって疲れた御様子。
「猫に餅と麦酒は鬼門と違いますやろか。水没してしまいますよって」
「やめぃ。縁起でもない」
すまして顔で南無阿弥陀仏と手を合わせるニキ・ラージャンヌ(ea1956)を軽く睨む猫。
「寒いのが苦手というのもあるでしょうが、お餅の大群が恐怖対象として押し寄せて来そうですね。良かったら防寒服を着ていて下さい。お餅以外も食べなきゃダメですよ」
「食べなきゃも何もいい加減餅以外を見たいんだがなぁ」
葵から渡された防寒服を着込んだ猫はしみじみと呟く。
「むー。お餅が怖いとは不埒な猫爺なのだ。こんなに美味しいのにっ!」
「やめろ! 口に押し込むな!!」
「だらしないっすよ! 美味いものは喰うべし! 喰うべし〜〜〜〜っす!!」
「その通り! さあ喰えやれ喰えもっと喰えと逝くべしーっ」
「‥‥正月前に逝くのはダメよ」
聞き咎めたうさが餅を抱えて猫に強襲。丹はある餅を次々と喰らいまくり、楓もまたそれに負けじと頬張り続ける。そして小町は嘆息付く。
「まぁ、食べるのは彼らにお任せしまして。そろそろ味付けの方でも考えましょうか」
大変賑やかになっている食事風景を眺めつつ、おっとりと笑いながら神楽聖歌(ea5062)は話を進める事にした。
「美味い物はそのままでも美味いものっす。でも、餅はいろいろつけて食べるのもいいっすよね。黄粉に餡子、原点に返って醤油もいいっす」
「大根おろしもさっぱりしていいですよね」
小鉢に、黄粉、餡子、醤油に海苔、大根おろしと揃えて並べる。次々と味を試す丹に、聖歌も頷きながらいろいろと味付けを考える。
「醤油に海苔を合わせるのもいいです。寺田屋さんにはそういった品を小鉢に用意して纏めて出せば、ちょっとずつ色々なお味を好きに選んで食べられて楽しいと思うです。‥‥御所にちなんで五皿の小鉢と行きたいですけど、一皿足りませんです。四皿でもいいですよねっ?」
ティーレリアは少し難しい顔で唸っている。
「うーん、でも四ってのは縁起悪いしねぇ。ただの白餅を出して一味分。‥‥味気ないか」
「昆布巻とか、砂糖を入れるというのはどうでしょう? 少し値も張りますけど」
同じく考え込む小町に、葵も一緒に頭を捻る。
「まぁ、そちらは少し置いて。私はあんかけ餅を考えてみました。あんのとろみで体も温まりますよ」
笑顔を作ると葵が作った餅を出す。焼いてから、薄めの出汁で茹でた餅。かかったあんには野菜がたっぷり入っており、上がる湯気が確かに冷えた体を温めてくれそうだ。
「とりあえず、こちらは二つほど。定番のお汁粉‥‥こちらでは善哉ですか。干した餅が多いようなので揚げ餅とか」
「だって、そのまま置いておくとすぐにカビちゃうんだもん。そうなる前に食べろ食べろと詰め込まれるし。むしろ苦肉の策よ、これ」
あちこちに簾のように垂れ下がった餅。それを眺める月花に、すっかり肩を落として苦しそうに告げる小町。
「それやったら欠餅にするとか。焼いて醤油を漬けておかきやあられにするんもええですな。あられやったらぶぶ漬けや吸い物の浮き身に使えるし、おかきも醤油にザラメ塗したり海苔を巻くとかいろいろ楽しめますわ」
「煎餅という手もありますよね?」
告げるニキに、葵が言い添える。
「藍さんが鍋を作ってくれてますけど、普通の鍋でも最後に餅入れるんは冬場やと喜ばれるんと違いますか。大き目の茶碗蒸しにうどんや小さな餅を入れたり、餅入りの力うどんとか、いろいろ考えられますなぁ」
「ま、これは餅が主で考えたものですからね。これも、善哉の方も美味しく出来ましたので冷めない内にどうぞ」
にこりと笑って月花が料理を勧める。
揚げ餅のみぞれ鍋はしょうゆ味の汁に揚げた餅とおろし大根が入り、そこに柚子と葱が添えられ、上品な見た目になっている。
善哉は甘みを抑えた小豆汁に、揚げ餅と柔らかい餅の二種が浮かぶ。入れ時から考えて、揚げ餅の食感も損なわれていない。
ちなみに関西で善哉は粒餡の汁に餅を入れたものを指す。こし餡を使えば汁粉である。
「口直しに沢庵も。河童さん用に胡瓜の漬物も用意しましたよ」
「おう、それはありがたいな」
「良かったな、亀♪」
「おうよ! しかし、おいらは亀じゃなくて、喜八だっ」
月花の気遣いに、餅搗きの手を休めて礼を述べる喜八。一緒にうさも喜んでくれるのはいいが、相変わらず名前になると訳が分からないと言った風に首を傾げる。
「にしても、汁粉ねぇ。‥‥そーだ。まん丸お餅で汁粉作って『尻子玉』ってのはどうだ」
「それちょっと食べたくないかも」
「じゃあ、汁粉玉」
「うさ〜。亀がもっと餅つきたいって〜」
汁粉案を(適当に)出していた喜八だが、小町の一声で餅搗きに強制連行。
「私は雑煮を用意したんで、丁度良かったかもしれまへんなぁ。‥‥これにスパイス加えて煮込めたら!!」
もう少し味を加えたくて残念がるニキ。そうして出来た雑煮は荒巻鮭の切り身を丹念に焙り、焼餅の上から出汁をはって大根おろしを添える。
「別にいいけど。おろし大根が今回妙に活躍してるわね」
並ぶ食卓を眺めながら、しみじみと小町は告げる。
「偶然やけどね。そして、白味噌雑煮に入ってるのは餡子餅」
「‥‥話には聞いた事あるけど」
「甘みたっぷりで美味いっす」
ちょっと引き気味の小町に対し、構わず箸を勧める丹。
せっかくの料理、食べねば損と皆で試食しながら楽しく談笑と相成ったが。
「そういえば、枡さんはどちらに?」
いつの間にかその頭数が足りない。気付いた聖歌が辺りを見回す。
「大丈夫。ここで死んでいるだけだ」
「ふ‥‥ふふ‥‥燃え尽きた。‥‥真っ白に燃え尽きたよ‥‥。マジ‥‥白‥‥」
部屋の隅。餅をぱくつく皆を奇妙な目で見つめる猫の隣、周囲の餅より真っ白になった楓が虚ろな目で宙を見つめながら横たわっていた。
「皆、ご苦労様。後はお登勢さんたちに気に入ってもらえるようがんばって話通してみるわ」
用意した料理も終わり、餅はまだあるがさすがに胃に入らぬという事で今回はお開き。後は寺田屋に上手く話をつけられるかだが、それは先方の事情もあるのでまだ分からない。
「うー、さすがに喰い過ぎじゃ〜」
「枡殿もだらしないっすよ〜。もっと修行するっす」
少々苦しげに腹をさする楓に対し、終始調子を変えず餅を食べ続けた丹は、今も平然と美味そうに茶を啜るだけ。
屋敷内の餅は若干の減りを見せていた。結構食したにも関わらず若干なのは、同じ様な調子で餅が製造されてたから。
「搗きに搗いたり。その割りには増えなかったと逆に思うけどな」
「減らしてくれって頼んだんだけどなぁー。ま、古くて大変そうなのを大ガマにも食べてもらえたし、いっか」
しみじみと丹を見遣りながら告げる喜八を、さらに小町が眺めながらもあっさり良しを出す。
「でも、うさはぁ。亀の作る餅はもっと水っぽくて青臭くなるかと思ってたけど。‥‥なんかふつー」
「あんたは何期待してた〜っ!?」
出来たての餅を妙にがっかりしながら食べるうさに、喜八、あんぐり嘴を開ける。
「点検しましたが、臼にも杵にも異常は無いです。まだまだ美味しい餅をつけますよ」
「わーい」
餅搗き道具の点検をした月花。その結果に、うさは諸手上げて跳ね回り、小町と猫は微妙そうな顔で肩を落としている。
「ジャパンの新年はお餅なのですよね? お餅が無いと一年が始まらないと聞きましたですよ。おすそ分けいただけるなら喜んで持ち帰るですよ〜。うささんのお餅、美味しいですよ〜」
「あー、もういいから。どんどん持ってけ」
「では遠慮なく。知り合いに配るといたします」
にこにこと笑うティーレリアに、褒められたうさはちゃっかり兎形態でがっしり抱きつき喜んでいる。猫はどうでもいいように手を振り、聖歌はにっこりと餅を受け取る。
大量に出来た餅を手にして、冒険者一同帰宅する。とはいえ、なるべく早くに食す必要はあるだろう。
もっとも丹だけはその心配をする必要は無かった。他の人よりもたくさんのお持ち帰りをした彼だが、土産に持ち帰る頃にはそのほとんどが胃袋の中へと詰め替えられていたのだから。