ちょこちょこっとチョコ下さい
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■ショートシナリオ
担当:からた狐
対応レベル:11〜lv
難易度:普通
成功報酬:5 G 55 C
参加人数:5人
サポート参加人数:1人
冒険期間:02月19日〜02月24日
リプレイ公開日:2007年02月27日
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●オープニング
ある男がいる。
普通に働いて、性格も平凡。家も普通で、財産も当然普通。
まぁ、どこにだっているような男である。
ただこの男趣味を持っている。
酒を飲んだり、料理の盛り付けに使われる猪口が好きで集めているのだ。
「成人の時に親父から酒ぐらい飲めるようになれってくれたのが最初ですね〜。以来、ちょこちょこと集めてたらいつのまにか趣味みたいになってたんですよー」
あくまで趣味の範疇。別に誰かに迷惑かける訳で無し、周囲も面白いの集めてるなぁ、ぐらいにしか思っていない。
‥‥結局は平凡な男である。
さて、先月の話になる。
男は、とある骨董市に足を運んだ。結構いろいろな物が雑多に置いてあるし、時には掘り出し物もある。
で、ふと目に止めたのはやっぱりお猪口。品も悪くないし、欠けたところも無い。何より柄が気に入った。
「親父さん、これいくらだい?」
顔見知りだった店主に気軽に聞いた。
「金五十ってとこだね」
あっさり告げられた答えに、男は吹いた。
「マテマテマテ! 確かに結構高そうな品だが、それは高すぎだろう。せめてその半分!」
「悪いね、それは知る人ぞ知る作家の作って噂があるんだ。だから、安くはできん」
「‥‥噂だろ? 嘘かもしれないんだろう? ってか、胡散臭さで頭痛いぐらいなんだが」
「本当だったら、桁一つ上がるよ。好事家に持って行ったらそれこそどのぐらいつけてくれるか。今の嘘か本当か分からん状態でも、一応買い置くかって人もいるし、嘘の贋作にしても良く出来てるから別にって奴もいるんだぜ」
「う〜ん」
面白そうに笑う親父の前で、男はしげしげと猪口を見つめる。
確かにいい作だ。そんじゃそこらの安物とは訳が違う。しかし、高い。
諦めようかとも思った。というか、普段ならとっとと諦めている。しかし、損得抜きにして何か気に入ってしまった。一目惚れって奴かもしれない。じっと見てるとどんどん欲しくなってくる。
だが‥‥やっぱり高い。
店の前で、値段と感情で悶えだした男を、店主はしょうがねぇなと苦笑いする。
「あんたとは知らない仲じゃなし、もうちょっと安くしてやるよ。ただし、これ以上は駄目だぜ?」
そう言って提示された額は確かに妥当な値だった。が、それにしてもやっぱり高い。
「‥‥一ヶ月待ってくれないか。その間に金を用意してみる」
「ああ、分かった。来月もここで店開くし。それまで置いといてやるよ」
真剣に告げる男に、親父はもう笑いっぱなしだった。
それから一ヶ月。男は懸命に働いた。
普段の仕事に加えて日雇いや夜間の仕事も探して、とにかく金を稼いだ。
友人知人にも声をかけ、事情を話して理解してもらった上で、金繰りに奔走した。
その甲斐あって、目標額に無事達成。
親父が市に立つ当日。わくどきしながら、その骨董市に赴いたのだが‥‥。
「な、何だって! 盗られたーーーーーっ!!!?」
あの猪口はもう無いと告げられ、男は仰天する。それどころか、告げた親父自身傷だらけの痛々しい姿。
「すまん。実はだな‥‥」
男との約束を親父は覚えていた。その約束が無くても高くて売れそうな品だ。壊しては大変と念入りに包んで大事に保管していた。
そして、その他の売り物と一緒に大八車に詰め込むといつもの通りに家を出た。
親父の家から骨董市をやるその場所までには、山が幾つかある。が、通いなれた場所だ。親父は何の不安もなく山道を歩いていたのだが。
「待ちな、そこの爺ぃ」
頭上から呼びかけられると共に、幾つもの羽音が重なった。
舞い降りてきたのは鳥‥‥に似たもの。山伏の服を来た人ともつかぬ生き物。
烏天狗だった。その数は五体ほどで、逃げ場なく親父の周囲を取り囲んだ。
「この山はわしらが占める事にした。よって、ここを通るなら通行料を払え」
「そ‥‥そんないきなり‥‥あ、痛っ!」
動転する親父に、一体の烏天狗がいきなり殴りかかった。それを皮切りに次々と烏天狗たちは親父を手にした杖で打ち据える。
その間に残った烏天狗が勝手に荷物を物色し始めていた。
「ちっ、ガラクタばかりじゃねぇか。錆び刀すらありゃしねぇ‥‥ん、何だこれは?」
手荒に荷物をかき回していた烏天狗が、大事に仕舞われていた荷物を見つけ出す。
「あ、それは!!」
烏天狗が手にしているのは例の猪口。親父の慌てっぷりや大切に扱われていたのを見て、烏天狗はかかっと笑う。
「どうやら大事なものらしいな。じゃ、これをもらっておいてやるよ。おらよ、さっさと行っちまえ!!」
最後に親父を蹴りつけると、それで気はすんだとばかりに烏天狗たちは飛び去っていく。
「ま、待って下さい! それは約束があるんです!!」
親父は懇願するが、相手は空へとあっという間に消え去る。楽しそうな哄笑を響かせながら‥‥。
「聞けば少し前からたちの悪い奴らが住み着いていたらしくて‥‥。そうと知っていれば別の道で来たものを」
本当にすまんと親父は頭を下げる。
金を集めたのに、肝心の品が消えてしまった。ここ一ヶ月の苦労が水の泡。脱力して地面に横たわる男だったが、
「いやでも‥‥その猪口は奴らが持っている訳で。冒険者に頼めば、取り返してくれるかもしれない! 幸い金ならあるんだ!」
不意にそう思い立つ。
がばっと身を起こすと、俄然張り切ってそう告げる。
「‥‥そうだな。どのみち奴らをそのままにしておくと面倒になるかもしれん」
いきなり襲われた親父としても面白くは無い。協力しようと強く頷いた。
そして、冒険者ギルドに貼紙が出される。
猪口を取り返してください。ついでに烏天狗も懲らしめて下さいと。
●リプレイ本文
山に居座る烏天狗たち。彼らに取られた猪口を取り返すよう、ギルドに依頼されたのだが。
「烏天狗にもたちの悪いのがいるのね。お坊さんみたいな修行をしている話はよく聞くけど」
呆れながら告げるアイーダ・ノースフィールド(ea6264)はともかくとして。
「私も良い茶碗には目がありませんので、お気持ちは分かります。きっと取り返して見せますわ」
「同じく収集家として悔しさは十分分かる。任せておけ!」
黙って依頼人の説明を聞いていた壬生天矢(ea0841)の隣、にっこりと依頼人たちに微笑む鷹神紫由莉(eb0524)は共に黒虎部隊隊士。同調して大きく頷いてみせる鷲尾天斗(ea2445)は新撰組一番隊士の組長代理。
「自分は実用主義だが、気持ちは分からないでもない。太古から残る刀の斬れ味は独特なものがあるしな」
備前響耶(eb3824)は京都見廻組。と、ある意味物々しい冒険者が揃っているのは何の偶然だろう。
勿論、冒険者としての依頼なのだし、組織どうあれ、それが個人の行動に影響を出すかはまた人それぞれであるが。
「何とか猪口を無傷で取り返したいが‥‥。誰が持っているのか分からないのは厄介だな」
呟く響耶に天矢が頷く。
「ああ、それに今回は人が少ない。いつも以上に慎重にいかないと猪口を割られたりすれば大変な事になる」
割られると聞いて、収集家の彼が悲壮な顔をさらに歪ませる。夢までもう一息の所で入ったいらぬ横槍に、すがりつくような目を向けていた。傷だらけにされた親父もまた似たような眼差しを向けている。
元より叶えるべく受けた依頼。
猪口を無事に取り返すべく、一同、揃って策を練り出した。
現場はどうという事の無い山道。往来は程ほど。激しいと云う程多い訳でなく、寂しいと云う程少ない訳でもなく。といった感じの場所だった。
普段ならば。
今は烏天狗が仕切っているのが広まっているのか、利用しようとする者がほとんど無い。 そんな中柴犬と一緒に歩いていた商人一人。
「待ちや」
呼び止める声はいきなりだった。はっとして空を見上げるより早く、彼らは大きな翼を広げて舞い降りてきた。
「ここはわしらの縄張りだ。そこに踏み込むなら、相応の礼はしてくれるだろうな」
烏の頭の山伏たち。鋭いくちばしが居丈高な言葉を発し、金色の目が睨み付けてくる。
「あんたらが最近噂の烏天狗さんですか。あっしはこれでも博識で通ってるんですよ。どうですか? 知恵比べをしてあっしを負かせたら、品物といい事を教えて差し上げましょう。その代わり、あっしが勝ったら通して下さいよ」
隙無く囲む五体に、柴犬・太助は低く唸り威嚇している。その太助を押しとめつつ、警戒だけは怠らせぬよう注意しながら、商人の天斗はにこやかに笑って烏天狗たちに提案を持ちかける。
「おもしろい。いいだろう」
突然の提案に面食らう烏天狗だが、仲間内で何か話し込むと軽く笑って話を促す。
「では、そちらから。どんな問題でも答えて見せましょうぞ」
自信満々に胸を張る天斗だったが、
「ほう。では‥‥天には人がいるが、地にはない。では東西南北で人がいるのは?」
「え‥‥ええ? いや、そういうのは」
烏天狗が問題を出すや、大げさに驚き悩み始める。それを見た烏天狗たちはかかっと笑いたてる。
「大口叩いてその程度か。では約束通り、品物といい事とやらをもらうとしようか。品物は‥‥そうだな、さっきから唸ってるその犬寄越せ」
「ええええええ!!!」
口をついたのは真実の叫び。烏天狗をおだてて調子に乗せるまでは良かったが、これはさすがに予定外だ。
「待った、太助君は品物じゃないんだ!!」
「知るか馬鹿。それよりいい事とやらはなんだ?」
「あ、それは。来る前に茶屋で見かけた女性が、もう少ししたらここを通るみたいなんだなと。これがもうエライ別嬪さんで見逃すのは損だという‥‥。それより、太助君は!!」
「ごちゃごちゃうるさい奴だな。お前はもういい。さっさと失せろ」
いらついた烏天狗が、無造作に杖を振るう。ぶんと唸りを上げるそれは容赦無く天斗を打ち据える。
主人の危機と太助が飛び掛りかけたが、それはまだ早いと必死で制する天斗。
「まあ、これは一体何事なのかしら?」
そこへ通りかかったのは、一人の女性。静かな山道を賑わす騒動に、ただただ目を丸くしている。
「ほお、確かに別嬪さんだな。だが、容姿が良かろうと掟は掟だ。――女、この山をただで通ろうって訳じゃないだろうな」
烏天狗の一体が、女――紫由莉に向けて、杖を突き出す。
異形から物騒に構えられても、紫由莉は騒がず。少し考えると、蠱惑の笑みを浮かべる。
「では、飲み比べなんていかがかしら? これから知り合いのところへ飲みに行く途中でしたの。腕力勝負などでは叶いませんし‥‥それに私、いい男が相手なら別に誰とでも構いませんのよ」
流し目で誘いながら、荷から日本酒・どぶろく他を取り出す。
「今日はおもしろい奴らが良く通るな。いいだろう、丁度つまみも手に入れた所だ」
「あ、の。犬はやめた方がいいですわ。その、あくまで飲み比べで」
つまみと聞いて、天斗が光の速さで首を横に振る。紫由莉がどうにか理由つけて断ると、烏天狗たちも不服そうではあるが承諾した。気付かれぬよう、二人ほっと息を漏らす。
「では、酒の用意を‥‥。あら、お猪口が足りませんわ」
荷物から猪口を取り出した紫由莉。烏天狗たちの数を数え、悩み出す。
「そこでぐずぐずしている男は関係無いが‥‥。そういや、お前。この間、それと似たような猪口を手に入れたな」
「ああ、そうだった」
言われた烏天狗が懐から猪口を取り出す。天斗と紫由莉の視線が一瞬交錯し、小さく頷きあう。
「ふん。大事そうにしていたが。やはりそこいらのガラクタか」
紫由莉が用意した猪口は、頼んで奪われた猪口と似た物を揃えてもらったのだ。ただし、こっちは本当にガラクタのような安物。その見分けがつかないあたり、烏天狗たちの審美眼は大した事なさそうだ。
「でも、これで飲み比べが出来ますわ。ささ、まずは一杯。御遠慮なさらずに、まだまだ酒は用意しておりますから」
安堵の笑みは真実のもの。口先だけの言葉で烏天狗たちに笑みかけながら、紫由莉は用意してきた酒を振舞う。
「おや、賑やかですねぇ。何事ですか」
酒が入れば、自然箍が外れる。ドンチャン騒ぎの祭り状態になりだした時に、騒ぎに惹かれて通った商人二人が声をかける。
「ふん、また人が通るか。今日はやけに多い。お前らも、通りたければ通行料を置いて行け」
鼻息荒く、酒臭い息を吐きながら烏天狗たちが二人に告げる。
「通行料か‥‥。ならば、力比べをしようじゃないか。俺たちの売りは武器。勝てたらここにある珍しい刀をくれてやる。だが、俺らが勝ったら‥‥!!!」
言うが早いか。眼帯の商人――天矢は名剣・ブラヴェインを抜き放ち、烏天狗たちに斬りかかる。その一撃、油断していた烏天狗の一体がばさりと斬られて深手を負う。
「貴様!!」
激怒して立ち上がった烏天狗たちだが、その足がふらつく。杖の構えも微妙に甘い。
「神酒・鬼毒酒。効いたようだな」
その様を見て取り、天矢がにやりと笑う。
「ぬぅ、酒か。‥‥貴様ら図ったな」
「今頃分かっても遅いわね。この猪口、返してもらうわよ」
同じく酒を飲んでいた紫由莉だが、こちらは何ともなし。元々飲酒は強い方だし、バッカスの指輪の加護で普段より調子がいい。
酒盃として使っていた猪口は、襲撃と知るやあっさり放り出されていた。易々拾い上げると、紫由莉は大事に懐へと仕舞いこむ。
「おのれ猪口才な! 目に物見せてくれる!!」
鬼毒酒の効果で動きを鈍らせながらも、怒りはさらに増した。巨大な翼を広げると、羽ばたく疾風すら速度に変えて突っ込んでくる。
「受け取れ!!」
天矢が、荷物から変装の為預かっていた武器を取り出し、持ち主へと素早く投げる。
「ありがとさん! 太助も容赦無しでいいぞ!!」
霊刀・ホムラ、小太刀・新藤五国光を受け取ると、天斗は烏天狗に斬りかかる。気合は十分。どころか恨みもいろいろ混じって十分以上。
両の刀で斬りつけると、烏天狗の体が簡単に朱に染まった。
「くそっ!」
奇襲や策略にかかり、烏天狗たちの分は悪かった。剣の腕前も冒険者の方が一つ上手で、旗色は格段に悪い。
そこで烏天狗は木の上へと飛び上がると、オーラを練り上げる。木の上なら翼のある彼らの方が何かと有利だ。
だが、それもまた浅慮で終わる。
「がはっ!!」
気を溜めていた烏天狗の身を、矢が射抜く。
「いざという時のために潜ませてもらったけど、あんまり必要なさそうな? ちょっと拍子抜けよね」
つまらなさそうに口を尖らせながらアイーダは、さらに矢を射掛ける。
烏天狗の方もいつまでもやられてばかりではない。矢の軌道から居場所を探ると、空から一直線にアイーダ目掛けて振り降りる。
「危ない!」
その間に、紫由莉が割り込む。代わりに身で受けた杖が、音を立て火花を弾けさせる。ライトニングアーマーによる放電。驚いた烏天狗が身を退いた隙を狙って、仕込み杖で斬りつける。帯電した雷が武器を通して相手にも伝わり、烏天狗は悲鳴を上げた。
「ありがとう。‥‥まぁ、猪口は取り戻せたんだから後はこちらといきますか」
礼を述べると、アイーダは弓を構える。矢を番えるのではなく、魔力を集中すると弦を弾いた。
用いていたのは鳴弦の弓。魔を祓うとされるその音色で、烏天狗たちもさらに動きを鈍らせる。
「天狗もまた鬼の一種という訳か。ならば、この太刀の斬れ味はどうだ?」
打ち込んでくる杖を受け止めていた響耶。力を持った鬼は戦闘も洗練されてくるが、酒と弓の多重効果からか攻撃に切れはない。
相手の力量を見抜くと、響耶は一転して強く相手に踏み込む。来る一撃はあえて急所のみを外して身に受けると、そのまま太刀・鬼切丸を重みのままに相手へと振り入れる。
「があああああ!!」
攻撃直後の一撃は躱しようもなく。重い一撃は響耶の予想通り、常の威力を超えて烏天狗を傷つけた。オーガスレイヤーの二つ名はけして伊達ではなく、倒れた烏天狗はただその一撃で瀕死に喘いだ。
転がる烏天狗たちを前にして、天矢は皮肉げに笑う。
「さっきの続きだが‥‥俺らが勝ったらこの猪口を返してもらう。そういうことでいいな」
猪口には傷もなく、依頼人に渡せば喜んでくれるだろう。
「それより、こいつらどうしよう。どっかの修行場から逃げたとかなら、上役の天狗に引き渡すのがいいんだろうけど‥‥」
呻く烏天狗たちに目をやり、アイーダが困る。慈悲で命は取らなかったが、そうするとその後の処遇が問題になる
「処遇は役人に任せればいいだろう」
「それって、多分私たちになると思うけどね」
告げる天矢に、紫由莉が笑う。京の組織は数あれど、妖怪絡みならまず黒虎部隊が妥当だろう。
「まぁ、これで悪さをすればいずれ己に返ると分かっただろう。もう二度と悪さをしないなら助けてやる。誓いの証文もしっかり書く事。その上で、もしよかったらこの山の守り神になったらどうだ?」
天斗の提案に、烏天狗たちは拗ねたようにそっぽをむく。本当に守りにつくかはよく分からないが、懲りてはいるよう。
「まぁ、いい。もし何かあればまた自分たちが呼ばれるだけだ。ただし、これまで盗った物は全部返す事。どこに隠した?」
響耶が睨みを入れると、渋々と棲家の場所も吐き出す。この山に来て日が浅い為、量こそ少ないが、それを持ち主にどうやって返すか‥‥細かい話は検非違使に任せればいいかと打算を巡らせる。
「ところでだ。烏天狗が出した問いの答えって何だ?」
「東だろ? 漢字を見ればすぐに分かる」
「ふ、やっぱりか」
すっきりした所で、依頼の成功を告げに京へと戻る。
「猪口は無事に戻った事だし。せっかくですから、この猪口と一緒に皆で飲みたいですわね」
多分、依頼人も喜んでくれるだろう。祝杯をこれで上げるのは確かにいいかもしれない。