【姫路】 山に集うは何ゆえか

■ショートシナリオ


担当:からた狐

対応レベル:4〜8lv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月14日〜06月25日

リプレイ公開日:2005年06月22日

●オープニング

 播州姫路。
 京の西に存在する藩は、二年前に藩主の交代という大事が起きて以来、不穏な空気に包まれている。
 野党の横行、妖怪の台頭。藩の役所も当然その対応に追われているが、手が足りないらしい。
 そこで、市井の中にも猛者はいるだろう、と藩主・黒松鉄山の一声により、妖怪を狩り出した者に金一封を授ける事となった。
 
「だから、妖怪退治を手伝ってくれねぇかな?」
 言って、冒険者ギルドに飛び込んできたのは姫路に住むという一人の少年だった。
 その少年を、上から下まで綺麗に舐めるように見つくした後に、
「‥‥猛者?」
「いいじゃないかっ。見てろ、今にでっかくなってやるんだから!!」
 疑問符を浮かべたギルドの係員に、吼える少年。確かに骨太で体格はいいが、全体的に痩せている。さらに、年を聞けば十五らしいが‥‥にしてはチビだ。
「まぁいいさ。で?」
 とりあえず先を促す係員に、不満そうにしながらも少年は従う。
「うん、俺らの村の辺り、最近蝶が多いんだ」
 姫路の里には蝶が出る。掌大の黒蝶で、羽の燐粉に毒を持つ。触れれば皮膚がかぶれるし、大量に吸い込むと生命に関わる。
 蝶自体は珍しくも無いが、今年は例年に無い大量発生をしている。増えた蝶対策に、以前冒険者らも駆り出されている。それでも、自然が相手とあらば、やはり早々簡単には減らないか。
 と思いきや、微妙な顔で少年は首を傾げる。
「そういうのとはちょっと違う感じがする」
 前々から確かに蝶は多かった。だが、不自然な増え方でさらに蝶が集まるようになったという。
「っていうのも、村の近くの山に妖怪が出るようになったらしくて。そいつが蝶を集めてるらしいんだ」
 山を行く猟師が出会ったのは一人の女。街道があるでなし。普通の女がいるような場所で無かった。
 不審に思った猟師が声をかけた所、周囲の蝶が一斉に猟師に襲い掛かってきた。葉の影、木の裏、どこに隠れていたか無数の毒蝶が猟師に纏わりつき、猟師の息を止めんとばかりに口や鼻に潜り込もうとまでする。
 明らかに異様な事態。必死の思いで蝶を振り払い、猟師は逃げた。逃げる最中、その女が件の黒蝶となり、空へと消えたのを見る。
「蝶化身か‥‥」
「ちょー‥‥け? 何?」
 首を傾げる少年に、一つ頷く。
「簡単に言えば化け蝶だ。人に化けるだけでなく、周囲の蝶を操る能力があるらしい」
 係員の説明を、ふーんと珍しそうに聞く少年。
「何でもいいや。村の皆も困ってるし、そいつを捕まえたいんだ。出来れば生け捕りにして」
「? 何で生け捕りなんだ?」
 聞き返す係員に、少年が口を尖らせる。
「殿さまが言うには、妖怪でも改心するなら人里離れた山奥などに連れ行き、そこで静かに暮らしてもらいたいだってさ。ただ、生け捕りなんて早々に出来る事じゃないし、死んだ奴でも仕方ないけど、その場合はちゃんと屍骸を証拠として持ってくる事。一部分とかだと認めない時もあるから注意しろって」
 頷きながら、神妙に聞いていた係員。
「なるほど。で、報酬は?」
 そう詰め寄ると、うっ、と息を詰まらせる少年。まぁ、見ただけで、支払えるような金など持ってなさそうな身なりである。
「あー、でもでも。役所に届けたら金一封出るしその分け前は払うからさー。でもでも、やっぱ俺としては依頼人なんだし半分ぐらいはもらう権利あるよなーとか‥‥」
 お愛想よろしく告げていた少年だが、係員がムッツリと黙って効果無しと見たか、今度は泣き事を繰り出す。
「頼むよぉ。うち家族多いけど父ちゃんはいないし、最近税の取り立ても厳しくなったんで家計が火の車なんだよぉ。山だっていつまでも放っとく訳にはいかないし、だからといって妖怪退治したくても周囲の大人はアテになんねぇし、んなもんだからわざわざはるばるここまで小さい子供が歩いて来たんじゃないかー。ほーら、けなげな俺に拍手」
「自分で言うなっ! ‥‥ったく。じゃあ、一応依頼は出しておいてやるから。けど、期待はするなよ」
「へへ、ありがと。おいらは小銀太って言うんだ。よろしくな。それと‥‥」
 笑顔を浮かべた少年――小銀太はふと力を無くすとぐったりと倒れこむ。
「お、おい?!」
 妙な病気じゃないだろうな、と心配しながら、係員は少年を支える。
 だが、少年はややぐったりとしながら顔を上げると‥‥、
「依頼追加。何か飯食わせて。なるべくただで」
 盛大に鳴り響く腹の虫。係員は支えていた手を離すと、地面にぶつかった少年の頭に思いっきり拳骨かませた。

●今回の参加者

 ea2495 丙 鞘継(26歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea3363 環 連十郎(35歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea3610 ベェリー・ルルー(16歳・♀・バード・シフール・イギリス王国)
 ea8904 藍 月花(26歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ea9272 風御 飛沫(29歳・♀・忍者・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

「姫路に向けて遠征しゅっぱーっつ♪ 皆で仲良く楽しく行きましょー」
 愛馬ならぬ愛犬の三月にまたがり、ベェリー・ルルー(ea3610)は意気揚々と指揮する。
 が、三月、一歩も進まない内にしゃがみこむ。
「どうしたのかなー?」
「荷物の分だけ重いんだろうよ」
 苦笑して環連十郎(ea3363)が荷を取り上げると、身が軽くなった三月はぶるりと体を奮わせると俄かに駆け出し、ベェリーがその背で目を回す。
「しかし、そのような妖怪がこの蝶の大派生の裏にいたなんて‥‥。前の依頼では、そこまで掴めず申し訳ありませんでした」
 口惜しそうに藍月花(ea8904)が頭を下げたが、
「うーん、でも。多分だけど。姉ちゃんたちが来た頃ってまだそいつはいなかったんじゃないかなー」
 一応依頼主でもある姫路の小銀太はといえば少々困惑気味に首をかしげたのみ。
「と言うと?」
 聞きとがめた丙鞘継(ea2495)に、ますます首を傾げ、訥々としながらも小銀太は説明する。
「うん。おいらもはっきりとした事は知っちゃ無いから違うかも知らんけど。山に妖怪が出るって話を聞くようになったのは本当に極最近なんだ」
 言って、小銀太はため息つく。
「ってかさー。妖怪が出るなんて話、前の殿サンの時にゃ考えられなかったもんなー。せいぜい狐が化けたとか狸に化かされたとかその程度でさー。なのに、去年ぐらいからかなー。いきなりこういう話をよく聞くようになって。今じゃ隣村に行くのだって何となくおっかねぇんだもん。やんなっちゃうさ」
 愚痴をこぼす小銀太に、風御飛沫(ea9272)は少々目を丸くする。
「なのに、京都までわざわざ来たの?」
「だって、他の誰も頼りにできねーんだもん」
 それを咎めととったのか、さらにそっぽ向いた小銀太に飛沫は軽く吹き出し、頭を撫でる。
「ま、女と餓鬼にゃ逆らえねぇし。放っとく訳にもいかねぇよな」
「へっへっへ。旦那ぁ、頼りにしてまっせ」
 揉み手をする小銀太に、調子に乗るな、と連十郎は軽く頭を叩いた。

「山の奥地に沢がある。道は多少悪いが、流れに沿っていったら迷う事もなかろう。その先で、妖怪を見たんだ。最初は天女でも水浴びしてるのかと思ったが、いやぁ、とんでもなかったなぁ」
 という割には鼻の下が伸びてるその猟師は、次の瞬間、奥さんに頭から盥を叩きつけられてさらに傷を増やした。初夏だというのに全身を布で厚巻きにされているのは、蝶に囲まれた際、毒の燐粉でやられた為。
「最低、鼻などを布や手ぬぐいで覆っておく事。吸い込むと危険ですから。肌もあまり出さないように」
 それを受けて、月花は布を取り出すと全員に対処を指示する。
 馬などは預かってもらい、妖怪がいるという山に冒険者たちは分け入る。
 これといってどことない景色に見えたが、視線を巡らすと、四方にやたらと黒い蝶が飛び交うのが目立つ。道があるような無いような場所を、ベェリー先頭に突き進むと、やがて水の音が聞こえた。その頃には、周囲の黒蝶も目に見えて数を増やしている。
「‥‥近いな」
 呟く鞘継に、全員がうなずく。
 足音を忍ばせてさらに近づく事しばし。
 人影が見えた。一見普通の女性に見えるが、そんな者がこのような場所に居る事がそも不自然だった。顔は確かに美人で、猟師がにやけたのも分かる。連十郎が口笛を吹こうとし、まねだけでやめる。
 軽く目を合わせた後に、仲間がそれぞれに散る。
「‥‥おまえが妖怪か?」
 鞘継は真正面から姿を現し、声をかけた。びくり、と女性が大仰に震える。
「おまえは、誰だ?」
 問うて来たが、目が裏切っている。睨みつけながら、忙しなく間合いを測り、逃げる機会を窺っていた。
「誰であろうと構わぬか。あの小うるさい婆ぁが消えたと分かった今ならば、どうしようがこちらの自由。‥‥早急にここより立ち去れ。さもなくば!」
 つい、と女の手が上がる。
 それに惹かれる様に。四方からひらりと黒い蝶が舞い出てくる。
 鞘継はマグナブローを詠唱した。吹き上がるマグマに蝶たちが纏めて吹き飛ばされる。そのさらに向こう側で、女の姿が揺らいで一匹の蝶に変わるのを見る。
 元より女にどうこうする気は無い。集まる蝶の群は詠唱する暇も与えずに鞘継へと纏わりつこうとする。鞘継が刀で牽制しつつ逃げ出すと、それは簡単に鞘継の後を追った。
 が、鞘継の逃げ足よりも蝶の飛翔の方が速かった。
(「しまった!」)
 目の前をよぎった蝶が羽を震わせ燐粉を撒き散らす。途端、激しい痛みが目を襲い、体を曲げた鞘継にかさかさと蝶の羽音が近づく。
 幸い、視力は異常ない。目を開けるのが少々つらいが、それでも走らねば蝶に埋もれる。
 と、思った時。何も無い空間から煙が巻き上がると、突然大きなカエルが姿を現した。
「参上、蝦蟇ちゃん! 今日はご飯はいっぱいあるから遠慮なく食べちゃってもいいからね!」
 飛沫に応じて蝦蟇がべろっと鞘継を嘗めると、纏わりついていた蝶たちを巻き取り頬張っている。 
「おい、兄ちゃん大丈夫か? さっさと洗わないとつらいぞ」
「ああ、‥‥いろんな意味でな」
 心配そうに顔を覗いてくる小銀太に、鞘継はなんとも複雑な表情で蝶を喰う蝦蟇を見上げる。
「ほら、小銀太くんも。手裏剣教えてあげたでしょ。しっかり狙って、肘から上で投げたら当たるからね」
「う、うん」
 がんばれ〜、と応援する飛沫に、緊張しいしい小銀太は彼女の手裏剣を構え‥‥
「あり?」
 投げた先、木にも刺さらず当たって落ちる。勿論蝶にも当たっちゃ無い。
「うーん、腕の振りがまだ甘いのかな?」
 首を傾げる飛沫。
 何しろ、即席で覚えた上に、的も小さく動いているのだから当たる方が不思議ではあるが。
「そんな暢気な事言ってる場合じゃないでしょう」
 呆れながらも、月花もまた蝶たちを一箇所におびき寄せる。
(「‥‥先日はそれなりに寄っていったのに。今回は蝶化身の方が優先、という訳かしらね」)
 撒いた果実に一応蝶は群がっているが、ほとんどが目もくれずに冒険者らへと殺到している。
 殺到されたからと言って蝶に連携などがある訳でなく、月花自身が囮に動いて網まで誘導し、口を閉めると簡単に捕まえる事が出来たが。
 そうして黒蝶の数を減らす一方で、蝶化身はといえば、その他の蝶に紛れるように現場から遠ざかろうとしていたが、
「逃がしませんよーだ。さぁ、ぐっすり眠っちゃってくださ〜い♪」
 前にベェリーが立ちはだかる。蝶が惑っている内に、詠唱。スリープをかけるも、相手は一瞬ふらついたようではあったが、すぐに気を取り直してまた逃亡にかかる。
「こら、待ちなさいですー」
 追跡を阻止しようと集まる黒蝶だが、その隙間をひらりとベェリーは避け、かつ追い詰める。飛翔もベェリーの方が速かった。
 ベェリーから逃げ惑ううちに、知らず蝶化身は一つの方向に追い詰められていき、
 そして、月花のかけた網へと引っ掛かった。
 即座に網を解くのは蝶の姿では無理と判じたか、人の姿に変じる。
「こんな所で‥‥きゃああああ!!」
 が、破り捨てようと網に手をかけた途端、後ろから忍び寄っていた連十郎に頭から袋をかぶせられる。
 音がせぬよう武器まで置いた念の入れよう。纏わりつく蝶には多少苦労していたようだが、それでももがく蝶化身を袋に詰めると縄で縛り付ける。
「離せ! 畜生、これからようやく自由に振舞えるってのに!!」
「おい。小うるさい婆ぁとか自由になったとか何の話だ?」
 連十郎が問うと、ふと蝶化身の動きが止まった。
 その事に一瞬だけ気を取られたらしい。
「城にいた化け物姫の事だ!!」
 叫びと共にいきなり体を蹴られる。思わず手が滑り、落ちた袋から蝶化身が逃げ出そうとする。 
「何が何かは良く分かりませんけど。これでお終いにしますね」
 慌てて取り押さえた所を、改めてベェリーがスリープを唱える。
 もがいていた妖怪が大人しくなるのにさほどの時間はかからなかった。

 移動しようにも、黒蝶の群れは依然攻撃を仕掛けてくる。毒さえ気をつければ恐ろしくも何とも無いが、その群れを村まで連れて行くわけにもいかない。ので、そのまま掃討にしばしの時間を費やす。
 数の多さはそれなりに苦慮したが、それでもさしての怪我無く駆除せしめ、無事に麓まで下りる事が出来た。
 もっとも、それで終わりでもない。妖怪を役所に届けねば今回の報酬は無い訳だ。
 役所までの距離はさほど無い。途中、目を覚ました蝶化身が幾度か暴れはしたが、ベェリーがその都度眠らせて大事は無かった。むしろまた元の姿に変身したので、軽くなってよかったぐらいである。
「こんにちはー。先日、御挨拶させていただいた者ですけど〜」
「あ、そ。そこで所定の手続きをした後、向こうで金を受け取ってくれ」
 姫路中心部。新たに設けられた役所にベェリーが声をかける。なるたけ陽気に話しかけるが、対する侍の態度は実に冷たい。仕事に対する熱意というものがなく、面倒くさそうに手続きを始める。
「にしても、姫路の藩主は奇妙な触れを出すな‥‥。例えば、ここにいる小銀太のような者が簡単に手を出せる程、妖怪退治は容易ではあるまい‥‥」
「む、おいらだってがんばったぜ。なー」
「そうだね。がんばってたね」
 鞘継の言葉に、むっ、と鼻にしわを寄せる小銀太。同意を求められて飛沫は笑顔でうなずく。
「無理強いをした覚えはないわい。腕に覚えが無ければやめればいいだけの事」
 そこに新たな声が入る。姿を現したのは小柄な老人。やる気なさげに事務をしていた侍たちが顔色を変え、一斉に礼を取る。
(「誰だ?」)
(「この件に関して専門家みたいな人みたいな? 捕らえた妖怪について助言をしてるとかで、藩主じきじきのお声がかりとか何とか。名前は紫暮とか言ってたようなです」)
 その様を見て、連十郎がこっそりと尋ねると、ベェリーが挨拶に来た時に聞いた話を思い出す。
 かまわず、紫暮老は連十郎の手から妖怪が入った袋を奪うように受け取る。
「蝶化身とな。しかも生きているとは大したものだ。力は弱いが、毒はいいし、他の蝶を集めてくれるのは便利じゃの。大概連れてくる奴は死体の一部であまり役にたたんかったが‥‥。ああ、袋は新しい物をくれてやる。向こうで報酬を受け取るといい」
 それだけ告げると、とっとと奥へと引っ込んでいく。にたりと笑う顔はどことなく不気味さを覚える。
「‥‥腹黒そうな御仁だな」
 後姿を見送りながら、不愉快を隠さず鞘継はそう判断した。

 貰った金は結構重い。生け捕りにしたという事でそれなりに弾んではもらえた模様。とはいえ、さらにそれを等分しなければならない。頭数は最高予定より足りてないので、その分儲けも多くはなっているが、それでもあまり十分という感じはしない。
「んじゃ、おいらはこの半分を」
 早速と伸ばした小銀太の手を、月花がぴしりと叩く。
「蝶を捕まえたのは全員の労。よって、ここは全員で均等に分けるべきです」
「えー。知らせたのも俺だぜー」
「では、その報酬は行き帰りの保存食という事で」
「ずるいずるいずるいー。大体帰りっていうけど、おいら姫路で帰りはないしー」
 腕を振るって抗議する小銀太に、鞘継は小さくため息をつくとがしりと彼の小さな頭を握る。
「駄々をこねるな。元より報酬に異論を挟む気は無いが、自分の分を心得るのは大事だろう‥‥」
 鞘継に言われて、小銀太は渋々と口を閉ざす。
「まぁまぁ。落ち着いて。‥‥私の依頼料はいいですから、その分を小銀太くんにあげて下さい。それと‥‥」
 荷物をまさぐると、中から手裏剣を取り出す。
「これは私から。せっかく覚えたんだから、練習して。大事にするんだよ〜」
「飛沫姉ぇーちゃん‥‥ありがとーー♪」
 感極まったのか、泣きながら飛沫に抱きついて感謝している ‥‥というか、金にすっ転んだ様にも見える。いいのだろうか。
「とにもかくにも一件落着。という訳で、このお金でぱーっと宴会にでも使いましょー」
「お、姉ちゃん、太っ腹。」
 ベェリーがぱーっと告げると、諸手をあげて小銀太も喜ぶ。
 その晴れやかな顔を見て和む冒険者らもいれば、今ひとつ腑に落ちない何かを案じる冒険者もいた。