化け物道中 お月さま普及活動?

■ショートシナリオ


担当:からた狐

対応レベル:フリーlv

難易度:易しい

成功報酬:4

参加人数:6人

サポート参加人数:2人

冒険期間:10月15日〜10月29日

リプレイ公開日:2005年10月23日

●オープニング

 草薙の剣探索はひとまず終了し、それに絡んで己の主君を助けんとした者、自身の功を売る機会と乗り込んだ者、単なる野次馬などなどなども、また別の町へある者は戻り、そしてまたある者は流れる。
 そのついでに冒険者ならば冒険者ギルドに顔を出そうという者もいる訳で。
「みーんなー♪ 京都行きたいかー!」
「「「「「おー」」」」」
「罰則は怖くないかーー」
「「「「「おー‥‥お?」」」」」
「んじゃ、京都いこ」
「こら。お待ち下され、子供様」
「むぅ?」 
 ギルドにて。そんな冒険者らを先導していたガキんちょの首を、ギルドの係員がむんずと掴む。
 いや、子供に見えるが実はそうでない。
 江戸近郊の山に住んでる化け兎。うさと呼ばれるその物の怪は、ふとしたきっかけで冒険者と関わるようになり、今では平気に冒険者ギルドにまで足を運んでくる始末。
 人には馴れているし、そも大した妖怪でも無いので半ば放置しているが、それでも妖怪退治を依頼してくる客もいる以上、うろつかれていい顔は出来ない。
 ましてや、卓の上で仁王立ちしてそこらの冒険者らを煽ってるとなると。
「で、何故にいきなりギルドに来て京都へ行こうなのですか?」
「お月様に会ったのーーー♪」
 首根っこを捕まえたまま、精一杯の怖い顔で化け兎に詰め寄る係員。その効果は全く無く、のんびりとした態度のままに化け兎はにぱりと笑う。
 十五夜の月見で、冒険者らを招いたのは先月の話。お月様に会いたいという謎の依頼は、参加した冒険者らの尽力で満足していただけたようで。
 そこまでは理解できるのだが、それと旅行がどう繋がるかが良く分からない。重ねて問うと、やっぱり笑顔で一つ頷いた。
「お月さまに会えたの。とっても良かったの。なので、この喜びを皆様に伝えてより多くの皆様と分かち合ってお月さまは素晴らしいという結論を得る為に、そうだ京都へ行こう♪」
「日本語は正しく使って欲しいのですけど‥‥。何故に京都。御近所でもいいじゃないですか?」
「馬鹿狸たちに自慢するのだ」
 馬鹿狸。化け狸の事である。化け兎同様、人に化けるしか能の無いのは同じだが、いつでもどこでも素っ裸でいたがる分、性質が悪い。そして、うさと狸たちは仲がお世辞にも宜しくなく。
 えへんと胸張る化け兎に、係員は思わず突っ伏す。何故だろう、うさと喋ってるとデコの辺りがごんごん傷んでくるのは。
「と言いますかね。兎さんは確か以前に何だか良く分からない連中に連れられて京都まで行って酷い目にあって、先々月ぐらいに現地の冒険者方の協力でようやく無事に帰ってこれたのでしょう? それに道中、狼やら他の妖怪やらと遭遇する危険もあるのですし。大人しく山で生活してましょーよー」
 疲れた係員が訴えるも、化け兎動じない。
「だいじょーぶ。だから、強いお爺やお婆と一緒に行くの」
「おい」
 言って指差したのは、どう見てもうら若き青少年少女の冒険者たち。軽く係員が睨みを入れると、うさはちょっとだけ首を捻り、すかさずシフールを指差す。
「虫でも可!」
「兎さん‥‥、今確実に何人かの冒険者を敵にしたようですが?」
 見つめる係員に、うさは何の事か分からぬ様子で首を傾げている。
「とーにーかーく。妖怪からの依頼は受け付けませんって何度も言ってますよね? こんな所で騒いでないで、大人しく山に帰りなさい!」
「お山はもう新しい子に任せたもん。今更帰っても困るんだもん。いいんだもん、うさは頑張ってお月さまをひろめるんだもん」
 むっと頬を膨らませると、どこに隠していたのか杵をひょいと担ぎ上げ、足を踏み鳴らして化け兎は冒険者ギルドを後にした。

 そして。御江戸日本橋、旅の起点。江戸から外へ出る大橋の入り口に、欄干にちょこんと腰掛け、江戸から出ようとする人々を熱心に見詰めている兎一匹。
 兎といってもただの兎でなく。子供用の着物を羽織り、手にした板切れには墨で書かれたたどたどしくもぶっとく力強い文字と兎足型が一つ。
 曰く、
『わたしをきょとおにつれててくだちい』

 どうする?

●今回の参加者

 ea1956 ニキ・ラージャンヌ(28歳・♂・僧侶・人間・インドゥーラ国)
 ea2139 ルナ・フィリース(33歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea9164 フィン・リル(15歳・♀・ジプシー・シフール・ノルマン王国)
 ea9557 ミハイル・プーチン(21歳・♂・バード・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb0059 和泉 琴音(33歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 eb0573 アウレリア・リュジィス(18歳・♀・バード・エルフ・ビザンチン帝国)

●サポート参加者

鑪 純直(ea7179)/ 諫早 似鳥(ea7900

●リプレイ本文

『わたしをきょとおにつれててくだちい』
 看板に書かれたたどたどしくも力強い文字。それを掲げる子供の元に冒険者たちが集まる。
 子供といっても化け兎。うさと呼ばれるその化け兎は人と上手くやっていた程一応無害な妖怪ではある。実際、江戸から旅立つ人で橋は賑わっているが、いつもの風景にちょっと変わった子が紛れてるぐらいの変化でしかない。
「うさ、久しぶり♪ わたしも京都は始めてだから楽しみー」
「むー♪」
 アウレリア・リュジィス(eb0573)が手を差し出すと、うさは喜んでその手を握り返し大仰に振り回す。
「一緒に行きたいの? うん、いいよ〜。丁度帰る所だったし、旅は誰かと一緒の方が楽しいよね」
「わーい、虫もありがとう」
「虫じゃないってば〜」
 声をかけたフィン・リル(ea9164)に諸手を上げて、うさが喜ぶ。‥‥口の方はあまりよろしくない模様。
「まぁ、小母さんと言われても間違いではありませんし。お月さまの素早しさを伝えたいとは立派な志をお持ちですわ。道中、御手伝いさせてくださいね」
 和泉琴音(eb0059)がにこりと笑うと、うさも満面の笑みで大きく頷く。
「おいらも実年齢はそんぐらいだし、言われても仕方ないダス。‥‥ところで、うささんは男性? それとも女性でゲすか?」
「助平」
 ぽっと顔を赤らめて恥じらいを見せながら、うさはミハイル・プーチン(ea9557)の頭に杵を振り下ろす。性別を確認しようと着物をめくるミハイルもミハイルだが、うさの一撃も凶器付きな上容赦無い。
「け‥‥蹴りじゃねぇんでゲすか‥‥」
「蹴ったらあんよ見えちゃうもん」
 地に伏したミハイルに、何故か威張って答えるうさ。
「やれやれ。どうやら、本当に一人にしておいた方が危ないようですね‥‥いろんな意味で」
 やりとりを呆れて見ていたルナ・フィリース(ea2139)は、うさの傍に寄ると目線を合わせてしゃがみ込む。
「いいですか? ちゃんと私たちで京都に連れて行ってあげます。ですから、うささんも勝手な行動はしないで下さいね?」
 ちょっと怖い顔して念を押すルナ。うさはやや驚いたような顔をしたが、やがて納得した様子で大きく頷く。‥‥ただし、理解しているかどうかは定かではない。
「けど‥‥わざわざ裏技の月道つこてまでこっちに送ってくれはったのに。いきなり帰ったら、向こうさんはえろう驚きますやろな〜」
 その騒動を想像し、ニキ・ラージャンヌ(ea1956)が頭を抱える。当の兎の方はそんな想像するはずも無く、集まった一同を顔を綻ばせて見上げている。
「ほな、用事もすんだし行くでゲす」
「むぅ」
 ミハイルが見送りに来た(訳でも無いが)二人に礼を述べて歩き出そうとすると、うさもやや後ろからそれにならって足を踏み出そうとし、
「えーとね。でもね、ちょっと待った」
 それに、フィンが口篭りながら制止をかける。
「いやはや、あのね。荷物どうしようかなっ‥‥ってね?」
 苦笑いで誤魔化すフィンの隣。彼女が持つには重過ぎる荷物と柴犬が一匹お行儀よく鎮座していた。

 結局フィンの荷物は小分けして馬などに載せる事にして、浮かれ調子で歩いていくうさと一緒に、一抹の不安を抱えながらも、冒険者たちは京都へと旅立つ。
「うぇえええええん」
 そして、そのすぐ後ぐらいに。大泣きに泣いているうさの姿があったりする。
 というのも、船の方が襲撃やらうさ自身の行動などを警戒しやすかろうと判断し、ニキが船場に連れて来たのが発端。宿敵(?)たる化け狸たちとの競争心を煽ってその気にさせたのはいいが、やはり大量の水が怖いらしく。暴れるのは何とか押しとどめたが、その分我慢なら無くなったのか泣きに走った訳だ。
 最終的にはニキによじ登って貼り付き、動こうにも動けなくなる。
「あー、ほんまにうちが悪かったさかい。そんな泣きやらんといてぇな」
 周囲の事情を知らない者からすれば、子供を泣かせてるぐらいにしか見えず。ほとほと弱り果てたニキが丁重に頭を下げる。
 で、海は断念して、普通に陸路に行く事にしたのではあるが、
「きょおとは西。お日様あっち。だからこっちね」
「え? ちょ、ちょっと待ってよ〜」
 大雑把に方角だけを確認すると、いきなり道も無い山の中に飛び込もうとする。着物の襟元を掴んでフィンが止めるが、体重差があるのであまり抑止にはなっていない様子。
「うささん、お月さまを広めるにはお相手が必要でしょう。人の多い街道を行く方がよろしいかと思いますが?」
 笑顔のまま、琴音が穏やかに諭す。うさは分かっているのかいないのか、ただ首を傾けている。
「けど、陸路を行くとなると少々人目が気になるでゲす。今は人化していてもいつ兎型に戻るか分からないでゲすし。妖力も無限じゃないでゲしょ。いい人ばかりじゃなし‥‥おいらも被り物を外せないでゲすからねぇ」
 三度傘を深々と被りなおし、ミハイルが告げる。ジャパンはハーフエルフにわりと寛容とはいえ、事態を知る人もいるし、狂化すれば当然のように奇異の目で見られる。自らの経験にも裏打ちされて、言葉は重く胸に響く。
「そうだね。実際、うさが前に京都行ったのは悪い奴に捕まえられて、だったんだしね」
 アウレリアが心配げにうさを見る。うさもさすがに不安を感じたか、何も言わずにただ冒険者らをじっと見上げる。 
「ほな、お守り代わりというか気休めに。これでも着といて下さい」
「むー♪」
 ニキが青竜の法被を着せる。事態を相変わらず飲み込んでない風でうさは新しいおべべに素直に喜んでいる。
「わーい、見て見て〜。かわいい?」
 と、早速とばかりに道行く人にお披露目にかかる。
「うささーん。言いましたよね? 勝手な行動はしないで下さいと」
 あちこちうろついて話しまわるうさに、怖い顔してルナが叱る。うさはちょっと怯えたように縮こまったが、口がへの字にとがってる辺り、どうも反省は無い様子。
「あまり迂闊に人に話して回ると、捕まえて鍋にされるよ」
「鍋になんてならないもん。鍋になるのは狸だもん」
 アウレリアが諭すが、ふいとそっぽを向くうさ。‥‥どうにも事態を分かってない。
「‥‥とにかく、楽器の音が聞こえたら戻って来て下さいね。さもなくば置いていきますよ」
 にこりと不気味な程の笑顔で琴音がうさに諭すと、その意味を知らずにうさはやはり調子よく頷いている。頷いたが、やっぱり次の瞬間には目線があちこちに彷徨い、体をうずうずさせている。
「‥‥道中は気をつけておかねばなりませんね。うさ様荷物少ないですし、そこらの畑で荒らしかねませんから、見張っていませんと」
「それらは考えてきたんで、食料は多めに持ってきたんやけどなぁ」
 そんなうさを見ながら、琴音とニキが不安に顔を曇らせていた。
 どうにも旅立ったばかりというのに前途多難である。
 
 さて、突然だが。出発の日は十五日である。
 この日、各地の月道は開く。これは月魔法を使う必要があり、その月魔法は使用に条件がある。その条件の一つに満月の真夜中でなければならないというのがある。すなわち、月道が開くこの日は必ず満月なのである。
「お月見だーー♪」
 で。満月を見上げながら、喜色満面で飛び回るうさがいる。
 勿論、旅路の途中には宿もある。泊まる事も出来る。が、妖怪連れである事と、そのうさが日の入り前からやたら騒ぐ為に、仕方無しに野宿になっている。泊まれば他の客に迷惑になる。
 当のうさはニキにもたせてもらった身代わり人形の手を取って月光の元で踊りまくってる。
「本当にお月さまが好きなんだね〜。お姉ちゃんなら喜んで協力したんだろうな〜」
 フィンはしみじみとそんな事を考える。ま、結局楽しい方がいいし、別段うさの方も気にしていないので一緒に踊りだしている。 
 琴音が楽を奏し、しばし、そこは宴の場になる。
「そういえば、うさはどうやってお月さまを広めるの?」
 さんざ踊りまくってまずは小休止と、一服するうさにフィンが問いかける。
 返って来た答えは、
「頑張るー」
 と、何とも抽象的な話だったが。
「そういえば、そのお月さまというのはどんなものなのでしょう?」
 ルナが首を傾げる。うさも首を傾げて、黙って天を指す。
「それはそうなんですけどね。確かお月さまは音楽が大変お好きなんだとか」
 琴音が言うと、フィンが頷く。
「いろいろ聞いてるよー。だから、歌を歌ったり楽器演奏したりしたら月の精霊も喜んでくれるかも。‥‥でも、今騒ぐと危険なものが来るかもしれないよね」
 急に思い当たってフィンが辺りを見回す。なるべく安全そうで夜露をしのげる場所を選んだ為か、遠くで梟が鳴く以外は静かなものだ。
「見張りはしよりますけど‥‥。それより明日からも移動やさかい、そろそろ寝た方がよろし思いますんやけどね」
「見張りは三交代ぐらいにしようか。でも、一晩中騒いでそうだね」
 うきうきしながら月を眺めているうさを見て、アウレリアがワイナモイネンの竪琴を取り出す。
「何、それ? 楽器?」
 異国の楽器につられてうさが顔を近づける。
「そうだよ、今、引いたげるからね」
 アウレリアが奏で出す。物静かな子守唄でうさを眠らそうとする。
 最初こそうさは神妙に曲に聞き入っていたが、段々興が乗ったのか、適当に歌をつけて歌いだす。
「うーん、静かにはしてくれたけど、ちょっと期待と違うような。魔力込めた方がいいのかな?」
「歌って踊って人に化ける時点で動物とは違いますよって、そこらはあまり関係ないんとちゃいますやろか?」
 終わった途端に、また月見て踊りだすうさにアウレリアは多少困惑し、そんな彼女にニキが軽く苦笑する。
「今は浮かれてますし、遊び疲れるのを待つ方がよいかもしれませんね。‥‥楽器の練習をいたしませんか? 良かったら笛も差し上げますよ」
「わーい、ありがとう〜♪」
 琴音が告げると、うさが横笛を受け取り、喜びを抱きついて表現する。
「とはいえ、明日からもこの調子だと大変だし。ちょっと方法を考えないとね」
 その様を見て頬を緩ませはしながらも、眠そうにしているペットたちを横目にしてアウレリアはそう嘆息づいた。

 歩を並べて冒険者たちは行く。秋の日差しは暖かく、風も冷え込んできたが寒くは無い。紅葉にはまだ少し早いが、それでもただ歩くだけで楽しい季節だ。
 そんな中、うさはといえば朝から人化けもせず、ミハイルのエチゴヤマントを羽織って、ルナの馬に乗っかりっぱなし。馬の尻にへばりつくようにだれている兎に、はためく越後屋印。‥‥何かの宣伝のようにも見える。
 はぐれたり見知らぬ人についていかないように少々脅しをかけるべく、アウレリアがイリュージョンで鍋にする幻影を見せたのだ。
 当兎には魔法を使ったとは思わせず悪夢を見たのだと諭したが、さすがに疑似体験した効果は覿面。すっかり大人しくなった。が、大人しくなりすぎた気もする。
「ちょっと薬が効きすぎたかな〜」
 さすがにアウレリアも罪悪感に捕らわれかけたのだが。
「あれ? うささんがいなくなったでゲす?」
「「「「「え?」」」」」
 静かにしているのだからとちょっと目を離した矢先に、いつの間にやら馬上に姿が無い。琴音が慌てて楽器を鳴らし、他の者も名前を呼ぶ。しばらくすると、うさが出てきた。両手一杯に芋を抱えて。
「どうしたんですの、それは?」
「お芋持ってる人がいたから、兎のまんまでじっと傍にいて顔を覗き込んで手を出しとくの。そしたら、くれたー」
 琴音が目を丸くすると、笑顔でうさが答えた。悪びれも無い様子に逆に冒険者の方がどっと疲れる。
「持ってきた保存食も食べてたのに、まだ食べはるんですか」
「お芋美味しいよ?」
「それはそうですけど‥‥」
 何かもう笑うしかないニキ。
「う、さ、さ〜ん。勝手な行動はするなとこれで何度目か覚えてますか〜?」
「む、むぅうう?」
 ルナが笑顔でうさに詰め寄る。笑顔ではあるが、気配はさっぱり楽しく無い。妖気にも似た気迫にうさはじりじりと身を後退させている。
 その後のお仕置きについては‥‥とりあえず、見てみぬフリをする冒険者たちだった。
 
 そんな調子で、旅は穏やかに進んだ。途中でうさが犬に追われたり旅芸人についていきそうになったり店の品に勝手に手をつけそうになったりと細かい事は多々あったが、それはその場にいる者で何とか切り抜ける。
「京都、到着〜。皆ご苦労様〜」
 しかし、細かい事も積もり積もれば山となる。京都の南大門を目にした時には、元気なのはうさぐらい。冒険者一同肩の荷が下りる思いだった。
「うさはこれからどうするの? 当てはあるの?」
 フィンが尋ねる。うさを家に招きたい所だが、さすがに大家が許さない。それでも名残惜しそうに尋ねると、うさはちょっと首を傾げた後で大きく首を縦に振った。
「まぁ、うささんの京都での知り合いは限られるだろうし。わたしも着いてくね。事情説明は必要だろうし、お土産も渡したいし。そいでもって、その後は観光だー♪」
 アウレリアの弾んだ声にあわせてうさもまた弾んで歩き出す。
 無事にたどり着けた事に安堵しながら、冒険者たちは京の都へと足を踏み入れた。