【神剣強奪】 御所強襲
|
■ショートシナリオ
担当:からた狐
対応レベル:6〜10lv
難易度:難しい
成功報酬:3 G 71 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:12月22日〜12月27日
リプレイ公開日:2005年12月31日
|
●オープニング
京都御所。神皇の御座所であり、国家の中心たる場所。
当然護りは厚く、生半なモノでは近付く事さえ許されない。
というのに、ここ数日、何故かそれに輪をかけて厳重な警備が敷かれていた。
「しかし、晴明さまの仰る事は本当であろうか」
「さあな。だが晴明殿の占いとあらば、疎かにも出来まい」
御所内のとある場所を警備する衛士は疑問を口にする。きりりと気を引き締めている同胞に対し、彼は今一つ納得いかない様子で、それでも警備の任を疎かにする事無く周囲に気を配っていた。
陰陽寮にて陰陽頭を務める安倍晴明が御所を訪れたのが問題の数日前。曰く、「東より凶が入り込み、御所に災いを為す卦が出ている」との事。
詳細までは分からず、占いなり調査なりで更なる調査を進めるものの、用心の為警備は厳重にしてほしいと伝えてきたのだった。
以来、今の警備が敷かれるが、それに反して大事の起こる気配は無い。
そも、何が起きるというのか。
陰陽師・賀茂陽憲が「京の凶事は源徳公が摂政であるせい」との公言に絡めて、もしや江戸が謀反を企てるかと緊張する者もいたが、さすがにその気配は無いとすぐに判じられた。
鬼どもが暴れるならむしろ北からだろうし、黄泉人ならば南。東からの脅威というのは今の所、これと言って考えられなかった。
そもそも通常の侍たちに加え志士や陰陽師と云った日本では珍しい精霊魔法の使い手たちによっても護られるこの場所に、何の災いが訪れようというのか。
そうした疑問を持つ者は多くは無いが、少なくもない。丁度、疑問を口にした彼のように。それでも警備につくのはやはり晴明の実績と、万一もあってはならない場所だからだ。
黙って持ち場の見張りについていた衛士たち。だったが、
「‥‥何やら外が騒がしいようだな」
高い御所の塀を越えて聞こえる騒々しい音に気付く。
「また人斬りでも出たか。最近は何やら恐ろしい程腕の立つ奴が暴れまくっているようだが‥‥」
物見遊山に出られる場所でも向かう事態でも無い。だから、市井の苦労を思って、本当に何気なく衛士は空を見上げた。
そして、見る。
「あれは‥‥」
空を覆う影が近付いていた。
御所には、晴明が急な来訪を告げていた。
「江戸より火急の知らせが。どうやら向こうの狐が神剣を奪う簒奪を企てているようです‥‥確証は無いものと報告が遅れましたが恐らく、占いで出た凶はこれと思われます。襲撃は数日の内に行われてもおかしくはないでしょう。ひとまず至急の警備増員としてギルドに頼み冒険者たちをお連れしました。ただちに衛士たちも参集し‥‥」
応対に出た官吏に事情を説明している最中、周囲に悲鳴が轟いた。
「何事ぞ!」
「空より大烏たちの襲撃が‥‥いえ、烏ではなく狐!?」
官吏が庭を走る衛士を捕まえる。口早に説明する衛士たちに、聞いていた晴明が微妙に顔を歪めた。
「もしや襲撃は御常御殿ですか? 神皇様は!?」
「はい、その通りでございます。神皇さまはご無事で、先程難を逃れる為にひとまずは清涼殿へと渡られました」
「空に三十か四十かの烏の群れが現れたかと思うと御常御殿へと恐ろしい勢いで突っ込み、そのまま扉を蹴破られ侵入され‥‥。その場にいた衛士たちがただちにこれを駆逐せんとした所、不利と悟ったか狐たちは他の御殿へと散開、あちこちで騒ぎを広げております」
広い御所内、あちこちから悲鳴が聞こえる。女房の上げる甲高い叫びに、衛士たちの上げる怒声、狐の咆哮に翼の羽ばたき‥‥。
「少々遅く‥‥。いえ、ぎりぎりで間に合ったというべきでしょうか。東からそれ程の団体が来れば人目にもつきましょうし、とすると、少数で乗り込み京の土着狐たちがそれに便乗したか、呼応したか。‥‥いずれにせよ、嘗められたものですね」
小さく息を吐くと、晴明は衛士へと指示を出す。
「衛士たちは各所の警備を固め、御貴族方や女房たちをお守りして下さい。そして何があろうと神皇さまにお怪我などないように。目的が違うとはいえ、もののついでで何をするか分からない道理の無い輩ですから。
狐らの目的は剣璽の間の神剣。そちらには我らが向かわせてもらいます」
そして、晴明は振り返る。
「着いた早々申し訳ないですが。そういう事情ですので、狐狩りをお願いします。――律令の如く早急に」
●リプレイ本文
御所へと降りかかった鳥の群れ。それは狐を連れてきた。否、鳥たちもまた狐の変化に過ぎない。
「御所に土足で乱入するとは無粋の極みね、許せないわ!」
「全くだ。無粋な客には早々にお引取り願わねばな」
きぃと歯を噛み締めていきり立つ昏倒勇花(ea9275)に、霧島小夜(ea8703)が当然と頷く。
御所に入り込んだ狐たちは神剣が祀られている御常御殿を狙った。しかし、衛士たちに阻まれるや今度は御所内全域に散り、荒らし回りだしたのだ。
総数としては三十か四十か。とにかくこれだけの数の獣が暴れまわっているのだ。御所は至る所大騒ぎである。
「彼らの目的は神剣。それを使って何を企んでいるのかは知りませんが、それを成し遂げさせる訳には参りません。陰陽寮からも直に援軍は来ましょうが、それを悠長に待つ時間もありません」
安倍晴明は多少申し訳なさそうにしながら告げると、鷹神紫由莉(eb0524)が不適に笑う。
「仕方ないですわね。神剣を奪われる訳には行きませんもの」
「王と王城を守るのが騎士たる勤め。この際、助太刀させて貰おう!」
ランティス・ニュートン(eb3272)が目を向けると、一同揃って、狐たちの騒ぐ御所へと走り出した。
御常御殿があるのは御所内東側。御所中で最も大きな御殿であり、神皇の日常の御座所である。
日本最高峰の場所なだけに、建築の仕様はもちろん室内にいればその雅さに目を奪われる。庭も四季の草花が植えられ、石組や灯篭などがうまく配置されており、それは優雅な庭園‥‥のはずが、狐たちにあらされ無残な限りである。
散った狐たちを追ったのか、衛士たちの姿は少ない。その代わりとばかりに散ったはずの狐たちの姿が舞い戻っていた。
「こら! あんたら何しとるんや!!」
御殿へと上がり込もうとしていた化け狐たちを将門雅(eb1645)が一喝する。
「噂に聞く狐たち‥‥。古くは華国、そして現在では江戸でもいろいろ暴れているらしいね。だが、もう好きにはさせない! 正義と秩序の証たるこの腕輪にかけて!!」
ランティスが刀を掲げる。否、その腕に填められた腕輪を差し示す。高らかな宣言に、狐たちは明確に不愉快そうな顔をすると、ぱっと庭に散る。
十分な距離を置き、あるいは木陰や軒下などと隠れやすい場所に身を置きながら、冒険者たちの方を向き直り、声を上げて威嚇する。殺気立った気配ながらも、向こうから向かってくる気は無いようだ。
「小賢しいわね。これで釣られてくれないかしら」
紫由莉が油揚げを見せびらかすが、狐らの態度は変わらない。
「行動は二人一組。人化けして判断つかない相手は合言葉で」
「助けてみたら狐だった、じゃ洒落にならないからね。ひょっとすると鷹神嬢の油揚げは探知装置だったのかな?」
「そうはうまくいかないけどね」
ランティスの軽口に、紫由莉が肩を竦める。
小夜が告げるまでも無く、あらかじめ決めていた二人で組むとすぐに散り、狐の後を追う。もっとも、合言葉は衛士たちにまできちんと伝わっているかは分からない。騒がしい現場、すでにどこに狐が入り込んでいることを思えば誤って狐たち側にも伝わっている危険もある。
追いかける冒険者でまず突出したのは雅。疾走の術で追い回すと、待ち構えてた勇花がすかさず蹴りを入れる。
ケインと鳴いた狐にもう一度蹴りを食らわし、最後にむんずと掴んで投げ飛ばすと――狐のままだったので、どう締め上げるかわからなかったのだ――硬い石の上に落ちる。
狐は四肢をつっぱらせると、声にならぬ声を上げた。が、そこで転がっていては命が危うい。よろけながらも木の陰へと逃げ回り難を避ける。
「通常攻撃は効くのね。よもやと思って用意はしてきたけど」
勇花が胸元に手を当てる。そこには短刀・月露の感触。武器を使っても戦えない訳ではないが、使えば技の種類も減ってしまうのが悩み所であった。
「ただの動物から多少マシになったという程度ですからね。そしてあれはもう少しマシになったという程度でしょうか」
晴明が見上げる先には、御殿上を飛び回る三羽の烏。
妖狐と化け狐では若手と熟練の冒険者ぐらいの差が出る。飛び回る彼らは、人間以外にも変化出来る辺りただの化け狐より優れているが、力の程はやはり化け狐と同等。妖狐になどまだまだ及ばない。丁度それらの中間ぐらいの存在なのだろう。
なお、その九尾ともなればその妖狐すら軽く陵駕する力を持つ。恐ろしい限りである。
あいにく今回の冒険者たちは長距離の攻撃を得手とする者が少ない。それを見越してか、距離を保って冒険者を見下ろしていた三羽。そこに、晴明がムーンアローを射掛ける。
翼を射抜かれた一羽が失速。残る二羽は散開した。御殿の屋根へと落ちた一羽はそこでとどまろうと踏ん張り、しかし、果たせず覚悟の上といわんばかりに、転がるように落ちてきた。
その落ち行く先を見計らい山本佳澄(eb1528)が駆け寄る。が、その横合い、飛び出してきた狐がそれを阻まんと喰らいついてきた。
はっとして佳澄が斬り払う。が、ライトニングソードの威力に耐えると狐は易々とその牙を剥き、
「ギエエィン!!!」
狐が噛み付いた腕から、けたたましい音を上げ火花を散る。たまらず狐が悲鳴を上げて飛び退ると、苦しそうにもがく。
「電撃の味はいかがですか?」
にこりと柔らかな笑みを向けると、そのまま佳澄はライトニングソードを斬り付けた。悶えていた狐がさらに飛び退こうとしたが、すでに遅い。その一撃を浴びる。
再び悲鳴を上げる狐。だが、次の瞬間に一転、狐は再び佳澄の腕へと齧り付く。
途端、触れた部分から火花が飛び散る。先の負傷が効いているのか、力そのものは無いが、その分、全体重を込めて圧し掛かって来る。今こうしてる間でも、痛手をこうむっている筈なのに、狐は佳澄を離そうとしない。
「何ですの!?」
目に宿るは狂気にも似た強い意志。尋常でない気迫に佳澄は背筋に薄ら寒いものを感じる。
「そのまま動くな!!」
焦って狐から離れようとする佳澄にランティスが叫ぶ。
同時に、両の手に日本刀を鞘走らせると佳澄に喰いつく狐へと斬りつけた。
素早く掠めるような剣筋は狐の身を×の字に切り裂く。オーラパワーも付与して、切れ味抜群の刃。血が噴きあがり、狐は目を剥くがそれでも腕を離さない。
「このっ、放して下さい」
仕方なく顎でこじ開け、狐を放す。虚ろな眼差しで、横たわる狐はそのまま恨みの一つでも繰り出すかのようで‥‥。
「おい、大丈夫か?!」
噛まれた傷を見咎め、白翼寺涼哉(ea9502)が声を上げる。医師の身としては気になるのも仕方ない。だが、その横を向いたのを好機と見たか、化け狐が三匹、安置してある神剣目掛けて一気に走りこんでくる。
「嘗めるな。『誠刻の武』の名に懸けて! 神剣は渡さないねぃ!」
向かってくる狐に哉生孤丈(eb1067)は気迫を込めて立ち向かう。
乗り込む前は建物に傷つけるのを恐れて、刀を小振りにするかと思案したが、さすがは神皇の御座所。広さも高さも段違い。支える柱や周囲の襖絵などにはさすがに気をつけねばならないが、だが、やりようによっては窮屈にはならないはず。
問題は斬った血飛沫の方だが‥‥この際、仕方ない事と許されてもらうしかない。
そして、孤丈は牙を剥く狐たちに、両手の武器をたたき付けた!
武器の重みも加えた二撃。右腕の太刀・三条宗近は易々と狐一匹を両断し、左腕の十手はそこまでの威力は無いものの確実に手応えがあった。
だが。その打ち据えられた狐たちのさらに脇からもう一匹が走りこむ。そちらは涼哉がコアギュレイトを仕掛けようとし‥‥何も無いまま、狐は御帳台構を開ける。手を伸ばせばすぐそこに神剣が鎮座している。
「ここで抵抗されるか!」
涼哉が顔を引き攣らせる。
後々の事も考え、魔法を温存すべく威力は最小にしてある。故に詠唱に失敗する事はありえない。しかし、抵抗されれば意味が無くなるのがこの魔法の怖い所。
「渡すか!」
剣を咥える狐に刃を打たんと孤丈が動く。が、その足に鋭い痛みが走る。見れば、撃たれて弱りながらも狐が食いついていた。
舌打ちするや、狐に止めの刃を向ける孤丈。その首を断ち切ると、剣を持ち逃げしようとしていた狐に刃を向ける。
だが、その間に狐は剣を庭へと放り出そうとし‥‥、中途でその動きを止めた。涼哉のコアギュレイトが効果を出したのだ。
それに安心する間もなく、惰性のついた剣は狐からすっぽ抜けると床を滑り、庭に届かず止まる。それに翔けていた烏狐がすかさず寄ろうとしたのを、
「甘い!!」
小夜が短刀・月露を抜刀と同時に切りつける。素早いその一瞬の斬撃は狐の目では見切る事など出来様はずは無い。ふらりと傾く烏狐に紫由莉が霞刀を叩き付ける。元々が軽い刀だ。その重さ以上を叩き付けんとした渾身の一撃に、たまらず狐は悲鳴を上げる。続けて振るった二撃目も確実に入る。
が、狐もむざとはやられない。奪うのは無理でも神剣を弾き飛ばし、別の狐がそれを奪うと空へと舞い上がる。
「ほんま、しつこいでぇ!! いい加減に‥‥うわっぷ!」
飛んで逃げようとする烏に飛び掛ろうとした雅だが、横合いから飛び出してきた残る一羽に邪魔をされる。それを引き剥がして、空に目を向けるがその時にはすでに烏は天高く飛び上がり手の届く範囲ではない。
晴明が放った月の矢が伸びる。神剣を持った烏を撃ち、羽毛が散るのが見えたが、それでも烏は飛翔を止めない。即座に追いかけようとする冒険者たちを残った一匹が邪魔をする。妨害は長くは続かず即座に討ち取られはしたが、その間にも狐は御所の外へと飛び去っていった。
神剣が狐に盗み出された報告は即座になされ、市内に厳重な警戒網が敷かれた。
相手が変化する狐である以上、果たして見つかるかと危惧もされた。ところが狐たちの方も思った以上の痛手を受けたとか、連れおいたはずの朧車たちがいつの間にやら勝手に戦闘を始めてしまっていたなどの予定外要素があり、迅速に洛内から逃亡とは行かなかったらしい。
そうする内に、検非違使や各藩見回り組の必死の探索で市中に潜んでいた狐も狩り出され、神剣は無事に御所へと戻された。
その頃には御所内の狐たちも掃討され、狐の被害で荒れ果てた御所に泣く貴族や女房へと頭を下げつつも、衛士たちもまた負傷の手当てをしている。
医師であり、僧侶である彼は戦闘後の方がむしろ重宝がられた。たかだか化け狐相手とはいえ完全無傷とはいかず。戦った衛士たちは勿論、逃げ回っている内に怪我をした女房貴族の相手などもさせられる。近くの寺院から人手が来るまでの間、それこそ広い御所内を馬の如く走りまわされた。他の冒険者らもそれを手伝い、ようやく今解放してもらえたぐらいだ。
「しかし、目の前で盗られるとは悔しいな。少し狐たちに気を取られすぎたか」
振舞われた熱い茶をすすりながら、涼哉が呻く。御所内を巡った為に、最も傍にいたのにと非難の声もよく聞いた。
結局の所、狐たちは戦いに来たのではなく、神剣を奪いに来たのである。何匹死のうとも出し抜き神剣を奪えればそれでよく、実際御所から曲りなりに出て行けた狐は極々わずか。後はすべて邪魔な者たちを撹乱し阻止し、今は骸を晒すだけ。
「この一件。発端はといえば江戸‥‥になるんでしょうけど。一体どんな裏があるのかしら?」
勿論、死にたがりの狐ばかりではない。山積みにされた狐たちはすべて彼らの覚悟の末なのだろう。だが、それに何の意図が隠されているのか。見当もつかないだけに勇花でなくとも、気が重い。
「先月江戸で妖狐騒ぎに巻き込まれたんだが‥‥江戸だけじゃあ対処できないんだな」
江戸の町を思い涼哉が嘆息しかけ、盛大にくしゃみをする。
京の冬は冷え込む。だのに、防寒服を持って来なかった者も多い。走り回ってる内には気にもしなかったが。
「せっかく無用の怪我で美女を泣かせずにすむと思ったのに、風邪なんて引かんで欲しいねぃ」
「ま、その時はその美女に看病してもらうのもいいかな」
笑って答える涼哉に、聞くんじゃなかったと閉口する孤丈。あてられるだけだ。
「でも、一段落ついてほっとしたら暖かいものが欲しくなったわね。熱いうどんでも食べに行きましょうか」
「それぐらいなら奢りますよ」
気が晴れたように伸びをする紫由莉に晴明が声をかける。神剣奪取に絡んでうるさ方に呼び出されていたようだが、それも終わった模様。立場が悪いのは冒険者らと同じ、あるいはそれ以上かもしれないが、気にもしてないのは‥‥たいした面の厚さである。
一同、御所を後にする。今だ喧騒止まぬ中に比べて、外は幾分静けさを取り戻してきているようだ。
だが、静けさの中にも何がしかの緊張感がある。また何か起きるのかという不安と諦めに似た空気。
肌寒い空っ風が通りを吹きぬける。
「やれやれ‥‥また奇妙な風が吹いてきたな‥‥」
小夜も遠くを見やりながら、乱れる長い黒髪を撫で上げる。
「‥‥。どんな陰謀を企もうともこの世に悪の栄えた試しなし! あいにく今回は会えなかったが件の妖狐だろうが九尾だろうが、いずれ一本尻尾からやり直してもらおう!!」
言って、明快にランティスが笑う。驚く冒険者たちだが、やがて釣られるように笑い出し、そして、頷いた。