【龍脈暴走】 死凶騒
|
■ショートシナリオ
担当:からた狐
対応レベル:7〜11lv
難易度:やや難
成功報酬:3 G 45 C
参加人数:6人
サポート参加人数:-人
冒険期間:01月29日〜02月03日
リプレイ公開日:2006年02月06日
|
●オープニング
一昨年の夏に始まり、今なお続く狐達の陰謀。
江戸を越えて、果ては京都にまで手を伸ばし、着々とその策を巡らす。
「‥‥なぁ、うちの子見なかったか? 昨日から帰ってないんだよ」
江戸の地下。広大な迷宮遺跡がそこには存在する。
過日の大火によって家を失った者は、冬の厳しさを避けてその迷宮へと居を構える。治安の問題などもあって、源徳は対応に苦慮しているようだが、お上の命よりも明日の命と駆け込む者は少なくない。
幸い、手に職あれば昼は稼ぎに出る事ができた。が、仕事場に子供は連れて行けない。分別は持てる年なのでおとなしく留守しておくよう、言い含めていたのだが、昨日仕事から帰ってもその姿が無かった。
分別あるとはいえ、子供は子供。あるいは他に友人でもできてそこにお泊りする事になったのかもしれない。だが、迷宮に嵌って抜け出せなくなっているかもしれないし、あるいは人攫いにやられたかもしれない。
不安を隠せずに方々を訪ね歩くが、結果は‥‥芳しくなかった。どころか、同じく子供がいなくなったという話を耳にするにいたり、ついに顔色が変わるのを隠せなくなった。
「どうする? 冒険者ギルドにでも相談してみるか?」
「いや、もしかすると探検に出かけて戻れなくなっただけかも。もう少しだけ探してみよう」
そんな親達が集まり、顔つき合わせて相談する。だが、誰の顔にも焦りの色が強くなる。
子を心配して、名を呼び歩き、自然、探索範囲は奥へと広がる。
拠点としている場所を中心に、めったに奥に行く事はない。行っても月道など興味は無い上、管理者に見つかれば小言の一つも言われかねない。道に迷って戻れなくなる可能性もあるし、妖怪がうろつくので危険だと悪い事尽くめ。
だが、今はそんな事を言ってもいられない。手分けして迷わぬよう慎重に奥へと入り込み、
「おい! どうした!!」
そして、うめき声を聞いた。普段なら自分達は勿論、月道目的の者であろうと入り込まないだろう場所。声は幽かだったが、静かな周囲に反響したのが幸いだった。
急いで駆け寄れば、子供が一人岩の上に寝かされていた。縄で厳重に縛られ手動く事も出来ず、猿轡を噛まされて声も出せない。急いで解くと、泣きながら事情を訴える。
「変なおじちゃんが、いきなり」
聞けば、自分以外にも子供が連れてこられ、あちこちに放り出されているらしい。
やはり人攫いか、と緊張する。にしては子供一人をこんな奥地に放りっぱなしにするのは解せない。
他の者も呼び、子供を地上へ戻す役以外はさらに重点的にそこいらを探す。やはり言葉通り、子供達が縛られあちこちに放り出されていた。
そして、
「てめぇ! 何してやがる!!」
放り出す子供の傍に奇妙な男一人。縛った子供を放り出すと、ご丁寧に一蹴りいれている。探し手から腕っ節の強い男が見かねて殴りかかる。が、その男はひらりと交わすとするすると岩を登り、彼らから距離を置いた。
「おやおや、これは大勢のお越し何より」
狐目の変な印象の男だった。妙に丁寧な口調でその実馬鹿に仕切った表情を浮かべている。
「てめぇ! 何してやがった!!」
子供を救い出しながら、残る者たちでその男に詰め寄る。が、その男は彼らの怒気を知りながら、‥‥いや、知ったが故にますます喜びの笑みを浮かべる。
「釣りをしていたのですよ」
「釣りだと!?」
「ええ、撒き餌で獲物も寄ってきますからね。生餌で無いとうまく釣れそうに無いので、子供を使わせてもらいましたが」
悪びれもせずに答える男。
「月道は失敗しましたが、こちらに影響無いなら当面放置しても良いとの事。その代わり、今度は今回の大事に辺り江戸を騒がせろとのお達し。全く、次から次へと御注文が多くて困ります」
いやはや下っ端は大変ですよ、と男は笑む。心底邪悪な笑みに、一同は身を竦ませた。
「江戸を騒がせろと簡単に仰いますが、私如きにそんな大役務まる筈も無く。なので、それが出来そうな相手を招き寄せてみようかと。
ですが、子供とはいえなかなか扱いが難しく。そう思ったら貴方がたが来て下さいました。ありがとうございます。ほら、聞こえるでしょう? 貴方がたの気配に釣られてようやく出てきてくれそうですよ」
言う背後の闇に、何かが近付いてくる音が聞こえてくる。揃う足音、そして何か巨大なモノを引き摺るような‥‥。それらはゆっくりと、しかし確実にこちらへと近付いて来る。
嬉しそうに男が告げる。と同時にその姿が歪んだ。
ばさりと着物が落ち、あっと驚く彼らの前に大きな黒い狐が現れた。にたりと亀裂のような笑みを浮かべて太い尻尾をふると、さらにその姿が歪む。翼が生え、毛皮が羽毛に変わると大烏となって飛び、その場から逃げ出す。
だが、もはや彼らはそちらを見ていなかった。男のいた闇、その向こうに男が獲物と称したモノたちがいた。
足並みそろえてゆらりゆらりとやってくるのは死人の群れ。おそらくはその昔にこの迷宮にはまり込みそのまま出られなくなった者たちの成れの果て。
そして、大百足。誰かと戦ったのだろうか、全身が焼け焦げ明らかに死んでいる。なのに、動いていた。
醜悪な外見、定まらぬ目線。それでも、彼らの歩みは止まらない。否、ますます早くなってくる。
そして、死百足はいかつい顎を全開する。悲鳴を上げて逃げようとしていた人間達を狙いたがわず屠りにかかる。その顎から逃れた者も続く死人たちにより彼らの側へと葬り去られていた。
迷宮に悲鳴が木霊する。
子供を助けた者が集落に戻って事情を話し、さらに人を連れて舞い戻ってきていた。その者たちをさらに餌食とし、死たちは進む。
火事から逃れ迷宮に住み着いていた者たちは、迷宮の奥から現れるそれらの為に、その場所からも逃げる事を余儀なくされた。その逃げる被災者たちを追いかけ、さらに死体たちは迷宮を外へと抜け出して行く。
逃げ惑う人々。足の遅い者から捕まり屠られる。
勿論、武器を手に取り果敢に挑む者もいた。しかし、すでに死屍たる者にさらに死を加えるなど生半な事でなく次々と返り討ちにあうだけ。
人を追い、より多くの生へと引かれ、死の群れは着実に江戸の町へと近付いていく。
その様を空の高みから大烏が見下ろす。しばし眺めた後に、満足そうにかぁと鳴いていずこかへと去っていった。
そして。大地が不気味に鳴動する中、ギルドに依頼が出される。江戸に迫る死人の群れを討伐せよと。
●リプレイ本文
富士の山頂にて、九尾の陰謀が進む。
各地で混乱が起きる中、その混乱に乗じて江戸に害を為さんとする者もいる。
江戸の地下迷宮から出現した死の群れは、静かに確実に迫ってきている。
大半は死人憑き。それに死食鬼も混じり、何より厄介そうなのは大百足の死返りが混じっている事だろう。
「ううう‥‥。足が多いのは苦手である。考えただけで嫌であるな」
全身に鳥肌立てて震えるリデト・ユリースト(ea5913)は身を守るかのように、防寒着を掻き合わせる。
「死人たちの知識については、先ほど話した通り。死百足はともかく、死食鬼は外見死人憑きと似ているが、動きが速い。油断の無いように」
「移動速度も違うよな。早目に見分けておけるならそれに越した事は無い」
訊ねて返した来た日向大輝(ea3597)に、王零幻(ea6154)は断定して頷く。さすがは僧侶というべきか、死人憑きに関する彼の知識は豊富だ。
「はやぁ〜。イギリスで戦った相手よりも厄介かも‥‥」
ミリート・アーティア(ea6226)は少々戸惑いも抱えている。が、それを吹き飛ばすように「頑張らないと」と拳を握る。
「どんな相手だろうと。江戸にはお世話になった人が大勢いるし、帰りを待ってくれてる人もいる。意地でもここで抑えないと」
「火事も妖狐の陰謀も防げなかった。それが全部俺の責任なんて傲慢は言わない。‥‥ただ、その一端は確実に担っている以上、今はそれを果たすだけだ」
奮起して力強く告げるケイン・クロード(eb0062)と大輝。それを見ながら、零幻はふと笑みを零す。
「死して尚彷徨う者に浄化をもたらすは弥勒の教えに生きる者の務め。生者に害為す者を葬るは、自分が生きていた証となる‥‥」
そして、彼方を見つめる。
寂しさにも似た表情は、しかし、強い決意の色を湛えていた。
近隣の猟師から山の地形などを訊ねて、戦闘に有利な場所を探る。
左右が急な斜面である事。木々のある山道の開けた場所である事。限られた地形を求めるのは難しくもあったが、どうにか条件の場所は探し出す事ができた。
大輝が荷から手斧を取り出すと、邪魔になりそうな木などを切り倒して整備する。
ミリートはウェントス・ヴェルサージュ(ea3207)からストーンの経巻を借り受けると、大輝が集めた朽木などに魔法をかけていく。
ケインは零幻から道返の石を借り受けて、結界創造の為の長い祈りを捧げている。誤算というべきかは、道返しの石は安置して祈る必要がある為、動かしてしまうと効果が消えてしまう。なので、戦闘の最中に持ち運びは出来ない。
それでも設置する場所を考えれば、今回の相手、十分に役立つに違いなかった。
まもなくして、山の雰囲気が騒がしい事に気付く。もしやと思う間も無く、死百足たちを探しに出ていたリデトが舞い戻ってきた。
「見つけたである! 奴ら、こちらに気付いたらしくて向かってきているであるよ。間も無く、到着するである」
陰鬱に死人たちが木々を縫って進めば、死百足はその木々をなぎ倒して近付いてきていると言う。
「それじゃ、そろそろ戦闘準備開始だな」
ウェントスが告げると、ミリートも頷く。
弓を下に置くと、フレイムエリベイションの経巻を取り出す。広げて念じれば赤い光がミリートを包み、炎の力が精神を高揚させる。
零幻も同じくフレイムエリベイションの経巻を使用。さらには死の群れに直接仕掛ける大輝にウェントス、ケインへレジストデビルをかけたりと慌しく動きまわる。
「死人は疲れ知らずに負傷知らずだ。数も多い。長引けば不利になる」
最後の注意とばかりに零幻が告げた矢先、木々が倒される太い音が聞こえ出した。
音はどんどん近付いてくる。
緊張して待ち構える冒険者たち。
見守るその前に、木の合い間を縫って巨大な百足が這い出てきた。多少の木など物ともせずに、ただひたすら獲物と定めた冒険者らへと近付いてくる。その背後からは百足に付き従うかのように、土気色の人間がゆっくりと歩き出てくる。見れば歩調の速い者がおり、なればそれが死食鬼だろうとは見当づいた。よくよく見れば確かにただの死人憑きとは違う雰囲気である。
どれも変わらぬ虚ろな眼差しを向けてくる。さしたる感情も無く近付いてくる異形は、かつては人であったという者でも完全に異質としか見えなかった。
実際、もはや人とは別の者であり、害を為す者たちである。
聞き込みや下準備で時間を喰った分、死の群れは人里に近い。何としてもここで叩かねば後が無い。
「それじゃ始めるよ! ごろごろ転がって潰れちゃえ!!」
用意しておいた朽木をミリートが死体たちめがけて転がす。
経巻の効果で石化された朽木は、坂の上から死の群れめがけて勢いよく転がり、幾体かを跳ね飛ばす。
が、石にぶつかろうとも、死の群れたちは止まらない。石の塊に轢かれて潰れても、潰れたままの姿で起き上がり、何もなかったかのようにその歩を進める。
そして百足はそんな石など気にせぬように、坂を上り詰めると冒険者らへとその大顎を開いた。
「こちらが一番か。少し死人たちの相手もしなければと思ってたんだがな!」
勢い込んで迫って来る死百足を、ウェントスもまた迎え撃つべく、ワスプ・レイピアを引き抜く。
「江戸には守るべき人がいるんだ。おまえは、今ここで、この蒼眼の修羅が食い止める!!」
叫ぶや死百足までの距離を一気に駆け抜ける。
「喰らえ!! 奥義、絶刀撃!!」
その勢いのまま死百足にぶつかり、細身の刀身が死百足へと吸い込まれた。
疾走の勢いと、剣の威力。それらすべてが一体となって死百足の身に傷を負わせる。
有効な傷。されど、まだ軽い。死百足は憤慨したように、その牙をウェントスに向けた。
鋭いその毒牙をウェントスはライトシールドで受け取る。動きは遅く十分対処できる。万一喰らっても零幻のレジストデビルのおかげで、大した傷にはならない。
とはいえ、傷を受けなくても、相手に攻撃を入れなければ倒せない。牙を盾で払いのけてその顎にすかさずレイピアを入れるが、それだけでは傷らしい傷はつかず。
「大した化け物だな」
ウェントスは顔を顰める。巨体にぶつかられ、若干体制を崩しそうになりながらもそれを払いのけると、もう一度奥義を行うべく距離を開ける。
威力が増すが大技である為、早々手軽に乱発も出来ない。走り込む間自分が無防備になってしまうが、死人の方は別の冒険者が相手しているので、気にすることも無い。
その時に、突然死百足がその巨体を逸らした。焼けた体を苦しむように悶えて暴れると、ぼろぼろと破片が砕け落ちる。
「ばっちり効果ありである。やはり威力は惜しむべきでは無いであるな」
悦に入ったようにリデトが喜ぶ。
空の高みからピュアリファイ。傷口やら飲食物やらを清める魔法なのだが、同時に死によって動き回るもの達に使えば、害を与える。
魔法の効果はウェントスの一撃よりもさらに大きかった。しかし、それでも死百足のまだ動きは鈍らない。きしきしと体から軋む音を立てると、もう痛手など忘れたように生ある者を喰らおうと動き回ったが。
唐突に、その動きが止まった。
「ふぅ、不動縛呪ようやくか。これで攻撃も楽になろう。‥‥これ以上、無辜の民を殺させはせぬ。永久に滅せよ」
額の汗をぬぐって零幻が嘆息つく。コアギュレイトの呪縛は精神を持たぬ者も縛る。詠唱に問題は無かったが、抵抗されれば無効化される故、それなりに手間取ってしまった。
が、これでもう死百足は動けない。
「だが本当に倒すまではまだ時間がかかる。呪縛の効果が消える前に決着をつけなければ」
ウェントスが剣を構えると、死百足に走り込む。リデトも詠唱を続け、死百足を浄化しにかかった。
もはや動かぬ敵相手。後はその朽ちた体を完膚なきまでに崩せば終わり。‥‥それもそれで大変で厄介だが、戦闘ではなくもはや単なる作業の域だ。
むしろ思ったより苦戦を強いられたのが死人憑きたちの方か。
残りの三人はその死百足の横を回り込み、後ろからついてくる死人たちを相手に奮闘している。
「これでサヨナラ。バイバイだよ!」
ミリートは三本の矢をオークボウに番えると、足だけに狙いを定め、一気に解き放つ。
達人の腕前を持つミリートであっても、それだけの技を披露すれば著しく命中率を削ぐ。しかし、何と言っても相手は死人。避けようともしない木偶のような相手に、矢は次々と的確に刺さる。死食鬼に関してはわずか避けようとする動きは見せたが、反応はまだまだ鈍い。
もっとも、矢は刺さっても歩調にまだ変化は無い。舌打ちしながらもミリートは次の矢の準備にかかる。
そして、ケインと大輝は死人の中に飛び込むと、それぞれ刀を振るう。
「ここから先には行かせない。飛燕剣のケイン、行きます!」
ケインの大脇差・一文字による重い一撃が死人の頭を叩き潰す。
「避ける事の無い相手‥‥だったら、じゃんじゃんぶった斬る!」
日本刀を大きく振りかぶると、力の限りに振り落とす大輝。その重さが十二分に発揮されて死人憑きに叩きつけられると、野菜でも切るかのようにざっくりとその身が割れた。
倒れる死人憑き、その背後からさらに別の死人憑きがゆらりと迫る。そして、死食鬼がぞろりと生えた歯を見せて喰いつきにかかる。
噛み付いてくる牙を大輝が、かろうじて日本刀で受ける。刃が死食鬼の口を裂くが、相手は気にせず代わりとばかりに爪を振るってくる。
「纏めてこられるよりマシだが‥‥面倒くさいな」
死食鬼から目を離さずに大輝が愚痴る。死食鬼の攻撃は鋭く油断すれば、入らぬ手傷を負う。
加えて、周りの死人もぞろぞろと全くの雑魚でも数が揃えば手に余る。
「そろそろあの世に戻ってもらおうか。‥‥唸れ、飛燕!!」
呼吸を整え、死食鬼をにらむケイン。力強い一歩と共に隠した刀身を引き抜き、死食鬼に浴びせかける。
さくりと死食鬼の体に亀裂が入った。だが、それにもお構い無しに死食鬼は歯を鳴らしてケインへと噛み付く。鋭い歯が肉に食い込むや、骨ごと喰い千切らんとばかりに力を振るう。
振りほどきはしたものの、噛まれた所からは血が滴る。レジストデビルの効果もあってただの死人相手では何の傷も受けなかったものが、やはりこの相手は勝手が違う。
「油断は禁物か」
すばやく魔法薬を取りだし一気に飲み干すと、空になった小瓶を捨ててケインは死人たちと向かい合った。
殲滅を果たしたのはそれからしばらくしての事。
死百足を完膚なきまで襤褸に変え終わるのと、すべての死人の群れを地に伏し動けなくしたのはほぼ同じだった。
「や、やっと終わった」
ピュアリファイで消滅していく死百足を見ながら、ウェントスは安堵の溜息を漏らす。無数に切り刻んだ傷跡は、並みの妖怪相手ならばとっくに始末し終えていいようなもの。
「お怪我している人はいないであるか? 治すであるよ。といってもそろそろ魔力切れしそうであるが」
ふらふらと飛びながら、リデトが冒険者達を見て回る。
幸い、後方支援していた者は勿論、前衛で戦っていた者たちも携帯していた薬でこまめに回復していた。
「ん〜、ピクニックだったらよかったんだけどなぁ。でもこれでひとまずは終わりだね」
死体からようやく矢を回収して、ほっとして明るく告げたミリート。だが、その言葉に、大輝が首を横に振る。
「迷宮内の被害者の死体の収容と、その弔いも必要だろう。‥‥こんな事くらいしか出来ないなんて、まだまだ修練が足りないな」
口惜しそうに俯く大輝。
平和が見えるのはさていつの日なのか‥‥。