【京都見廻組募集】 迷惑な春風

■ショートシナリオ


担当:からた狐

対応レベル:1〜5lv

難易度:やや難

成功報酬:1 G 35 C

参加人数:8人

サポート参加人数:1人

冒険期間:03月13日〜03月18日

リプレイ公開日:2006年03月22日

●オープニング

 立春から春分に吹く南からの最初の風を春一番という。風は春の到来を告げる。しかし、盆地の京都では山から吹き降りる風は強く、時には人も物も拭き倒してしまう。
「んでもって、お姉ちゃんの丸裸はいけないよね」
「服だけ飛ばされるんってのかい」
「違うよー。服だけ斬られちゃうんだよー」
 何故かしみじみと告げる京都見廻組・坂田金時。子供のように見える外見はパラだからで、暦とした成人男性である。とはいえ、言動も態度もどうにも子供じみて見えるのは‥‥パラだから、でいいのだろうか。
「実は最近、都のとある通りに鎌鼬が出るんだよ。突風みたいにやってきたと思ったら、女性の服をばっさり。おかげでおじちゃんは喜ぶ、お姉ちゃんは恥らって町を歩かなくなる」
 おまけに。最初は一匹だけだったが、いつのまにやら三匹出現するようになった。被害はいや増すばかり。
「せっかく春めいて来てお出かけが楽しくなってくるのに、これじゃ面白くないし。都の風紀にも関わるから早い所なんとかした方がいいよね?」
 きらきらと子供のような輝く眼差しで同意を求められ、係員は反射的に頷く。と同時に、その眼差しに何か作為めいた物を感じて不安に陥る。それに気付いているのかないのか、金時は満足げに笑って告げた。
「それでねー。今、京都見廻組は人手不足で人員募集中なんだよー」
「‥‥何か話がいきなり変わったか?」
「今、繋げるんだから落ち着いて聞いてよ。
 えと、だから。人手不足で大変だし、人員募集してるんだよ。だから優秀な人員は多い方がいいよね」
「はぁ‥‥。つまり冒険者からも人員を募ると?」
 言いたい事を先読みして係員が告げるも、相手は不満そうに口を尖らせた。
「そうじゃなくて。優秀な人員が欲しいって言ってるのに、弟分の銀次郎を入れようとしたら駄目って怒られたのー。綱なんて『お前はもっと常識を考えろ』なーんて、厭味言うしー。んだから、今回の件にそいつも参加させて、立派に役立つ事を証明してやりたいんだ!」
 ぐっと拳を握って、天高く宣言する金時。
「つまりは鎌鼬討伐にかこつけて、その銀次郎って方を目立たせて入隊させやすくして欲しいって事なんだな」
「平たく言えば、そうだけど。あ、でも本当に入隊したい人は是非是非言って来てよ。お仲間はいつだって歓迎するからね♪ 勿論、銀次郎の件とは別にちゃんと働きを見て、よければ推挙するからさ」
 慌てたように告げるが、その言葉は真剣で。人手不足で大変というのもあながち嘘ではないようだ。
「てことは、金時の旦那もこの件に関わるんで?」
「いんや。おいらは見届け役に回らせてもらう。直接手出ししたら、銀次郎の活躍もおいらのせいにされそうだし。あ、でもこう見えても、おいら僧兵だし、ある程度の怪我は後で治したげるよん」
 にぱりと笑う金時。侍・志士の集団の中で僧兵とは珍しいが、まぁ、回復役だって必要なのだろう。
「で、その銀次郎って方はどんな方なんで」
 係員の言葉が胡散臭そうになるのも無理は無い。人手不足で大変と謳っているにも関わらず、その一員の推挙あっても断られるような御仁なのだ。
 仮にも入れようと考える辺り、腕はそれなりだろう。では、性格面に問題あるのか。
「んー、表に待たせてるよ。銀次郎〜、来てくれよ〜」
 金時が声をかけると、ゆらりと冒険者ギルドの巨体が入ってきた。身の丈はジャイアントほど。筋肉もしっかりある。強そうだ。簡単な鎧を着込んで、手には金棒を持っている。
 そして、その体は熊で顔は猪。 
「紹介するよ。おいらの弟分で、熊鬼の銀次郎♪」
「銀次郎、言います。よろしゅう頼んます」
 律儀実直に頭を下げる銀次郎の前で、係員は眩暈に襲われてぶっ倒れる。
 ‥‥どうやら、問題は性格以前にあったようだ。

●今回の参加者

 ea3952 エルウィン・カスケード(29歳・♀・ジプシー・パラ・イスパニア王国)
 eb1932 バーバラ・ミュー(62歳・♀・レンジャー・パラ・ノルマン王国)
 eb3449 アルフォンシーナ・リドルフィ(31歳・♀・ナイト・人間・神聖ローマ帝国)
 eb3463 一式 猛(21歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 eb3531 クリア・サーレク(24歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb3837 レナーテ・シュルツ(29歳・♀・ナイト・人間・フランク王国)
 eb4441 豪田 鉄心(43歳・♂・浪人・ジャイアント・ジャパン)
 eb4467 安里 真由(28歳・♀・志士・人間・ジャパン)

●サポート参加者

ルゥ・ラ・ヤーマ(eb2400

●リプレイ本文

 季節はめっきり春めいて。
 吹く風も心地よくなり、たまの突風もまだ硬い花の蕾にさっさと起きろと騒ぎ立てているようで。
 が、別の春をもたらすかのように迷惑な突風がその道には吹き荒れる。
「通りを通っていたら突然服を斬られてしまうと‥‥。しかも女性限定。許せませんね」
 こめかみをぴくぴく震わしながら、安里真由(eb4467)が笑う。笑うその口端もまた溢れる激情を表すかのように引き攣っている。
「つまり、女性の敵が徘徊していると言うことですね。言語道断! 許す訳には参りませんわ」
「セクハラだよ、セ・ク・ハ・ラ! そんな鎌鼬にはきっちりはっきりお仕置きして二度とそんな事しないよう、思い知らせてあげませんとね」
 レナーテ・シュルツ(eb3837)、クリア・サーレク(eb3531)もまた静かな怒りを燃やしている。
 というか、今回参加した女性冒険者ほぼ全員が大なり小なり憤りを覚えていた。それも当然といえば当然か。
「で、鎌鼬を追い払えば、お姉ちゃん達も安心して街中を歩けるようになるよな? この一式猛がいる限り、好きにはさせんぞ!」
 ふんっと鼻息も荒く、一式猛(eb3463)が気合を入れる。
「全く。ろくでもない世の中ですな‥‥」
 後方からぼそりと告げられ、クリアが飛びのく。
「やはり恐ろしゅうお思いですかい。‥‥まぁ、仕方ありやせんが」
 その態度に、がっくり肩を落としたのは熊鬼の銀次郎。
「いきなりバグベア――熊鬼だっけ? は驚くよ。でも悪い人間がいるように、いいバグベアがいてもおかしくないよね」
「そうじゃのぉ。外国では純真なオーガな子供がおるとの話もある。種族がちと違うとはいえ、バグベアにそういう者がいるのだろうよ」
 バーバラ・ミュー(eb1932)が頷くのを見てから、改めてクリアは銀次郎に笑顔で手を差し伸べる。突然の握手に銀次郎は戸惑ってはいたが、妙ににやついてる京都見廻組の坂田金時に進められて、ぎこちなくその手を握り返した。
「さ〜て、悪戯鎌鼬にお仕置きしろって訳だが。女性を狙うとは分かってるとはいえ、お嬢さん方を危険な目にあわせる訳にはいかん。そこで、わしと銀次郎とで組んで囮になろう。知ってっか? 西洋ではこれを『してぃ・かも:美人局迷彩』ってんだ」
「「ほーーー」」
 豪田鉄心(eb4441)が市女笠と魔法少女のローブを振るのを、金時と銀次郎が二人揃って感心した声を上げている。
「何か違う気もしますが‥‥。それに囮はもう決まってますよ」
『はーい。ジャパンに来てはじめてのお仕事だもん。頑張るよー♪』
 首を傾げるレナーテの横、まだジャパン語は分からないが、雰囲気で悟ったエルウィン・カスケード(ea3952)が手を上げて明るく元気な声を出す。
「しかし、銀次郎殿は正体を隠していた方がよいでしょうね」
「何でえー。別にいいじゃん。悪い事してねぇぞ!」
「いやでも、熊鬼が街中を歩いていたら大騒ぎになるでしょう」
 本気で抗議している金時に、真由の方が困り果てる。
「兄ぃ。仕方ねぇ事っす。自分、気にしてませんから」
「うう、銀次郎〜。苦労かけてすまねぇ〜〜」
 涙目になる金時を銀次郎が肩を叩いて宥めると、バーバラからもらった三度笠とひょっとこ面を被る。
「囮役が決まってるのは残念だが、だったら早い所お仕置きに向かおうか。わしらは、近くの物陰に隠れて御開帳の瞬間を‥‥」
 にやりと鉄心が笑おうとした刹那に、射る様な殺気が体を貫く。
「そういえば。鎌鼬の所業目当てに好色親父どもが徘徊しているとか」
 鉄心は慌てて咳払いでごまかしたが、アルフォンシーナ・リドルフィ(eb3449)の表情は変わらず険しい。
「全く許せん! 鎌鼬の前にその親父どもを取り締まっておくか」
 腰のノーマルソードを確かめると、姿勢正しくアルフォンシーナは歩き出した。

 通りは極普通の通りだった。
 だが、よく見れば確かに女性の数は少ない。全くいない訳でも無いのはここの噂を知らないか、知っていても通らざるを得ない者だ。
 ついでに今日は男性の姿も少ない気がするが、それは誰の成果かよく分かる。それでもそれを逃れた人目も無い訳でなく。
「後で一言言ってやりましょう」
 にやけ顔の親父たちに一瞥くれながら、レナーテは通りを歩く。エルウィンは物珍しそうに周囲を見渡し、真由も周辺に目を光らせている。
「きゃああああ!!」
 そして、女性の絹を裂いたような声が響く。はっとしてそちらに目を向けた矢先、凄い勢いで走ってくる獣の姿を見た。
 地を――いや、空を疾駆する四足の獣。その前足には長く鋭い爪が見える。
 移動は早い。三匹はあっという間に、三人の眼前にまで近寄ると
「「きゃあああああああああ!!」」
 避ける事も受ける事も叶わず、真由とエルウィンの衣服が切り裂かれる。慌てて手で押さえるものの、はだけた若い肌に周囲からは野卑な口笛が飛ぶ。
 そして、最後一匹。レナーテの着ている物に爪を立てようとしたが、
「甘い!!」
 マントの下より隠していた小太刀を引き抜くと、ぎりぎりでその爪を受ける。
 阻まれて、鎌鼬が獣相を歪ませた。明らかに不快そうだ。
「この、女性の敵ども! 懲らしめて差し上げます!」
 構えるレナーテに、隠れていた冒険者たちも飛び出してくる。
 斬られた女性達はバーバラから受け取った毛布で一時身を隠し、それ以外は各々得物を手に、鎌鼬と向き合う。物々しい雰囲気に囲まれた事を悟り、さらに鎌鼬たちは威嚇の声を上げた。
「何故、人の‥‥それも女の衣装を斬るなどしたのです!」
『ベーツニ。暇潰シトカイウ奴ダ』
『ソウソウ。我ガ物顔デ騒ガシイ人間タチガ、慌テル様ハ面白イシナ』
 軽い口調で告げる鎌鼬たちに、レナーテは唇を噛む。
「もう二度と! このような事をしないと誓いなさい!! 誓わないなら、こちらも覚悟を決めます」
 怒りを押し殺してレナーテは小太刀を握り締めると、上等とばかりに鎌鼬は牙を向き、さっと冒険者たちへとその凶器を突きつけた。
「無駄な抵抗は止めろ! もはや観念するがいい」
 剣を引き抜くや、アルフォンシーナもまた仕掛ける。剣を一閃させるや、鎌鼬にざっくりと傷が入る。
『ヨクモヤッタナ!!』
 奇妙な声でそう告げると、鎌鼬たちが機敏に動く。体をくねらせ、空を滑るとあっという間に別の角度からその鋭い鎌状の爪で切り上げてくる。
 避ける暇もあらばこそ、はっとしたアルフォンシーナの身に赤い朱が散った。
「さすがに早いじゃん。けれど、俺だって負けないぞ!」 
 鎌鼬はあっという間に間合いを詰めると、その鋭い鎌状の爪をまた機敏に動かす。それを猛は巧みな足捌きで躱すと、すかさず忍者刀で切り替えしていた。
 相手に防御の間を与えぬ斬り返しは、さすがに風の精霊であっても対応が難しいらしい。さらにその身に刃を喰らって、身を引いた。
「何だってんだ、ちょろいもんだ」
 銀の短刀片手に振るうは鉄心。薙がれた爪をどうにか躱すと、そこに踏み込み刃を刻み込む。
 混戦を見込んで、得物は小回りの効くものを選んである。その為、与える傷も小さいが、そこは持った戦闘技量で確実に切り結んでいる。
「貫け、螺旋の双角! ライトニング、サンダーーボルトーーー!」
 クリアは位置を見遣ると、鎌鼬がまとまるその瞬間を狙い、高速詠唱で呪文を唱える。間髪入れずに手から直線に稲妻がほとばしり、鎌鼬を撃ちぬく。もっとも、素早く事を成せるのが利点の高速詠唱だが、反面遣うと精度などが落ちるという欠点もある。クリアの力量では確実に詠唱に成功するとも限らないが、それは仕方ない。
 一体がきっとクリアを睨むと間合いを詰めた。その身が淡い緑の輝きに包まれるが、何の変化も無い。
 失敗したのか、それともこちらが抵抗して無効化したのか。ともあれ失敗を悟って、鎌鼬が奇声を上げた。
 面倒と感じたか、ストームを発動させると冒険者たちを一気に吹き飛ばす。開いたその空間から、もうさっさと逃げようとしていたそいつだが、それは果たせず飛来した一本の矢に縫いとめられた。
「ふっふっふ。乙女の敵には罰が当たるものじゃて」
 きりりと弓を引き絞ると、ゆっくりとした動作で鎌鼬へと射掛けるのはバーバラ。
 そして‥‥
「なんて事をするんですか、この破廉恥鼬っ!!!」
 新しく服を着替えた真由が怒りの炎をめらめらと燃やし、日本刀・霞刀を引き抜き睨みつける。実際フレイムエリベイションで士気を上げていたりもするのだが、それ以上の気迫を今は感じる。その迫力に、さしもの鎌鼬たちも、びくりと体を震わせて立ちすくんでしまう。
「何か理由があって暴れてるならそれなりに納得もしようが‥‥。ただ悪戯目的となると、許してはおけんです」
 ぼそぼそと銀次郎が告げると、棒を握り締め、怯んでいた鎌鼬に渾身の力でもって打ち付けていた。
「今はお仕置きさせてもらいます。説教は後でたっぷりと、ね」
 泣いて謝るまで許しはしない。
 どこか邪悪に顔を歪ませながら、真由は鎌鼬へとその刃を向けていった。
「不埒者にはそれ相応の報いがあると、これを機にきっちり学ぶがよいわ!」
 きっぱりと告げると、バーバラはまた矢を射掛けていた。

『畜生! 覚エテヤガレ〜〜〜〜』
 まさしく泣き言としか思えぬ捨て台詞を残して、鎌鼬は山へと去っていく。全身傷だらけでぼろぼろなのは当然だが、それと共に不自然な禿を作っていたり。
「虎刈りって、難しいね」
 残念そうに告げるのはクリア。お仕置きで毛狩りをしようとしたのだが、必死の抵抗にあって逃げられてしまった。
『ふえええ〜。分かってはいたけれど、酷い目に会っちゃったよ〜〜』
 エルウィンがほっと肩の力を抜きながら泣き言を呟く。見事に斬られた服はもう役に立ちそうになく。今は持ってきた予備の服に着替えてある。
「けれど、大丈夫かしら。一応泣いて謝ったけど、また来そうな感じ」
 鎌鼬が消えた方角に向かい、真由が心配そうに告げる。
「大丈夫、大丈夫。それにまた来ても追い払えばいいんだしー」
 ご苦労さん、と軽い口調で継げるや否や、金時が皆を治癒して回る。鋭い鎌に精霊魔法。誰もが何かしらの怪我を負っていた。
「ふむ、これで最後じゃの。して、坂田殿? 見廻組の件、あれはどうなのじゃ? 手が足りぬというなら、この老骨、京の為に一肌脱ぎたいものだが?」
 射た矢を回収したバーバラが訊ねると、真由とクリアもまた頷く。
「ええ、できれば入隊させてもらえないかしら?」
「京都の街を守る治安組織が人手不足なのは良く無いよ。猫の手は‥‥必要かな?」
 控えめに告げる彼らに、金時は大きく頷いてみせる。
「うん。見た所、特に問題も無いし大丈夫だよ。後は上に報告してくる。んで、銀次郎もいっしょにがんばろうな」
 金時、真剣な眼差しでがっしと熊鬼の手を握る。
「けどね、銀次郎は金時の友達だろ? 無理に入隊させるってのもどうなの?」
「何を言うかーーー!!」
 難色を示す猛に、鉄心一喝。
「この太い腕! 分厚い胸板! まさしく彼は十年、いや百年に一度の逸材! 彼一人で十人分の働きは固い! それをただ見かけだけで! 人間ではないと言うだけで門前払いにする上司! あまりに酷い仕打ちだと!!」
「そう! その通りだ! いい事いうじゃん!」
 拳固めて熱弁振るう鉄心に、金時、目を輝かせて喜ぶ。 
「という事を、早速ご報告に行こうか!」
「おっしゃあー。待っとれ、銀! 今、話つけてきたらぁ〜」
 告げるが早いか、鉄心と二人、凄い速さで駆けて行ってしまう。それを他の冒険者はただ呆然と見送るしかなかった。
「‥‥で、銀次郎自身の気持ちはどうなんだ? 見廻組に入らなくても金時の手助けは出来るし、逆に入隊した方が苛められるかもしんないぞ?」
 保存食を取り出すと、銀次郎に渡す。受け取って丁重な礼を告げながら、銀次郎もまたあっさりと頷く。
「自分は、金時の兄ぃたちをお手伝い出来るなら、今でも全然構いません。ただ、自分の為に、あんなに一生懸命になってくれるんはありがたいし、嬉しく思います‥‥」
 大柄なその身を縮こめるように、銀次郎はそわそわと頭を掻いたりしている。恐ろしげな外見とは異なるその照れた仕草に、アルフォンシーナは思わず吹き出す。
「坂田殿もいい弟分の持ったものだな。貴殿の望みが叶うよう、私も陰ながら祈らせてもらうぞ」
 その肩を叩くと、銀次郎、大真面目にありがとうございますと頭を下げた。
 
 その後、安里真由、クリア・サーレク、バーバラ・ミューに正式な京都見廻組所属の許可が下りる。ただ、銀次郎に関しては‥‥‥‥‥案の定であった。