奉献、泡立つ波頭
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■ショートシナリオ
担当:勝元
対応レベル:1〜5lv
難易度:普通
成功報酬:1 G 48 C
参加人数:4人
サポート参加人数:1人
冒険期間:07月25日〜07月31日
リプレイ公開日:2005年08月02日
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●オープニング
「‥‥次はうちの娘、ですか‥‥」
来訪者の宣告に、男はそれ以上の言葉を繰ることが出来ず、絶句した。
「光栄に思うのだな。お前の娘はシャクア様に捧げられ、永遠を生きるのだから」
蒼く染められたローブの男が仰々しく告げた。この男が現れたのは半年ほど前の事だ。あの時は、村人一同諸手を上げて歓迎したものだが‥‥。今ではすっかり、この村は明るい色を失ったような気がする。
「支度を整えたら出仕するがよい。何時ものように禊は三日間。我が聖堂にて身も心も清められた上で、お前の娘は神の下へ嫁ぐ」
神妙な面持ち。蒼いローブの男は厳かに告げると、踵を返した。
「くれぐれも妙な気は起こさぬようにな。――では、海神と共にあれかし」
男はローブの背中を愕然と見送ると、慌てふためいて書置きを残し、家を飛び出したのだった。
「――生贄にされそうな娘さんを救って欲しい、ですか」
腕組みをし、冒険者ギルドの受付嬢が呟く。
「こ、このままでは、私の娘は‥‥!」
息せき切って冒険者ギルドへ駆け込んできた男は、切羽詰った様子で語った。
儀式は月に一度、真夜中に行われる。生贄――例外なく年頃の少女だ――は村はずれの聖堂と呼ばれる建物で三日間の禊を行った後、すぐ傍の岬からロープで吊られ、蒼いローブの神官が見守る中、シャクア様に捧げられるのだという。一夜明けてロープを手繰り寄せれば、その先端は喰いちぎられた様に姿を消しているのだそうだ。
「その、シャクア様と言うのは?」
「海神‥‥私の村の守り神です」
受付嬢の問いに、男は悄然と答えた。古き言い伝えの残る村にあって、守り神の存在は絶対なのだ。
「出掛けに出来るだけ支度を引き伸ばせと書置きをしましたが、それも何処まで持つやら‥‥どうか、どうかお願いします‥‥」
項垂れる男に受付嬢は一言、冒険者にお任せ下さいと答えた。
潮風が吹き付ける。村はずれの岬の上、立ち尽くす影は蒼いローブの男一人。崖の縁から顔を覗き、眼下の波頭に向け、呟いた。
「――お待ちかねの時間はもうすぐだぞ」
それは男にとっても同義だった。生贄に課せられる三日間の禊。穢れを防ぐ為といえば、馬鹿な村人は近寄ってきたりしない。お陰で三日間、禊を存分に愉しむ事が出来る。その後は、我等がシャクア様が全て綺麗にしてくれるという寸法だ‥‥。
見上げれば、中天に輝く月。眼下には白く泡立つ波頭。
その波間に見ゆる黒き影。
流線型の体躯。
漁を生業とする村の守り神。
海神――体長10mほどの、巨大な人食い鮫。
「クックック、海神と共にあれかし‥‥我を護り給え、シャクア様」
男は喉で笑うとこれまでの生贄を脳裏に思い描き、聖堂――はるかな昔、精霊を祭っていた社だ――に向け、歩みを進めた。
●リプレイ本文
――考えれば考えるほど、許せない話だ。
ドレスタットから急ぎ馬を走らせる最中、マクダレン・アンヴァリッド(eb2355)は依頼人の話を思い出し、小さく呟く。
齢50を過ぎ、煩わしい事は全て息子に任せている。悠々自適の生活、余生は可愛い孫の相手や気侭な冒険と洒落込むつもりでいたのだが‥‥こんな事件の数々がギルドを賑わせているとあれば、楽隠居を決め込むにはまだ早そうだ。何より娘も孫もいる身として、その幸せを奪われる苦衷は誰よりもよく判る。愛する家族を引き裂き邪まな企みに私腹を肥やす輩、捨て置ける筈もない。
もう間もなく件の村が見えてくる頃合だ。その前に一度、愛馬を休ませねばならないだろう。男は依頼人の認めた地図を脳裏になぞり、手綱を捌いた。
「って‥ゆぅかぁ‥‥」
街道に降り注ぐ晴れた日差しの中、木陰で一息つくと、伝結花(ea7510)は短く漏らした。座り込んで深呼吸、ぐったりと項垂れたのはぶっ通しで走り続けたからだ。後半はもう殆ど言葉になっておらず、窒息寸前の魚の如く口をパクパクさせている。走り慣れぬ身に強行軍は流石に堪えた。例え忍術で足が速くなったとしても、根本的な体力まで強化してくれる訳ではないのである。
「お疲れ様です」
すっ、と息も絶え絶えの結花に飲み物を差し出し、イーサ・アルギース(eb0704)は涼しい顔。馬にも乗らずに結花と同じ距離を踏破して平気でいられるのは、魔法のブーツの力に違いない。
「‥‥」(アリガト、気が利くヮネ)
女は無言で受け取り、一気に飲み干した。礼の言葉は一応述べたつもりだが、やはり言葉になっていない。
「いえ、好きでやっている事ですから」
微笑を一つ、青年が答えた。どうやら気持ちだけは伝わったようだ。
「ブーツがもう一つあれば良かったんですが‥‥」
その横、ブラン・アルドリアミ(eb1729)が申し訳なさそうに呟く。イーサが履いているブーツは彼女の物だ。ブラン自身は愛馬に跨れば済むのだが、結花だけが移動手段に欠けたのである。当てもあるにはあったのだが‥‥時間最優先の強行軍で受け渡しの時間すら無かったのが悔やまれる。せめて、あと一日あれば。
「に、にも‥‥ぜえはあ、気にげほげほっ」(荷物持ってもらってるんダカラ、気にしないでいーのョ)
「あああ、無理しないで休んでくださいっ」
咽て咳き込む結花を、慌ててブランが取り成す。
「しかし‥‥」
ふと、イーサが呟く。
「月一回のペースで生贄なんて、明らかに妙ですね」
「半年前に現れた男‥‥ですか」
結花の背中をさすりながら、少女は青年に合わせた。
「駆逐されるべき邪教の様なしきたりは、とても尋常の者と思えません」
ブランの瞳が鋭さを増す。恐らくは揺さぶりをかければ逃げを打つ詐欺師の類だろう。
「そうですね。裏が掴めればいいのですが‥‥」
「‥‥やめさせ‥怪しいヮ‥その人‥‥」
二人の会話に結花が無理して参加する。既に大冒険の様相で、この先大丈夫なのか少々心配なのだが如何か。
「ええ。彼が奪ったモノはとても大きい‥‥」
背中をさする手は止めず、少女は目的地へ視線を向けた。人が幸せでいられる時間はあまりにも短い。その男はそれを奪ったのだ。
「‥‥絶対に逃がしません」
少女の言葉に青年は頷き、腰を上げた。
「行きましょうか‥‥この際、時計から落ちる砂粒の価値はブランの一粒に匹敵します」
一刻も早く、先行しているマクダレンと合流しなければならない。生贄の少女に与えられた時間は短いのだ。
「そうネ‥‥行きまショ」
流れる汗を拭って息を整えると、結花も立ち上がる。この分だと、今夜は泥の様に眠れそうだった。
一足早く到着したマクダレンは、その足で村長の館を訪れていた。
出迎えた使用人は旅の騎士だと名乗る男に疑わしげな目を向けたが、卑しからぬ立ち居振る舞いに納得したらしく、マクダレンを奥の部屋へと通した。
「ようこそ、旅の騎士様」
白髪混じりの村長が丁重に男を迎える。態度が硬いのは警戒している所為か。
「ご覧のように何も無い、つまらぬ村ですが‥‥一体どのような御用向きですか?」
「いや、ちょっとした噂を聞いてね」
マクダレンは慎重に言葉を選んだ。見ず知らずの相手に深刻な事情を語るほど、人は無用心ではないものだ。
「それでこの村にきてみたら、案の定活気が無い。どうしたのか、直接聞いてみようと思い立ったのだよ」
「‥‥噂、ですか」
「そう、それも良くない類の」
「‥‥」
村長は逡巡した。確かに、このマクダレンと名乗る男からは人品卑しからぬ雰囲気を感じるし、閉塞し身動き取れぬ現状には頭を悩ませてもいたのだが‥‥。
「大丈夫だ、安心していい」
男は余裕たっぷりに笑んだ。
「私は民を護る騎士だからね」
騎士かどうかはさて置くとしても、男の言葉に信頼できる何かを村長は感じた。昨今は冒険者に身を窶し、修行の名目で民を護る騎士もいると聞く。一縷の望みを賭け、村長は事情を語りだした。
一方。
遅れて到着した結花とイーサは、直接『聖堂』と呼ばれる村外れの岬に向かっていた。
村人に気付かれたら面倒な事になる。物陰で人目をやり過ごし、できるだけ気付かれぬように二人は進む。結花にとって隠密行動は慣れたもの、彼女に比べてやや拙いイーサをフォローしつつ、目的の社へ。時期と事情が重なった所為か、近付くに連れ人目は少なく、行動もやりやすくなっていた。
「ここですね‥‥」
聖堂を眼前に控え、押し殺した声で青年が呟く。古びた社は、ある種異様な雰囲気を周囲に発散していた。
「じゃ、マズは罠とかないか調べるヮネ?」
同様に押し殺した声の結花。罠が有ったとしても解除できる道具が無いのが難点だが、それでも事前に見つけておけば警戒くらいはできるだろう。
「では私は、出入り口や潜伏ポイントを」
囁くように告げる青年に女が頷は頷き、二人は行動を開始した。
ややあって。
申し合わせたように、二人は聖堂の裏手で合流した。
「‥‥どーだっタ?」
「入口は表と裏に二箇所。明り取り用の窓はありますが、そこからの潜入はまず不可能かと。結花様は如何でしたか?」
「とりあえず、罠は無かったヮ。見落としてなければ、だケド‥‥まぁ、その心配もなさそうネ」
イーサは無言で頷いた。迷信を恐れて村人は近付かないのだ。下手に罠などを仕掛ければ、逆にそれは不審を煽るだろう。一喝して脅せばそれで事足りるというものだ。
「ってゆぅか、鍵がかかってるのョネ‥‥どうする? こじ開けちゃゥ?」
結花が懐からナイフを取り出す。簡素な鍵は音さえ気にしなければ簡単に外せそうではあった。
「出来るだけ慎重に行きたいですし‥‥ブラン様とマクダレン様を待ちましょう」
青年が言った、その時。
結花の耳に、小さいが、だがはっきりと少女の悲鳴が飛び込んだ。
「‥‥今!」
「ええ」
二人は裏口の扉に耳をピタリとつけ、中の様子を伺った。
――こないで。嫌、イヤ!
――ククク‥‥逃げろ逃げろ。どうせ此処から出る事は出来ないのだから‥‥
二人は血相を変え、目を見合わせた。禊の実態とは、どうやらそういう事らしい‥‥。
少女の安全――何を以って安全とするかは微妙なところだが――を考えると、焦って踏み込むことは出来ない。だが不幸中の幸いは、恐らく男が得物を追い詰める快感に酔いしれていることだ。これなら、最悪の事態はまだ少し先だろう。
結花とイーサは焦る気持ちを抑え、じりじりとその時を待った。仲間との合流次第、即座に踏み込まなくてはならない。
少し時間は遡る。
結花達が『聖堂』に辿り着いた頃、ブランは村長宅のマクダレンと合流していた。
「お待たせいたしました、閣下」
「うん、ご苦労」
臣下の礼をとる少女に、男は鷹揚に手を上げて返した。
「そちらの方は‥‥?」
村長の疑問に、マクダレンは柔らかく笑む。
「私の部下でね、名をブランという。私などより余程腕の立つ騎士だよ」
男の紹介に少女が小さく頭を下げた。平服の男女、しかも親娘ほど歳の離れた二人の応酬はどちらかといえば小芝居に近いが、村長はそんなものかと納得しているようだった。
余談だが、一般的には冒険者として行動していれば騎士も戦士も無く一様に冒険者で括られるものだ。また、自分から騎士だと身分を明かすこともあまり推奨されない。下手を打った場合、その不名誉は己の主にも及びかねないからだ。特殊な例外を除いて、身分を都合よく利用する事は騎士の信条にも反する。冒険者は飽くまでも冒険者、なのである。
「して、事情は‥‥?」
恭しく片膝を付き、少女が尋ねた。
「うん、一通り話を聞いたが、はっきり言って良くないね。今日から三日間、生贄の少女は禊に入る。既に少女は聖堂入りしているらしい。件のローブの男も聖堂に篭り、村人は誰一人近付かないそうだよ」
「なるほど‥‥」
男の言葉に、ブランは心の中で一息ついた。急いだ甲斐があった、まだ間に合いそうだ。
「それでは、俺は伝令に戻ります」
「そ、それは‥‥」
「大丈夫、悪いようにはしないよ」
慌てる村長をマクダレンが宥めると、ブランは踵を返し退出した。伝令と言うのは方便に過ぎない。このまま秘密裏に聖堂へ向かい、仲間二人と合流する腹なのだ。
「そうだね。私が神官殿にお会いして、生贄を止められないかかけあってみよう」
「それが出来れば苦労しないのですが‥‥」
村長は口篭った。古くから伝わる守り神が生贄を欲していると言われて積極的に賛同する者はいない。だが、祟りや不漁を仄めかされれば積極的に反対できる者もおらず‥‥結局、この半年の間に犠牲者が増える事になったのだ。時として迷信や因習に権威が絡めば、盲目になる者は存外多いのかもしれない。
「それにね‥‥」
男は一旦言葉を切った。
「君達は知らないかもしれないが、この村に神官殿が訪れた時期に、ローブ姿の男達が各地で悪事を働いているのだよ」
「‥‥そんな事が」
今度こそ村長は絶句した。まさか、ここ最近のドラゴンの騒ぎと関連があるなどは思いもよらなかったのだ。
「‥‥疑う訳ではないのだけれど、覚悟だけはしておいて欲しくてね」
もっともらしく語ると、その場を辞すマクダレンであった。
「済まないね、遅くなって」
「如何ですか‥‥?」
愛馬を適当な繁みに隠し、ブランは聖堂裏に待機する結花達と合流した。なるべく隠密裏に進む事を心掛けた為、思ったより時間がかかってしまい、結局後から出たマクダレンと合流する形で辿り着く事になっている。
「拙いですね‥‥そろそろ捕まりそうです」
淡々とした反応の中にやや焦慮を滲ませて、イーサが手短に状況を説明する。待っていた時間は然程でも無いが、状況が状況なのでかなりの苦痛を伴っていた。
「ってゆぅか、急ぎまショ。もう、時間がないヮ‥‥!」
他人事ではないのだろう、焦れた表情を隠しもせずに結花がナイフで鍵をこじ開ける。
――ガキッ!
独特の音を立て、扉が開かれると同時、四人は聖堂内に突入した。
間一髪、というべきか。
四人が突入した時、既に生贄たる少女の服は引き裂かれ、壁際に追い詰められ逃げ場を失っていた。余程興奮していたのだろう、今まさに襲いかかろうとしていた男は足音にも気付かなかったのか、突然の闖入者に反応が遅れる。
少女を保護すべく、逸早く結花が駆け寄った。遅まきながらも男は腰から短剣を抜き、少女を人質とすべく掴みかかろうとしていた。忍術で速度が上がっているとは言え、流石に距離が違う――このままでは、間に合わない!
と。
――ヒュン!
飛来した短剣が男の眼前を掠めた。マクダレンが投擲したものだ。事前に人質の可能性を想定し、心の準備をしておいたのが生きたのだ。
身をのけぞらせる男を尻目に、結花が少女に取り付いた。恐怖に身を硬くする少女を背に庇うと、印を組む。このまま此方に襲ってくるようなら、炎の洗礼を浴びせる気なのだ。
気を取り直した男が再び短剣を振り上げる。狂気に血走った目を、結花はきっと睨み返し‥‥。
「ぐああ!」
次の瞬間、振り上げた短剣が乾いた音を立てて床に落ちた。その右手を貫く一本の矢。狙い澄ませたイーサの一撃である。
即座にブランが踏み込む。死に体になった男に向け、振り上げるは霞刀。
「殺さないで下さい!」
瞬間、イーサが叫んだ。咄嗟にブランが体勢を変え鳩尾に蹴りを叩き込むと、たまらず男は蹲った。
「――皆さん。この男の悪事は、危うく生贄にされかけた少女が訴えた通りです。如何いたしますか?」
岬の上、縛り上げた男を転がし、イーサは聴衆に問いかけた。男の悪事は白日の下に晒されたのだ。
『‥‥俺たちを騙したのか!』
『娘を返せ!』
『殺せ、殺しちまえ!』
村人達が放つ、怨嗟の声が轟く。
「さて。此処で一つ、選んでもらおうかな?」
マクダレンは男を引きずり起こすと、微笑を浮かべた。
「ひとつ。神官たる証を立てる為にシャクア様の海を泳ぐ」
無慈悲な提案に、男が小さく頭を振る。彼の右手は未だ出血が止まっていない。それは即ち、今まで餌食にしてきた少女達と同じ道を辿る事になるのだ。
「ふたつ。皆に土下座し、全てのからくりを語って御縄に付く」
と、その提案に男の顔面が蒼白になった。死ぬより恐ろしいキーワードが其処にあるかのようだ。
「そ、そんな事をしたら‥‥私は、あの方に死ぬより恐ろしい目にあわされる‥‥っ!」
いやいやをするように、男は後ずさりをした。
「しょーがないヮネ‥‥じゃ、お手伝いネ☆」
結花は無慈悲な笑顔を浮かべると、その胸をトン、と押した。
「わぁぁぁぁ‥‥」
悲鳴を引いて、男の姿が白く泡立つ波頭に消えていく。暫くして‥‥。
――ざんっ!
海面から飛び跳ねた大鮫の口の端から、蒼いローブがはみ出ているのが、見えた。
「‥‥あの人喰い鮫ですが‥‥」
追加報酬として往復の食料を貰うと、決意の表情でブランが口を開いた。
「ロープで俺を降ろして下さい。斬ってきます」
「だめョ、危険すぎるヮ」
即座に結花が反対する。確かに、あのクラスの相手をするには人も準備も足りていなかった。
「私が援護できなくは無いですが‥‥ここからでは、難しいでしょうね」
イーサが崖下を見下ろす。此処からブランを吊るして、更に波間の鮫を狙うとなれば難易度は想像を絶する。絶対に誤射をしない自信は、流石に無いのだ。
「死んだ娘さん達の仇、すぐにとってやれず申し訳ないが‥‥どうだろう。此処は一つ、鮫退治を冒険者ギルドに依頼してみてはどうかな」
「‥‥そうですね、皆でよく相談します」
マクダレンの提案に、村長は逡巡しながらも答えた。
「大丈夫。冒険者なら、きっと上手くやります」
「ってゆぅか、アタシ達も冒険者だし、ネ☆」
ブランの言葉に合わせるように、結花は悪戯っぽく片目を瞑ってみせた。