【白の誘い】あ・はっぴぃにゅーいやー!

■ショートシナリオ


担当:勝元

対応レベル:フリーlv

難易度:易しい

成功報酬:5

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月05日〜01月12日

リプレイ公開日:2006年01月20日

●オープニング

 新年を迎え、かつての騒乱で穢れきった礼拝堂もすっかり往時の姿を取り戻していた。
 未曾有の危機が未然に防がれた事、自分たちがその中心にいた事は表沙汰にこそなっていなかったが、なにせ狭い街の事だ。人々の口から口へ、噂は飛ぶように広まった。
「あの破滅の魔法陣が、この街に存在していたらしいぞ」
「何でも冒険者の一団が発動を阻止したらしいな」
「教会が襲われたのはその関係らしい」
「司祭様の麗しい兄弟愛があってこその話よぉ」
「いやいや、裏切られた禿の軍団が裏切り返した結果だってよ」
「まあ、おぞましい」
 ‥‥と、正しいんだか怪しいんだか今一つ微妙な噂まで流れている辺り、田舎の脳天気さが現れていると言えなくもないが。
 ともあれ、渦中の人物である初老の司祭、クロード・セリエは新年早々後処理に追われ、目まぐるしい生活を余儀なくされていたのだそうだ。

 そんなある日の事だ。
「いやぁ、新年はいいですねぇ。なんといってもあくせくせずにのんびり出来る所が素晴らしい」
 礼拝堂、椅子に腰かけ欠伸をする初老の司祭、一人。教会に司祭がいるのだから別段珍しい事でもないように見えるが、白の教会に黒の司祭がいるとなれば話は別だ。通常、やんわりと追い返されるか、チクリと嫌味の一つも言われて追い出されるのが関の山。遠巻きに彼を見つめるシスター達の視線も、じとーっとべたついていて居心地悪い事この上ない。だが真の問題は、この司祭がそんな事はどこ吹く風と受け流し、あまつさえ欠伸をして居眠りかましている辺りにあるのかもしれなかった。
「‥‥そこな司祭様? どうやら場所をお間違えのようですが」
 その姿を見かねたクロード司祭、やれやれといった風にやんわりと注意。
「いやいや、間違えてはいませんよ。私はここに用があってこうしているのですから」
 黒の司祭は悪びれずに答えた。
「正確に言えば、ここにじゃなくって貴方に用事があるわけですけどね」
「‥‥に、兄さん! 何でまたこんな所に! と、とりあえずこっちへ!」
 兄弟衝撃の再会に、慌てふためいて自室に連れ込むクロード司祭である。

「ほうほう、なかなか儲かってそうですねぇ」
 ふかふかのソファに腰かけ、マリユス・セリエは上機嫌で呟いた。
「‥‥で? 何の用があって現れたんだ、兄さん」
「おやおや。兄が弟に会うのに理由が必要だとでも?」
 あからさまに迷惑そうに尋ねるクロードに向け、マリユスは寂しそうに答えた。
「普通はいらないがな。だけど兄さんの場合、何の魂胆もない筈がないのは明白だ」
「いや、さすがは我が弟。実はですね、折り入ってお前に相談が」
「そらきた! いつもそうだ! いつもアンタはそうやって私を食い物にするんだ!」
「食い物なんて滅相もない。私はいつもお前の幸せを考えてですねぇ」
「‥‥もう御託はいいからとっとと用件を述べて帰ってくれ。私は忙しいんだっ」
 もどかしさに苛立つ弟を眺め、マリユスは仕方なささそうに語りだした。
「先日の魔法陣騒ぎ、覚えておいでですよね。その結果、この街では冒険者の評判が上がっているそうではないですか」
「‥‥まぁ、な」
「そこで私は考えました。慌しく過ごし、新年の祝いをろくに迎えられない冒険者を招き、この街でもてなそうと! 冒険者に好意的である今を逃がす手はありません。この機会にミッデルビュルフの印象度を高め、人口の流入をうながし、ゆくゆくはドレスタットやパリに並ぶノルマン第三の都市とする、壮大な野望の第一歩なのですよこれはっ」
 なんだかワケの判らない流れで町興しにもっていかれた。この調子でクロードはいつも、兄に煮え湯を飲まされているのである。
「嫌だと言ったら?」
「いやぁ。嫌も何も、もう冒険者ギルドには告知を出してしまいましたので手遅れです」
「‥‥なに考えてんだアンタはぁっ!」
 手近な羊皮紙の束を丸め、すぱこーんと引っぱたくクロード司祭であった。

 というワケで、ドレスタットの小さな街ミッデルビュルフにおいて新年会が催されるそうだ。この期間をどう過ごすかは、冒険者の良心と良識に委ねられている‥‥と、思う。たぶん。

 ――そんなこんなで。
「で、最終的に自分とこの布教活動して信者を増やそうとか思ってるだろう」
「‥‥ははは、まさかそんな」
「あまつさえウチの寄付金は半分自分に権利があるとか言い出す気だろう」
「心外です。私がそんな酷い男に見えますか?」
「見えなきゃ言わない」
「‥‥ちっ」
「舌打ちすんなっ!」
 ‥‥あんがい仲良さそうな二人であった。

●今回の参加者

 ea4099 天 宵藍(31歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 eb0353 タケチ・インジャスタ(33歳・♂・バード・ハーフエルフ・ビザンチン帝国)
 eb1764 呂怒裏解守 世流万手主(49歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 eb2363 ラスティ・コンバラリア(31歳・♀・レンジャー・人間・イスパニア王国)

●リプレイ本文

 緊迫の一年が慌しく通り過ぎ、新たしい年を迎えたミッデルビュルフ。新年といえば何処もまあ似たようなもので、商店の類は軒並み閉まっているし、酒場だってランチは休んでのんびりしているのが相場だ。年明け早々あくせく働きたくないのは誰しも一緒。だって新年だもの。
 そんなわけで閑古鳥鳴きまくる市場に、筋骨粒々髪の毛モジャモジャの男‥‥いや漢が独り、仁王立ちしていた。その名も、呂怒裏解守世流万手主(eb1764)――冒険者である。どうでもいいが呂怒裏解守が名前で世流万手主が苗字だからお間違えなきよう。何処出身だアンタって突っ込みは無用である。記録係にも皆目見当がつかない。
「‥‥寒い‥‥」
 折りしも季節は冬真っ盛り。木枯らしピープ―吹きすさぶ中、だーれもいない市場でマッソーメンが独りブルブル震える様は、ある意味で涙を誘う。いや、誰もいないから泣く人もいないんだけど。
「ふぬう! このような事でめげてたまらいでか! 我が最終目的の前に、このような事態は障害にすらならん!」
 気を取り直して気合一発、呂怒裏解守は震える筋肉でムリヤリ周辺気温を上げた。見る見るうちに男の周囲が陽炎で揺らぐ。いや、ホントはそんな事ないんだけどそんなイメージの暑苦しさって事で。
「そう、第二の故郷・情熱の国イスパニアの名に賭けて‥‥俺が燃えねば誰が燃える! カーニバーよ! 祭りよ! 宴よ! 俺の魂は今、熱く燃え滾っている!」
 なんだか判らないが向こう三軒両隣に轟かんばかりの声で大宣言するロド(長いから省略)。そう、ここがスタート地点だ。漢の伝説が始まる第一歩なのだ。そして、灼熱の魂を内に封じ込めた男は、その歩みを知らしめるべく行動に移った!
「誰かぁ‥‥誰かいませんかぁ‥‥」
 ‥‥むちゃくちゃ寂しい伝説のスタートであった。

「なにか、嫌ぁな悪寒が‥‥」
 吹き付ける風に寒気を覚え、ラスティ・コンバラリア(eb2363)は呟いた。
 とある事情で街道にばら撒いた荷物の回収に来た彼女だったが、果たして、先行きは暗そうな見通しだった。何せ、事件があったのは大分前の事なのだ。金目の物は軒並み拾われているだろうし、落し物を管理してくれる場所がある訳でもない。ましてや、拾った物を売っていたとしても、それと見抜ける術などないのだ。地方の街に出回る事など早々ないような値打ち物ばかりだったのだが、それだけに回収は至難の業である。
 ‥‥といった事は彼女とて承知の上だ。悪寒は別方面、しかも斜め方向から襲ってきていた。
 ――怪しい奴め! 貴様、あの軍団の関係者だろう!
 ――冒険者? 嘘を吐け!
 遠くから聞こえる罵声の数々。ラスティはふっとこめかみを押さえると、知らんぷりを決め込むことにした。

「魔法陣騒動の際は地の宝珠の守護へ参ったゆえ、もう一つの封印であった白の司祭殿の様子伺いがてらとでも思い参ったのであるが‥‥」
 教会の礼拝堂に佇み、天宵藍(ea4099)はしみじみと呟いた。
「‥‥セリエ御兄弟、人となりが変わっておらぬか?」
「はぁ。私は昔っからこうですけど」
 問われたマリユス・セリエは首を傾げ。
「悪いのは兄さんだっ。アンタが諸悪の根源なんだっ」
 問われたクロード・セリエはヒステリックにまくし立てた。どうやら壊れっぱなしのご様子。
「危機で何かが飛んだか、元よりこうかは知らぬが‥‥まぁ息災で何より」
 流石に近寄り難さを感じたのか、宵藍はそっとしておく事にして、話題を切り替えた。
「さて、新年会に招かれたは良いがイギリスから渡って間も無く、加えてこの街には碌に足を止める間もなかったゆえ如何したものやら、と悩んでおるのだが」
「それは困りましたねぇ‥‥あふう」
 のんびりと欠伸をしながら、マリユスが相槌を打つ。一方のクロードはブツブツと呟きっぱなしだ。疲れているらしい。
「‥‥あークロード殿は忙しい身であろうゆえ、マリユス殿に案内頂ければ嬉しく思うが」
「はぁ。まあ構いませんが‥‥」
「そうだそれがいい! この疫病神をとっとと引き取ってくれ!」
 言うに事欠いてとんでもない事を口走るクロードである。
「暇であろう?」
「黒の司祭服を着たまま白の礼拝堂でのんびり居眠りをするって言う壮大な野望があるにはあるんですけどね‥‥」
 こっちはこっちでロクでもない事を口走るあたり、お互い様な気がしなくもない宵藍だ。
「‥‥であるからして、暇であろう?」
「ええまあ」
 こうして、二人はのんびりゆっくり新年の街を散策することと相成ったのであった。

「あのーすいませーん」
 諸悪の根源(クロード談)が立ち去った直後、白の教会を訪れた者がいた。お手製の犬の被り物を頭にすっぽり被ったその男は――タケチ・インジャスタ(eb0353)、やはり冒険者である。
 玄関で応対したクロードは、その姿を見るなり一言。
「生憎ですが、間に合ってます」
 ‥‥いきなり門前払いの構えである。そりゃまあ、新年とはいえ得体の知れないボロキレ(‥‥他人からはそう見える)で頭をすっぽり覆った青年が突然訪問したら、誰だってお近づきにはなりたくないだろ。
「わ〜待って待って待って。僕は冒険者ですよぅ。く〜るでびゅーちーなバード君ですよぉ」
 流石に驚いたタケチが必死で取りすがる。未知の出会いと親交の中に、驚きと楽しみを見つけたいと考えていたのに、未知の出会いが濃すぎて楽しむ以前に放り出されそうな勢いだ。無理もないけど。
「嘘です。怪しすぎます。きっと兄の回し者でしょう。私を食い物にする気だ。そうでしょう」
 これはあながち間違ってもいないのだが、まるで悪魔でも見るかのような目つきでタケチを見るあたり思いつめ過ぎではある。
「なぁんて酷い。食べるならもっとお近づきになってから〜」
「わぁぁ! 悪魔よ立ち去れ!」
 うきわくと妙なしなを作るタケチに恐れをなし、扉を閉めてブルブル震えるクロードであった。

「その巻物。みーたことあるなぁぁぁ」
 広場の片隅、『福袋大放出! これで貴方も一攫千金!』と書かれたのぼりがはためく露店にロド(略)はにじり寄った。
「あ? 何のことだニイチャン‥‥」
 因縁をつけられた露天商はガンを飛ばそうとしたが、視線の先、異様な風体を捉えて冷や汗を一つ。何せ褐色のマッシブバディを惜しげもなく晒した大男がポージングで至近距離である。怯えない方がどうかしている。下半身から立ち上る禍々しい気配には目を向けることすら出来ない。見たらだめだ。見たら終わってしまう。何が終わるのかも良く判らないが、とにかくそういう気がするんだから仕方ない。
「さては‥‥盗品だなぁぁぁぁ?」
 おどろおどろしく告げると、気合一発、己の衣服を破り咲いてフンドーシ一丁に素敵変身。
「犯罪者の行く末は‥‥禿! 剃るしか! 伝説のために散れ、頭髪!」
「なんでだぁ!」
 抵抗する間もなく剃り上げられる露天商。
「悪い子いねがぁ‥‥泣く子いねがぁ‥‥」
 当初の計画をすぽーんと忘れ、意味不明な台詞を口走りながら辺りをうろつくロドであった。
 因みにこの後、衛兵の一個中隊に取り囲まれ、大立ち回りの挙句禿数名の犠牲者を出して漢は逃走したらしい。そのあまりの恐ろしさに、『ミッデルビュルフの悪夢』と噂されたとか何とか。

 露店やらなんやらで大立ち回りのその一方。
「司祭殿。ここは何処であるかな?」
「‥‥広場っぽいですねぇ。なんとなく」
 宵藍とマリユスの二人は、道に迷った挙句の果てに広場へ到着していた。
「いやぁ。まさか案内しながら迷子になるとは不思議な事もあるものですねぇ」
「まぁ、お陰で裏通りなどはじっくり見れたといえば見れたが」
 ‥‥つまるところ、どーでもいい所ばかり経由してきたらしい。
「ほう?」
 宵藍は広場の片隅に目を凝らした。そこから流れる旋律。どうやら数人の楽団がいるらしい。
「丁度いい。冒険者歓迎ムードでもあることだし、剣舞でも披露いたそうか?」
「結構ですねぇ」
 司祭が目を細めると、よしきたとばかりに宵藍は支度を始めた。
 ややあって。
 華国風の礼服に肢体を包んで現れた宵藍は、うなじを見せるようにロングヘアーをかき上げると。
「イギリスはバー二丁目の女帝・梅紅とは妾のことじゃ」
 ――ぱぱらぱー☆
 ‥‥何処からともなく極彩色の音楽が流れたような気がしないでもないが、たぶん気のせいだ。
 優雅に華麗に艶やかに、すらりと伸びた手足を惜しげもなく見せ付けるように舞い踊る。口笛を吹く青年にバチンとウィンクを飛ばし、色っぽいぞ姉ちゃんと冷やかす親父には投げキッス一発。観客が真実を知ったら卒倒しそうな気がしないでもないが、これも試練であろうと艶然と笑む梅紅さん(29歳男性 職業女帝)である。
「いやぁ、堪能しました。父も喜んでおいでですよ、たぶん」
 感動して手を叩くマリユスに出迎えられ、梅紅‥‥ええと宵藍は額の汗を拭った。
「それは嬉しいのぅ。ならば妾も黒に入信しようぞ。寄付金は妾も裕福とは言えぬでのう、5Gでも良いかえ?」
「いえいえ、多すぎるくらいですよ。それでは、梅紅さんは本日より黒の使徒、ということで」
 司祭は懐から羊皮紙を取り出すと、『メイホンさん』と名前を書き込んだ。

「ご招待いただきまして、ありがとうございます。そして、新年おめでとうございます」
 教会を訪れたラスティは、出迎えたクロード司祭に深々と頭を下げた。
「いえいえ、ご丁寧に恐縮です」
 司祭は温和な笑みを浮かべると、ラスティを食堂まで案内する。落ち着いた様子なのは兄に迎えが来てどこぞの孤児院へ出かけているからだ。
 食堂の扉を開ける。
「たいした持て成しも出来ませんが、どうぞごゆっくりお過ごしくださ‥‥」
「さぞや様々な苦難を乗り越えていらしたんでしょぉ。あなたの歴史で歌を作らせてください〜」
「はにほー」
 ボロキレとハニワが会話する姿を見て、司祭は絶句した。
「‥‥ええっと、司祭様、これはほんの心づけですが」
 竪琴を取り出すゆとりもなく、咄嗟にラスティは司祭に寄付金を差し出す。笑顔が引きつり気味なのは、ハニワの中身に心当たりがあるからだ。
「‥‥これは、どうも、ご丁寧に‥‥」
 受け取る司祭の表情も引きつり気味だ。
「そういえば、悪魔を倒した一人の私の友人がお世話になった方々が、この街を救ってくれたそうですね。なんでも、孤児院を手助けをしているとか‥‥その方々もまた純粋でお優しい方々だと聞いていますよ」
「‥‥まぁ、冒険者にもいろいろいるのはよーく思い知りましたよ」
 溜息を一つ、諦めたように司祭は卓につき、ワインを口にした。
「要は、一人一人を見なければいけないという事ですね。肩書きや種族に囚われず‥‥」
「その通りですね」
 どうやら収まった‥‥というか、いろいろ諦観したらしい。ラスティは、ほっとしたように笑みを浮かべた。

 ――そんなこんなで夜は更けて。
「バルバルバルッ!」
 謎の奇声と共にハニワから脱皮したロドが、酒樽を満載して司祭に詰め寄る。
「さあ飲め! 特に日頃お疲れの白の司祭はとっぷり飲め!」
「‥‥頂きましょう。大事なのは中身ですからね」
 奇行にだいぶ免疫がついたのか、少しだけ面食らいながらもクロードは杯を飲み干した。まぁ、この場合の中身とは酒の事だろうが。
「アリアさんの孤児院へ友人から言付けと、贈り物があるんです」
 夜更けに戻ってきたマリユスを捕まえ、ラスティが皮袋を渡す。
「『ガキに泣かされんなよ!』だそうですよ」
「‥‥確かに伝えますよ」
 穏やかに、マリユスは笑んだ。
「そういえば、探し物をしておられたとか‥‥?」
 ふと思い出したようにラスティを見つめると、クロードが懐からスクロールを取り出す。
「先日、うちの信者が読めない巻物を拾ったといって私に預けましてね。ひょっとして、貴女の物では」
「‥‥あ、ありがとうございます」
 女は驚きながらスクロールを受け取った。
「しかし、白と黒で兄弟とは考えたな。白黒、つまり三男は灰色、アッシュ! つまり阿修羅教‥‥」
「アッシュ羅教ですか? 見かけによらず、面白いことを言いますね」
 苦笑交じりの微笑をクロードが浮かべると。
「そういえば‥‥外国に旅立った妹が確か、そんな感じの手紙を寄越したような覚えがありますねぇ」
 首を捻っていたマリユスが思いついたように呟いた。
「み、見たぜ光る俺の名推理!」
 炸裂したダンディな推理に、得意げに酔いしれるロドであった。