ちちをのめ!

■ショートシナリオ


担当:蜆縮涼鼓丸

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:8人

サポート参加人数:4人

冒険期間:06月27日〜07月02日

リプレイ公開日:2006年07月05日

●オープニング

 先の、五条の宮の反乱騒ぎも落ち着いて、京の都の歯車は、きしみながらもまた回りだす。
 壊れた家は建てねばならぬ。焼けた畑に、菜を植えねばならぬ。
 下々の暮らしがいつもの流れを取り戻すのに必死なら、上の方とて同じこと。
 戦というものは金も人も費やすものだ。戦が終わったからといって、ハイ元通り、とは、なかなかいかない。
 京の都で一番上に据え置かれている存在──安祥神皇(ez0008)の日のめぐりも、戦の前と同じではない。
 戦の折、心労の余り倒れてから、何とか持ち直しはしたものの、日ごとに暑さ寒さが波になるのもあいまってか、どうも体調がはかばかしくない。
 いや、罪を減じられ流刑となった五条の宮を心配しても居られるのだろう。
 神皇は確かに宮の死罪を減じ、命は助けるよう嘆願したが、どうもそのとき既に宮が命拾いする事は決まっていたらしいのだ。
 五条の宮はまた誰かに利用されるのではないか。
 やっと手指の数より多くなった年の神皇は、言葉にこそ出さないが、時折遠くの空をぼうっと見上げている。
 宮が流された島のある方角を、ぼうっと。

「くしゅん」
 小さくくしゃみをする小さな主を見て、側居の老人は物思いから覚め、顔をしかめた。
「やはり、戦勝の宴に足を運ばれたのが、そもそもご体調お優れ遊ばしにならぬ元かと存じます。お上が冒険者を好ましく思うておられるのは分かりまするが、されど、あれ程このじいがおやめ下さいと申し上げておりますに‥‥お上に於いては、じいの言う事など聞けぬと仰せであられますか。もしや、何ぞ宴の席で怪しげなものをお召しにはなりませなんだか。未だ都にはお上に不敬の心を持つよからぬものが、じょうじょ‥‥」
「はっくしゅ!」
 長いお小言を連ねていた老人も、再びのくさめに口元を覆う主の少し潤んだ目を見て口を噤んだ。冗冗と悪しき輩が都に蠢いているからとて、近づけさせねば良い。それこそが侍従である自分の、そして刀持つ志士達の役割ではないか。
 しかし病と悪霊は目には見えぬ。医師の薬か、陰陽師の調伏か。まずは元の気を充実させねば、悪鬼の類が付け入るもとだ。
「いけません、酷くなる前に身体を冷やさぬようお休み頂き、滋養をお取り下さいませ‥‥ああそうだ、牛の乳を持ち参らせましょう。あれは良う御座います、じいもあれを飲み始めてから、若返ったとよく人に言われまする」
「‥‥乳は、好まぬ」
 ぼそり。春風の如き君のかんばせが、雲がかかったような浮かぬ顔に変わる。
「なにやら獣臭い香で、口の中にべとつくような味。しかも飲むと、なにやら腹痛を覚える。あのようなものが薬とは思えぬ」
 日ごろはおっとりと、柔らかな物腰のあるじが、はっきり否と言う。
 めったに言わぬわがままを聞いてしまいたい気はするが、さりとてお上は国を司る身、御身を労わっていただかねば困る。
 老人はその日はそれ以上無理に勧めることはせず、部屋を下がった。

「ええ、宮中御用達の菓子を商うお店がございまして、『十三ッ屋』さんというんですが、こちらからのご依頼です」
 ギルドに集った冒険者の前で係員は静かに語る。
「牛の乳を使って滋養のある菓子を作りたいのですが、何分にも珍しい材料で、なかなか思ったようなものが出来ない。毎日でも口にして飽きないような、滋養のある菓子を作りたいので、冒険者ならば異国でさまざまなものを口にしているだろうから、助言なり手伝いなりをしてほしい、と」

●今回の参加者

 ea5001 ルクス・シュラウヴェル(31歳・♀・神聖騎士・エルフ・ノルマン王国)
 ea5984 ヲーク・シン(17歳・♂・ファイター・ドワーフ・イギリス王国)
 ea9502 白翼寺 涼哉(39歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 eb0971 花東沖 竜良(34歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 eb2404 明王院 未楡(35歳・♀・ファイター・人間・華仙教大国)
 eb3601 チサト・ミョウオウイン(21歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 eb4467 安里 真由(28歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb4803 シェリル・オレアリス(53歳・♀・僧侶・エルフ・インドゥーラ国)

●サポート参加者

エリーヌ・フレイア(ea7950)/ サントス・ティラナ(eb0764)/ 備前 響耶(eb3824)/ 千住院 亜朱(eb5484

●リプレイ本文

●牛乳
 典薬寮乳牛院を取り仕切る和気榎麻呂なる人物は、にこにこと冒険者達に頭を下げた。
「こーのーたーびーは〜、かーしーをーとーとーのーえーるーにーつーき〜、うーしーのーちーちーをーもーちーいーるーとーのーむーね〜、うーけーたーまーわーりーて〜、おーりーまーすーる〜」
 祝詞でもあげているかのような冗長さで。
 白翼寺涼哉(ea9502)は頭からちりちりと煙が立つような感覚を覚える。
「にゅうーぎゅうーいーんーの〜、いーちーばーんーよーいーちーちーをーだーすーうーしーは〜、ぶーなーとーいーうーしーろーうーしーでーごーざーいーまーし」
「ブナはいいから生乳を出して下さい」
 流れをぶった切る白翼寺。
「さーてーも〜、きーみーじーかーなーおーひーとーでーご‥‥‥‥‥‥ほほほほほ」
 白翼寺の目に宿った『いてまうどコラ』オーラに気付いたのか、和気氏は目を逸らし、誤魔化すように扇で口元を覆い、笑った。それから、ぽん、ぽんと手を叩くと、陶器の瓶に入れられた牛乳が運ばれてきた。
 少々試してもいいか、と断りをいれて、盃一杯のそれを白翼寺はぐいと試飲する。
 白翼寺の脳裏に、赤子に乳を含ませる己が愛妻の姿が浮かんだ。あの白くたわわな乳房から出てくるものとこれは、同じようなものなのだな、と奇妙な感慨を覚える。が、飲み干したあと、どうも牛乳の匂いが口腔にねばりついているような気がして、鼻の穴を膨らませた。口元についた白い液体を拭いながら、もう一つの希望を口にする。
「それと、こちらには酪だのという、乳から作ったものも在ると聞くが、それも試させて貰えないだろうか?」
「らーくーで〜、ごーざーいーまーすーか〜‥‥?」
 和気氏はわずかに、眉を寄せた。
「やーんーごーとーなーきーかーたーがーたーのーたーめーの〜、だーいーじーなーしーなーにーて〜、おーいーそーれーとーは〜」
 と言いつつも、また手を叩いて小振りの壺を持って来させた。要するに、有り難く思えということのようだ。
 白翼寺は茶さじでその壺の中身を口に運‥‥ぼうとして、動きが止まった。
 ぐぎゅるるるるる。
 白翼寺の腹から、カエルの悲鳴のような音が響く。和気氏が首を傾げ見れば、白翼寺は顔面蒼白で、はばかりを拝借、と声を出さず口だけ動き、中腰になりながら慌てて部屋を一度退出した。
 戻ってから、やっと本題の酪の入手を申し出たが、やはり高貴な方のためのものであること、作成が難しい上にそもそも門外不出である事などをたっぷり小一時間ほど説明され、もとよりどんな手を使ってでも入手する、というほどのつもりもなかったので、諦めた。

●ヨーグルトとラッシー

 白翼寺はクーリングで冷えた長持に、サントス・ティラナに用意させた米麹と牛乳を入れた壺を仕込んであったが、開けてみて落胆の色を隠せなかった。壺の中身は『よく冷えた、牛乳に米麹を混ぜたもの』のままだった。味見する気にはならなかった‥‥想像しただけで、白翼寺の腹はぎゅるぎゅる言い始めそうだった。
 白翼寺の酪を当てにしていた安里真由(eb4467)、シェリル・オレアリス(eb4803)達も顔を見合わせる。だが無い物は仕方ない。
 シェリルが作ろうとしていたのは故郷インドゥーラの『ラッシー』という飲み物だった。
 何か使えるものは無いか、調理場を見回して、一点で視線が止まる。
「これ、使ってもいいかしら?」
「どうぞ」
 そっけなく答える相手──ルクス・シュラウヴェル(ea5001)に、シェリルは、
「ありがとう」
 と笑いかけ、それを手に取った。
 シェリルが手にしたのは、だいだいの実である。酸味が強いので生食には向かない代わり、絞った果汁はだいだい酢として使われたりもする柑橘類だ。
 少々ではあるが、調理の心得はある。安里に付いて来た備前響耶が予め調理器具の鍛冶を申し出てくれていたが、牛乳は匂いがつきやすく、金気の出るもの、ましてや使い込んでなじんだものでなく、新品となればなおさらに向かないだろうと、今あるもので工夫をすることにした。泡立て器の代わりに大きな茶せんを用意してもらう。
 牛乳に、だいだいの果汁を落とすと、さらさらとしたとろみが付いた。そこへ砂糖を贅沢に放り込む。よく混ぜてから氷室へ運んだ。
 この氷室はルクスを手伝いに来たエリーヌ・フレイアが作ったものだ。日陰の小屋を藁で囲い、中にぎっしり、魔法で作り出した氷を詰めた。
「どう考えても時間が余るわね。あとは待機しておくから、クーリングが必要だったらいつでもクーリング係として使ってね♪」

●チーズ
「スィーツを『他人の金』で作れるなんて、良い仕事ですね〜」
 ふんふんと鼻歌など歌いながらヲーク・シン(ea5984)はクリームを入れた牛乳を湯煎にかけ、温める。そこに、漬物の汁を入れた。見ていた十三ッ屋の菓子職人たちはぎょっとした顔をする。
 鍋を湯煎にかけたまま、次いでヲークは別の器に取った湯冷ましに、塩と、何かの臓物らしい物体を入れた。血の匂いが広がり、職人達は死にそうな顔をした。本来、和菓子作りの場にそんな生々しいものは存在するいわれがないのだ。あとで職人達は必死に掃除をし、清めの塩を撒く事になるだろう。
 臓物を洗った水を先ほどの牛乳に加え、更に湯煎することしばし。切るように混ぜるとだんだん、黄ばんだ固まりと上澄みに分離してきた。
 今度はその鍋を湯煎から取り出して蓋をする。半日ほど、鍋はそのままにされた。
 満を持して、ヲークが鍋の蓋を開けると‥‥中から、明らかに人が食べられるものではない臭いがぷーんと臭った。
 湯の温度が熱すぎたか冷たかったか、あるいはどこかで手順を間違えたのか、そもそも材料が間違いなのか。牛を飼い乳を絞ったこともないヲークには、知る術がない。
 もっとも、そもそも殺生の結果である臓物を使って作った食品だと知れた時点で、市井の人の口に上る事はあり得なかっただろう。この国では家畜を食べることは基本的にないのだから、肉一切れを手に入れることすらなかなか大変だというのに、ヲークの希望する『授乳中の子牛の4番目の胃袋』なるものを入手するのにどれほど苦労があったか‥‥とはいえ、他国からの冒険者達の来訪も多い京都の地にあっては、実際には言うほどの苦労はしていないのだが。ただ、子牛一匹をまるまるこのために買い取った費用は、自前で払うしかなかった。

●プディングとクッキー
 明王院未楡(eb2404)とチサト・ミョウオウイン(eb3601)母子は二人並んで仲良く料理にいそしんでいた。
 未楡はカスタードプディング作り。この料理はチサトと同じ、イギリス生まれのものだ。
 4つの鉢はそれぞれ違うプディング液で充たされている。二つは緑がかった色で、二つは象牙色に近い。手早く、泡立たないようにプディング液を混ぜる母の手元を、娘はじっと見つめている。母親が、どうしたの、と問いかけるような視線を向けると、少女は少し恥ずかしそうに笑った。
「かあ様と一緒に御料理‥‥楽しいです」
「そうね」
 未楡が娘に微笑み返すと、チサトも止めていた手を再び動かし、クッキー作りを再開した。
 こねたクッキーの生地を幾つかに分け、こちらには砕いた胡桃、こちらには松の実を混ぜたりと、さまざまに工夫をして単調な味にならないようにする。
 それから、一生懸命に丸めた生地のあっちを引っ張りこっちをこねて、動物のようなかたちを作り上げた。別のものは丸かったり、三日月形であったり。チサトなりに食べた相手が優しい気持ちになれるように、想いを込めて試行錯誤した結果である。母の未楡は家事の達人だが、そんな娘を温かく見守り、どんなにそれが不恰好でも、決して口を挟もうとはしない。
 未楡は茶碗蒸しの要領でプディングを蒸し上げてから、長持の保冷庫へそれを運び入れた。それから思い立って、十三ッ屋の職人に声をかけた。
「飴細工を作っていただけますか?」
「構わないが、どんなものだね」
「神皇様を模った、愛らしいものを」
 未楡の答えを聞いた途端に、職人の血相が変わる。
「‥‥なんて罰当たりな」
 吐き捨てるように言い、未楡を睨みつける職人の剣幕に当惑していると、店を取り仕切っているかのこと言う若い女性が、二人の中に入ってとりなした。
 この国では古来より、人形というものにはある種の呪術的なイメージが込められている。読んで字の通り「ひとがた」の意である。人の代わりに何がしかを負って川に流されたり、あるいは呪いの媒体となったりすることもある。
 この国で神皇という身分ある人物を模った人形を作るというのは、それがたとえ軽い気持ちからの行為であったとしても、神皇を奉ずる人々から見ればその意図を問われかねない行為であろう。
 神皇という言葉には「神」という文字が含まれているのだから。

●小倉牛乳葛菓子と牛乳飴
「以前酒場でお友達に、欧州には牛乳というとっても美味しい飲み物があると聞いて、一度飲んでみたいと思っていたのですよー♪」
 安里の目がきらきらと輝く。
 花東沖竜良(eb0971)と共に買出しに行ったときに見つけた皿を前に、安里は料理を開始する。葛、水、小豆、砂糖。全て普段十三ッ屋で使われている上質のものばかりだ。
 牛乳を温め、砂糖と葛を煮溶かしてから、茹で小豆を入れて冷やし固める。たったそれだけの手順なのに、何度やっても固まらない。
 苦闘している安里を見かねて、十三ッ屋の職人が葛粉をもっと入れろと助け舟を出した。一度口を出すと止まらない性分の職人らしく、その後もああしろこうしろと口やかましく指示を受けながら、なんとか思ったとおりのものが完成した。入れるつもりだったヨーグルトの代わりに、職人に勧められて生姜汁をほんの少し使うと、ぐんと味が引き締まった。
 一安心した安里が、竜良兄様のほうはどうだろう、と見ると、そちらも料理は自己流の為になかなか苦労をしているようだった。
 牛乳の飴を作ろうとしている花東沖だったが、先の買出しの折に飴職人から手ほどきを受けてはいたものの、いざ自分でやってみるとなると火加減がうまく行かず焦がしてしまったり、逆に十分熱せられずに白っぽくなってしまったり、簡単なのに奥が深い。ひとつには職人は飴の作り方は教えてくれたが、牛乳を使った場合の分量などは知るわけがないから、花東沖はそのあたりの見極めを自分でしなければならなかったこと。もうひとつには、砂糖という、家庭ではめったにお目にかかれぬような高級食材を使っているために、勝手が違うためである。むしろ麦芽糖、すなわち水飴だけの方がなじみが深く作りやすかったのかもしれないが、後の祭りというやつだ。花東沖はもくもくと作業を続けた。
 手の空いた安里も、花東沖を手伝う。それでようやく、少し形はいびつではあったが、なんとか完成の目を見た。
 それを補うため、というわけでもないが、包みには特に意趣を凝らし、とりどりの色鮮やかな紙で包んでゆく。最後に、シェリルに頼み、まとめて魔法で冷却してもらった。
「そのままでも大丈夫とは思いますが、冷やしたほうがより美味しいと思いますから」
 作り終わって気が抜けたとたんに、何故か花東沖は空咳が出始め、止まらなくなった。

●アイスクリーム〜試食会
 藁で囲まれた氷室に篭り、ルクスは大物に挑戦していた。ウィザードのように魔法を使えるものが口づてで教えあった特殊な料理──所謂アイスクリームである。氷の上に薄手の銅の皿を置き、その上に牛乳を注ぐ。空気を入れ込むようによく混ぜながら冷やす。
 そこに牛乳にだいだい果汁を入れてから固形物だけを漉して絞ったカッテージチーズをいれてみたり、蜂蜜をかけてみたり、試行錯誤を繰り返して、やっと自分で納得の行くものを作った。
 氷室でアイスクリームを作っては食べしていたので、髪から氷柱がのびるほど体がすっかり冷えてしまったのは、まあ仕方がないだろう。
 ルクスはノルマン王国の出身だ。ジャパンとは違い、牛乳にはなじみが深い。彼女はただ菓子だけといわず、欧州で使われているような、幅広く使われる応用が効く食材として牛乳への理解を深めてもらえるように願っていた。
 氷室から出ると、ルクスは自分の身体を温めるのと、食材として牛乳を披露するのに相応しい料理を作る事にした。

 デザートの前に、卓についた冒険者達の前にまず出されたのは、ルクスの作った根菜のクリームシチューだった。
「依頼にはないが、欧州の牛乳を使った家庭料理だ。牛乳は冷やしたものも美味しいが温めるのも美味しい。味をまろやかにする」
 里芋、人参、ごぼう。いずれもこの国の食材だが、普段食する味噌汁などとは全く違う風合いに、十三ッ屋の職人達も感嘆の声を上げた。
 次いでシェリルのラッシーが出て来たが、少し残念な事に、時間を置いてしまったためか、牛乳の成分が分離してしまって上澄みとどろりとした部分とが境界線を作っていた。もし献上するなら、作って持っていくのでは無理ですねとかのこが言う。
 チサトの作ったクッキー、蜂蜜たっぷりのホットケーキと、未楡の4色のプディングが並ぶと、特にプディングは見た目も美しく、評価が高かった。ホットケーキに使われたバターは主にヲークの奮闘によるものだ。
 安里の葛もなかなかの評判で、小豆はこの国には馴染みの深い食材なので受け入れられ易いのではないかと思われた。
「今日はとてもいい骨休めになりました。世の中にはまだまだ俺の知らない事がたくさんあるんですね‥‥」
 自分で作った飴を手に、花東沖が感慨深く呟く。
「そういえば、何でも牛乳は成長を助けるとかで‥‥私の胸も少しぐらい大きくなるでしょうか?」
 安里は真顔で言い、食卓に笑顔が広がった。