【華の乱】箕輪城の桜
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■ショートシナリオ
担当:菊池五郎
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:5
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:05月03日〜05月10日
リプレイ公開日:2007年05月12日
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●オープニング
――上州は箕輪城。榛名(はるな)山麓の尾根の末端部に造られた城だ。
西に榛名白川、南に榛名沼があり、北に榛名山を頂くその姿は、天然自然の城郭に守られている。
この城の主は、真田昌幸である。
「伊達政宗に源義経‥‥奥州藤原氏が本格的に動きましたか」
「はい、江戸城の三の丸を手中に収めているそうです。武田信玄、上杉謙信も相次いで反旗を翻し、次の撤退戦で落ち度があれば、源徳家康の命は風前の灯火でしょう」
真田十勇士の一人、望月六郎が頭を垂れ、後に【華の乱】と呼ばれる、新田義貞と源徳家康、そしてそれに連なる武将達の戦いの状況を報告するのは、武者鎧「蒼牙綴」に身を包んだ凛々しい女武将。
彼女の名前は稲姫。真田信之の妻であり、主のいない箕輪城を守っている。
箕輪城は立地的にも攻めにくい場所にあるし、万一、平井城が落ちたとしても、源徳軍はここまでは攻めてこないだろう。
とはいえ、夫の留守を守るのが武将の妻としての務めであり、稲姫は立派に務めを果たしていた。もっとも、彼女は侍の家の出であり、信之と共に鷹狩りへ出掛ける程の腕前を持っているが。
「殿と夫、義弟は安泰ですか?」
「それはもちろん。お館様、信之様、幸村様共にご健在です。今回は新田に花を持たせていますからね」
「それはお舅上(ちちうえ)らしくなく奥ゆかしい事ですね」
「まったくです」
昌幸・信之・幸村親子の安泰を聞き、稲姫は笑みをこぼす。
今回、昌幸達は表立った行動はせず、義貞のサポートに徹している。家康が戦況の情報を手に入れにくいのも、真田十勇士を始めとする真田忍軍が暗躍しているからだ。
逆に真田側は、真田忍軍や早馬を使って戦況の様子を離れた箕輪城へ届けていた。戦でものを言うのは正確な情報だと、昌幸は分かっており、それを徹底させている。
今日、報告に来たのが六郎だった。
「今回の戦、先が見えましたね」
稲姫はふと、窓の外を見遣る。そこには満開を迎えた桜の木があった。格子を開けていれば、桜色の花びらが室内へ入ってくる。戦が終わる頃には見応えのある桜吹雪となるだろう。
「‥‥お舅上を労わなければなりませんね。そうだ、冒険者と一席設けるのはどうでしょう? 戦が終われば積もる話もあるでしょうし、杯を酌み交わしながら今後の上州の事を話すのもいいかも知れません」
「それは良いお考えです。お館様の疲れもいっぺんに吹き飛ぶ事でしょう。では、俺が冒険者へ募集の告知をしてきますので、お方様は酒宴の準備をお願いします」
「足労を掛けます」
斯くして、江戸の冒険者ギルドに、稲姫主催の箕輪城での酒宴の告知がなされるのだった。
●リプレイ本文
●箕輪城
「これが真田昌幸の居城か‥‥」
「まさに天然自然の城塞でござるな」
浪人の山本剣一朗(ec0586)は、真田十勇士の一人、望月六郎に案内されて訪れた箕輪城を見て、目を見張った。箕輪城は東西約500m、南北約1100mに及ぶ広大な平山城だ。
その傍らで、ハーフエルフの神聖騎士テラー・アスモレス(eb3668)は、自然の地形を十二分に活かした造りに感心している。
「上野(こうずけ)の方はまだ桜が咲いてるんだね。お花見お花見〜☆」
「お花見お花見〜♪」
『おはなみおはなみ〜』
「榛名(はるな)山の上の方なんか五月の中旬にならないと咲かないんだぜ」
パラの忍者、白井鈴(ea4026)は箕輪城の周囲を彩る桜に目を輝かせた。シフールのレンジャー、ベル・ベル(ea0946)も同じで、火のエレメンタラーフェアリーのシャルちゃんとはしゃいでいる。シャルちゃんは桜吹雪が気に入ったらしく、桜の花びらを楽しそうに避けている。
「戦が終わってパーティかぁ‥‥」
「どうされました?」
「ううん、何だか変な感じだなぁって思って。少し前まで、この子で戦ってたからかな?」
六郎の蘊蓄(うんちく)を聞きながら、レンジャーのミリート・アーティア(ea6226)はその天真爛漫な顔をにわかに曇らせていた。エルフのレンジャー、ルルー・コアントロー(ea5487)が心配そうな表情を浮かべて尋ねると、彼女は愛用のオークボウの弦を軽く爪弾きながら眉を顰めた。
「それは私も同じ。つい先日、真田の忍軍さんにお世話になったばかりなのですが‥‥」
レンジャーのクリス・ウェルロッド(ea5708)は微苦笑する。クリスは真田忍軍に付けられた怪我の余韻を残したまま、指揮を執っていた一人である六郎や、その総大将の昌幸と花見をするのだ。
「きゃははは♪ それは上手く立ち回らなかったキミが悪いんだよ♪」
「そうかも‥‥しれませんね。私も冒険者の端くれ。当然、恨みなど毛頭無いですが‥‥」
志士の彼岸ころり(ea5388)に嗤い飛ばされると、冒険者とはそういう因果な存在のように思える。もっとも、ころりがそこまで深く考えての発言かどうかは疑問だが。
「なにはともあれ、宴会宴会〜♪ ボクはお酒飲めないけど、楽しんでこーっと♪」
「そうだね、せっかく上野くんだりまで来たんだし、い〜っぱい楽しまないとね」
「今日はとことん呑むぞー!」
ころりの一言にミリートも頷いてオークボウをしまう。鈴も諸手を挙げて彼女に賛同した。
●稲姫
箕輪城の城門をくぐると、桜吹雪が舞い散る中、一人の女侍がミリート達を出迎えた。
「ようこそ、箕輪城へ。江戸より遠路遥々、よくお越し下さいました」
「信之様の奥方様、稲姫様だ」
「うわぁ〜」
女侍が礼儀正しく頭を下げると、六郎が稲姫だと紹介する。初めて会うお姫様に、ミリートは感嘆の息を漏らした。
武者鎧「蒼牙綴」に身を包んだ稲姫は凛々しい雰囲気の中に、姫としての高貴な優美さを自然と纏っている。それでいて武者鎧の上からも分かるふっくらとした双房が、女性としての美しさを添えている。
中弓を背負っているところを見ると、ミリートと同じく弓を愛用しているようだ。
「本来でしたら着飾って出迎えるべきですが、時期が時期ですので、このような出で立ちでお許し下さい」
「ううん、すっごく綺麗だよ。イギリスにいた時もお姫様に会うなんて経験なかったもん」
「ありがとうございます。殿もお帰りになられておりますし、宴の準備も整っておりますが、皆様、長旅でお疲れの事でしょう。夕餉までお休みになられて下さい」
●桜舞い散る宴
男性陣と女性陣に分かれて箕輪城内の客間でくつろぎ、軽く湯浴みを済ませて旅装束から普段着に着替えると、夕宴の時間となった。
「何やら楽しそうですよ〜☆」
『たのしそうですよ〜』
稲姫に呼ばれて庭園へやってくると、桜の木の下に畳が敷かれ、お膳が人数分置かれてあった。
早くも楽しそうに雰囲気を察知したベルは、シャルちゃんと小躍りしながらお膳の一つに着いた。剣一朗達も彼女達の後に続いてお膳に着くと、全員が座ったところで着物姿の昌幸が姿を現した。
「はやぁ〜‥‥この人がそうなんだ」
ミリートは昌幸の事を彼と共闘した事のある恋人から聞き及んでいたが、目の当たりにすると雰囲気や纏っているオーラからして違う。一城の主としての貫禄があった。
「此度は稲姫の催した宴に参加してくれ、礼を言おう。先の戦では刃を交える事もあったが、この場は無礼講、大いに食べ、大いに呑み、先の戦に疲れを癒して欲しい」
昌幸が挨拶をする中、ルルーと稲姫が手分けをして杯に酒を注いでゆく。
「乾杯!」
「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」
昌幸が乾杯の音頭を採ると、全員が杯を掲げて乾杯した。
お膳の料理は榛名山で採れる山菜尽くしとイワナの塩焼きだ。どぶろくの他にベルから桃花酒が、鈴から御神酒「トノト」が提供されている。
「このハーブ、苦いですよ〜」
『にがいですよ〜』
「それはのびるというジャパンの山菜だが、ベルにはまだ早かったか? 味噌を付けて食べると美味しいぞ」
「本当ですよ〜ん☆ 味噌を付けると美味しいですよ〜ん☆」
「伽羅蕗(きゃらぶき)は、どぶろくともトノトとも合うなぁ」
「ささ、鈴様、もう一献どうぞ」
昌幸から食べ方を教わるベルの傍らで、伽羅蕗を肴にお酒が進む鈴。ルルーは稲姫と手分けしてお酌に回っている。
「美しい桜でござる‥‥拙者、最初は新田殿を討つべく前線で撹乱を行い、撤退戦の際は殿にて追撃阻止を行う為の盾となる隊に身を連ねていたでござる。まぁ、我ながらよく生きて帰れたものだと思うでござるが、こうして戦を生き抜いたからこそ、この美しさを愛でられるのでござるな」
テラーは杯をぐぐっと煽り、夜風に踊る桜の花を見上げる。空いた杯に稲姫が桃花酒を注いだ。
♪遊び風に身を躍らせて
今日という日に夢色を
薫る光に揺らめくよ
今一番の 晴れ舞台
それは 暖かいアナタの彩りで
そして またね、って次への合図
向けてくれたその笑顔に また逢えるときが楽しみだよ♪
桜吹雪の中、ミリートが愛用のリュートベイルを爪弾き、ほのぼのでゆったりとした曲調の歌を紡ぐ。
「テラーさんの言う通り、せっかく綺麗な桜があるんだものね♪」
「では、僭越ながら私も‥‥」
ミリートに触発され、巫女装束を纏い、その上から千早を羽織ったルルーが、神楽鈴を片手にミリートの演奏に合わせて踊る。
「此度の戦は、色々な事がいっぺんにありましたね」
「僕としては、なるべくしてなった‥‥って感じかな? 経緯はどーあれ、家康様が完璧に負けたってのは事実だしねー、きゃははは♪」
「拙者、先頃は源徳殿にお味方致したが‥‥それも江戸の街を火の海にしたくなかったが故。国や民の行く末は気になるが、覇権には特に興味がござらぬ」
イワナの塩焼きを食べながら剣一朗が切り出すと、ころりが自らの見解を告げる。源徳家康の名前が挙がったので、テラーは家康側に就いた経緯を話した。
「江戸の街を火の海にしたくない‥‥政宗様は江戸城を陥落できなかったとしても、江戸の街に火を放ち、江戸自体を壊滅させる事は出来たのですよね‥‥」
「政宗がそれを選んでおれば、江戸は復興に十年は掛かるだろう」
「10年‥‥今回の戦、家康からすればメリットはほとんど無いのですね」
「大変なのはいつだって変わらないけど、大きな戦いの後は特に‥‥かな」
踊りを終えたルルーが想定した最悪の事態に昌幸が応えると、クリスは疑問が氷解したような表情を浮かべ、鈴は家康が最悪の事態を選ばなかった事に胸を撫で下ろす。
「戦の際は流石に戦術とはいえ、裏切りを行った伊達殿や武田、上杉方に対する感情的な怒りも少々あったやもでござるが、戦が終わった今、遺恨はござらぬよ」
「謙信様まで新田に就いたのと、江戸城が落ちちゃったのは正直予想外だったけど」
ころりを始め、冒険者の誰もが奥州藤原氏や伊達政宗だけではなく、武田信玄や上杉謙信までもが造反するとは思ってもいなかっただろう。テラーの言葉に頷いた。
「此度の乱、兵を率いて表部隊にはいらっしゃらないようでしたが‥‥各武将の情勢等の情報の収穫はおありで? ‥‥いや、少し、度が過ぎた発言でした。無理に御答え戴かなくても結構です」
「はっはっは、そなたは妹ほど真っ直ぐではないようだな。既に戦は終わっておるし、隠し立てする事もあるまい」
クリスの質問に昌幸は豪快に笑う。
昌幸を始め、真田勢は表舞台にこそいなかったが、昌幸自身は新田義貞の参謀を務め、真田兵も新田兵と共に戦っていた。本陣近くに配置されていたので目立つ武功は無かったが。
また、真田兵の別働隊は江戸城に向った源徳軍の救援部隊を足止めし、真田忍者は源徳方の伝令を片っ端から潰していたという。
話を聞くだけでも、昌幸は真田十勇士と真田忍軍という、一武将としては破格の、卓越した諜報網を持っている事が窺える。
「この先、おじちゃん達はどうしたいのかな? 私は戦争とか好きじゃないから、そういうのが少ないと嬉しいな」
「私も平和な世の中になるといいと思いますが‥‥平和な世になっていくのか、それとも戦乱の世になっていくのか‥‥」
「やっぱ乱れるんじゃないかなー。今回の戦で家康様の力も相当落ちただろーし、色んなところで動き出すヒトはいそーだよね」
聞き手に回っていたミリートが尋ねると、お酌して回っていたルルーも疑問をぶつける。
昌幸より先にころりが応えるが、昌幸が深々と頷いたところを見ると、間違ってはいないようだ。
「日ノ本の中心は都だ。神皇様のお膝元が安泰なれば天下も乱れる事は無い。神器が奪われ、五条の宮様が太宰府で神皇を名乗り、今上の摂政たる家康は此度の戦で江戸を失った。ミリートやルルーには悪いが、ジャパンはこれから乱世が続くだろう」
「そう‥‥ですか」
「昌幸様が言うように、西の方まで考えるなら、この戦が無くても十分乱れてるけど。取り敢えず、上の人達には頑張ってもらいたいトコではあるねー。ボク個人としては『面白い』人の味方になりたいな、とは思う。ボクら冒険者が出来る事って、そのくらいだし、折角オシゴトするならさ、好みな人のオシゴト受けたいしねー。きゃははは♪」
昌幸がそう見通しを立てているのだから、ころりも納得した。
「これは、妹からのご伝言です。ここは花見、酒の席。それを踏まえた上での戯言と思って答えて戴きたい。他の武将等への影響も抜きにしてね」
「うむ」
「『天下を取る気はあるの?』‥‥だ、そうです。一粒の米、だったかな? その話を聞いた事を覚えていたらしくてね。答えを心待ちにしている」
「それはボクも是非聞かせてもらいたいな♪ 昌幸様自身はどーしたいのか、っていうの。やっぱり人の上に立ってる人だしさ、そういう大局的な考えっていうのはあると思うんだ」
「あの娘はそんな事を言っていたのか‥‥」
クリスが妹からの伝言を伝えると、ころりも興味があったようで乗ってきた。
「天下を取るとは京都を支配下に置き、神皇様を擁する事だな。儂の見る所、今のジャパンでそれが可能な武将は、家康と秀吉、そして平織だけだろう」
当の昌幸は微苦笑を浮かべると、お膳の上の皿を退けてどぶろくでジャパンの地図を書いた。
奥州藤原氏、政宗、謙信共に京都へは遠すぎる。信玄は一度上洛を試みた事があったが、尾張平織家に阻止されている。その時は三河を通れたが、家康に造反した今は先の上洛ルートを通る事は出来ず、京都への道が空いていない。
「つまり、昌幸様は天下を取るおつもりはないと?」
「お前の妹に話したように、儂自身は一粒の米でいいと思っておる。信之や幸村、孫達の繁栄と安泰の為の、な」
「‥‥妹同様、御力添えさせて戴きます故、依頼がございましたらギルトへ‥‥」
クリスに念を押され、昌幸は杯を煽った。その様子を見る限り、本当に野心はないだろう。
「私も彼から言伝を頼まれてるの。『今は遠い未開の地にいる身なれど、力を付けて、いずれまた‥‥。その時は、もう一度将棋のお相手をお願いします』だって。昌幸おじちゃん、随分と好かれてるみたいだね」
「彼の実力なら、未開の地でも十分やっていけるであろう」
ミリートが彼からの言伝を伝えると、昌幸は満足げに笑った。彼の実力をかなり買っているようだ。
「これからどうなるのか不安はあるけどね。難しい事は僕には分からないから、今この時を精一杯生きて、やれる事をやるだけ。だから今くらいは楽しんでおきたいよね」
「そうですよ〜ん☆ こういう宴は楽しくなくちゃダメですよ〜ん☆ だから私、躍るですよ〜ん☆ しふじゃないか♪ しふじゃないか♪ よいよいよいよい♪」
『よいよいよいよい』
沈みがちになってしまった宴の場に、鈴が切っ掛けとなって、ベルとシャルちゃんが楽しそうに踊り始める。彼女の踊りに合わせてミリートもリュートベイルを爪弾いて楽しい曲を奏で、宴の場は一転して明るくなった。
「ベル、ミリートお疲れさまー」
「ふにゃ〜〜〜〜暑いですよ〜〜〜」
「ありがと! ‥‥うにゃ‥‥ら、らんか、ろいしいのみものらね」
ころりが二人に杯を差し出すと、中身を飲んだベルは顔を真っ赤にしながらふらふらの状態で服を脱ぎ出し、ミリートは子犬よろしくルルーにじゃれつき始める。
「こ、ころり様‥‥これは桃花酒では‥‥?」
「きゃははは♪」
二人は見事に酔ってしまった。
犬耳が生えているかのように頬を擦り寄せ、じゃれついてくるミリートをあやすルルーをころりは楽しそうに嗤う。
「得た駒を味方に‥‥はは、成程、これがジャパン流チェスでござるか」
「将棋とチェスを同時に、か」
話題が一区切りしたところで、テラーと昌幸は将棋を指す事になった。将棋のルールを知らないテラーに昌幸が説明すると、チェスという似たゲームがあると紹介した。
そこで、昌幸は将棋の駒を、テラーはチェスの駒を使い、将棋を指し始めた。その珍妙な対決を剣一朗が見守る。
「‥‥弓での武芸という事でしたら、御仁程の方に御見せ出来る程の腕かは保証出来兼ねますが‥‥」
「クリスの弓の腕前は、凄いと思うけどね」
また、花見の席を設けた中庭には射的場もあり、篝火が焚かれる中、クリスと稲姫が弓の腕前を披露し合い、それを見ていた鈴も手裏剣で参加するという一面もあった。
尚、テラーと昌幸の珍妙な将棋勝負は昌幸に軍配が上がった。以来、昌幸はチェスにハマったとか。
ベルとミリートはルルーに介抱されたが、酔っている間の事は覚えていなかった。
「‥‥」
「な、何で黙ってるのー!?」
ルルーに酔っている間の出来事を尋ねたが、彼女は頬を赤らめて俯くだけ。 何があったのか非常に気になるミリートだった。