ピラニア退治でまいっちんぐ!?

■ショートシナリオ


担当:菊池五郎

対応レベル:1〜5lv

難易度:やや難

成功報酬:1 G 48 C

参加人数:8人

サポート参加人数:5人

冒険期間:08月05日〜08月11日

リプレイ公開日:2004年08月12日

●オープニング

 夏も本番だ。
 照り付ける日差しは高く、空には入道雲が覗いている。
 イギリスの夏は涼しいとはいえ、それはジャパンと比べた場合の事だ。
 やはり暑いものは暑い。

 この時期の庶民の娯楽の一つに川や湖での水浴びがある。
 ジャパンほどお風呂が発達していないイギリスでは、それは入浴を兼ねていた。
 暑い時の水浴びはさぞ気持ちいい事だろう‥‥。

「ピラニアを退治してくれないか?」
 その日、あなたが冒険者ギルドに顔を出すと、ギルドの者がそう声を掛けてきた。
 キャメロットから歩いて3日ほどの村の近くの川に、ピラニアが棲んでいる事が分かったというのだ。
 ピラニア‥‥あなたは首を傾げた。キャメロットではあまり聞かない名だ。
 退治というからには、川に棲むモンスターの一種だと想像はつくが。
「ああ、済まない。ピラニアっていうのは、この辺ではなく、もっと南の暑い地域に棲息している肉食魚の事なんだ」
 あなたの表情を読み取ったギルドの者は説明を始めた。獰猛で食欲旺盛で、飢えたピラニアは数分で大型の牛を骨だけにしてしまうという。
 何故、そのような危険な肉食魚が、キャメロットの近くにいるのだろうか?
「‥‥ここだけの話なんだがな、ピラニアを取り寄せた貴族が飼えなくなったか飽きたかして、川に捨てたらしいんだ」
 ピラニアは寒さに弱いらしく、捨てたらしい貴族もすぐに死ぬだろうとタカを括っていたのだろう。
 しかし、夏という季節と捨てた場所が悪かったのか、現にピラニアは生き残っていたのだ。
 村の女性達が水浴びをしていて、片っ端から服を食い千切られてしまったのだという。
 その時は幸い服だけで済んだが、いつ死傷者が出るか分からない。
 放っておけばいずれは死ぬだろうが、それがいつか分からない為、ギルドに依頼が来たのだ。
「情報だと数はそれ程多くないようだから、油断しなければやられる事はないと思うがな。水浴びの前の一仕事だと思って、受けてみたらどうだ?」
 ちょっと不安を感じる水浴びになりそうだが‥‥。

●今回の参加者

 ea0110 フローラ・エリクセン(17歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea0369 クレアス・ブラフォード(36歳・♀・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea1128 チカ・ニシムラ(24歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea1884 ヒカル・サザンテンプル(33歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea2929 大隈 えれーな(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea3777 シーン・オーサカ(29歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea3993 鉄 劉生(31歳・♂・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 ea5147 クラム・イルト(24歳・♀・神聖騎士・人間・イギリス王国)

●サポート参加者

ロソギヌス・ジブリーノレ(ea0258)/ 神薙 理雄(ea0263)/ 風霧 健武(ea0403)/ とれすいくす 虎真(ea1322)/ 村上 琴音(ea3657

●リプレイ本文


●胸ときめくピラニア退治?
 清涼な川のせせらぎが聞こえてくると林が終わり、目の前に青々とした流れを湛える川が広がった。途端に遮る物がなくなった夏の陽射しが、クラム・イルト(ea5147)達を容赦なく照り付けた。
「うわ‥‥暑ィ‥‥最悪だ」
 黒いローブを纏っている所為もあるが、クラムは目の前の川――その何処かで泳いでいるのであろうピラニア――を恨めしそうに見つめながらごちた。
「クラム様、お茶は如何ですか?」
 クラムの気持ちを察してか、大隈えれーな(ea2929)がさっとお茶を差し出した。流石はメイド、細かな気遣いが板に着いていた。
「俺も貰ってるぜ。準備するもんが多いから喉がカラカラだったんだ。船に釣り道具‥‥俺と健武以外は女ばかりだから、着替える場所を作る為の布も必要だしな」
 鉄劉生(ea3993)は飲み終わったカップを傍らに置くと、簡単な更衣室作りを再開した。
「あの深み辺りに居そうだな」
「ライトニングトラップを仕掛けるとするとこの辺ですね」
 水域と漁に明るいヒカル・サザンテンプル(ea1884)と一緒に川辺を見て回りながら、フローラ・エリクセン(ea0110)はライトニングトラップの仕掛け場所を教えてもらっていた。
「川の中に居る以上、厄介な相手だ。しかし‥‥襲われた女性達が服を破かれたのは、不幸中の幸いというべきか‥‥それとも、そういう趣味のピラニアがいるかもしれないのか‥‥?」
「単に弱っていただけかもしれない。肉食とはいえ、所詮は魚だ。夕食の足しにするのだよ」
 同行しているクレアス・ブラフォード(ea0369)の脳裏に嫌な予感が過ぎると、ヒカルは顔に似合わない物言いに苦笑した。
「獲物採れたけど〜、これ、夕ご飯の足しにするの?」
 そこへ動物を狩りに行っていたチカ・ニシムラ(ea1128)とシーン・オーサカ(ea3777)が帰ってきた。やり取りの最後の方しか聞いていなかったチカが頻りに首を傾げると、えれーなが二人にお茶を差し出しながら事情を話した。

 クレアスが獲物を捌いて適度な大きさの血の滴る生肉を用意し、劉生が丸太でいかだを完成させる頃には、全ての用意が整っていた。

 村上琴音(ea3657)とヒカルは劉生の作ったいかだに乗り、川辺から少し離れた場所で三人で釣糸を落とした。
「ぴらにあを釣るのは私も初めてじゃ。今から楽しみなのじゃ」
「釣り餌は奴らの好物だ。引きはかなりのものであろう」
 その横ではクラムが靴を脱ぎ、川に足を入れながら生肉を撒いてピラニアをおびき寄せた。
 また、負傷した時に備えて、クレアスもいかだで待機していた。
 一方、フローラとチカはリトルフライの魔法で、えれーなは水走りの術で、川の中央まで来ると、それぞれ紐に結んだ生肉を水中に沈めた。
「ロソ子、うちらはチカ坊やフランの魔法の範囲内へピラニアを誘き出すで!」
 シーンとロソギヌス・ジブリーノレ(ea0258)は少し川上の浅瀬から、フローラ達の方へ流れるよう餌を撒いた。

 ――しかし、なかなかピラニアは現れなかった。

 リトルフライと水走りの術の効果が切れ掛かり、フローラとチカ、えれーなが岸に戻ろうとした時――。
「さ〜て、一足先におびき寄せ‥‥うわ!?」
「ロソ子!? わきゃ!?」
 ロソギヌスが足を滑らせて深みに落ちてしまったのだ。思わずシーンは手を差し伸べて助けようとしたが‥‥運動が苦手なシーンもまた溺れてしまったのだ。
 途端に激しい水飛沫が起こった。シーンとロソギヌスがピラニアに襲われたのだ。
「‥‥な、ちょ、待っ! なんちゅートコ噛むんや!? ‥‥ひゃあぁああ‥‥あふぅ」
 ピラニアは服を食い破り、その中にある肉を喰らおうと入ってきた。
 隣では土左衛門一歩手前のソロギヌスが、ヒラニアに噛まれてピクピクと身体を振るわせていた。
 シーンは頬を染めながらもアイスコフィンを高速詠唱で唱えて、ロソギスヌをこれ以上襲われないようにすると、続いて自分の身体も氷に封じた。
「‥‥大丈夫だ、二人とも軽傷だが‥‥劉生は向こうを向いていてくれないか?」
 いかだへ流れてきた二つの氷柱を回収したクレアスは、シーンとロソギヌスを診た。身体中に甘噛みされたような痕があるだけで、後は半裸と少々艶めかしいポーズで氷漬けになっている以外、問題はなかった。
「‥‥生肉じゃなくて‥‥あたし達が狙われてるような‥‥」
「‥‥くぅ! そっちがその気なら!!」
「クラム様、お供します」
 冷や汗を掻くチカの呟きを聞いたクラムは川の中へ入り、えれーなが後に続いた。
 たちまち水飛沫がクラムの近くで起こった。
「畜生、やはりか! はっ‥‥やっ‥‥な、何故そこを狙‥‥う!?」
「あん‥‥そこは‥‥んもぅ、まいっちんぐ☆」
 予想通りとはいえ、クラムとえれーなは下半身から服を破かれ、露になった褌を押さえながらダガーや手裏剣で応戦した。
「クラム様もえれーな様も、何か、綺麗‥‥」
「フローラさん、ライトニングトラップ! ピラニアが範囲内に入ったよ!」
「は、はい!」
 ピラニアが褌を噛む感触に、吐息が混じり、小刻みに身体を振るわせる二人の姿に思わず見惚れていたフローラは、チカの言葉で我に返るとライトニングトラップを発動させた。同時にチカもライトニングサンダーボルトを放った。
 水中でも感電する訳ではないので、二匹のピラニアをそれで仕留めた。
「確かにいい手ごたえだぜ! はっはっは! これで自慢の牙も役に立たねぇだろ!」
「活きのいい生肉を欲するとは‥‥相当弱っていたようだな」
 続けて劉生とヒカルが一匹ずつ釣り上げた。ピラニアはどれも30cm以上はある大物で、劉生は大きめの口に並んでいる鋭い牙を自慢の拳で砕き、ヒカルはスピアで串刺しにした。

●蕾から花へ変わるお年頃
 四匹のピラニアは、劉生が用意した焚き火の近くに置かれた。
「調理は私に任せて、クラム様も皆様とご一緒に水浴びを楽しんできて下さいな」
 調理に取り掛かろうとするクラムをえれーなが止め、水浴びに行くよう川を指した。
「いや、一度作ってみたかったのだ」
「では、一緒に作りましょうか」

「ピラニアは少なかったからな。晩飯の為にも頑張ろうぜ! 琴音!!」
「今度は負けないのじゃ」
 ピラニアを釣れず残念そうだった琴音を、劉生が夕食の食材確保の釣りに誘った。
 劉生に釣りの基礎を教えたのは琴音だった。年下でも能力が秀でているなら教わらないと損――それが劉生のモットーだった。
 劉生達はピラニアが居た場所から少し川下へ行き、釣糸を垂らした。

「‥‥女の人の胸の中で目ぇ覚めたのは、初めてやな」
 アイスコフィンから解放されたシーンとロソギヌスは、川の中でクレアスの胸に抱かれていた。温かい川の水で氷を溶かしたのだ。
「よかった〜、元に戻ったのですね!」
「こっちに来て水浴びしようよ〜」
「元に戻らなければ、床の間に飾ろうかと思いましたの」
 生まれたままの姿で無邪気に水の掛けっこをしていたフローラとチカが、嬉しそうにシーンへ駆け寄った。
 その後に半襦袢と裾除けを着た神薙理雄(ea0263)の姿があった。
 白い布がそぼ濡れて肌に貼り付き、肌の色が透けて見えるのも、これはこれで全裸にはない色香があった。
 チカやフローラは、服を着たまま水浴びをする理雄に疑問を持ったが、ジャパンの女性は肌を露にしない事を美徳としているようだ。
 シーンが所々破れた服を脱ぐと、その見事な豊乳に八つの瞳が釘付けになった。
「え、ムネ? ‥‥内緒やで‥‥寄せ上げのマッサージとか毎日密かに努力しとってん」
「あたし、知ってるよ! こうやってマッサージすると大きくなるんだよね♪」
「ひや!? い、いきなり揉まないで下さい〜!?」
 視線に気付いたシーンが耳打ちすると、チカがフローラの背中に回り込み、教えてもらった胸を大きくするマッサージを実践し始めた。
「この間、温泉に入って以来、身体を洗うのが気持ちよくてな。今日は思い切り身体を洗って綺麗にして帰ろう」
「今日は色々と汗を掻いたからな。依頼も終わり、さっぱりした後の夕食はさぞ美味だろう」
「何か遭ったのか!? ‥‥あ、あの、これは、その‥‥」
 その光景を微笑ましく見つめながら、クレアスとヒカルは互いに汗を洗い流した。クレアスは夫の喜ぶ顔を思い浮かべていた。
 そこへフローラの悲鳴を聞き付けた風霧健武(ea0403)が馳せ参じた。
 闖入者にフローラは思わずリトルフライを唱えてしまった。
 目の前の熟れた上品な果実だけでなく、その後ろの瑞々しい青い果実が目に飛び込んでくると、健武は鼻から血を垂らし、そのまま倒れてしまった。
「覗きは極刑だが‥‥仕方ない、介抱してやろう」
 健武はクレアスの膝枕で介抱される事になった。

「‥‥冷たくて気持ちいいな」
 ピラニアの調理を終えたクラムはえれーなの好意に甘えると、ヒカル達とは少し離れた所で裸になり、水に浸かった。
 しかし、それが拙かったようだ。琴音と合わせて大量の魚を釣り上げて、えれーなの元へ向かう劉生と出くわしてしまったからだ。
「お前‥‥今ここで肉塊になりたのか?」
「不可抗力だ不可抗力! それよりも早く服着ろ! 俺の位置からだと丸見えなんだよ」
 鋭く冷たい言葉を言い放つと、クラムは躊躇う事なくダガーからスマッシュを繰り出した。ジャイアントの視線は人間のそれより見下ろす形になるのだ。
 クラムが本気だと分かると、劉生は近くにあったクラムの服を本人に放り、一目散に逃げ出した。

 クラムとえれーなのピラニアの水煮に、大漁の焼き魚も加わって夕食が始まった。

『ちっちゃな滴 大きなリズムに
 虹がかかかるよ キミとわたしに
 Splash Splash☆ Water spray tapping faces
 Flash Flash☆ Star ray twinking eyes
 心地よき涼花に 身をゆだねよう』

 実は今日はシーンの誕生日だったのだ。
 シーンは心の中で久しぶりに楽しい誕生日を味わいながら歌を唄い、ヒカル達はそれを聞きながら依頼の成功を祝ったのだった。

●ピンナップ

フローラ・エリクセン(ea0110


PCシングルピンナップ
Illusted by 桜なみき

チカ・ニシムラ(ea1128


PCシングルピンナップ
Illusted by とくがわあい