【遺跡探索】ビギナーズトラップラビリンス

■ショートシナリオ


担当:菊池五郎

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月28日〜07月05日

リプレイ公開日:2005年07月09日

●オープニング

「それでは、よろしくお願いします」
「ああ」
 あなたが冒険者ギルドを訪れると、入れ違いで1人の女性が受付にいるギルドメンバーに頭を下げて出ていった。
 青地に純白のラインの入ったローブに身体を包み、首には白金の輝きを湛える十字架のネックレスを下げていた。ウィンブル(女性クレリックが着けるヴェール)こそ付けていないが、一目でジーザス教のクレリックだと分かる服装だ。擦れ違い様に見ただけだが、歳は20歳くらいだろうか。
 あなたが女性クレリックの後ろ姿を見送っていると、カウンターで羊皮紙を広げて何やら書き込んでいたギルドメンバーが頭を上げた。
「おお、新人か‥‥たった今、お前くらいの実力の冒険者に見合う依頼が入ってきたんだが、受けてみないか?」
 ギルドメンバーの口振りから、先程の女性クレリックが依頼主のようだ。
 ――聖なる母の許へ招かれようとしている司祭がおり、その司祭の為に『聖書』を取ってくるという依頼だった。
 もちろん、ギルドに依頼を出すのだから、普通に聖書を取りに行くだけではないはずだ。
「それがな‥‥その司祭が昔勤めていた教会の庭に、古い遺跡があるそうなんだ。普段は入れないように封じているんだが、その司祭が若い頃、その遺跡に潜った際、聖書を置いてきてしまったそうなんだ」
 置いてきたのは、最深部のウッドゴーレムがいる部屋だという。
「たかが聖書かも知れないが、その司祭にとっては大切なものらしいんだ。前に調査に行った時は仲間が大ケガを負ってしまい、脱出を優先した為、取りに行かなかったそうだ」
 その後、その司祭は別の教区へ移る事になり、ずっと聖書を取りに行けないまま聖なる母の許へ旅立つ事になった。その前にどうしても心残りをなくしておきたくて、今回、依頼したという。
「遺跡だから、相応の準備はしておくべきだな」
「冒険者になって間もないようだが、肝腎なのは保存食だぜ?」
 ギルドメンバーの横から、ファイターが口を挟んできた。今回向かう遺跡まで、キャメロットから歩いて3日、遺跡の調査に1日掛けるとしても、7日分の保存食は必要だ。
「遺跡に潜るのなら、灯りは絶対に必要ね。ランタンは油を補充すれば何度でも使えるけど、落とすと壊れやすいから戦いには向かないし、たいまつは使い切りだけど落としても火はそうそう消えないし、クモの巣などを燃やせるから、両方持っていくのが通ね」
 前衛がたいまつを持ち、後衛がランタンを持つといいわ――と女忍者が言った。
「ロープもあった方がいいですね。落とし穴に落ちた仲間を助けたりする時に役立ちますし」
「罠や鍵の掛かった扉があるだろうから、盗賊道具一式は外せないよー? もちろん、使いこなすには『鍵開け』や『隠密行動万能』の技能は必要だけどねー」
 ウィザードとレンジャーの少女がそう告げた。
「後、意外と忘れがちなのが武器ですわ。遺跡は基本的に広くありませんから、長い武器は戦闘には不向きですわね」
「でも、長い棒で床を突っついて、罠を調べるのには使えるよね?」
 女騎士に神聖騎士の少年が聞き返すと、彼女は頷いた。
 気が付けば、あなたの周りは先輩の冒険者達でごった返していた。皆、あなたの初めての冒険のアドバイスに来たようだ。
「保存食と武器以外は、全てお前1人で用意する必要はない。パーティーを組んで、みんなで分担して持てばいいんだからな。そうそう、リカバーポーションなど、すぐに使いたいものは携帯品として持っておけよ。バックパックは戦闘中は下ろすから、中に入れたものはすぐには使えないぞ。もし、ペットに持たせたとしたら、遺跡の中には連れていけないから、当然、使えないからな」
 ギルドメンバーがアドバイスをそう締め括った。

 あなたがこの依頼を受けるのであれば、全て必要なアドバイスだろう。先輩の冒険者のアドバイスを参考に装備を整え、司祭の為に聖書を取りに遺跡へ足を踏み入れては如何だろうか?

●今回の参加者

 ea0340 ルーティ・フィルファニア(20歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 eb0276 メイリア・インフェルノ(31歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 eb2656 イルファ・カーバンクル(26歳・♀・レンジャー・人間・フランク王国)
 eb2682 ジン・ヴァース(22歳・♂・レンジャー・エルフ・イギリス王国)
 eb2808 ヴェイル・フォルト(23歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 eb2838 セフィネス・アンクルージュ(21歳・♀・クレリック・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文


●準備が肝腎
「ショートボウの弦は大丈夫だよね? 保存食も日数分あるし‥‥道中、寝泊まりする寝袋に毛布もOK、だよ♪」
「俺も、ショートボウに矢、保存食も問題ないですね。寝袋も持った方がよかったでしょうか‥‥」
「スピアもライトシールドも異常なし、だ。リカバーポーションはすぐに使えるように、腰に下げておくか」
 レンジャーのイルファ・カーバンクル(eb2656)と、エルフのレンジャー、ジン・ヴァース(eb2682)、そしてエルフのナイト、ヴェイル・フォルト(eb2808)は、冒険者ギルドの奥の広間に置いてあるテーブルの1つを占拠すると、先程から幾度となく忘れ物のチェックを繰り返していた。
 初めての冒険となるこの依頼、準備万端に越した事はない。
「何とも懐かしい光景ですね。私も最初の冒険は不安でよく荷物のチェックをしましたし、先輩にいろいろ教わりながらの冒険でした‥‥その私が今や先輩ですか」
「‥‥」
 イルファ達の姿にかつての自分を重ね、懐かしく思いながら母親のように優しく見守るエルフのウィザード、ルーティ・フィルファニア(ea0340)は、“先輩”という言葉に苦笑した。隣で同じように見守っている神聖騎士のメイリア・インフェルノ(eb0276)に話を振るが、彼女の妖艶な美貌は心なしか険しく、どこか上の空だった。
「メイリアさん?」
「!? ‥‥ええ、本日は新人さんの付き添いですものね。張り切っていきましょうか〜♪」
 名前を呼ばれると、メイリアは聖母のような微笑みを湛えてルーティに応えた。
(「よかった〜。いつものメイリアさんだよ♪」)
 メイリアのおっとりとした口調に、イルファは心の中で安堵した。
 イルファとメイリアは友達で、冒険者の酒場では冗談などを言い合う仲だが、ギルドに集まってからというもの、彼女は少し近寄りがたい雰囲気を醸し出していたからだ。
「よし! 初依頼、がんばるぞぉ!」
「‥‥やっぱり、少しは緊張するな」
「何事も気楽にいきましょう!」
 メイリアにイルファが春の日差しのような笑顔で元気よく応えると、ヴェイルはまだ不安を隠せないものの、ジンが彼の肩を叩いて発破を掛けた。その時、ヴェイルもジンの手がわずかに震えている事に気付いた。
 ジンもまた、期待と不安で胸いっぱいの状態で出発したのだった。

●道中
 目的の教会までは比較的大きな街道を通るので、移動距離は長いが、移動はそれ程苦ではなかった。
「うわ〜、高いな〜♪ メイリアさんと同じだよ〜」
「女性を助けるのは、騎士として当然だからな」
 ヴェイルは愛馬をイルファに提供し、彼女はその背に乗っていた。後ろを歩くメイリアも愛馬に跨っていた。なお、ルーティはセブンリーグブーツを履いているので、ヴェイルの誘いを断っている。
「ルーティさん、この辺りは開けていますから、万一、野盗に襲われても即座に対応できると思いますが‥‥この辺りでキャンプを張りますか?」
「お任せします。疲れていては真の力を発揮できませんが、早く目的地に着いた分、長く調査ができますよ」
 ジンが後ろを軽い足取りで歩くルーティの意見を聞くが、彼女は助言するだけで、「はい」とも「いいえ」とも応えなかった。
 決して意地悪をしている訳ではない。出発前にメイリアと相談し、今回は“初めて冒険”という事で2人はできるだけ裏方に回り、ジンやヴェイル、イルファ達に『冒険者』というものをより多く体験できるようにしているのだ。
 先を急ぐか、体力を温存するか、それもジン達に決めて欲しいのだ。
 ジンとヴェイル、イルファ達は相談し、今日は大事を取ってここでキャンプを張る事にした。

「料理のできる人がパーティーにいれば、保存食もより美味しく戴けるのですけどね。私はできませんが、覚えておいた方がいいですよ」
 クルミと干し豆、干し肉の夕食を採りながら、メイリアがアドバイスした。保存食はそのままでも食べられるが、保存が利くように乾燥させていたり、塩漬けのものが多く、僅かな事かも知れないが、一工夫する事でぐっと美味しくなるという。

 火を絶やさないのも野営の基本だ。
 先にジンとヴェイルが見張りに就き、その後、メイリアとイルファ、ルーティ達という順番になった。
「いろいろと聞きたい事もあるが、逆にあれこれ指示しないで、アドバイスに留めてくれているんだろうな」
「でしょうね。お陰で俺も目や耳や鼻が鍛えられますよ」
 ヴェイルとジンは焚き火を囲んで、今日一日を振り返っていた。ルーティやメイリアの気遣いは、ある種、実地訓練といってもいいだろう。
(「メイリアさんと違い、剣も弓も、私は教えられませんね」)
 仮眠を取るルーティは、2人の会話が聞こえると、嬉しくもあり、少し残念な気分にもなった。
「えへへ♪ メイリアさんと一緒だよ〜」
「‥‥仕方ありませんね、今夜だけですよ」
 道中、なかなか近寄れなかったメイリアの寝袋の隣に、イルファは寝袋を持って添い寝していた。
 メイリアの知っている彼女は、元気一杯で、決して折れない勇気の心を持っている少女だ。しかし、初めての依頼という事もあり、やはり不安は隠せないのだろう。
 メイリアはイルファの寝袋を密着させると、彼女が眠るまで薔薇色の髪を撫で続けたのだった。

●いざ、遺跡へ!
 教会へ着くと、ヴェイルが騎士の礼を取って挨拶し、司祭に依頼の内容を話した。既に依頼主の女性クレリックより話は来ているようで、ジン達は裏庭へと案内された。
「うわ〜、お花の中に遺跡の入口があるよ〜♪」
「見たところ、墓ではないようですね」
 遺跡の入口は教会に裏庭の花が群生している場所にあった。イルファが歓声を上げる横で、ジンがそう感想を漏らす。
 何の為に造られたかは分からないが、教会が建つ前からあったという。
 子供達が悪戯に入り込まないよう、入口を塞いでいた板を外すと、そこから陽光が差し込むものの、奥はほぼ真っ暗だった。
 メイリアが用意してきたランタンとたいまつを両方点けると、前衛に立つヴェイルがたいまつを持ち、中衛のルーティがランタンを持った。ジンも前衛に立って前方の罠を調べ、メイリアは後衛として、イルファが後方の罠を調べる隊列を取った。

 遺跡は強固な石造りで、ジンとヴェイルが横に並んで歩けるくらいの広さがあった。
「こっち、大丈夫みたいだ」
 ヴェイルは左手でたいまつを持ち、右手に持ったスピアの柄で地面を叩きながら進んでいた。ピット(落とし穴)対策だ。
「石造りとはいえ、結構壁に隙間がありますね。矢の一本くらいは出てきそうです」
「この場合、あるとしたら、アロー・スリットの罠かな?」
 不用意に触れないよう細心の注意を払いながら、壁を調べるジン。ルーティがランタンを向ける中、イルファも壁を調べていた。
「ん!? ヴェイルさん、床を叩くのは待って下さい!」
「え!?」
“ガコン! ヒュ!!”
 ジンが制するより早く、ヴェイルが床を叩くと‥‥メイリアの真横の壁から矢が勢いよく呼び出し、彼女の巫女装束の胸元をかすめていった。
(「‥‥ボクならかすらなかっただろうな」)
 幸い、メイリアにケガはなかったが、同性のイルファが見ても羨ましいと思うたわわな胸が仇となったようだ。
「ふふふ‥‥私を怒らせるとどうなるか、後で教えて差し上げますわ♪」
 静かに、穏やかに、メイリアは笑った。多分、最後に待ち構えているという、ウッドゴーレムへこの怒りをぶつけるつもりなのだろう。
「特定の床を踏むと、矢が飛び出すようだね。だけど、その手の罠は他にも多いから、他の罠と混同すると却って危ないかも知れないもん」
「罠の複合ですか‥‥疑心暗鬼を掻き立てますね」
「アロー・スリットに関しては、俺の盾とルーティさんのストーンウォールで防ぐしかないですね」
 イルファの解説を聞いたルーティの言う通り、アロー・スリット以外の落とし穴や他の罠も床に仕掛けられていると思うと、迂闊に調べる事ができなくなる。ヴェイルはライトシールドとストーンウォールによる強行突破を提案した。
 ジンとイルファが床の仕掛け部分を見抜いて踏まないようにしたり、発射口をルーティが石の壁で塞ぎ、踏んでしまい、矢が飛び出してきた時にはヴェイルがライトシールドで防いだ。
「床に気を取られていると、今度は天井ですか」
「この遺跡を作った方は、人の心理の裏を掻くのが好きなようですね」
 床をレンジャーの2人に任せたルーティは、崩れ掛けている天井を見付けた。ジンがこれも床を踏むと天井が崩れる仕組みと見極めると、メイリアがそう感想を漏らした。
 ジンが踏むと崩れる場所に印を付けると、全員、その場所を避けて通った。
 通路に仕掛けられた罠は通路の内部に仕掛けがある事が多く、解除する事は難しい。よって、仕掛けそのものを発動させないようにするのが良策なのだ。

 やがて青銅製の扉の前までやってきた。
「はい、盗賊道具一式です‥‥頑張ってくださいね♪」
「うん! がんばるよ!!」
 メイリアは盗賊道具一式を取り出すと、イルファに手渡した。扉にも鍵や罠が掛かって場合が多く、専門の道具がないと、レンジャーでもなかなか調べられない。
「予備を持ってきたのは正解、だったようですね」
 ここに来るまでの通路の罠で時間を取りすぎたせいか、ランタンの油は切れ、たいまつも消えてしまった。メイリアは油を入れ直し、ヴェイルがたいまつを点けた。
「はぅぁ!」
 一瞬、ミスをしたイルファは可愛い悲鳴を上げ、ジンが慌ててフォローに入ろうとしたが、何とか掛かっていた鍵を外す事に成功した。
 尚、この扉に掛かっている罠は、1度閉めるとまた鍵が掛かるというもので、これはイルファもジンも解除できなかったので、扉は開けっ放しになった。

●決戦!
 部屋の中は倉庫だったようで、棚などがあるが、ものは特になく、がらんとしていた。
 その中に剣闘士を思わせる姿をした木彫りの木像があった。これがウッドゴーレムだろう。
 ウッドゴーレムはヴェイル達が部屋の中に入ってくると、手に持った木剣で殴りかかってきた。ちなみに、木剣を握った形で手が彫られているので、この木剣を叩き落とす事はできない。
「ブレイクッ!」
 ヴェイルはそれをライトシールドで受けると、部屋に入る前に持ち替えたショートソードでカウンターを繰り出す。その切っ先はウッドゴーレムの身体を斬り付けるものの、浅かったようだ。
「大いなる父の裁きを受けなさい!!」
「援護します」
 ルーティが前衛へ出るメイリアの援護でグラビティーキャノンを唱え、前に立った彼女は両手に構えた鬼神ノ小柄を振るうが、これはかわされた。
「そこがキミの弱点だね!」
「貫きます!」
 続けてイルファとジンが矢を射る。イルファの矢はウッドゴーレムの身体に突き刺さるものの、ジンの関節を狙い澄ました矢は外れ、石壁に当たってしまう。
 ウッドゴーレムの攻撃をメイリアは鬼神ノ小柄で受け流そうとするが、これは失敗し、木剣の直撃を受けてしまう。
 その時、彼女は視界の隅に古ぼけ、埃にまみれた聖書を見付けた。あれが回収する聖書だろう。
 ジンが矢を射り、ヴェイルが果敢にショートソードで斬り付け、ルーティがグラビティーキャノンを放つ中、メイリアはウッドゴーレムの反対側へ回ろうとした。
 その時!
「きゃぁ!?」
「メイリアさん!!」
 メイリアの足下が崩れ落ち、落とし穴に落ちてしまう。咄嗟にミミクリーを使い、伸ばした手をイルファが掴み、落とし穴の底で待ち構える槍で串刺しにならなくて済んだが、それを好機と見たウッドゴーレムがイルファに迫った。
「うぅ‥‥でも、ボクはこの手を放さないよ! 大切な友達を死なせたりしないもん!!」
 しかし、木剣がイルファに振り下ろされる事はなかった。
 間に割って入ったヴェイルがそれをライトシールドで受け止めてカウンターを放ち、ジンもダメージ狙いから通常の射撃へ戻したのだ。
「君の心を射抜いてあげる♪」
 ルーティが石壁を創り出して2人を保護すると、落とし穴から出たメイリアとイルファは頷き合い、イルファが矢を放って援護すると、メイリアは鬼神ノ小柄で斬り付けた。
「悪いな。盾を使って戦うのが、僕のスタイルなんだ」
 ヴェイルの刃が止めを刺し、遂にウッドゴーレムを倒したのだった。

●邂逅
 メイリアが回収した聖書は、老いた司祭がクレリックになった時、最初に授けられた大切なものだった。
 仲間の命を優先し、聖書を諦めた事にその時は悔いはなかったが、やはり最期の最期で取り戻したかったのだろう。
 聖書を渡された女性クレリックは依頼の経緯を話し、報酬の他に気持ちばかりの品を全員に贈ったのだった。

「相手の急所を狙うにしても、俺自身の射撃の腕前が高くなければ、無駄な矢を射る事になりますね‥‥今回はいい勉強になりました」
 ジンは射った矢を回収したが、数本、石壁に突き刺さったりして使い物にならなくなっていた。
「今回はウッドゴーレムが1体だけでしたが、囲まれたら盾で受け続けられませんからね。僕も自分をどう鍛えればいいか見えてきました」
 ヴェイルはウッドゴーレムを討ち取ったショートソードとライトシールドを誇らしげに見つめた。
「ボクもメイリアさんを助けられたけど、その前にいっぱい助けられてるよね。今度はメイリアさんやルーティさんの助けがなくても依頼を達成できるよう、もっと頑張るよ♪」
 イルファが可愛くガッツポーズを取った。

 メイリアとルーティが見守る中、ここに新たな冒険者達が巣立っていった。
 彼らの、彼女らの、冒険の舞台は無限に広がっている。次回の冒険に幸ある事を切に願いたい。