【上州征伐】敵の背後を突け、鳥獣軍団!?

■ショートシナリオ


担当:菊池五郎

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:13 G 3 C

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月23日〜11月30日

リプレイ公開日:2006年12月01日

●オープニング

 ――上野国、平井城。
 源徳家康に反旗を翻した新田義貞の、上州南部の拠点である。
 しかし、北からは“越後の竜”の異名を持つ上杉謙信が上州北部の支城を次々と破り、南からは中山道を征した源徳軍が、家康自ら三千の兵を率いて迫っている。
 名将として名高い真田昌幸・幸村親子の力を借りた義貞は、本拠地である前橋の蒼海城を出て平井城に入り、家康との直接対決に臨んでいる。

 家康率いる源徳兵、およそ三千。
 義貞率いる上州兵、およそ千五百。
 両軍合わせた兵士の数は五千近くにのぼる、関東で久々の激戦である。

 『攻者三倍の法則』というものがある。
 これは戦争において拠点を攻め落とす場合、攻撃側は防御側の三倍以上の兵力を必要とする考え方だ。
 平井城を攻める家康の兵力は、義貞のおよそ二倍。この法則通り、家康は平井城を攻めあぐね、攻略できずにいた。
 もちろん、上州の英雄新田義貞の統率力もあるが、真田昌幸の策に依るところところも大きい。
 この昌幸という男、自身の実力もさる事ながら、知謀の名将としてこと防衛戦・籠城戦においてその実力を十二分に発揮する。
 家康を前に風前の灯火たる義貞の火が消えないのは、昌幸という風除けがあるからだろう。

「それでも全軍を投入しないのは、中山道を確保しているという余裕があるからだろう」
「昌幸様、源徳兵およそ二百が我が砦を攻めております! 将棋など指している場合ではありません!!」
 その昌幸は、平井城を守る砦の一つに駐在し、櫓に上がって家臣の一人と将棋を指していた。
 櫓の下から聞こえるのは、源徳兵が門を攻め立てる音。
 この砦を突破されれば、平井城は目と鼻の先である。
 だからこそ昌幸に任されているのだが、彼は鎧すら付けず、悠々と将棋を指している始末。
 義貞配下の上州兵が慌てるのも無理はない。
「まぁ待て。今良いところなのだから‥‥」
 昌幸は上州兵の慌て振りは何処吹く風、将棋を進める。
 やがて破砕音と共に、砦の門が破られてしまう。
「ここで王手だ」
 駒を動かすと、昌幸は傍らに置いてあった刀を取り、すっくと立ち上げる。
「砦の壁上に潜ませていた弓兵に、一斉に矢を射るよう命じよ。一斉射後、源徳兵の側面から突く。どれ、家康に一杯食わしてやろうか。鳥獣軍団をな」

 同じ頃、蒼海城に控えていた幸村は、守りの兵の中から遊撃隊を組織して平井城へ送っていた。
 昌幸が砦の奥深くへ攻め込んだ源徳兵の側面を突いて浮き足立たせ、この遊撃隊が背後から撃破するという作戦だった。

 真田幸村の名で江戸の冒険者ギルドに依頼が出されていた。
 上州兵として源徳兵と戦うという内容だ。詳細は請けてから現地で話す事になっており、明らかにされていない。
 冒険者は志士や侍といえども、基本的な立場は『腕の立つ傭兵』である。「昨日の敵は今日の友」という言葉通り、新田側に付こうが、源徳側に付こうが、立場が悪くなったり、どちらかに角が立つという心配はない。
 また、この依頼ではペットが解禁になっている。その腕を存分に振るって欲しい。

●今回の参加者

 ea3094 夜十字 信人(29歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea4591 ミネア・ウェルロッド(21歳・♀・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea6177 ゲレイ・メージ(31歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea6228 雪切 刀也(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文


●一粒の米
 上州の英雄新田義貞は平井城へ入り、源徳家康との直接対決に臨んでいる。
 平井城は上州南部の拠点である。ここを落とされれば、義貞の本拠地である蒼海城の喉元に刃を突きつけられたようなもの。義貞自らが出陣するのも無理はない。
 そして、義貞に協力する知謀の名将真田昌幸の預かる砦もまた、平井城を守る生命線の一つだ。

「角行を戴く」
「そう来たか‥‥然からば、これでどうだ」
「桂馬取りか!?」
 その昌幸は、櫓に上がって志士の雪切刀也(ea6228)と将棋を指していた。
 この砦は平井城を守る重要拠点の一つだけあり、櫓も普通の砦のものよりやや高い。それだけ源徳兵約三千の布陣が分かりやすいという事でもある。
「昌幸おじちゃんと刀也、どっちが勝ってるの?」
「んー、難しいな。刀也さんは大駒が多いが、昌幸さんは小駒を多めに取っている。昌幸さんの方が得駒が多い‥‥ような気がするぜ」
「そんなんじゃ、ミネア、分からないよー」
 ファイターのミネア・ウェルロッド(ea4591)は将棋盤を覗き込み、櫓の柱の一つにもたれ掛かって源徳兵の動向を眺めている浪人の夜十字信人(ea3094)に勝負の内容を聞いた。
 刀也は戦が終わったら歴戦の知将として名高い昌幸と話をし、色々と薫陶を仰ぎたいと思っていたが、「将棋は指せるか?」と聞かれ、今に至っている。
 昌幸が楽しそうに将棋を指しているのはミネアにも分かる。しかし、如何せん、どちらが勝っているか分からないのだ。信人も将棋はかじってはいるが、どちらが勝っているか、判断しかねる程の駒の取り合いの様相を呈している。
(「守りが堅い‥‥今一歩のところで、切り崩せない」)
 兵法を嗜む者は将棋も強いというが、なるほど、昌幸の将棋は堅牢な守りの布陣。こと防衛戦・籠城戦においてその実力を十二分に発揮する彼の兵法が顕れている。
 昌幸はミネアを側に呼び寄せると、自分の手と刀也の手を簡単に説明する。将棋の分からない彼女も、その説明を聞いて何となく勝負の内容が分かったようだ。
 昌幸の依頼を請けた信人達は、この依頼を請けている間は“昌幸の家臣”として扱われている。十二歳のミネアは兵士としても最年少であり、昌幸に孫のように可愛がられ、「昌幸おじちゃん」と気軽に呼んでいる。また、砦に詰めている上州兵の多くは妻子がおり、ミネアはそんな兵士達のちょっとしたマスコット的存在になっていた。
「しかし、相手は源徳の兵か。家康さんにゃ、那須の一件での功績で顔を合わせているんだがな」
「『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』だ。敵を知る夜十字ならば、家康の手の内もそれなりに読めるだろう‥‥ここはこう行く」
「そう来るか!?」
「なにそれ?」
「昔の人の兵法の教えだ」
 源徳兵の一部が動き出したのを見た信人は、愛用のクレイモアの柄に手を掛けながらそう切り出した。
 冒険者ギルドの立ち位置は基本的に中立であり、依頼人が源氏であれ、平氏であれ、藤原氏であれ、正規の内容と判断すれば依頼を請ける。後は冒険者ギルドに張り出された依頼を、冒険者が己の意志で請けるかどうかだ。
 信人は家康と面識はあるものの、依頼を完遂する為に私情を挟むつもりはない。
 昌幸も彼の気持ちを汲み、将棋を指す手は緩めずに兵法を引き合いに出した。
 刀也はいっぱいいっぱいのようだが、昌幸は傍らにちょこんと座るミネアに説明するだけの余裕はあるようだ。もちろん、指し手を見れば手を抜いていないのは分かる。
「刃を向けても、傭兵みたいなモンだから、で済むのかい? いい加減な世の中だねぇ」
「はっはっは、いい加減な世の中か。今のジャパンの核心を衝いた言葉だな」
 信人の皮肉に、昌幸は高らかに笑う。
 今のジャパンは、源氏と平氏、そして藤原氏が覇権を争っている。政治の中枢であるはずの神皇家は神皇家で、勢力争いがあり。更に義貞は家康と同じく源氏。今回の戦いは一門同士の争いだ。
(「イギリスやノルマンと違い、国王が束ねている、という訳ではないからな」)
「だからこそ、儂のような戦馬鹿が必要とされるのだ。平和になったら、真っ先に食いっぱぐれるのは侍や志士ぞ」
「でも、モンスターや妖怪、悪い人達はいっぱいいるから、お仕事はなくならないよね♪」
 今のジャパンにおいて、誰が“正義”で、誰が“悪”かを見極めるのは難しいと刀也も思う。
 昌幸に答えるミネアの言葉もまた、核心を衝いた言葉と言える。冒険者が仕事を失う事はないが、平和になれば昌幸達は軍備を縮小せざるを得ないだろう。
「だから儂は、“一粒の米”でいいと思っている」
「ひとつぶのこめ?」
「ミネア、ご飯をお腹一杯食べるにはどうすればいいと思う?」
 昌幸の言葉にミネアは首を傾げる。そんな彼女に質問する刀也。
「そんなの決まってるよ、お米をたくさん作ればいいんだよ」
「じゃぁ、そのお米はどうやって作る?」
「うー、ミネアだってそのくらい知ってるよ! 稲を田んぼに植えるんでしょ?」
「その通りだ。しかし、米は食べてしまえばそれで終わりだ。だが、地に落ちて死ぬ事で、多くの実を結ぶ‥‥つまり、そういう事だ」
「儂はいくらでも謗りを受けよう。だが、儂の植えた稲が、信之や幸村、儂の孫達の代に実を結び、民が平和で豊かになればそれでいい」
 『一粒の麦』のジャパン版の例えといえよう。
(「自分の代ではなく、息子や孫の代まで見据えている‥‥やはり昌幸は円卓一の忠義の騎士みたいに、身勝手な自己陶酔者とは違う」)
 昌幸の言葉に刀也は深く感銘を受け、もっと語り合いたいと思う。
「ダメだよ! 昌幸おじちゃん、そんなの間違ってるよ!!」
 ミネアはすっくと立ち上がった。
「漢だったら、『俺が天下を取る!』くらい言わなきゃ♪」
「‥‥はっはっは、これはミネアに一本取られたな。そうだな、ジャパンに生まれた漢なら、天下を取らずしてなんとする、だな」
 あくまで素直に前向きなミネアの言葉に、昌幸は豪快に笑う。
 源徳兵およそ二百人が砦を攻め始め、櫓の下から門を叩き壊す音が聞こえてくる。
「まぁ待て。今良いところなのだから‥‥ここで王手だ」
 出陣するよう急かす義貞配下の上州兵を制して、将棋を指し続ける昌幸。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥参りました」
 後半、刀也の方が考える時間が長くなり、遂に王手を取られてしまった。
「その将棋と盤は雪切殿に差し上げよう。また一手お願いしたいものだ」
「喜んで」
 そして昌幸は立ち上がった。


●木人1号
 蒼海城の一室をあてがわれたウィザードのゲレイ・メージ(ea6177)は、猫を撫でつつ、大理石のパイプを吹かしている。
 育ちのよさそうな端正な顔立ちはしかし、つい緩んでしまう。
「フッフッフッ‥‥遂に木人1号を活躍させる時が来たか‥‥」
『ガオーン!』
 ゲレイの視線の先には、高さ二メートル程の木から削り出した人形が立っていた。彼が名前を呼ぶと、それは呼応するように動き、ガッツポーズを取った。
 そう、ウッドゴーレムだ。
「‥‥素晴らしい。やはりウッドゴーレムが命令を聞く時はこのポーズでないとな」
 ウッドゴーレムを思う存分暴れさせる事が出来る機会に恵まれたのだ。真実を追究する“魔導錬金探偵”として、こんなに嬉しい事はない。
 戸が叩かれ、真田幸村の使いの者より、出陣の指示が伝えられる。幸村は蒼海城を守らなければならないので、ゲレイ達遊撃隊として出陣はしない。
 ゲレイが木人1号と共に外へ出ると、愛馬カウンタックが待っていた。
 幸村の組織した遊撃隊は、隼や猟犬、忍犬が中心であり、木人1号はかなり目立っている。
「ウッドゴーレムが伊達ではない事を、源徳兵のみならず上州兵にも見せつけてやろうではないか、行くぞ木人1号!」
『ガオーン!』
 ゲレイ達遊撃隊は蒼海城を立った。


●挟撃戦!
 源徳兵二百人余は、砦から反撃らしい反撃がない事をいい事に、槌や丸太で門を破壊し、一気に突破しようとしていた。
 刀也とミネアは侍をそれぞれ十六人と十五人、信人は弓兵を二十人預かり、指揮を執る。
 既に信人の弓隊は砦の壁の上に配置済みだ。
「これより斬り込みを掛ける。各員、心静かに殺意をぶちまけろ! ‥‥俺からの命令はただ一つ、生き残れ、何があっても生き残れ、以上だ」
 二枚目の門が破られると同時に奇襲を掛ける段取りになっている。
 刀也は十六人の侍に発破を掛けると、お守り代わりに自前で用意したリカバーポーションを全員に配り、腕の立つ何人かに砂を入れて口に封をした砂壺を渡した。
「ミネアは平等主義者なんだ♪ ニンゲンも、ハーフエルフも、パラもドワーフもさ♪ み〜んな平等♪ だってみんな平等に‥‥価値が無いんだから♪」
 一方、ミネアは、その場にいる兵士達の前で、太刀で地面を思いっきり抉ってみせた。
「いい? 君たちは、勝手に死ぬ事も許されない。勝手に逃げる事も許されない。君たちに許してあげるのはただ1つ‥‥源徳の飼い犬を、駆除する事だけだよ♪ それだけが、君たちの持つ唯一の価値だと思ってね♪」
 マスコット的存在の愛らしいミネアの口からそのような事を言われると、却って「この娘を守らなければ!」と思うのだから不思議だ。
「牙の抜けた雑種がたかだか200匹! 牙を抜かれた犬に、恐れる事はまったく無いから♪ いい? もう一度聞くよ? 君たちの存在価値は何?」
『源徳の飼い犬を、駆除する事!!』
 ミネアが耳に手を当てて聞く仕草をすると、兵士達が一斉に復唱する。それを聞いて満足げな笑みを浮かべて頷くミネア。
(「女って恐‥‥彼女にはああなって欲しくないなぁ」)
 自らにフレイムエリベイションを掛けながら、顔には出さないがそう思う刀也だった。
 とはいえ、上州兵の士気が最高潮に達したのはいうまでもなかった。

 破砕音と共に、第二の門が破られようとしたその時!
 昌幸が攻撃の合図を下した。
「夜十字隊、撃て」
 信人の命令で二十人の弓兵が一斉に矢を射る。彼も合わせて重剣圧を放つ。
 突進している軍は、横や後ろからの攻撃に弱い。まして、今まさに砦を突破し、勝利を味わう瞬間である。その気の緩みも相まって、突然の迎撃に浮き足立った二十人近い源徳兵を夜十字隊は倒した。
「十人程度でも相手を削げりゃ良いと思っていたが、先制攻撃は上出来だ。だが、気を抜くなよ。今度は味方が出てくるから当てるな」
 信人のソニックブームと違い、弓は連射が利かない。浮き足立っているとはいえ、源徳兵の指揮官の馬鹿ではないはず。統制を立て直して反撃に転じてくるだろう。
 彼は重剣圧をもう一発お見舞いしながら注意した。
「雪切隊、ウェルロッド隊、俺に続け!」
 半ば破壊されている砦の門を開け、刀也が愛用のティールの剣を掲げて先陣を切る。彼に続く雪切隊とウェルロッド隊。
 壁の上にいる夜十字隊に注意が向いていたものだから、刀也達の一方的な攻勢になる。
「正に、許容も無く、慈悲も無し、か。悪いな‥‥以前はともかく、今は死ねない理由があるんでねッ!」
 十手で敵の刀を捌き、ティールの剣を振り下ろす。足軽は刀也の敵ではなかった。
 刀也には待っている恋人(ひと)がいる。だから死ねないし、兵も死なせない。
「暇な奴は援護してくれ、暇じゃない奴は己を護っておけ!」
 夜十字隊の援護射撃もあって、突出した敵隊を分断し、雪切隊の指揮を優先して各個撃破を狙ってゆく。
「夜十字信人‥‥流れの剣客だ。“人斬り夢幻斎”だの、“屍山血河”だのと、伊達に物騒な二つ名持ってない」
 雪切隊やウェルロッド隊と源徳兵が入り乱れ、本格的な乱戦になると、信人もクレイモアを引っさげて突入した。
 ようやく源徳兵も体勢を立て直し、昌幸の策にまんまとはまった事を察すると撤退を開始する。
 殿を務める槍隊が雪切隊へ突撃を仕掛けてくる。刀也は用意しておいた砂壺を自分の分を含めて何個か投げ付けて目潰しをし、防御ごと斬り潰す信人と共に切り崩してゆく。
「大将を討ち取った! 大人しく投降しろ!!」
 その時、ミネアの大声が砦内に轟く。見れば彼女は太刀で大将らしい侍の首を掻き切っているではないか!
 ミネアはウェルロッド隊の指揮は執らず、侍の一人の装備を変えて、大将の肩代わりしてもらっていた。だから実質刀也が指揮を執っていたのだ。
 彼女は小柄な身体を利用して乱戦の中を移動し、大将と思しき侍を目測すると、首を一気に掻き切った。
 ミネアが倒したのは総大将ではなかったが、組頭が倒された事により、指揮系統を瓦解させるには十分だった。

 そこへ呼子笛の音が響いた。続けて炎の玉が飛来し、爆発を起こす。
「さて、私は生き延びる事ができるか? ‥‥いや、愚問だな。木人1号がいる限り、私を倒す事など出来ない」
 敗走を始める源徳兵に、更に追い打ちを掛けるようにゲレイ達遊撃隊が攻撃を開始した。
 弓兵が中弓を持っていれば、フライングブルームに乗っていれば格好の的だし、乱戦では木人1号に言葉で命令を下す事も難しくなる。
 そう判断したゲレイはカウンタックで戦場ギリギリまで近付き、後は徒歩で遊撃隊の後に付いていた。
「あの旗印の兵を攻撃」
『ガオーン!』
 魔法のメダルを手に持って念じてながら、旗印の一つを示して攻撃命令を下す。木人1号はガッツポーズを取った後、旗印を持つ侍達目掛けて走っていった。
 源徳兵との距離を十分に取り、アイスブリザードで木人1号の援護をするのも忘れない。
 ただですら敗走しているところへ、今度はウッドゴーレムが現れたのだから、混乱するのは目に見えている。源徳兵の大半は這々の体で壊走していった。

「ふむ‥‥短槍の攻撃なら耐えられるが、刀となるとダメージが馬鹿にならないな。また、足軽なら攻撃を当てられるが、侍の精鋭となると、攻撃が当たらないのも、木人1号の改良点か‥‥」
 砦を守る事が出来たので、遊撃隊は蒼海城へ引き上げていったが、ゲレイは攻撃を受けた木人1号を早く分析したいと、刀也達と合流し、早くもチェックを行っている。まだまだ改良点(成長?)は多そうだ。
 また、源徳兵の大将の一人を討ち取ったミネアには、昌幸より刀が送られた。無銘だが魔力を帯びた一品だ。