夜明けの島
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■ショートシナリオ
担当:呼夢
対応レベル:フリーlv
難易度:易しい
成功報酬:4
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:01月05日〜01月14日
リプレイ公開日:2006年01月13日
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●オープニング
遺跡の島の決戦でロキは最期を遂げた――ロキと契約を結んでいたと思しきロギと名のるデビルは、怪しげな言葉を残して遺跡の島から敗走したようではあったが。島の精霊達の反応を見ても最大の危機が去ったことは疑う余地も無い。そして、長らく精霊達の支配下にあった少女も解放された。
この日領主館には珍しい客が訪れていた。
「どうやら近隣諸国にとっても大きな災いの種が取り除かれたようだな。まずはめでたいことだ」
「これまでの『再三に渡る』情報提供、感謝する」
「いや、かの者はいわば世界にとっての災厄。かような危機に際しては互いに協力するのは当然のことだ」
匿名のものも含めて裏はとれているのだと言う、エイリークの皮肉にも一向に動じる風もない。一時はロキとの協力関係にあったこともそれとなく匂わせたが、そのあたりについては一切口を拭うつもりのようである。
「そう言えば、遺跡の島は候の国から程近いようだが、多少なりとも『契約の宝』とやらに食指は動かねえのかい」
皮肉ついでに探りを入れてみるが、一笑に付される。
「かつて隣国を席巻した『メギドの火』の歴史は伯も聞き及んでおるだろう。それと同じこと、人の手に余る力など自らを滅ぼすものでしかなかろう‥‥尤も、他人がその力を手に入れるとなれば、座して眺めているわけにも行くまいがな」
他人が力を手に入れることは認めないが、誰の手にも渡らないものであれば、あえて精霊やドラゴンを敵に回す愚を冒すまでも無いということか、大国の狭間で生き延びてきた小国なりの処世術なのだろう。
「時に、その者は伯の新しい部下かな? 以前は見かけなかったように思うが」
顔見知りの側近達に混じって同席するシフールを見咎めたようである。以前と言うのは海戦祭の賓客として訪れた折のことであろう。
「あぁ、こいつか。遺跡の島への道案内やらをしてたんだが、斥候や連絡係なんかに多少は使えそうなんで雇うことにした。ちょっとした武器なら持って飛べる程度の体力もあるらしいしな」
「ほぅ、なるほどな。だが、領主殿に雇われたにしてはなにやら浮かぬ顔をしておるようだが」
エイリークと話しながら、周囲の様子にも注意を払っていたのであろう。
「どうかしたのか?」
「いや、お客様に聞かせるような話では‥‥」
チラリと客人を見たが、先を促す。
「かまわねえ。話してみな」
「はぁ‥‥実は年明け早々にミールと式を挙げることになったんだ、あ、いや、なったんですが‥‥その‥‥なんと言うか、精霊の島で式を挙げたいと‥‥」
一同唖然としたが、やがてあちこちから忍び笑いが漏れる。
「そいつは難儀なことだな。ずっとあの調子だから、てっきり内気な娘かと思ってたぜ」
エイリークも笑いをかみ殺しながら答える。
「それは、重ね重ねめでたいことだな。年明けには私も国に帰るのだが、遺跡の島なら船の通り道だ。ついでと言ってはなんだが、祝い代りに送り届けてもかまわぬが。尤も帰りは我が国の港から陸路ということになるがな」
「いえ、そんな‥‥」
「いいんじゃねえか。俺は行けねぇがな。祝ってくれる連中もいくらかはいるんだろう。一緒に頼めるか?」
遠慮するスィエルを遮ってエイリークが勝手に話を進める。
国主の船だけあって乗員には余裕があるようだ。
尤も遺跡の島の精霊たちが浮かれているとは言え、逃亡中のロギが依然消息不明なのも気になるところではある。一国の主が血気に逸って自ら陣頭に立つのはやはり避けるべきだろう。儀礼用の親衛隊などに、期待は禁物である。
こうしてドレスタッドの冒険者ギルドに依頼――は出ませんね――お知らせが貼り出された。
●リプレイ本文
●祝福
領主館の一室にはどことなく華やいだ空気が漂っていた。
(んむー‥‥アレは半分冷やかしで言ったのに、本当に式を挙げちゃうとはねー。しかも何このスピード挙式)
「ラブラブか? ラブラブなのかー!?」
いつの間にか心の叫びが声に出ている。周りの視線に気付いたユスティーナ・シェイキィ(eb1380)が笑顔でごまかす。
(ふ‥‥あたしは結婚どころか恋人もいないさ‥‥)
思わず遠い目になるあたりやはりお年頃と言うことか。とりあえずスィエルを捕まえて準備のことなど尋ねるのだが。
「お二人さんの衣装とか、指輪の手配とかは準備できてるの?」
「オレもやったことが無いんでその辺よく分からないんだが‥‥とりあえず任せる」
俎板の上のなんとかよろしく訳の分からない言訳をしている。結婚式などやったことが無くて当然だ。
「スィエルさんね、よく分からないから任せるとか言って、自分の大事な式でしょうが。これだから男ってヤツは‥‥」
ぶつぶつとお説教をしながら話をミールにふる。
「17歳って言うとあたしより一つ上くらいですか‥‥やりますな」
イグドラシルとの縁はなかったものの、今回船を出してくれるユトレヒト候とは幾度か面識があるカラット・カーバンクル(eb2390)もミールの歳を聞いて妙に感心している。
「結婚式かぁ、いいことだよね。うん‥‥がんばってお祝いしよう‥‥」
いつものように長い髪と布で耳を隠したレア・ベルナール(eb2818)も穏やかに微笑む。
「島まではご一緒できませんが、人生という天の与え給う試練にお二人がうち勝てる事をお祈りしていますよ」
翌日には、別の依頼で遺跡近海に向うという白銀麗も駆けつけて二人に祝福の言葉をかける。こちらで耳にしたという『さむしんぐ・ふぉー』の風習にちなんで花嫁に青い布を贈った。無論染料は得意の錬金術で作ったもの。
「『新しい物』は‥‥なんか用意してないみたいだから、少し買出しした方がいいのかな? 必要ならお金も出しますよ〜」
「『借り物』はやはり領主殿にでもお願いしようかね。買い物には付き合うよ‥‥というよりお嬢さん方皆で一緒にどうかね。経費は領主殿ということで」
年の功と言うのかマクダレン・アンヴァリッド(eb2355)などは存外ちゃっかりしている。『古い物』はミールが旅に出る時母親から受取った装飾品の類から選べばよかろう。
「リュリス君達も荷物持ちに来るかね」
「こ、このおやじ‥‥買い物ついでに手当たり次第に口説いたりしねえように、俺はお目付け役な」
荷物持ちに指名されたリュリス・アルフェイン(ea5640)がニヤリとしながら反撃する。
結局、主役の二人に、銀麗と共に遺跡で取り逃がしたロギを倒す為の依頼に出発する友人達を代表して参加したナイト殿も交え、連れ立って街に繰り出すことになる。
●布石
船出を明朝に控えた夜半、リュリスとマクダレンは領主の元を訪れていた。ギルドの長も同席してもらっている。
「ロキは倒したけれど、不穏分子の貴族がまだ残っているね」
穏やかに口を開いたのはマクダレンである。
「あぁ、そろそろロキが死んだことも伝わって顔色を変えてるころだろうな」
「彼らもまさかロキが悪魔とは思わなかっただろうに‥‥ロキ側から証拠が出れば魔法で記憶を読まれて、異端審問は確実だねえ」
聞いていた赤毛の領主とギルドの長が顔を見合わせる。
「どうだろうね。島から戻ったら私とこのリュリス君でその証拠とやらを探してみようと思うんだが。無論、それをどう使うかは領主殿のご自由に、と言うことだね。ロキも狡猾だから、証拠の一つも残してるはずだよ、うん」
黙って聞いていた領主が口を開く。
「話としてはありがてえが、正式に依頼はだせねえぜ。下手すりゃ燻ってた火種を再燃させかねん。尤も突然病死する当主なんぞは何人かいるかもしれんがな」
話をマクダレンに任せていたリュリスがその意図を解して微かに眉をしかめる。
「五月蝿い無能貴族の地位低下は望ましいことだね。それと、一連の騒動に多くのハーフエルフが関わった事実は伏せて欲しいんだが‥‥今回の事件の根底には彼らへの差別があるからね。公表して差別が悪化すれば第二のロキが生まれかねない。もしかすると『それが狙い』かもしれないし」
「ギルド内は実力主義だからな。ハーフエルフだからって特に扱いは変えてないんだが‥‥世間一般には差別も結構根が深いし、確かにこれ以上疑心暗鬼を煽るのは百害あって一利なしだろう」
ギルド長の言葉にマクダレンも頷く。尤も、冒険者の中でも全く差別意識の無い者ばかりではないのだが。
「悪魔は狡猾だからね。人の心に闇が生まれればすぐにそれを利用する」
公にはあくまでも人と悪魔との戦いだったと言うことで通して欲しいという提案はすんなり受け入れられた。
●精霊の島
一行を乗せた船は翌朝ドレスタッドを発った。護衛と思しき2隻の船が併走している。
「ソルゲストル様あけましておめでとう御座います!! ‥‥ってジャパンではあいさつするらしいですよ。全く‥‥おめでたい人たちですよね? あ‥‥っと、思ったよりもご縁がちょっとはあるみたいなんで、良かったら今年もよろしくお願いしますね‥‥とか。あははは‥‥」
「おめでたい、か。はは‥‥カラット嬢は相変わらず元気なようだな。こちらこそよろしく頼むよ。
ユスティーナ嬢とイコン殿も一瞥依頼久しいな。マクダレン殿も息災のようだな。先頃は遠来の使者、感謝しておるよ」
船の主であるユトレヒト候も旧知の面々と挨拶を交わす。海戦祭とその祝賀会、先だってドレスタッドからの使者としてユトレヒトを訪れた折に面識を得た面々だ。殊にカラットは海戦祭の期間中、ずっと作戦卓を共にしていた為親交も浅くない。
彼女と共にユトレヒトを訪れ、主に理を持って協力の有用性を説いたマクダレンであったが、今回の婚礼に当ってソルゲストルに進行を頼んでみる。一行の中ではナイトであるマクダレン達のみが礼儀作法についての専門知識を持っているのだが、一国の主である侯爵には敵うべくも無い。
一方ユスティーナは専らミールの相手をして、一緒に化粧やドレスの着付けを練習をしている。「スィエルさんが惚れ直すくらい、可愛くキレイにね」とはりきっているのだが、アドバイスする本人が普段化粧をしていないし、されるほうにしてもまだ素肌で十分勝負できる年頃ではある。
やや年かさのレアも髪の手入れこそ熱心だが、やはり職業柄か化粧とはあまり縁が無い。
ユスティーナがバックパックに詰め込んできたアクセサリー類を色々と組み合わせたりしながら女同士盛り上がっている、レアが「馴れ初めとかプロポーズの言葉とか聞けたら」と話題を振れば、ユスティーナも「今後の参考のために是非」と真剣な表情で身を乗り出す。
ミールの話では馴れ初めも何も、スィエルは物心ついた時からそばにいたらしく、いつも後を突いて飛び回っていたと言う。数年前スィエルが旅の一座に入ってジプシーとなった時も、何の疑いも無くついてきたし、双方の両親も止めなかったらしい。
ミールが竪琴を弾いて歌いスィエルが舞う。時には二人で踊ることもあったようだ。他にはスィエルが手製の弓での射的やナイフ投げをする時の的も勤めていたらしい。「怖くなかった?」と言う質問にもあっさり「信じてたから」と惚気る。
尤もその技術に加えて薬草や毒草などのジプシーの知恵があったおかげで、ユスティーナ達が救出するまで逃げ延びることが出来たらしいが。
話題の成行きにスィエルはとうにマストの上に逃げ出していた。
危険水域を避けてやや迂回した経路で一行は遺跡の島に辿り着く。多少時間は余分にかかったが、島の様子は一瞥以来変っていないようである。
荷揚げに励む一行の頭上を巨大な影が飛び過ぎていった。一瞬緊張が走るが、ユスティーナが手を振る。
「やほー! また来たよー」
幾人かには馴染みの波動と共に程近い場所に降り立つ。追い返される不安も無いではなかったが、どうやら大丈夫のようである。
顔見知りの冒険者達が恐れる様子も無く近付いて親しげに話をする様子を、侯爵やその部下、初対面のカラットやマクダレンもやや唖然として眺めている。
騎乗に用いられるフィールドドラゴンを除けば目にする機会さえめったになく、出会う時は災厄を伴うことが多い上位のドラゴンだ。
付合いの長いユスティーナが訪問の理由などを説明する。精霊の都合でミールを長い間拘束していたこともあってかあっさりと応諾される。更に植物でアーチを作りたい旨を伝え。
「できれば花が咲いてるといいけど、季節的に難しいかな?」
尤もこの季節のこの緯度であるにも拘らず、周囲には雪など影も形も無い。街の外周沿いに南側に廻った所に『陽』の精霊力が強い場所があり、四季を問わず花が咲いていることを教えられた。
「おっ‥‥」
話を聞いていたカラットが思わず手を打つ。ブーケを現地調達しようと考えていたのだが、真冬だけに普通に咲いてない可能性も高い。とにかく当たって砕けるつもりで、島を探検するつもりだったようである。
「礼服に着替えたいんだけど‥‥着替える場所あるよね」
おずおずとレアが問いかけると、街の外周に『ヒト』サイズの建物もあるだろうとの答え。
とりあえず荷揚げは中断し、陸路が一番短くなる位置に船を回してもらう。その日の残りは、荷揚げと設営で暮れた。
●太陽と月の詩
翌朝、宴の準備が始まる。
ユスティーナは、プラントコントロールを使って花の咲いている蔦や木の根を絡ませて、2人がくぐる為のアーチを作った。その後、花嫁の着付けも本番だ。
カラットも「お料理はソルゲストル様お付きの料理人さんとかの方がゴージャスな気もしますけど‥‥あ、でもあんまり高そうなのだと勿体無くてあたしが食べられないですね」などと口走りながら、侯爵が連れて歩いている料理人を手伝う傍ら、ブーケ用の花も摘みに出かけている。
先に手伝いを終えて礼服に着替えたレアも頭の布を取って姿を現す。いつにない出で立ちに視線が集まると戸惑いがちな笑みを浮かべる。
「‥‥ハーフエルフでも参列できるかな?」
「そんなことを気にするやつはいねえさ」
「我国はロシアとも交流があるからな。特に気にしたことはないが‥‥真に神の摂理に反するものであればそもそも生まれるはずも無いからな」
リュリスに次いで祭祀を取仕切ることになった侯爵も声をかける。
やがて他の面々も礼服に着替えると宴が始まった。
着飾った二人が花のアーチをくぐると口々に祝いの言葉がかけられる。
「おめでとうございます。お幸せに」
「スィエル。ま、しっかり嫁さんは守りぬけよ」
「ミールさん、スィエル君。お二人の旅立ちに精霊の加護があらんことを」
レアやリュリスに続くマクダレンの言葉にはそれとなくユーモアも漂う。
「では神と参列者と精霊を証人に結婚を誓って貰いましょーか!」
侯爵の前に進み出た二人にユスティーナも声をかける。宣誓が終わり誓いのキスになると、さほど縁の深くないカラットも力一杯囃し立て‥‥いやもとい祝福する。
やがて食事が運ばれ宴が始まる。
「あとはもう、好き勝手楽しもう、それがいい」
最年長のマクダレンがそう口にすると、主役ともども異存は無く無礼講となった。
カラットは海戦祭でもらったドラゴンのぬいぐるみを抱えて、スクロールを使った腹話術を披露する。
「がうがう!! ‥‥そういえばソルゲストル様はまだご結婚されて無いんですよね? ‥‥何ででしょう〜? あた‥‥イヤ、どらごんには関係ないけどちょっと気になりますぜー」
多少本音が出るのはご愛嬌と言うものだ。「では、カラット嬢はいかがかな?」などと、お堅いと思われた侯爵の口から冗談も飛び出す。
仲人役(?)のユスティーナから所望されて、新郎新婦の踊りも披露され宴は続いた。
宴も終わりに近付いた頃イコンが隣に座っていたリュリスにポツリと呟いた。
「あの人は、何故道をたがえてしまったのでしょうか‥‥?」
「オレは別にヤツが道をたがえたとは思わねぇ。デビルなんぞとつるんだのは気にいらねぇがな。祖国の権力争いで存在を否定された時、宝を操る知識があればオレもロキと同じ事をしていただろう‥‥今だって、内在する力でなくとも、力があればそれが欲しい。
ただ‥‥幼い頃、争いで村が焼かれた時、オレは狂乱し、剣を握り戦い、気づけば姉と慕う女性を刺していた。制御できない力は望まぬ結果しか生み出さない。それが、宝の横取りをしなかった理由だ」
静かな沈黙が広がっていく。
●過去と未来
宴果てて後、イグドラシルの中枢にリュリス達の姿があった。オーディンと話がしたいと言う希望からマクダレンを伴って宝の安置されている広間を目指している。
宝が無事戻されたことで塔や城砦の様子も一変していた。先日の帰路、既に幾多の障壁は取り除かれ、城門も開け放たれた状態で、魔法の力を借りなくても地上へと戻ってくることが出来たほどである。
広間にたどり着いたリュリスはマクダレンに中央に立つ光の柱を指し示す。柱に正対したマクダレンはそれに向ってオーラを集中させた。
仄かに明滅する光球が現れるとマクダレンを介してリュリスがいくつかの質問を投げかける。
「あんたがオーディンか?」
無論マクダレンの問いかけはもう少し穏やかに翻訳されているが。
「『かつてそう呼ばれたこともある』と言っているね」
続く「どうしてロキが宝の存在を知ったか」と言う問いには、人界で起きた事件の逐一を監視している訳ではないという答えだった。
だが、魔剣が消えた理由は知っていた。と言うより、塔の地下深くに魔剣を封印した張本人であるらしい。
理由は件の魔剣がデビルに属する者の悪意を吸収して成長するものであった為のようだ。死んだロキの悪意を全て吸収することで、件の魔剣は、鞘の封印を持ってしても使った者ばかりでなく、周囲にいるだけの人間に対してさえ危険な物と化したらしい。
「それにしても宝が盗まれたのはやっぱ島の住人の不手際だ。魔剣の一本でも貰わないと割りに合わねえ」
微妙な表現ながらマクダレンが仲介すると光球は静かに瞬きながら消滅した。
「逃げやがったな」
苦笑するリュリスに、マクダレンも穏やかに笑いかける。
「しょうがねえ、国に帰って『天王』でもさがすか‥‥」
地上を目指して塔を下りながら、誰にとも無くそう呟くのだった。
―― 島にはまた新しい朝日が昇ろうとしている。