十番隊日誌−呑んだらノッてけ年忘れ−

■ショートシナリオ


担当:幸護

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:4

参加人数:8人

サポート参加人数:4人

冒険期間:12月16日〜12月21日

リプレイ公開日:2006年12月24日

●オープニング

「師走ですねぇ‥‥」
「師走だな」
 火鉢を挟んで向かい合う二人の言葉は益体も無く簡素な部屋に転がった。
 奥に座した男、新撰組十番隊組長・原田左之助は手持ち無沙汰に玉鋼鍛えた火箸で灰を掻き遣って、珍しく眉間を詰めている。
「中岡慎太郎‥‥逃がしてしまいましたですねぇ」
「逃がしたなぁ」
「‥‥‥‥‥‥原田先生は出臍ですよねぇ」
「デベソだなぁ」
「隣りの客はよく柿食う客ですよねぇ」
「食うなぁ」
「やっぱりなのです! 原田先生ちっとも僕の話を聞いてないなのですよぅ」
 常は八字を模る眉の角度をちょっぴり上げた十番隊伍長並・森寅吉が大袈裟に溜息を漏らすと、上役は初めてその面を上げた。
「へ? なんだ寅?」
「なんですよぅ、明日は久しぶりの非番だっていうのに‥‥そりゃ確かに不穏な情勢を思えば原田先生が憂えるお気持ちも分かりま‥‥」
「宴会してぇ」
「‥‥‥‥‥‥え?」
 ぼそりと呟かれた言葉に寅吉、思わず問い返す。
「宴会してぇぇぇぇッッ!!」
 ――それかよ。



「河岸(かし)は西新屋敷の角屋だ」
「片山さん、お疲れ様なのです。でも、こんな時期に良いのでしょうかねぇ? また副長に睨まれたりしないか心配ですよぅ」
「どうせやるまで騒ぐだろうが、あの人は。‥‥隊士達への慰労と激励を込めた忘年の宴だ、問題あるまい」
 十番隊伍長・片山九良太は切れ長の目で寅吉を見遣った後、抑揚無く発する。
 剣技より、尻拭いや辻褄合わせのスキルばかり上達してる気がしないでも無い十番隊伍長のお役目は存外に大変らしい。


 そんな訳で宴会部出動ッ!←結局言いたいのはココ

●今回の参加者

 ea0214 ミフティア・カレンズ(26歳・♀・ジプシー・人間・ノルマン王国)
 ea1057 氷雨 鳳(37歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea4141 鷹波 穂狼(36歳・♀・志士・ジャイアント・ジャパン)
 ea6419 マコト・ヴァンフェート(32歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 ea8968 堀田 小鉄(26歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 eb1067 哉生 孤丈(36歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb1529 御厨 雪乃(31歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb9725 新崎 里穂(25歳・♀・忍者・人間・ジャパン)

●サポート参加者

逢莉笛 鈴那(ea6065)/ アウレリア・リュジィス(eb0573)/ 黄桜 喜八(eb5347)/ イーシャ・ゾーロトワ(eb9683

●リプレイ本文

●壱
「じゃ、じゃーん★」
 ミフティア・カレンズ(ea0214)華麗に惨状! ‥‥じゃなかった、参上♪
 こーもりにも筆の誤り――っていつもの事だよ。ごめん、ちっとも珍しくなかった。
「へぇ、こりゃまた随分と粋な登場じゃねぇの」
「やっぱよ‥‥何事も最初が肝心‥‥だからよ」
「ははは、豪気だな」
 ミフティアの乗る“空飛ぶ木臼”の持ち主、黄桜喜八は小粋な緑のあんちくしょう。
 抜かれたのが尻子玉じゃなく度肝で良かったと一同胸を撫で下ろした。
 流石に「みんなの尻子をオイラに分けてくれ。尻子玉ーっ!」とは言わない。絶対言わない。それはさて置き、鷹波穂狼(ea4141)は、さも愉快と呵々大笑。
「喜八おじさん、ありがとう。すっごく楽しかったよv」
 軽い身のこなしで木臼から降りたミフティアがちょこり頭を下げれば、喜八は水掻きのついた手をひらひらと泳がせる。
「ロハで酒が呑めるんだしよ‥‥礼なんていらねぇよ」

 此度の遊宴の河岸は西新屋敷である。
 西新屋敷と言えば“島原”の俗称の方が通りが良いが、いわゆる色町な訳で、普段より賑々しくも華々しい場所である――が。
「宴会部員・堀田小鉄、ただいま参上なのですー」

 ドッカーン!

「っ痛てて‥‥鉄は今日も元気だな、このやろー♪」
 堀田小鉄(ea8968)が左之助に見事な体当たりを決めるのも最早恒例の事。どんちゃんと些か成長著しいにょろすけくんも温かく、そらもう生温かく見守っている。
「よーしよしよし、よーしよしよし」
 がしっと頭の八を掴まれてわしわしと乱暴に撫でくりまわされる小鉄を目の当たりにして新崎里穂(eb9725)やイーシャ・ゾーロトワなどは乙女心がずっきゅんどっきゅん。別にときめいちゃった訳じゃあない。
「十番隊らしくて良いねぃ」
 新撰組十番隊隊士・哉生孤丈(eb1067)の口振りから察するに、集った者の賑やかさがそこはかとなく暑苦しいのは十番隊の仕様です。たぶん。

 真冬でも 暑苦しいよ 十番隊 

「ジャパン人ってとっても楽しいんだねっ」
「その括りはどうかなぁ‥‥新撰組が珍味なんじゃないかな?」
 アウレリア・リュジィスと逢莉笛鈴那の間を割って十番隊の良心こと氷雨鳳(ea1057)姐さん一言。
「珍味は十番隊のみだと思う」
 食して美味かは人其々。
「もりもり遊ぶ分、もりもり働いてくれりゃいいべさ。わしは久しぶりに皆に会うたけんど変わらん元気振り見てほっとしたべ♪」
「十番隊は宴会に限らず、何時でも何処でも全力投球。手を抜くなんて事が出来ない不器用者の集りなんだねぃ」
 御厨雪乃(eb1529)の猫の目くるりと動く横で孤丈、なんかちょっとカッコいい事言ってみたけど、手に“まるごと猫かぶり”持ってるからなぁ‥‥。
 因みに彼は十番隊新入隊士の世話役だったりする。

「‥‥角屋サンね‥‥」
 ふぅ、と細い息を落としたマコト・ヴァンフェート(ea6419)の表情はいつになく暗い。

(「島原と言えば確か色町デス‥‥色町と言えば‥‥ごにょごにょで、もにょもにょで、へにょへにょで、あまつさえ、でんでろりん(←耳年増)十番隊は普段からよく出入りしてるのデショーカ?! 複雑デス」)
 きっとでんでろりんな左之助(どうでもいい)は兎も角、九良太や寅吉はどうだろう。
「でも負けませんヨっ!」
 めらめら燃えるマコト、ぐぐっと拳を握り可憐な乙女のポリシー貫く。って事で本日も衣装と化粧に抜かりはありません。


●弐
 門口を潜ると正面に“蔓三つ蔦”の家紋を染め抜いた暖簾のかかる中戸口。此方は左へ折れた先の玄関とは違い、台所へ入る内用の出入り口である。
 皆が奥の玄関へ向かう中、中戸口へ足を入れた穂狼と雪乃、そして鈴那は持参した差し入れを飯炊き女へ渡し、板元に声を掛けた。
「親仁。今朝鮟鱇を仕入れたんでな、いっちょ捌いてやってくれないか。新鮮なのは保証するぜ」
“安康(あんこう)”なんて縁起の好い名じゃないか――笑う穂狼に板元は「そうどすなぁ」と返して、雪乃持参した樽を覗き込み目を丸める。
「これは後で刺身にするけ、そっちの重に詰めた料理を運んで欲しいだよ」
 桶の中には大鋸屑に埋もれた伊勢海老がうようよ居たりするワケ。親仁が驚いたのはそこではなく、これを抱えてきた雪乃の腕っ節だったりするが。
「私は異国のお料理作ってきたの。折角覚えたから差し入れでーす」
 見慣れない焼き菓子からは鼻を擽る良い香りが漂っている。
「そりゃ楽しみだべさ♪」

 一足先に二階・扇の間へ着いた面々は挨拶もそこそこに早速酒を呷っていた。
「今回はお店の方で準備されてるデショーから、お料理出来なくて残念デス」
「はぁぁぁ‥‥助かったなのですよぅ」
「‥‥犬吉サン、後で厠裏に呼び出しネ♪」
「ええっ! 厭ですよぅ」
 マコトの異国(と書いて「げてもの」と読め)情緒溢れるお料理の腕前を知り尽くしちゃった十番隊は力の限り安堵の表情を覗かせたのだが、寅吉一人は更なる大ピンチを迎えた模様。
「原田組長、先ずは一献」
「おっ、悪ぃな。別嬪なネェちゃんの酒はまた格別‥‥って、あん? 見慣れねぇ顔だな」
「‥‥隊士の顔も忘れたのか」
 隊士隊士隊士‥‥左之助の脳裏にぐるぐる暑苦しい顔が浮かんでは過ぎてゆく。褌とか猫かぶりとか筋肉とか色々。つーか、その繰り返しだった。延々。
「鳳だ」
「は? 姐御?! おい、みんな鳳姐さんが乱心だ」
 わらわらと湧いた隊士等が鳳を取り囲み、「あぁ、本当だ氷雨姐さんだ」と一頻り感心の素振りを見せる。どうでもいいが甚だ失礼な反応である。
「これは驚いたねぃ」
 同じく幹部等に酌をしていた孤丈も瞠目した。
「馬子にも衣装‥‥というところかな?」
「違いますよぅ、氷雨さんはお美しいなのです。見慣れない姿で驚いてるだけなのですよぅ。普段のお姿も凛々しいなのですが、振袖もよくお似合いなのです」
 溜息を漏らす鳳に寅吉がにこにこと笑みを向ける。
 京染めの振袖を纏い、束ねた髪に梅枝のかんざしを挿した鳳はそのまま暫く隊士達に囲まれる事となる。密かに『氷雨姐さんを守る会』が発足したとかしないとか。

「俺の芸は恒例のどじょう掬いだぜ。前回より腕上げたんだ、楽しんでくれよ!」
 穂狼が先陣を切って陽気に踊れば、笑う者あり、手拍子打つ者あり。
「へへっ、どうだい。酒もすすむだろ? 陽気に呑んで騒いで楽しくやって、また明日からの活力を得る! 宴会部員としての役目果たさせて貰うぜ」
 自身も楽しむのが信条だ。
 穂狼が剽軽な仕草を見せる度に、わははわははと大声が湧いた。

「下手ながら横笛の演奏を披露したいと思う‥‥」
 花唇に横笛をあてて、鳳は瞑目した。細い糸の如き音色が空気を震わせる。
 遠く郷里を想わせる懐かしい響きに皆は静かに聴き入った。
「ふわー、鳳お姉さん綺麗v」
 まずは腹ごなしとばかり、小さな身体にどんどこ食料詰め込んでいたミフティアの箸も思わず止まる。
「そろそろ出番かな? リアちゃんと鳳お姉さんの素敵な演奏に合わせて踊るんだよ。喜八おじさんはどうする?」
「‥‥適当に踊るか」
「わぁ、喜八おじさんも一緒に踊ってくれるの? 楽しみだな♪」
 ふっ。
 何故か自慢げな喜八、踊りの心得がある訳ではないのだが心意気はあるので大丈夫。

 そんな訳でお次の出し物は、アウレリアの竪琴と鳳の横笛の奏でる曲に、太鼓持ちな小鉄の賑やかし風味を添えたミフティアの踊り――喜八さんもいるよ★ である。
 何処か途中で間違えた‥‥それが何処だかは周知の事である。

 琴と笛の音がしっとりと響けば橙色の散紅葉を羽織ったミフティアがひらり、ふわりと舞う。
 翻る艶やかな衣装と扇に合わせた舞は“扇の間”の名に相応しく、方々からほぅと感嘆の声が盛れる。
「こりゃあ綺麗だな」
 食い気ばかりと思っていたが‥‥と呟く左之助の横で伍長・九良太も目を細めた。
 妙なる調べとしなやかな舞が終わると室内は喝采に包まれた。
「えへ、次は賑やかな曲だよ。おいで、さくらんぼ♪」
 パッ
 散紅葉の着物を脱ぎ捨てたミフティアは金糸や銀糸をふんだんに使用した踊り子衣装になって飛び跳ねる。
 アンクレットベルがしゃんしゃんと鳴り、一瞬にして異国情緒に溢れた。
 演奏を続けるアウレリアと鳳も眼差し交えて微笑み、小鉄もぽこぽこ太鼓を打つ。
 先程までは部屋の隅に控えていた小さな妖精“さくらんぼ”も加わってくるくると飛行して、隊士達からも「いいぞー!」と声が上がった。
 喜八は控え目に、けれどちゃっかり背後で盆踊りを披露。
 一気に賑やかになった扇の間は笑い声で溢れた。
「左之助組長さんも一緒に踊ろうっ! ほら、これ着けたら絶対可愛いよ♪」
「わわ、な、なんだ?!」
 獣耳ヘアバンドを着けられた左之助はぐいぐいと手を引かれ、ミフティアと一緒にくるくる〜。
「ははっ、原田組長似合ってるぜ!」
 穂狼が手を叩き笑う。


●参
「次は私が欧州のダンスを披露しマース。リアちゃん、皆でわいわい踊る楽しい曲お願いしマスv」
「うん、いいよ。お祭りの曲がいいかな?」
「アリガト♪ とゆーワケで、九良太サンも踊るのデス♪ さっきは原田サンが踊ったデスし! ナイスッ、ミフちゃん!」←うっかり
「私は踊りなど知らんが‥‥」
「大丈夫デス。私に合わせてクダサイ」
 手を引かれた九良太が躊躇うのを強引に引っ張ってマコトはにっこり。
「‥‥この前の捕物では、あまりお役に立てずゴメンナサイ」
「気に病んでいたのか? お前達の落ち度ではない」
 表情を曇らせるマコトに返した九良太は、常は険しい双眸をほんの僅か和らげた。
「偶然でも九良太サン達が背負ってる文字と同じ名に恥じないよう、もっと頑張ろうと思いマス」
「‥‥誠、か」
「もっ、もももも、もう一度お願いシマスっ!」
「? まこと‥‥」

 ぎゃぼー!

 と叫んだか否か、乙女が舞い上がるのは存外安上がりだったりするもので。

「次は私が見世物を‥‥手品をします」
「私は彼女の助手を‥‥」
 里穂とイーシャ言ったものの、暫くの沈黙が続く。
「どげんした?」
「いえ、何をやるのか決めてませんでした」
 里穂、痛恨の失敗★
 でもね、めげちゃダメダメ。次からはちゃんと決めてこよう。今回は大丈夫、芸達者だったりイロモノだったりな先輩がいっぱいだから。
「イロモノって誰のことだろうねぃ」
 聞かなくてもみーんな知ってる。
「あれあれ、そら仕方ねぇべ。気にせんでええべよ。折角じゃし、腹いっぱい食ってったらいいべさ」
 腕によりをかけてこさえて来たんだべさ――雪乃は里穂とイーシャを手招きして座らせる。
 眼前に並ぶ料理は、蒟蒻の味噌田楽、里芋の煮物にみたらし団子。五平餅、めはり寿司につみかんは毎度のお品である。
「いただきま‥‥っ!!」
「がふっ」
 蒟蒻の味噌田楽‥‥に見せかけた餡子かけ寒天を口に運んだ里穂、里芋の煮物を模した練りきりを頬張ったイーシャが目を白黒させた。
「あはははは、ちっと遊んでみたんじゃけど。どうじゃった?」

「「予想外です」」

 あ。どっかで聞いたかも。

「改めて。原田組長、良い酒を持ってきたんだが‥‥飲まないか?」
「姐御(←定着)の酒を断わるわきゃねぇだろ」
 杯を交わし、暫し会話を楽しむ。
「ところで組長。姐御と呼ぶのは何故だ?」
「や、何かなぁ‥‥姐さんすげぇ大人なんだもんよ」
「そうか? 相応だと思うがな。‥‥ふぅ、最近酒も飲めるようになってきたが、まだちょっと慣れないな‥‥酔いがまわったか」
 頬を染めて左之助にしなだれかかった鳳に驚きつつ、
 わきわきわき。
 左之助の指が動くも、鳳は守る会によって安全な場所へとっとと移送された。
「あいつら‥‥(涙目)」
「左之助組長、私がいるから淋しくないよ♪」
「ミフは可愛いな。よし、膝抱っこしてやるぞ。何か食うか?」
「わーい! あのね、あのね、全部食べてみたいの♪」

●だーっ! 
「ふっふっふ。この時を待ってたんだねぃ。行くぞ、堀田殿」
 孤丈はぎらり眼輝かせるが、姿は“まるごと猫かぶり”だったりする訳で。
「はーい! 最後は僕達ですー。どかーんと一発決めるですよー!」

 ドカーン★

「ぎゃっ」
「ふえ? 何か今声がしたですかー?」

 ドカーン★

「げふっ」
「あれれ? 寅吉さんと原田組長が寝てるなのですー。何でしょーね?」
 どすどすどすどす。
“まるごとはにわ”着た小鉄、とりあえず二名程弾き飛ばし、んでもって轢いてみた。へーき、へーき、頑丈だから。
「て‥‥鉄、お前ぇ‥‥」
「あ。原田組長! お化けは禁止されたからやりませんよー。え? 本当ですよー。見てくださいー、ここにちゃんとしまってありますよー」
 足首むんずと掴まれた小鉄はごそごそ背嚢探り愛用のお化け変装道具を取り出して見せた。見せちゃった。
「イーーーーーーーーヤーーーーーーーッ!」
 左之助、白目をむいて逝く(ここではない何処か遠く)

 まるごとぶらざーず。まるごと踊りを披露。
「猫かぶり浪人の称号の真髄、得とご覧あれ〜」
「楽しいでーす!」
「にゃ−、何時もより多く踊っております〜」
「きゃはははははは」
「組織に広めよう、着ぐるみの輪! ‥‥だねぃ」

 どうでもいいが、既に半数くらいの者が小鉄に弾き飛ばされてたり。
「暑くなってきたんだねぃ」
 孤丈、まるごと猫かぶりを脱ぎ捨てて見目鮮やかな赤褌一枚になった。ひらり翻る獲物を前に、生業“猟師”な狩人、小鉄の褌魂に火がついちゃった。
「キラーン★」
 酔いもまわり虚ろだった小鉄の瞳がらんらんと輝く。つーか自分で声も出してるし。
「必殺褌脱がせ人として放っておけないですー! よいではないかーよいではないかー」
「あーーーーれーーー」←ノリノリ
 しゅるるるるる。

「あ、孤丈クン‥‥はじめまして」
 生還した左之助、ないすあんぐるからご挨拶。ってナニに挨拶してんだ。いや、だからナニに‥‥げふげふん。
「ハジメマシテ、ハラダクミチョー」
 孤丈クンも返してるし。っていうかね、恥じらいとかね、そーゆーの‥‥無かったか、そうか。十番隊だしな。うん。

 これでいいのか十番隊! 楽しきゃいいに決まってる。


●おまけ
「マコトお姉さんの占いだよねっ。月の出てる夜はよーく当たるんだよ♪」
 過去・現在・未来――
 未来のカードが示すのは
「不運なめぐり逢い、不幸な結果‥‥永遠の別れ‥‥」
「えっ、ミフちゃん、それ本当デスカッ?! 九良太サンと私が‥‥そんな‥‥」
「ごめんなさいマコトお姉ちゃん‥‥でも占いの結果は嘘じゃないよ。九良太伍長さんってあの人だよね?」
 ミフティアの指差す先、八字の眉の男、太平な表情でむぐむぐと料理を喰らっている。
「ちっがーーーーう! あれは犬吉サンです」
 いえ、寅吉です。
「あれ? 九良太伍長さんじゃなかった? 間違えちゃった‥‥てへ★」


「むにゃむにゃ‥‥目指せ‥猫かぶり隊士‥」