剣の習い〜忘れずにいるために
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■ショートシナリオ
担当:九ヶ谷志保
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:07月23日〜07月28日
リプレイ公開日:2006年07月30日
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●オープニング
がごぉおおおおん!
という、派手な音と共に、見習い神父トマ・デュレーの手に握られた戦闘訓練用の木剣が弾け飛んだ。
「うわったたた! オ、オルド、ちょっと待て待て待てッ!!」
がっちりした体格だが、やや小柄な見習い神父はあたふたと後退した。
「‥‥はい、トマ様」
オルド・イガエスは、振り下ろしかけていた木剣をぴたりと止めた。鬼神の如き荒々しい表情が消え失せ、いつもののほほんとした表情が戻って来る。不思議そうに首を傾げて、トマを見ていた。
「‥‥やはり、トマでも無理ですね」
微かに溜息をついたのは、エルフの見習い神父、アドリアン・ビヨール・デルフュだった。
「仕方ない。オルドは戦いだけを教えられてきた子だからねえ‥‥」
そう応じたのは、この教会を預かる神父、ドニ・セリデ。
この教会で保護されている、元・戦闘奴隷のオルド・イガエスは、神聖騎士を目指し勉強している。
主に勉強しているのは、聖典を読みこなし、教義を理解するための文字の勉強、そして騎士に相応しい立ち居振る舞い。
その一方、元より得意である戦闘技術の方も、鈍らせないようにせなばならない。教義を覚えた頃に、剣の振るい方を忘れていた、というのでは、話にもならない。
が、しかし。
「む、無理ですよ〜、僕は元々、そう戦いに向いてる訳じゃ‥‥」
トマが痺れた腕をぷらぷらさせている。
取り敢えず、数ヶ月程だが冒険者として暮らした事があり、一応の戦闘技術を身に着けている、という理由で、オルドの戦闘訓練を努めたトマ。が、結局、その素質と実力の差を思い知らされる結果に終わった。
他の全てを犠牲にさせられ、戦闘技術のみを磨かされてきたオルドは、とても一般人に毛の生えたレベルで太刀打ち出来る相手ではない。
ドニ神父は、オルドに目をやった。
悲しそうな顔をしている。自分のせいで、良くしてくれる人たちを困らせているのだと、気に病んでいる時の表情。
「オルド。君の持っているその強さは、聖なる母からの君への特別の恩寵だ。それを否定するような事を、決して考えてはいけないよ?」
ドニ神父が静かに、だがきっぱりとそう言うと、オルドははっとしたように顔を上げ、がくがくと頷いた。
僕が強くないせいで、ごめんな、とトマが彼を優しく叩くと、オルドは、とんでもない、というようにぶんぶんと首を振る。
「神父様。やはりこの際、冒険者の皆様にご足労願っては? ジャイアントとの戦闘訓練や模擬戦なら、願ってもない、という腕自慢の方なら、冒険者には大勢いらっしゃるはずです」
いつも明敏なアドリアンが提案する。
「‥‥ふむ。こう度々で申し訳無いが、オルドの為にはそれが最良か」
最近、オルドの噂を聞きつけたのか、資産家や貴族による大口寄付が増え、この教会は、財政的にも多少の余裕が出て来た。冒険者への報酬くらいは何とかなる。
「分かった。アドリアン、依頼内容をまとめておくれ。それが出来あがったら、トマ、オルドを連れて冒険者ギルドへ。本人がいた方が、冒険者の皆様に分かり易いだろうからね」
はい、と言うトマの横で、オルドが嬉しそうに微笑んだ。
以前、冒険者に心の傷を救ってもらって以来、オルドにとって冒険者ギルドは心安らぐ場所の一つだった。
<当教会の保護下にある、ジャイアントの若者の戦闘訓練の相手をして下さる方を募集。
若者の名は、オルド・イガエス、17歳。元・戦闘奴隷で、現在は神聖騎士を目指しております。
腕に自信をお持ちの方、様々な戦闘技術でオルドを鍛えてやって下さい。
なお、依頼期間中の寝食はこちらで責任をお持ちいたします。心よりお待ちしております>
―――依頼主 神父 ドニ・セリデ
「おお、でっかい兄ちゃんの戦闘訓練の相手かぁ〜」
のそのそと、自分の手で依頼書を貼り付けたオルドを見て、誰かが言った。
オルドは、子供のようにうん、と頷く。
「見ての通り、私どもでは、とてもこの子の戦闘訓練の相手は務まりませんので‥‥皆様にご協力いただければ有り難いのですが」
オルドに付き添っていたトマが、冒険者たちに説明し始める。
「‥‥出来るな」
別の冒険者がふと呟く。特に戦いに向いた能力を持つのが装備からも窺える人物。
似たような感想を抱いているらしい者が、さり気なくオルドを窺っている。
一見、のっそりして「巨大な子供」に思えるオルドだが、見る者が見れば、彼の強さは分かる。
ジャイアントの基準からしても突出した体格ばかりではない。微妙な体の運び、仕草から、どれだけ戦いのために自らを磨いて来たのかは一目瞭然だ。
普段のっそりして見えるのは、戦い以外の体の使い方を殆ど知らないからだろう。
だが。
「‥‥戦いしか知らない。それは強みであり‥‥弱みでもあるんだ」
誰かがそう言って、彼の方へと歩いて行った。
●リプレイ本文
教会で出迎えたオルドは、集まった面々の中に見知った顔を見ると、それぞれの名を呼びながらぶんぶんと手を振った。
ラテリカ・ラートベル(ea1641)は跳び跳ねるようにして手を振り、その後ろで、よう、と言うようにカンター・フスク(ea5283)が手を上げる。
ジュヌヴィエーヴ・ガルドン(eb3583)は、彼が元気そうな事に安心したかのように微笑んだ。
「ギルドで、知った名前を見かけて来てみたんだ。元気そうだね」
ジュネイ・ラングフォルド(ea9480)は、そう言って軽く手を振る。いつものように、彼の耳はフードで隠されていた。
「これ、オルド。初対面の方もいらっしゃるのに失礼だろう? 失礼いたしました、皆様。この子がオルド、私はこの教会を預かるドニ・セリデと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
集まった冒険者たちに、ドニ神父が丁寧に礼を取った。オルドが慌てて真似する。
「初めまして‥‥よろしく」
すっと手を差し出したのは、ウリエル・セグンド(ea1662)。
「よ、ろし、く‥‥」
ぎこちなく、だが微笑みながら、オルドが挨拶する。
「話には聞いていたが、いい体格だな。期待できそうだ」
次いで握手を求めたのは、ロックフェラー・シュターゼン(ea3120)。彼自身かなり大柄で筋肉質だが、並の人間の胴体くらいはありそうな、オルドの腕周りには驚く。
「私は、騎士とは何か、という事を、あなたにお教えしたいと思っているんです。ただ強いだけでは、騎士にはなれませんからね」
と切り出したのは、ウォルター・バイエルライン(ea9344)。騎士らしく、力強くオルドの手を握る。
「俺は、戦う事しか教えられん。だが‥‥的確な戦い方が出来ないと、身を滅ぼすだけだ」
ベイン・ヴァル(ea1987)の脳裏にあるのは、ここに来る前カンターに聞いた、彼を襲撃した奴隷商人の追っ手の話だ。
怪我をした時に備えて、神父たちの誰かには必ず側にいてもらうようにし、訓練は開始された。
「まず、全員と軽く剣を交えてみようか。大体の太刀筋が掴めないとな」
というロックフェラーの提案で、剣技指導に当たる四人とオルドが簡単に剣を交える事になったのだが。
木剣が空を切る唸り、そして剣や盾で受け止められる乾いた音が何度も交錯し、大気を震わせる。
こういうものを見慣れていない神父たちは、迫力に目を見張る。
「なるほどな。大体分かった」
実際に剣を交えてみて、そう呟いたのはベイン。
四人とも共通して抱いた感想は。
自分自身を含め「守る」事をまるで念頭に置いていない戦い方だという事だ。
目前にいる者を、自分自身すら痛めつけながら粉砕する、奴隷の戦い。
この戦いでは、いずれ限界に突き当たる。
それは明らかだった。
「皆様。お疲れ様でした」
ひと段落付いて。
ジュヌヴィエーヴが布と、木のコップに湛えた水を差し出した。
オルドは、今まで大概の相手を下してきた自分の剣があまり通用しなかった事に、悔しさより不思議さを感じているようだ。
「皆様。そろそろ昼食でもいかがですか?」
見習い神父のトマが呼びに来る。
元々教会が用意しておいた昼食に加え、アンジェット・デリカがロックフェラーに人数分持たせてくれた弁当を、オルドと集まった冒険者たちは堪能した。
やがて食後の茶が振舞われ、食休みの最中、ふと、ベインが切り出した。
「‥‥なあ、オルド。ちょっといいか?」
オルドが、何? と言うように首を傾ける。
「‥‥カンターからも聞いたが、以前お前たちを襲ったっていう、奴隷商人の追っ手を覚えているか?」
カンターのペットの小妖精を指に止まらせて遊んでいたオルドが、びくっ、と体を震わすのが分かった。
「ベインさん、そのような事を‥‥!」
ジュヌヴィエーヴが珍しく険しい視線を送る。
「いや。怖いだろうが大事な事だ。その手の連中が、そう簡単に諦めるとも思えん」
静かに、ベインはオルドを見る。
顔を強張らせつつ、オルドは声を上げない。
「オルド。そういう連中から身を守るためにも、ちゃんとした戦い方を、身に付けないといけないんだ」
ベインの言葉は妙に穏やかで‥‥そして妙に重い。
オルドの目にまだ恐怖は消えないが、それでもしっかりと頷いた。
が、しかし。
午後の訓練が始まると。
がぁあん!
乾いた音と共に、オルドの大きな手から、木剣が落ちた。
「どうしたんだ、オルド? 集中してないじゃないか」
カンターに咎められ、オルドは身を縮めた。
「オルド。さっきの話、気になってるか?」
心なしかバツが悪そうなベイン。
「ん‥‥ごめ‥‥」
「急に怖い事、思い出してしまったです。オルドさん、責めちゃ可哀想です!」
ラテリカがそう言って、庇うようにオルドに抱きついた。
「仕方ありませんね。これ程集中力を欠いてしまっては」
ウォルターが溜息をつく。騎士道の講義をするつもりだったのだが、これでは頭に入るまい。
結局、その日の訓練は終わりとなった。
翌日。
オルドは再び木剣を持った。
いよいよ、本格的な訓練が始まる。
一番手は、ベイン。
彼がオルドに教えたのは「状況を読む」事。そして手加減も含めた「的確な戦い方」。必ずしも相手を殺害するだけが戦いでないと教える。
戦闘奴隷だった彼は、特殊な状況で戦わされ過ぎたため、周囲の状況を自主的に判断する事が出来なかったのだ。
「お前を追いかけて来たような奴を、もし生け捕る事が出来ていたらと考えてみろ。お前や親友を苦しめていた大元を、捕まえる事が出来たかも知れないんだ」
はっとする、オルド。
「最善を尽くすために、冷静に周囲を見ろ。剣を振るうだけが、戦いじゃない」
そして、二番手はウリエル。
「オルドの剣は‥‥何のために振るう‥‥? 今のじゃ‥‥一人きりの剣だ‥‥」
オルドは水を浴びせられたような表情になる。
何のために、など。一度たりとも考えた事は無い。
俊敏さを生かした剣でオルドを翻弄しながら、彼は続ける。
「恐怖や、怒りに任せた‥‥太刀は‥‥激しくても、それだけ‥‥神聖騎士に‥‥なるんだろう?」
三番手カンターが教えたのは、具体的な技だ。
死角を突く、一般には「バックアタック」と呼ばれる技術。
「前にも言ったろ? 僕は大切なものを守るために戦っている」
オルドの中で、ベイン、ウリエルと順繰りに伝えられて来た事が、具体的な技法を得る事により、何かの断片が組み合わせられるかのように一つの像を結んだようだった。
「うん。太刀筋が変わってきたな。鋭く、隙がなくなった。これなら大丈夫」
「俺との訓練の時には、特別ルールを採用しないか?」
ロックフェラーの唐突な申し出と「特別ルール」がどういう意味か分からなかったオルドは首を傾げる。
彼が提案したルールとは「相手から逃げ切ったら引き分け」というもの。
「オルド、どうしようもなく不利な場合は、逃げてもいいんだ。いや、誰かを守るために、逃げなければならない時だって必ず来る」
逃げても良い。
オルドには衝撃的な一言だったようだ。
訓練が開始されるや否や、容赦ない一撃を繰り出したロックフェラーだったが‥‥オルドが分厚い筋肉でそれを受け止めて前進、避けがたい角度からの一撃を繰り出すと、カウンターでその剣を反らせ、そのまま距離を取った。
更にオルドが進もうとするや。
彼は、何といきなり木剣を投げ付けたのだ。
オルドが唖然と言うに相応しい表情をしている内に。
彼は、脱兎の如く逃げ出した。
「オルドさーん! 捕まえるですよ♪」
ラテリカの声援に、はっとしたようにオルドは彼を追いかけ始めた。
体格の割には足は速かったが、それでもロックフェラーの方が上だ。夢中で追いかけている内に張り出した木の枝に頭をぶつけたりして、結局追い着けない。
「約束通り、引き分けだな!」
息を弾ませて、ロックフェラーが戻って来る。
何だか、妙に嬉しそうに、オルドは頷いた。
昼食を挟んで午後からは、言わば「学問」の時間だ。
講師はウォルター。
「良いですか? 騎士というのは、守るべきものを背負って戦うもの。自分のためだけに戦う者は、どんなに強くても『騎士』ではありません」
オルドに理解出来る言葉を出来る限り選びつつ、ウォルターは「騎士道」を説いた。
しかし。
「名誉」とか「威信」といった抽象概念を交えた講義に進むと、オルドはキョトンとし出す。
「今はまだ‥‥構いません。ただ、後から思い出した時、自分を恥ずかしいと思うような行いを、決してしない。それだけは、肝に銘じておいて下さい」
オルドは、はっきりと頷いた。
三日目に用意されたのは、チーム戦。オルドにとって初めての形式の戦いだ。
まずは、カンターとベイン組、そしてウリエルとロックフェラー組の二手に分かれる。
オルドは、敢えて初対面であるウリエル・ロックフェラー組に入る。彼らのどちらかと組む形だ。
そして。
カンター・ベイン組の背後にはラテリカが、ウリエル・ロックフェラー・オルド組の背後にはジュヌヴィエーヴが、それぞれ守られる位置に。
敵チームにいる彼女らを捕らえる事が出来た方が勝利、というルールである。背後の二人は移動は出来るが魔法や武器は使用出来ない。
「お嫌ですか? こういうやり方は?」
ジュヌヴィエーヴが静かに問うと、オルドはぶんぶん首を振る。
「そんな事、ない。おれ‥‥絶対、ジュヌヴィエーヴ、守る、から!」
今までのオルドに無かった、どこか自信有りげな響き。
まずオルドと組んだのは、ウリエル。
オルドの巨躯と多少の傷は恐れない果敢な攻撃に、ウリエルのスピードを生かした変幻自在な打撃が加わり、非常に攻め辛い。
一方、兎に角隙の無い実力のベイン、防御に特化したカンターの守りは固い。
せめぎ合いが、長い事続いた。
「ウリエル、俺と交代してくれ」
ロックフェラーがウリエルと交代。
リーチの長い訓練用の槍の穂先を自在に使い、カウンターで相手を退ける。ますます攻めがたくなった、のだが。
あっ、と声が上がる。
カンターが一瞬の隙を突き、ジュヌヴィエーヴに迫った。
が。
図太い腕がその行く手を阻む。
カンターは、自分の教えた技で一撃食らい、苦笑と共に奇妙な喜びがこみ上げる。
結局。
勝負は引き分けに終わった。
「僅かな時間なのに、一皮剥けた感じだな、オルドは」
「ああ。教え甲斐のある奴だ」
翌日。
教会の庭でくつろいでいたカンターとベインはそんな会話を交わす。
目の前では、オルドに馬の扱いを教えるべく、ウリエルの愛馬ネグロを使った訓練が行われている。付き添っているのはウリエルの他にはラテリカとジュヌヴィエーヴ。
無論、オルドは体重が重過ぎて普通の馬には騎乗出来ないが、扱いは知らねばならない。
オルドは動物好き、且つ動物にも好かれるタイプらしく、ネグロは怯える事も無くオルドに撫でられている。
「ところで、ジュネイ殿は、一体どこへ?」
見習い神父のアドリアンの姿も見えない、とウォルター。
周囲が騒ぎ出した頃。
教会の入口に、フードを被った姿と、見習い神父の姿。
どこに行っていたのか、という問いに、彼はふふっと笑って答えた。
「神父様たちと、オルドに必要な事を相談してね。教会では習得出来ない、貴族の心得を教えて下さる方のところへお願いに行っていたのさ」
貴族!? と驚いた声が上がる。
「最近、出資して下さるようになった方が、近所に住んでいらしてね。最初にオルドが保護された場所の、元領主様なんだそうだ」
今は領地を息子に任せて、パリの別邸で言わば「隠居暮らし」の元子爵だが、オルドが近くの教会に保護されていると知らされると、即座に経済的援助を申し出た。
ジュネイがアドリアンと共に出向き、オルドに騎士としての作法を教授してやって欲しい旨を申し出ると、快諾してくれたのだ。
何時の間にかそこまで話を進めていたジュネイに、一同唖然。
オルドは、一体何が起こったのか理解出来ずきょとんとしている。
「あ、あの、ジュ、ネイ‥‥あり、がと‥‥」
アドリアンに分かるように説明してもらったオルドは、事態の進展が信じられない様子で礼を言った。
「別に僕のお陰って訳でもないさ。どっちかって言うと、君の人徳かな?」
閃くようにジュネイが笑う。
やっぱり神聖騎士だと、オルドは思ったようだった。
最終日。
別れ際に、カンターがオルドに手渡したもの。
「貴族に行儀見習いに上がるには、必要だろ?」
以前に採寸してやっていた、オルドのための礼服だった。彼はそれをぎゅっと抱き締めて礼を言う。
剣を交えた四人は、それぞれに、オルドとの戦いの面白さを褒め称えながら、別れの握手を交わす。
実際、砂地に水を吸わせたように、彼らの教えを見る間に吸収していったオルドとの戦闘訓練は、百戦錬磨の彼らにとっても興味深いものであったようだ。
「オルドさん、変わったって、ラテリカは思うです。オルドさんの剣は、もう一人ぼっちの剣じゃなくて、誰かを守れる剣です♪」
誰かを守ろうとする事で、戦い方の厚みが増したオルドの剣を、ラテリカはちゃんと見抜いていたのだ。
参加してくれた全員に、感謝の言葉を述べて大きな手で握手するオルドを見、ジュヌヴィエーヴは独り言のように囁く。
「オルドさん。傷付く事の、傷付ける事の痛みを知る貴方なら‥‥きっと誰よりも他人を思いやれる、立派な騎士になれますよ」