その言葉を乗せて飛ぶもの
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■ショートシナリオ
担当:九ヶ谷志保
対応レベル:フリーlv
難易度:易しい
成功報酬:0 G 78 C
参加人数:8人
サポート参加人数:3人
冒険期間:08月20日〜08月25日
リプレイ公開日:2006年08月28日
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●オープニング
ガリガリ‥‥という、木の板に白墨が擦れる音が、教会の読書室に響いていた。
「‥‥ほら、ここ。eが抜けてるだろ?」
「う‥‥ご、めん、なさい‥‥」
たった今、木の板に描かれた文字列を見て、間違いを指摘したのはエルフの見習い神父アドリアン・ビヨール・デルフュだった。
その目の前で大きな体を縮めているのは、ジャイアントのオルド・イガエス。
つい数ヶ月前まで、闘技奴隷として家畜のような生活を強要されていた彼は、およそ文化的、学問的な事柄について、ごく基礎的な事柄すら欠如している有様だ。
まして。
文字を書く――それも、聖典に登場するような、高度な神学概念を表す文言を書くなど、彼の手には負えない超難題である。
「‥‥アドリアン。ちょっといいかな?」
読書室の入口で彼を呼び出したのは、もう一人の見習い神父、トマ・デュレー。こちらは人間だ。
「‥‥なあ、アドリアン。決して君のやり方にケチを付けようというのではないんだが‥‥」
トマはいささか言いにくそうだ。
「だけど、今のやり方は、あんまりオルドに合ってないんじゃないかと思うんだ。あれじゃ、オルドはいつまで経っても文字を覚える事なんて出来ない」
まして‥‥
それを自在に使いこなし、自分の考え、言いたい事を文字に乗せて誰かに届けるなど、とトマ。
「君みたいに生まれつき学問に向いている人なら兎も角‥‥オルドは、ほんの少し前まで世の中に『文字』なんてものがある事さえ知らなかったんだよ?」
もう少し、あの子に合ったやり方を考えてやってくれないか? トマは頼み込む。
同格の見習い神父にそう言われ、アドリアンは頷かざるを得ない。
オルドに全く理解も出来ない、込み入った抽象概念を言われるがまま繰り返させても、それはオルドにとって何の意味も持たない床の染みと変わりないのだ。
例え――それが、どれだけ聖なる言葉と概念であったとしても。
「しかし‥‥どうしたら良いんだろうな‥‥」
アドリアンは頭を抱えた。
学者の家系に生まれ、物心付いた頃には読書をしていたような彼には、オルドのような者の「理解の仕方」が分からない。
「‥‥僕なりにちょっと考えたんだが」
トマが持ち出したのは、オルドがこの教会に来て間も無くの事。
「ほら、オルドが、神聖騎士になるたるつもりだって、お世話になった人たちに手紙を出した事があっただろう?」
ああ、とアドリアンは思い出した。
その「手紙」の下書きをしてやったのは、まさしくアドリアン。
「あの時みたいに、オルドに『手紙』を書いてもらうんだ。ただし、今度は君の下書きは無し。オルドの方から尋ねて来たら、初めてその文字を教えるんだ」
オルドに、自分の胸から出た素直な言葉を文字として書かせる。
そうやって覚えた言葉を、文字を、彼は決して忘れないと思うけどね?
トマはそう提案した。
「‥‥なるほど」
そうだ。
あの手紙の下書きをしたのは自分だったはずなのに‥‥何で気付こうともしなかったのだろう?
「でも、手紙と言っても‥‥誰に向けて?」
今更、君や僕や、或いはドニ神父様にかい? とアドリアンは戸惑い気味だ。
「その事も考えたんだ。ほら、あの子は冒険者の皆様が好きじゃないか。だから、冒険者ギルドに依頼を出すのさ」
「‥‥? どういう事なんだ?」
さしものアドリアンも意味が分からず。
「うちのオルドに向けて、手紙を出して下さい、と頼むのさ。無論、あの子が理解出来るような内容の手紙をね」
どんな事でも良い。
初対面なら、挨拶や自己紹介でも。
或いは、自分の好きなもの、オルドに聞きたい事。
以前に会った事のある者なら、それについての思い出話でも。
「オルドは真面目だろ? 手紙をもらったら、絶対に返事を書こうとするはずだ」
一生懸命、どんなに時間がかかってもね、とトマは自信ありげだ。
なるほど、とアドリアンは手を打った。
素晴らしい考えだ。
しかし。
「でも、その手紙そのものは? シフール便で出すのか?」
なかなか大変だな、とアドリアンは流石に心配だ。
「その点もね、考えてみたんだが‥‥」
耳打ちされた内容に、アドリアンは呆気に取られた。
翌日。
冒険者ギルドに張り出されたのは。
<我が教会で保護している、オルド・イガエスに手紙を書いてやって下さい。
オルドは17歳の少年で、種族はジャイアント。現在、神聖騎士見習いを目指して勉強しております。
しかし、彼は数ヶ月前まで戦闘奴隷として非人間的な生活を強いられていたため、文字の習得に著しい困難があります。
そこで、文字の勉強の一環として、皆様からいただいた手紙に返事を出す、という形の訓練を行いたいと思います。
依頼期間中は、教会においで下さっても構いませんし、ご自宅や定宿等にいらして下さっても結構です。
夢を抱く少年に、是非皆様のお力をお貸し下さい>
―――依頼人 神父見習い アドリアン・ビヨール・デルフュ
「‥‥依頼は、分かった。けど、何でお前らがいるんだよ?」
依頼人である、エルフの見習い神父と一緒にいるシフール二人組を見た冒険者が、呆れたように呟いた。
「前に教会にお世話になったにょ。だから手紙くらい、運んであげるにょ」
そう言った青いシフールは、ヴァッキャール兄妹の妹、ニョニョ。
「手紙、運んだらお駄賃くれるにゃー」
と、考えた様子も無くのたまった赤いのは、兄のニャレール。
「えー、同じ建物にいらっしゃる場合もありますので、本物のシフール便の皆様のお手を煩わすのもどうかと‥‥」
とアドリアン本人が言った。
ほんのちょっと引きつり気味なのは、見なかった事にしてあげるべき‥‥であろう。
「手紙を書く場合の、羊皮紙やペン、インクなどは、こちらでお渡しいたしますので」
こういう物を提供して下さる支援者がおられますので、とアドリアン。
「具体的には‥‥そうですね、5〜6歳の少年に理解出来る内容と書き方でお願いいたします」
「‥‥なるほど。文字を覚えさせるのに手紙を書かせる、か」
上手い手だな、と誰かが言った。
「高尚な神学概念より先に、まず自分の内から出た素直な言葉を。言葉ってのは、本来そうでなきゃ、な」
●リプレイ本文
「ジュヌヴィエーヴ! カンター! ジュネイ!」
教会では、オルドが大好きな人たちに会えた時にいつもそうするように、大きな手をぶんぶん振った。
「こんにちは、オルドさん」
ジュヌヴィエーヴ・ガルドン(eb3583)は、オルドの保護されている教会へ直接出向いていた。
「折角だから手紙だけじゃなく、料理もご馳走しようと思ってね」
とカンター・フスク(ea5283)。
「元気そうだね、オルド。‥‥神父様、並びに皆様、教会に滞在する事を許していただき、ありがとうございます」
ジュネイ・ラングフォルド(ea9480)は、オルドの様子を確かめた後、ドニ神父と見習いのアドリアン、トマに丁寧に挨拶した。
彼ら以外の五人の冒険者は、それぞれの棲家で手紙をしたため、ヴァッキャール兄妹が来たら託す手筈になっていた。
まず、兄妹が押しかけたのは。
「さ、どうぞですよ〜♪」
親切にも、ラテリカ・ラートベル(ea1641)が出してくれたイチジクや葡萄にむしゃぶりつくヴァッキャール兄妹。最早、本来は何しに来たのか、忘れている。
食べるだけ食べて、果汁まみれの兄妹をごーしごーしと拭いてやる。にょっ、にゃっ、と何だか嬉しそうな兄妹だった。
ペニーロイヤル・ミントと野の花を編んだリースも手紙と一緒に託され、兄妹はパタパタと教会へ。
次いで兄妹がやってきたのは、ベイン・ヴァル(ea1987)の棲家だった。
オルドほどではないにせよ、ベインもまた決して学問が得意な方ではない。が、それでも面倒がらずに彼は手紙をしたためた。自らの体験を踏まえた、簡素な言葉で。
彼の、ちょっと正体不明な(?)ペットと戯れていた兄妹に、紐で括った羊皮紙を手渡す。
手紙より、ペットに夢中の兄妹に、本当にちゃんと届けるんだろうな、お前ら? という不安に苛まれる、ベインであった。
「おっ、ここにもミントにょミントにょ!」
「いい匂いにゃー」
ユリゼ・ファルアート(ea3502)の棲家に飛んで来た兄妹は、彼女が森の泉の側で摘んで来たミントをお裾分けしてもらってご満悦だ。葉っぱを齧ってみたりする。
「ハーブティーにすると、すっきりして暑さを忘れるの。お手紙と一緒に届けてね?」
手紙とミントを分担して持ち、兄妹は再び教会へ。
兄妹が、教会に戻った時。
妙な先客が、そこにいた。
オルドとカンター、ジュヌヴィエーヴ、ジュネイが、教会の前庭で、幼さが残る少女を取り囲んでいる。
「あのな、お姉ちゃんの真似して冒険に出たら、迷ったみたいなんや」
不安げに首を傾げているのは、まだ幼さを残した少女。見た目から判断するに、ジャパン系らしい。
城戸烽火(ea5601)と、少女は名乗った。
オルドは、烽火に心底同情したようだ。奴隷商人から逃れて、右も左も分からない場所を逃げ回った記憶が甦っているのか。
結局、神父たちに話があるらしいジュネイを残し、オルドとカンター、ジュヌヴィエーヴが、町へと向かった。
オルドが肩に烽火を乗せ、冒険者街の人ごみの中から彼女の「姉さん」を探しつつ、宿へ向かったのだが。
「良かった。噂どおり、優しい方ですね」
少女と言うべき年齢だったはずの烽火が、突如、二十歳くらいの成人女性に変わった――戻った、と言うべきか――のを見て、オルドばかりか、ジュヌヴィエーヴもカンターも唖然としている。
今度は仲間としてお会いしましょう、という言葉を残し、ジャパンの忍者は姿を消した。
「‥‥そうですか、お留守なんですね」
友人であるウリエル・セグンドの手紙を預かり、自らも教会付近の絵を添えた丁寧な手紙を携えてやって来たミカエル・テルセーロ(ea1674)は、オルドが迷子を連れて街へ行ったと聞いて、ちょっと残念そうだった。
ウィザードにして代書人という生業を持つ彼は、教育に関する心得もあり、文字を大き目にした学習の手本に向いた手紙を用意した、のだが。
「では、帰って来たらこちらを渡して下さい」
綺麗な紐を掛けた手紙を二通、ヴァッキャール兄妹に手渡した。
「オルド、ちっちゃいのが好きにゃ。あんたパラの人だから、直接会ったら、絶対喜んだにゃー」
「今度、街中ででっかいのに会ったら、遠慮なくつついてみるにょ!」
にっこり笑って、ミカエルは町へと戻る。その内会えるかな、と思いつつ。
しばらく後。
ようやくオルドは教会の自室に戻り、ジュヌヴィエーヴ、アドリアンに指導されつつ、返事を書き始めた。
「そうですか。今までの訓練は順調なのですね?」
向き合ったドニ神父の言葉に、ジュネイはほっとしたように呟いた。
「神父様。僭越なようですが、もし、よろしければ、オルド君に、通常の訓練や学問以外の事を‥‥息抜きをさせてあげる訳には行きませんか?」
神父は、そう言われるのが分かっていたように頷く。
「ええ。私どもとしても、それを考えていました。学問も戦闘訓練も大事ですが‥‥教会にだけ閉じこもるのは、必ずしもあの子のためになりません」
それにしても、とドニ神父は呟く。
「オルドは幸いな子です。これ程までに気にかけて下さる方々がいる‥‥」
「オルドさん。ちょっといいですか?」
ジュヌヴィエーヴが、ようやく何行かの文字の連なりを書き出したオルドに囁く。
アドリアンは、文字の指南役を引き受けてくれたジュヌヴィエーヴにオルドを任せ、教会の勤めのために席を外していた。
「ねえ、オルドさん。私たちばかりでなく、この教会の方々にも、お手紙を出してみませんか?」
急な提案に、オルドはきょとんとしていたが。
「必要な文字は、私が教えます。驚かせてみませんか?」
満面の笑みで、オルドはうん、と頷いた。
「あんまり、根を詰めるのも駄目なんだ、オルド」
白の教会の教義に反しない程度に抑えてはいるものの、それでもここの普段の食事とは格段に違う味の昼食を提供しつつ、カンターはオルドにそう忠告する。
インクの付いたままの手で顔の汗を拭ったせいで、オルドの顔にはくっきりと黒い筋。
「お昼にしよう。その後、一休みしたら、剣の訓練でもしないか?」
勉強ばっかりで、体を動かさないのも良くないんだ、とカンターが言うと、彼はちょっとほっとしたように、ありがと、と言った。
●ジュヌヴィエーヴ・ガルドンへの返事
「ジュヌヴィエーヴ てがみ、ありがと
ジュヌヴィエーヴ に あえた こと も
セーラ さま が きめて くださった こと だって おもってる
おれ あたま わるい から べんきょう あんまり うま く ない けど
がんばる
おれが もっと つよく て かしこ かったら まえ みたい に
ジュヌヴィエーヴ を あぶない めに あわせ なかった かも しれない
かしこく ないと わるい やつの うそ や ごまかし から
ただしい ことや ともだち を まもれない て しんぷさま にいわれた
おれ もっと つよく かしこく なって ジュヌヴィエーヴ や みんな をまもれる ように なりたい
オルド」
●カンター・フスクへの返事
「カンター てがみ ありがと
ともだち なろう て はっきり いって くれた の ゼロス だけ だった
すごく うれしい
うれしい おもって たら きゅう に なみだ でた ふしぎ
かんたーの りょうり すごく おいしい
おれ たべもの まずい て いうの どういう こと か よく わからない
でも とくに おいしい ておもう のは にく とか チーズ とか
しんぷ さま おれが じゃいあんと で たたかう ように できてる から
にく とか たくさん たべないと
からだ の 『いじ』 が できない いって た
でも かんたー の りょうり たべてる とき おいしくて たたかい わすれてる
カンター おれ のこと つよい いった けど
すこし まえ まで こころ よわむし だった
ともだち ころして しまった
でも にどと そんな ことに ならない ように
カンター こわいめ あった ら たすけられる ように がんばる
オルド」
●ジュネイ・ラングフォルドへの返事
「ジュネイ てがみ ありがと
べんきょう むずかしい けど ジュネイ みたく しんせいきし になりたい から
がんばって べんきょう する
しんぷ さま ジュネイ は 「はーふえるふ」 なのに しんせいきし で
すごい て いってた
おれ 「はーふえるふ」 て せつめい されても よく わからな かった けど
なんにも してない のに いじめられる ことが あるって きいて
すごく しんぱい なった
おれ はやく しんせいきし なって ジュネイ いじめる やつ やっつけよう て おもった
もし いじめ られたら ぜったいに おれ に いって ほしい たのむ
オルド」
●ラテリカ・ラートベルへの返事
「ラテリカ てがみ ありがと
りーす きれいだ いま つくえ の まえ に かざってる
おれ ラテリカ や みんな と あって わらう とか しあわせ とか
ちょっと わかって きた
ラテリカ カンター と いるのが いちばん しあわせ に わらってる おもう
おれ も うれしく なる とき いっぱい できた
みんな に あえた とき や みんな が わらっている とき
おれも しあわせ おもう
りょうり おいしい おもった とき
そら が きれい だった とき とか
たくさん ある かききれ ない くらい
おれ ラテリカ や みんな が もっと しあわせ だって おもえる ように
はやく しんせいきし なる
オルド」
●ベイン・ヴァルへの返事
「ベイン てがみ ありがと
おれ げんき
ベイン の いう 『あくま』 の こと きいた こと ある
すこし まえに しらない ひと きて
しんぷ さま こわい かお で はなし てた
すごく わるい やつら で とても ひどい こと する いってた
ベイン たたかった すごいな
おれ あたま わるい から あくま だまされる かも しれない
ベイン みたいに つよく て あくまの こと しってる ないと あぶない
しんぷ さま いってた
あくま もし でたら いっしょ に たたかって ほしい たのむ
オルド」
●ミカエル・テルセーロへの返事
「はじめ まして ミカエル
おれ オルド いう てがみ ありがと
せっかく きて くれたのに あえなくて ごめん
ミカエル は もじ だけ で なくて え も かける すごいな
きれい とても うれしい
おれ すこし まえ まで 『どれいしょうにん』 て いう の ところに いた
もじ ある わかった の ちょっと まえ
なかなか わからない けど すこし だけ わかった
がんばって ミカエル みたい に もじ かけて
え も かける やって みたい
オルド」
●ウリエル・セグンドへの返事
「ウリエル てがみ ありがと
ウリエル の こと おれ おぼえ てる
ネグロ の こと も
ウリエル にがて いう けど おれ もっと にがて
でも がんばって てがみ かける ように なる
オルド」
●ユリゼ・ファルアートへの返事
「はじめ まして ユリゼ
おれ オルド いう てがみ ありがと
みんと ありがと 『みんとてぃー』 に してもらった すごく すっきり した
ユリゼ もり で やくそう とるの しごと すごく すてき おもう
おれ 『どれいしょうにん』 のとこ から にげた とき
もり の なか に かくれて いた
けど こわくて あんまり もり みれな かった
おれ みどり の しょくぶつ みんな すきだ
まえ くらい ところ に ずっと とじこめられ て いた から
はっぱ とか はな とか ぜんぶ うれしい
しんぷ さま ちかい うちに もり いって みないか いってた
もし もり で ユリゼ に あえたら アーモンド なでて みたい
オルド」
●城戸 烽火への返事
「はじめまして じゃなくて こんいちは のろし
てがみ ありがと
おれ さっきの あれ びっくり した おもしろ かった
ジュヌヴィエーヴ に きいたら
とおい 『じゃぱん』 て くに の 『にんじゅつ』 だって
むずかしい こと わからなかった けど
『にんじゃ』 て たいへん だって きいた
そんな きびしい ところ で がんばって いる のろし は すごい おもう
おれ もっと あたま よく なったら じゃぱん にも いって みたい
もし また のろし に あえたら うれしい
オルド」
●おまけ
ジュヌヴィエーヴの勧めで、オルドはこっそりと教会の三人、ドニ神父、見習いのアドリアンにトマにも、日頃の感謝を綴った手紙を書いたのだが‥‥。
三人それぞれ、人目のない場所でそっと感動の涙を流した、というのは、彼らそれぞれの秘密である。