【駆け抜けろ】ドレスタット2歳新馬戦〜
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:4〜8lv
難易度:普通
成功報酬:5
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:05月08日〜05月13日
リプレイ公開日:2005年05月13日
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●オープニング
──事件の冒頭
「さて・・・・新しい馬達の血筋、そろそろ良き馬は育った頃でしょう‥‥トレーニングセンターからのシフール便で、レースに出られる馬が揃ったそうです‥‥」
そこはとある建物。
看板には『ドレスタット競馬協会』の名前が掲げられている。
カイゼル卿以下6名の馬好き貴族達によって設立されたその協会には、6つの厩舎が現在登録されている。
そこの責任者となった『オクァベ氏』が、ドレッタット競馬実行委員会の席でそう宣言した。
「ほほう。名馬と言われた『沈黙のサンデー』『レディダイナ』以降、本当の意味での良き馬とは出会えませんでしたから、愉しみですね‥‥」
そう告げた協会員が、外を駆けていく馬をじっと見つめている。
「本当に良き馬‥‥『静かなるスズカ』はそういう意味では、まさに最高の素材でしたのに‥‥」
「その『静かなるスズカ』の兄弟もデビューし、さらに良き馬は集っています。期待しましょう皆さん!!」
──ということで冒険者ギルド
「これはいつもお世話になっています。協会からの依頼ということは、ドレスタット競馬の次のレースですか?」
新米受付の兄さんが、楽しそうにそう問い掛けた。
「はい。今回はトレセン(トレーニングセンター)からやってきたばかりの新馬達です。馬達にとってのデビュー戦。張り切ってお願いしますね!!」
「判りました。とびっきりの騎手を揃えてみせます‥‥」
そのままギルドマスターの了承印を受けると、受付の兄さんは依頼を掲示板に張付けた。
●リプレイ本文
●はじまりますよっ!!
──ドレスタット・新馬戦
春疾風の吹く特設コース。
今年も各厩舎より選ばれた良い馬が揃い、初めてのレースを今か今かと待ちわびている。
今回のレースは『ドレスタット特別・春新馬戦』
距離1600mの楕円形コース。
既に慣れた騎手ならばおなじみのコース。
だが、馬達は初めてのコース。
一体どんなレース展開になることやら‥‥。
──オークサー厩舎
「これが『皇帝・ルドルフ』ですかぁ」
瞳をキラキラさせつつ、アルト・エスペランサ(ea3203)がそう告げた。
「ええ。基礎調教は全て終っています。あとはお願いしますね」
そう告げる厩務員に、アルトは質問開始。
「この馬の長所は?」
「はっはっはっ。まだ判りませんよ。これが初めてのレースです。どこまでできるのか愉しみですから」
「気性はどうですか?」
「そこそこに。まあ、仕上がりの早い馬でしたから、いい線いくとおもいますよ。名馬っていうのは、実は結構仕上がりの早い事があるんです‥‥」
その厩務員の言葉に希望を見出すと、アルトは早速調教を開始した。
馬具の調整から始まり、『皇帝・ルドルフ』に負担をかけない騎乗方法を模索。
同厩舎の馬と併せ馬で走らせ、どういった状況で走らすのがもっとも良いかの確認。
ご飯の準備は進んで行い、ブラッシングなどのスキンシップを重視してかいがいしくお世話するアルト。
「頑張ろうね、『皇帝・ルドルフ』‥‥」
その馬を大切に思いやる気持ちが、本番ではどう出るか‥‥。
──アロマ厩舎
「ええ、この馬は面白い馬ですよ‥‥」
そう告げるのは、アロマ厩舎の厩務員達。
バニス・グレイ(ea4815)は今回の担当馬である『激情のトップガン』について、色々と厩務員に訪ねていたところである。
「面白い? どういう事だ?」
そう問い返すバニス。
「さっきの『どんな走りをするのか?』っていう質問には、それしか答えようがないんですよ。実にいい馬ですよ。騎手の気持ちを感じ取るって言うんですかねぇ‥‥素直で、しかも毛色と面構えもいい。美形ですよ!!」
さて、困った。
そうなると、どんな調教をして良いか困ってしまうバニス。
そこで方針を一つに絞る。
素直で騎手の気持ちをくみとる馬ならば、兎に角一緒に走ることにした。
ダートでの走りこみ、調教が終った後のブラッシング。
一緒に生活することで、少しでも気持ちを近づけようと思ったのである。
「無理はしない。完走することが目標だな‥‥」
──オロッパス厩舎
「芦毛の良馬ですか」
ハァ‥‥と溜め息を付き、セイロム・デイバック(ea5564)がそう告げる。
正直、綺麗な馬だなとセイロムは思った。
「ええ。芦毛には良い馬はあまりいないというのが定説なんですけれどね。こいつはいい走りをみせますよ。はっきり判る先行追い上げ型、他人の目にもはっきりと判ります。けれど、そのまま追い上げて逃げきれる馬だと自負しています。追いになってもその鬼脚がありますから」
厩務員の自信満々の説明に、ただひたすら耳を傾けるセイロム。
「では、調教にはいります!!」
あとはひたすら調教。
今回はすでに資質が判って居る馬。
ならば、前回は負けてしまった直線での競り合い、そこを重点的に鍛えることにした。
──ドドドドドドドドトッ
「力強い走り。それでいて疲れを知らない‥‥これは凄い馬だ!!」
セイロム、その走りに何かの確信を得た模様。
今回のレースはいけるか?
──ディービー厩舎
「うーーーん」
久しぶりの厩舎。
厩務員に挨拶を行ったのち、ガレット・ヴィルルノワ(ea5804)は早速厩務員に連れられて『斬新・ユニバース』に挨拶に向かった。
そして挨拶を行なった後、ゆっくりとブラッシングをしつつ、体調を調べていたのだが‥‥。
「この子はちょっと脚モトが弱い、かな」
「ははは。よく判りますねぇ」
にぃっと笑いつつそう告げる厩務員。
「新馬だよね? その割には無駄に肉もないし‥‥走りなれているっていう感じもするけれど?」
「その通りです。新馬なんですけれど、トレセンでの基礎調教の時点ではこの馬はダントツに強かったのですよ。短距離では‥‥」
やっぱりと思いつつ、手入れを続けるガレット。
「なら、調教方針は決まったねっ!!」
そう告げると、早速その為の準備を厩務員に頼み込む。
彼女の愛馬『ボナパルト』併せ。
ウッドチップを引いたコースを造り、坂路も少し組み込む。
レースではラストの直線で脚が止まる事がないようにとの配慮。
とにかく、折角の優等生馬であるならば、その能力を存分に引出して上げたいと、ガレットは頑張った。
──カイゼル厩舎
「‥‥あれ?」
厩務員は、静かにハーブティーをすすっている調教騎手の姿を見て頭を捻った。
「あれって‥‥私がここに居ては駄目ですか?」
「いえ、そういう事ではなくて‥‥『伝説のマーベラス』のレースはもうすぐですけれど、今回は貴方が乗るのですか?」
「いえ、今回は棄権だそうですよ。私が乗るのはフェアではないですから」
そう告げると、再びハーブティーをズズズとすすっている調教騎手。
「絶対彼女が来ると思っていたんですけれどねぇ‥‥今回はお前のデビューは見送りか‥‥」
そう呟きつつ、『斬新・ユニバース』の飼葉桶に飼葉をいれる厩務員であったとさ。
──マイリー厩舎
「また今回もお世話になります」
相変わらず厩舎に来ると瞳がキラキラと輝いているのはシルフィーナ・ベルンシュタイン(ea8216)。
「こちらこそ宜しくお願いしますね。今回は新馬ですので、このレースが肝心です。デビューレースを取るという事は、ある意味重要ですからね」
そう告げると、厩務員はシルフィーナを『不思議なモーション』の元に案内した。
「随分と素軽い(すがるい)馬ですねぇ!!」
それがシルフィーナの最初の感想であった。
挨拶を終えた後、軽くギャロップでコースを駆けてみた感触は、実にグット。
「牝の鹿毛。それでいてその走り。あとの調教は任せますので‥‥」
満足そうな表情でそう告げると、厩務員はシルフィーナに頭を下げて其の場を立ち去った。
今回は愛馬となった『シルフィード』との併せ、砂場や木屑の上を走らせての足腰の強化。 そして坂路や水泳など行ない、心肺の強化をしていくシルフィーナ。
「今回は気持ちのいい走りをしようね!!」
●マンシュウの『ボクに聞けっ!!』〜
──コース横特設会場
「ドレッスタット競馬ファンの皆さんご無沙汰しています。『予想屋の郷原万太郎』こと『マンシュウ』の『ボクに聞けっ!!』です。今回のレース、注目は『不思議なモーション』。仕上がりも上々、なによりも厩舎が気合をいれています!! そして残念なのが、『伝説のマーベラス』。今回は出走取り消しとなってしまいました」
ビシッと掲示板に張付けられているデータを指差すマンシュウ。
「そして今回もっとも勝利に近いのがこの2頭。『不思議なモーション』と『贖罪のタマモ』。それでは賭札は隣の売店で販売していますので急いで購入してくださいっ!!」
──パーラパーパラパパーー
笛の音が響く。
各馬一斉にスタートラインに到着。
やがて笛の音が最高に達したとき、スタータと呼ばれる人がスタートライン横に着き旗を掲げる。
そして音が静かになっていき、消えた瞬間に旗が一気に振り下ろされた。
「それではっ。よーーーい、すたーーーとっ!!」
各馬一斉にスタートしました。
まずは大内から『皇帝・ルドルフ』がトップ。そして『斬新・ユニバース』『不思議なモーション』『激情のトップガン』『贖罪のタマモ』と大外に続きます。
『皇帝・ルドルフ』と『贖罪のタマモ』との差は1馬身、かなりスローペースでの混戦が予測されます。
「この位置をキープするの? ならそれに従うだけだねっ!!」
『皇帝・ルドルフ』の思うままに。
アルトはそのまま、ほぼ馬なりに近い走りを見せる。
「位置的にはOK。あとはタイミングだね!!」
ガレットも思った場所に着いて満足の模様。
そして後方では、バニスもまた馬なりで、静かに走っている。
「‥‥落ち着いた走りだ‥‥」
今のところは満足の模様。
さらに後方では、静かに時を待っている
残り1200m
順位に変動なし
残り800m
順位に変動なし
残り400m
順位に変動あり
最終コーナーまがり、いよいよ直線。
「ここでいかせて貰う!!」
ビシッと鞭をいれるバニス。
と、突然グン!! と『激情のトップガン』が加速開始。
「そろそろいくよっ!!」
ガレットもまた体重をずらし、身体を鎮める。
手綱さばきで『斬新・ユニバース』の頭を下げると、『斬新・ユニバース』も加速していった。
そして『皇帝・ルドルフ』を抜き去りトップにでる。
「皆さん同じですか‥‥ですが!!」
シルフィーナも最終直線にかけていた。
その末脚の強さで一気に『皇帝・ルドルフ』を抜き去ると、そのまま『斬新・ユニバース』と並んでトップ争いに参加。
「むぅ‥‥」
加速がそれ以上伸びない『激情のトップガン』。
そして‥‥。
残り300m
さらに順位変動。
「そろそろいくよっ!! 『贖罪のタマモ』、その鬼脚を見せてやるんだっ!!」
大外からビシッと鞭をいれて『贖罪のタマモ』が加速開始。
ぐんぐんと加速していくと、そのまま『激情のトップガン』、『斬新・ユニバース』を抜き去り上位に食い込む。
「ここから仕掛けてくるの!!」
抜き去られたガレットは驚愕する。
そして同じく、300mから加速した『皇帝・ルドルフ』をも抜き去ると、ついにトップの『不思議なモーション』をターゲットオン!!
──そして
「ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉるっ」
トップはゴール直前で前に出た『贖罪のタマモ』。デビューを勝利で飾ったぁ!!
そして二着は鼻差で『不思議なモーション』。シルフィーナ、またしても栄冠を手に出来ないっ!!
1着:『贖罪のタマモ』
2着:『不思議なモーション』
3着:『皇帝・ルドルフ』
4着:『斬新・ユニバース』
5着:『激情のトップガン』
着外:『伝説のマーベラス』
歓声の中、セイロムとシルフィーナはゆっくりとウィニングラン。
「もうカマせ犬とは呼ばせないです!!」
最高の気分でコースを走るセイロム。
その後ろでは、シルフィーナがさらに次のレースを射程に捕らえていた。
「次‥‥次こは絶対に!!」
おお、シルフィードがさらに燃えている!!