●リプレイ本文
●と言うことで〜やつてきました江戸村〜
──しかも奉納祭ギリギリだし
チュンチュンチュンチュン♪〜
朝。
早朝間もなく到着したのは御存知『江戸村定期馬車』。
実際はそんなものは存在せず、ただ江戸村を往復する商人の馬車に便乗してやってきただけ。
取り合えず積み荷を降ろし、最後に自分の荷物も降ろした一行。
朝靄の中、新鮮な空気を胸一杯に吸い込むと、気合をいれる!!
「待ちに待った時が来た! 多くの妄想が無駄でなかった証の為に! 再び武器マニアの理想を掲げる為に! 必殺技披露の為に! 江戸村よ! 私は帰って来た!!」
出たな『ノルマンの悪夢』。
そう叫ぶのはミリランシェル・ガブリエル(ea1782)。
「クンクン‥‥いらっしゃいだワン!!」
と、毎回恒例、お出迎えのわんドシ君が一行を出迎えてくれた。
「これを渡して欲しいと頼まれましたわ‥‥」
そう言いつつ、40cm四方の木箱をわんドシ君に手渡すのは九紋竜桃化(ea8553)。
──キラーン
「‥‥ありがとうだワン」
そう告げつつ、わんドシ君はそれを素早く床に置くと、上蓋を脚で踏んづけて固定。
──ニャ!!
なにか悲鳴のようなものが聞こえるが、わんドシ君はお構いなしに背中からロープを引出すと、ぐるぐるッと箱をがんじがらめにする。
──ドンドン
箱の中で暴れるのはケイ・メイト(ea4206)。
本来は、わんドシ君に素早く不意打ちを叩き込む為に作った箱。
だが、完全にがんじがらめにされてしまった模様。
「トールギス氏は家で待っているワン!! それでは‥‥」
てくてくとそのまま箱を片手にわんドシ君は川へと向かって歩いていく。
「あけるにゃ、このバカ犬、とっととあけるにゃああああああああ」
哀れケイ。
「不意打ちは無理だワン。このままさようならだワン」
──チャポーーーーン
箱を川にそっと浮かべる。
かなんり出来のよい箱らしく、浸水せずにぷかぷかと浮かんでいる。
やがて流れにノルと、箱は静かに流れていった‥‥。
「覚えているにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
あわれケイ‥‥合掌。
●まずは貴方の必殺技〜ボンバー祭り?〜
──トールギスの鍛冶工房
「武器職人のトールギス様ですわね、常々お会いしたいと思って居りましたわ、此度は念願かなって嬉しく思いますわ」
微笑を浮かべつつ、桃化はそう丁寧に挨拶をする。
「おお、良く来たな。まあ入りなさい」
ニコニコと出迎えてくれたのはトールギス氏。
「お師様、お身体の具合は‥‥」
そう言いつつ、一行に茗(ちゃ)をいれているのは一番弟子のクリエム。
「もう大丈夫だ‥‥」
そう告げるトールギスに、ノリア・カサンドラ(ea1558)が静かに話し掛ける。
「何処かお身体を悪くなされたのですか?」
「いや、ちっょと昔の事を思い出して気分がな‥‥もう大丈夫じゃよ。それでは早速教えて貰おうかな?」
そう告げるトールギス。
そして一行は建物の外にでると、ボンバー祭りならぬ必殺技のお披露目会が始まった。
──ノリア
「まあ、私の基本はこれだからねっ☆」
そう告げると、ノリアは今回お手伝いをしてくれるわんドシ君の前に静かに立つ。
「まずはこれ‥‥」
素早くわんドシ君の首を脇下に挟み込むと、ノリアはそのまま後方に倒れこみ、わんドシ君の頭を地面にに叩きつける。
──ドゴォォォォォン
「ノリアボンバー7っ。でんじゃらす・どらいばー・のりあっ‥‥」
フラフラと立上がるわんドシ君。
と後ろを振り向き空を見上げると、なにかを一気に飲み干した。
──ゴクッ
「よし、次くるワン!!」
あ、ドーピングしたな、こいつ。
「さっきので七色のノリアボンバーは完成っと。次は外式だねっ」
その瞬間、ノリアは自分の左腕をわんドシ君の首に後ろから巻き付け、素早く相手の左腕を自分の首の後ろにひっかける。
そこから自分の右手をわんドシ君の褌下に差し入れると、一気に震脚!!
──ダン!!
すかさずわんドシ君を逆さまに持上げた後、垂直に頭から叩きつけたっ。
「最終奥義発動承認っ!!」
リュリュ・アルビレオ(ea4167)がそう叫ぶ!!
「うぉぉぉぉっ。ノリアボンバー外式・シャイニングインパクトォォォォォォォォォォッ」
──グシャッ
あ、嫌な音がする。
「ふむ‥‥打撃系で、しかも投げ専門と。うーむ。難しいのぅ」
ポリポリと頭を掻きつつ、そう告げるトールギス。
──ミリランシェル
「では、次は私が‥‥」
そう告げつつ、近くに置いてある手頃な木の棒を手に取ると、そのままゆっくりと構える。
「わんドシ君‥‥かかっていらっしゃい」
ニィッと笑うミリー。
「ではいくワン!!」
わんドシ君も負け時と近くの棒を脚で蹴り上げると、素早くそれを手に取りブゥンと構える。
そして一気に間合を詰めると、激しく一撃を叩き込むが!!
──ドゴドコッ
ミリーはわんドシ君の一撃を身体で受止めると、そのままカウンターの一撃を叩き込む。
「いい腕ね‥‥でも駄目よ。技名は『無闘陣!』っていうの」
そのまま後方で体勢を整えるわんドシ君。
「次いくワン!!」
「あ、次の技は駄目。あんたじゃ全身バラバラになるわよ!!」
そう告げると、ミリーは近くの岩までゆっくりと移動。
「私の最大の必殺技は、武器が変わったからと言っていささかの威力の衰えもありませんわ‥‥」
そう告げおわった後、ミリーは構えを一切取らずに瞬時に岩に向かって木の棒を叩きこむ!!
──ドゴォッ
棒は砕け、そして岩も亀裂が入る。
「ブラッティー・エンド‥‥って、やっぱり棒じゃあ、威力に負けてくだけ散るわねぇ」
ポイと柄のあたりを放り投げるミリー。
「耐久性と威力、あとは‥‥と」
ミリーがトールギスの元に近づき、なにかを耳打ちする。
「ほう‥‥随分と面白い武器を知っておるな‥‥」
「あら、既存の武器なの?」
「いやいや発想がいいということじゃよ」
──桃化
「さて、私の必殺技は‥‥やっぱりこれですわね」
静かに木刀を構える桃化。
そしてわんドシ君も構えを取ると、そのまま激しい剣戟が始まる。
──バキバキバキバキッ
お互いに一撃が叩き込まれない二人。
と、桃化は一瞬だけ隙を見せる。
──キラーーン
「殺ったワン!!」
激しい一撃を叩き込もうとするわんドシ君。
だが、それを桃化は待っていた。
──ドゴッ
体勢を低く取り、そのまま半歩踏み出してわんドシ君の胴部から肩口に駆けて木刀を薙ぐ。
その切り口が実に鮮やかであり、切りおえた刃の切っ先は天を睨んでいる。
「技名は『昇竜』。龍が昇るように綺麗に切り付けるカウンター技ですわ」
鮮やかなり!!
「ふーむ。流れるような‥‥ふむふむ‥‥」
そのまま桃化もまた、トールギスの元へとむかうと、なにやら耳打ち。
「ははーーーん。なるほどのう‥‥」
あ、桃化の意見が通じた模様。
──フィーナ
「次は私ね」
そう告げて、フィーナ・アクトラス(ea9909)は静かに詠唱を開始した。
「それでは‥‥いきます」
近くに置いてあった小石を掴むと、力一杯振りかぶる。
──ミニョーーーーーーーーーーーン
と、その腕が後方に激しく伸びていくと、そこから全身のバネと反動を使った高速の振りおろしが始まる。
──ブゥン‥‥キラーーーン☆
「リーチの長い腕による遠心力、それで生み出される超高速の投げ技。名付けて『ミミクリーショット・バージョン1』ですわ‥‥」
さらにもう一つのバージョンである『脚を延ばしたミミクリーショット』を披露すると、最後には二つの技の合体技が披露された。
「広いところでしか使えませんが、『フィーナスペシャルショット』ですわっ」
長い腕、そして長い脚の二つによる超高速の投擲技。
瞬間、フィーナは『人間カタパルト』となった。
そしてフィーナもトールギスの耳元でゴニョゴニョ。
「ほう‥‥それは面白いが‥‥使えるのか?」
そのトールギスの問いに、少々不安なフィーナであった。
──そして
「死なすぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
おっと、ケイ復活。
「来たな‥‥だワン」
「川下でお洗濯しているおばあさんに助けてもらったにゃあ!! 『箱入り娘』の称号を受けて、今、必殺の!!」
受けてない受けてない。
その瞬間、トールギスか近くに置いてあった手袋を高々と投げ上げる。
──シャキーーーン
さらに軽量化、さらに伸びた爪。
「生まれ変わった『真・キャットネイルグローブα』だっ!!」
そのまま一気に急降下でチャージ!!
だが。
わんドシ君は再び手元にある棒を構えると、静かにフルスイング。
──カキィィィィィィィィィン
まあ、良い感じで飛んでいきますな‥‥と、飛んでない!!
命中する瞬間、ケイは羽根の角度を付けて急降下、さらにそこからアッパー気味にわんドシ君にきりかかった!!
「‥‥所詮、相容れぬ存在‥‥決着をつけるにゃ‥‥わんドシぃぃぃ!!!!」
──ザシュュュュュッ
激しく切り裂かれるトレードマークの褌。
そして鼻先がゴリッと削れる。
これで2勝2敗。
そのままクルクルと螺旋を書いて着地するケイ。
素早く構えを取ると、わんドシ君に向かって爪を構える。
──ガクッ
お、わんドシ君が膝を付く。
「こ、この技は‥‥」
ゆっくりと立上がると、わんドシ君は静かにケイに向かって右手を差し出す。
「たいしたものだワン!!」
「わんドシ君‥‥判ったにゃ」
爪を格納すると、ケイは静かにわんドシ君と握手。
──ガシッ
と、その瞬間、わんドシ君はいっきにケイの首を後方から抱えこむ。
「その技は!!」
「必殺の!!」
ノリア、そしてリュリュが叫ぶ。
そして一気にわんドシ君は全体住を航法に欠けて、ケイの顔面を後ろの草むらに叩き込んだ!!
『ノリアボンバー7・デンジャラス・ドライバー・ノリア』
全員がそう叫ぶ。
──クチャッ
「ちょっと違うワン‥‥」
そう呟くと、わんドシ君は静かに立上がる。
やがてケイも立上がるが、全身水浸し。
「水たまりにゃぁぁぁぁ‥‥」
──シュッシュッ
再びケイを挑発するわんドシ君。
「こっのぉぉぉぉ、くそ犬にゃぁぁぁぁぁぁぁ」
再び戦いの火蓋はきって落とされた。
──場所は変わって・リュリュ
「‥‥これが技?」
場所はノルマン亭。
一行はそこに到着すると、静かにカウンターに座って食事を取る。
やがてリュリュは『右肩が深紅に塗られたメイド服』を来てくると、静かにトレイで酔狂客相手に戦いを繰り広げる!!
「‥‥ダブルトレイ・ブーーーメランッ!!」
──ゴイーーーーン
シュンシュンと音を立てて飛んでいく2枚のトレイ。
偶然か判らないが、一つは酔狂客に直撃。
「そして必殺!! リュリュ・シャインスパーーーク!!」
大層な名前だが、つまりはウィンドスラッシュ!!
しかも酔狂客ではなく、酔っぱらいの飲んでいる古ワインを破壊した!!
「くぅぅぅっ。折角のただ酒をなにしやがるんでぇ!!」
そう叫ぶ酔狂客。
──ゴキゴキッ
静かに拳を鳴らすノリア。
「そろそろ出番かな‥‥」
そう告げて立上がると、桃化、フィーナ、ミリーも立上がった。
「さぁ真打! 必殺技といえばこの人! ノルマン三女傑、マッスルシスターズの胸がボンバーな方! いわずと知れた殴りクレリック、のーりあー! そしてこの酒場で暴れた貴方は運が悪いっ」
と、闘技場ででも使うようなノリノリの紹介を行うリュリュ。
そして全員が素早く服の方に手を当てると、一気に上着を脱ぎ捨てる。
そしてその下には、あの伝説のメイド服が!!
「伝説の吸血メイド部隊、ら・のるまん参上!!」
お待たせしました、レッドショルダーご一行です。
リュリュ、もうノリノリだなおい。
そのまま店内は場外乱闘(なんだそりゃ)に突入。
「さて‥‥それでは作るとするか‥‥」
そんな喧騒を他所に、トールギス氏は静かに席を立つと、自分の鍛冶工房へと向かっていった。
●完成、武器の実験〜詳しくは、例のアレで〜
ということで、様々な試作型武器が完成し、早速冒険者達の手によって実験を行なってもらったわけですが‥‥。
●そして〜いろんな事がありました〜
全ての武器の実験も終え、トールギスはさらなる実戦用武具の為の研究を開始した。
一行は滞在期間を『のるまん亭住み込みメイド』として契約をする事で3食昼寝付きを約束。
楽しく血祭、もといお祭りを堪能すると、一路パリへと帰還していった。
●エムロードでちょっと〜寄付金受付〜
──シャンゼリゼ
「つまり、あたしはここで寄付金の管理をしていればよいのですね?」
そう目の前の司祭に対して告げているのはノリア。
無事に依頼を終えて戻ってきたノリアを待っていたのは、『ノートルダム大聖堂』からの使いであった。
「ええ。私は毎日、ここに寄付金の回収にやってきますので。貴方は寄付をして頂いた方の名簿と、寄付金をこのスクロールに記していってください」
そう告げつつ、司祭はノリアに鍵つきの箱とスクロールの束を手渡した。
「では、宜しくお願いします」
そう告げると、司祭は静かに其の場を立ちさって行った。
はてさて、色々と忙しいようで。
〜Fin