【シチュエーション】正しい妹?の条件
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:3〜7lv
難易度:やや難
成功報酬:3 G 7 C
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:08月30日〜09月09日
リプレイ公開日:2005年09月08日
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●オープニング
──事件の冒頭
それはとある日の朝。
いつもの冒険者ギルドでは、一人の新米冒険者が受付嬢と話をしていた。
「・・・・えーーっと、つまり、妹を更正してほしいと?」
「ていうか、俺以外の別の異性にも目が向くようにしてほしいんだ‥‥」
切実な訴えをしている青年。
さて、一体どういう事か説明しよう。
──説明
青年の名前はノエル。
そこそこに腕もあり、そこそこに外見も良い。
そつなく色々なことを熟す弓使い戦士として、最近はあちこちの依頼を受けて頑張っているようである。
だが、彼にも一つだけ、悩みがあった。
それは、彼の妹である。
幼いときから、彼の妹『サーリィ』は兄にベタ惚れしている。
どんなときも一緒、遊びに行くときも食事のときも。
そのあまりにも熱熱なアプローチの為、兄には異性の友達ができない。
それどころか、兄が冒険者になった時、サーリィも冒険者に志願、ついには兄と一緒に冒険に行くようになったのである。
「お兄ちゃん大好き☆」
そんな口癖の彼女だから、一緒にチームを組んだ女性に対しては激しく冷たい。
「あーっ、私のお兄ちゃんに付きまとわないでっ!!」
「そこのウィザード、お兄ちゃんから離れなさいよーーっ」
「こらー、そこのクレリックー、お兄ちゃんの傷は私が直すんだからっ」
ここ最近はエスカレートしてしまい、ついには喧嘩まで始める始末。
「駄目よっ。お兄ちゃんは、そのウィザードに騙されているのよっ。絶対にこっちの道が正しいんだからっ!!」
「言ったわねぇぇぇぇぇぇ、この小娘ぇぇぇっ」
──ドタンバタン☆
激しく喧嘩を始める二人。
ついに兄は妹を取り押さえたが、やはり妹の気は収まらないらしい。
「離してお兄ちゃん。そいつはきっと秘密結社の手先なのよっ。離してお兄ちゃん、そいつは殺すのっ。お願いっ。そいつ殺せな‥‥」
いくらキツく言っても、翌日にはけろっとしてしまうサーリィ。
ついには、女性達は自然と彼のチームを離れ、汗臭いマッチョばかりのチームに入ってしまうことになってしまったらしい。
──ということで
「で、この子がその妹ですか?」
いつのまにか、兄と受付嬢の間に入ってきて牽制するサーリィ。
「はは、お願いします‥‥」
そう告げると、兄はそのまま其の場をあとにした。
●リプレイ本文
●ということで〜妹更正してみまショー〜
──パリ郊外
「‥‥」
「それでね。その時のお兄ちゃんったらね、襲いかかってくるオーガを相手に、えいやーーって‥‥」
興奮しつつ、兄の英雄譚を話しているのは今回の依頼人の妹である『サーリィ』。
さて、冒険者一行はどうしているのかというと、まずは今回の依頼の内容である『妹をどうにかしてほしい』という兄のため、まずは郊外にサーリィを連れて移動。
幸いなことに、兄の言いつけで冒険者と共に行動するように言われたらしく、サーリィは静かに一行について行った。
もっとも、冒険者の中に女性がいたりしたなら、さらに大変な事になっていたであろうが。
兎も角、まずは郊外に移動すると、一番手であるアルト・エスペランサ(ea3203)がチャレンジ。
まずは情報収集と言うことで、アルトはサーリィにお兄さんの良い所や二人の思い出を聞いて見た。
そして一行は激しく後悔した。
彼女の口から流れてくるのは、『お前の記憶は一体どうなっているんだ!』とイイたくなるぐらい古い思い出。
すでに話が始まってから8時間が経過している。
それで、ようやく去年までの思い出が終ったところ。
すでにアルト以外のメンバーは焚火を起こし、キャンプ設営の準備を開始していた。
──そして
チュンチュンチュンチュン
焚火の横で、毛布にくるまっているアルトとサーリィ。
深夜までサーリィの話しは続いたらしい。
だが、途中でサーリィが脱落し、その直後にアルトも脱落した模様。
「おい。ハーブティーを入れておいたから、とっとと起きろ」
ドナトゥース・フォーリア(ea3853)がアルトを揺さぶりつつそう呟く。
「う‥‥あ‥‥ドナトゥース‥‥」
「ああ、そうだ。もう大丈夫だ‥‥よく頑張ったな‥‥」
サーリィの話の途中、卓袱台をひっくり返したくなったアルト。
それでも辛抱し、必要な情報を引出したようである。
「彼女のお兄さんは‥‥」
「おお、お兄さんは?」
いつのまにか、他の仲間たちも集っていた。
「どこにでもいる、普通の『優しいお兄さん』でした‥‥ガクッ」
それだけを告げると、アルトが意識を失う。
「ふぅ‥‥取り敢えず移動開始だな」
そう告げると、一行は野営道具を片付けて、二人が起きるのを待ってから移動を開始した。
●それでは〜戦闘講習とオーガ退治〜
──とある森
「そうそう‥‥その調子です。貴方はそれなりの実力をお持ちのようです。それを生かさない手はありません。まずは真剣に打ち込めるものを見つけることが大切です。草原に咲き乱れる花は数あれど、その中でも一つ、誰の目にも止まる花のように存在感を見出すのです‥‥」
場所を変えて森。
ドナトゥースはサーリィに戦闘訓練を行なっていた。
面白いことに、サーリィはドナトゥースから教えられたことを一つ一つ、確実にマスターするために真剣に訓練を行なっていた。
「これが、あの『お兄ちゃんっ娘』のサーリィとはねぇ‥‥」
苦笑するホメロス・フレキ(ea4263)。
「こう考えて見るのは? いままではお兄ちゃん一筋だった為、サーリィは自分のことなどお構いなしだった。けれど、今はお兄ちゃんの言いつけで、私達についてまわっている。それが逆に、いい結果を生んでいるような気がするが?」
ホメロスから間合を離しつつ、そう告げているのはルナリス・ヴァン・ヴェヌス(ea9512)。
間合を離しているのは、男性と触れあうと狂化してしまうかららしい。
ちなみにサーリィ、ルナリスとは普通に会話をしている。敵対意志もなにもなく。
「つまり、このまま様子を見るということですか?」
「ああ。事実、私とは普通に話をしていただろう? 彼女が女性に敵対意志を見せるのは『大切な兄』に触れられたとき。つまり、私の狂化と余り変わらない‥‥」
そう告げると、アリシア・キルケー(eb2805)もパン、と手を叩く。
「それでしたら、この仕事の依頼期間はお兄様もいらっしゃいませんし、彼女にとってもいい時間ということですわ。お兄様以外にも異性は大勢いらっしゃいます。ひょっとしたら、お兄さん以外の異性にも目を向いてくれるとも思いますけれど‥‥」
楽しそうにそう告げるアリシア。
「なら、そこから先は私が引き受けます。ようは、サーリィちゃんの恋愛対象からお兄さんが外れれば良いんですよね? それならきっとサーリィちゃんが『アタラシイセカイ』を知るようになって、恋愛対象となる人がもっともっと増えれば自然とお兄さんへの愛も薄まると思いますの〜」
そうにこやかに下心満載で告げるユナ・クランティ(eb2898)。
「あう‥‥それはそうと、あっちにオーガのキャンプがあったけれど‥‥」
おずおずとドナトゥースに報告するアルト。
「ちょうどいい。サーリィ、貴方の真の力を確認するチャンスです。ここでその実力を確実なものにしてしまえば、貴方の兄も貴方を見る目が変わることでしょう。例えるならば‥‥」
とまあ、いつものような口調で話をするドナトゥースに、サーリィは瞳を輝かせてウンウンと肯く。
ということで臨時ではありますが、オーガキャンプ襲撃チームが結成されまして。
──オーガキャンプにて
「うあ、たたかうよくない、みんなやめるーー」
仮面を被ったチビっこオーガが、サーリィと仲間らしい仮面のオーガと間に割って入る。
「貴方もオーガねっ。貴方を倒すと、私はお兄様に認められるのよっ。私の幸せの為に昇天しなさーーーい!!」
──シュパーーッ
それはドナトゥースから学んだ『シュライクらしき』技。
その一撃で、仮面のオーガ『ギュンター君』のアーマーがざっくりと切り裂かれる。
「うが、ぎゅんたきずつけた、おまえてき」
「うが、てきはたたきつぶす、そうおしえられた」
「ちがう、はなせばわかる、たたかういくない、たたかう、たいせつなひとかなしむ!」
仲間のオーガ達の暴走を必死に食い止めるギュンター君。
「無駄よっ。オーガはその存在事態が悪なのよっ。とっとと地獄にかえりなさーーーい」
──ブゥン
激しくハンマーをふりまわすサーリィ。
その横では、アルトがドナトゥースとどうしたものかと相談中。
「ギュンター君がいるなんて‥‥あうあう‥‥どうしましょうか‥‥」
狼狽するアルトと、同じくオーガと縁のあるドナトゥースが腕を組んで考え中。
「じゃあ、止めるか‥‥」
すっくと立上がるドナトゥーす。
そしてゆっくりとギュンター達の方に近付くと、素早く間に飛込んでサーリィの剣を武器で受止める。
──ガキィィィィン
「そこまでだサーリィ」
「ドナ先生。どうして止めるのですかっ。そいつはオーガなのですよ」
そう叫ぶサーリィに、ドナトゥースがやれやれという表情で口を開く。
「オーガにも良い奴が存在する。今回の戦闘訓練は、それを見切る為のものだ‥‥」
ほんとうか?
「そんなことはありませんわ。だって、オーガなんですわよ」
「‥‥ギュンター君は良いオーガなんだ。以前冒険者ギルドで仕事の依頼をしていたりして、パリの冒険者の中ではそこそこに有名なんだよっ。サーリィのお兄さんも知っている筈なんだ‥‥」
そう告げるアルトに、サーリィは武器を治めてギュンター君に向かって頭を下げる。
「ごめんなさい‥‥」
そんなこんなで戦闘訓練も終了。
●さらには〜美しさは罪?〜
──森の中、オーガキャンプ
「つまり、ギュンター君達はプロスト領のオーガキャンプに戻るところなんだね?」
オズオズと問い掛けているアルトに、ギュンター君は静かに肯く。
そんな二人をよそに、ルナリス、アリシア、ユナの女性陣はサーリィに様々な着替えをさせたり、ちょっとだけ化粧してみたりと楽しそうである。
「いい? 他の女性が仲良くしてても怒っては駄目だよ‥‥可愛く無くなるからね‥‥」
「でもぉ。お兄ちゃんを誘惑する悪い女が‥‥」
ルナリスの優しい忠告にも、口を咎らせてそう呟くサーリィ。
「サーリィさんは、お兄さんを誘惑する女性には厳しいのですね?」
「うん。悪い女は、お兄ちゃんには指一本触れさせないんだから‥‥」
アリシアの言葉に、サーリィがそう告げる。
「実際に、お兄さんが誘惑されたことはあるの?」
今度はユナ。
「いっつもだよ。だって、お兄さんは優しいし、かっこいいし。だから、いつも女性が集ってきて‥‥そんなの許せないんだもん!!」
拳を握って力説するサーリィに、3人は静かに懐いた。
(只のお兄ちゃんっ子とは違うか‥‥)
(慈愛もここまでくると‥‥はぁ‥‥)
(それなら、この私が貴方の知らない世界に‥‥)
そんな事を考えていたものの、次のサーリィの言葉には、絶句。
「だって、あたしとお兄ちゃんは前世から恋人同士なんだもん!! 前世で離れ離れれになっちゃったけれど、また逢う事が出来たんだもん!!」
イタタタ。
そのまま、普通の女の子としての会話も楽しむサーリィ。
そこで女性達がたどり着いた結論。
サーリィは、お兄ちゃんが関らなければ只の冒険者の女の子。
つまり、お兄さんを何とかする必要が‥‥。
●ラストバトル〜お兄さん帰還〜
──郊外
そして最終日。
この日、彼女の兄であるノエルは、依頼で働きに出ていたブドウ畑から帰ってきた。
「あ‥‥お兄ちゃ‥‥」
遠くから歩いてくる兄と、その横を歩いている綺麗な女性。
「あっちゃあ‥‥」
困った事になったとホメロスが頭を抱える。
そしてルナリス達もサーリィを押さえに入るが、ドナトゥース仕込みの体術でサラリと躱わすと、ツカツカとノエルの元に駆け寄っていく。
「ちょっと、お兄ちゃん、その人は誰なのよっ」
「ああ、この人は途中で一緒になった吟遊詩人のヘルメスさんっていうんだ‥‥」
にこにこと告げる兄と、その横で困った表情をしているヘルメス・ペタ胸モード。
「ちょっと、離れなさいよっ‥‥」
無理矢理二人の間に入るサーリィと、それを止める為にユナとアリシアがサーリィの手を掴んでそこから離れようとする。
「ノエルさん、取り敢えずこの場は逃げてください」
アリシアが機転を利かせてそう告げたのだが。
ノエルはヘルメスを連れて其の場を離れようとした為、空気が一気に澱んでいく。
「お兄ちゃん、どいて。その女はきっと悪魔なのよっ。お兄ちゃんを誑かして、魂を盗もうとしているのよっ!!」
そう叫ぶサーリィに、冒険者一行は静かに肯いていた。
(サーリィさん、ホントに悪魔なんですってば‥‥)
まあ、パリ冒険者ギルドで、ヘルメスを知らない奴は余りいないような‥‥いるような‥‥。
(君子危うきに近寄らず‥‥このヘルメスがあのヘルメスなら‥‥)
噂は十分聞いた事がある。
ホメロスは腕を組んでそう考えたが。
その通り。あのヘルメスです。
そしてヘルメスとノエルは丘を駆けおりていく。
「おにいちゃーん。駄目ぇぇぇぇっ」
そう叫ぶサーリィ。
そして一行は、そのままメソメソと泣きつづけるサーリィを連れて、一路パリへと戻っていった。
目的であった『妹を何とかして欲しい』にといては、なんとかなる方向性も見出したし、なによりも、ノエルさえ関らなければ、サーリィは極普通の女の子である事が判ったということで、今回の依頼は幕を閉じるのでありましたとさ‥‥。
〜Fin