●リプレイ本文
●という事で〜ディープロード〜
──シャルトル・プロスト領辺境自治区『ラヴィーヌ』
「ノリアボンバーっ!!」
激しく叫びつつ鉄拳を叩きつける女戦士。
路上では、二人の人物が激しく拳を叩き込みあっている。
プロスト領辺境自治区『ラヴィーヌ』では、ここしばらくの間、こんな光景が日常茶飯事となりつつある。
というのも、ディープロードと名乗る正体不明の人物が、『誰が最強のストリートファイターか』を看板にして、この街でストリートファイトを始めたのである。
最初はちんぴら程度の奴等が参加していたが、徐々に他の領地に噂は広まり、今やかなりの強者までが『ディープロードランキング』に参加していた。
参加方法は実に簡単。
適当な相手を見付けて1対1の戦いを始めるだけ。
運が良ければ、主催者側の用意した『アル・ビートル』と呼ばれるジャッジメントシフールが姿を表わし、戦いの結果を主催者のディープロードに報告する。
その結果、勝者には賞金と上位ランキングへの昇格が告げられるのである。
今や、街のちんぴら程度ではランキング(最低100位)にランクインできないほどに、戦いは大きくなっていた。
───パシィィィッ
拳を打ち鳴らし、勝利の雄叫びを上げる女戦士。
「このあたい、ボンバーマスターのノリア様相手では、あんたていどじゃ前座にもなりはしないわよっ!!」
目の前で転がっている男を蹴飛ばすと、ノリアと名乗った女性は『アル・ビートル』に話し掛ける。
「これであたいのランキングは何位?」
「えーっと‥‥86位です。相手が雑魚ばかりですから‥‥それに‥‥」
そう告げたとき、アル・ビートルはゆっくりと後に下がる。
「それに?」
「貴方が本物のボンバーマスターという証拠はないのですから‥‥ディープロード様から、次の相手に勝てたなら、本物のノリア・カサンドラと認めると‥‥」
そう告げたとき、ノリアはアル・ビートルの胸許をグイッと掴んだ。
「なら、とっとと次の相手を出してもらいましょうか?」
「は‥‥はい‥‥つい先日、この街にやってきたばかりの方で‥‥」
そう告げたとき、一人の女性がノリアの腕を掴み、ぐいっとねじる。
「い、イテテッ‥‥アンタがあいてか?」
そう告げると、ノリアはトン、と後に下がる。
そして静かに構えを取ると、そのまま前方の女性をジッと睨みつける。
濡れるような黒髪。
キリッとした黒い瞳。
タロンの使徒らしく、きちんとした身なりのクレリックの女性が、そこに立っている。
「ふぅ‥‥あんまり関りたくは無かったけれど、聞こえたからね‥‥」
そう告げると、その女性は、静かに拳を構える。
「殴りクレリック・ノリア只今参上!」
──ノリアたん、キターーーーーーーーーーー
この街にやってきて、まずは噂の真意を確かめようとしていたノリア・カサンドラ(ea1558)。
だが、その真意を確かめる前に、いきなりストリートファイトでノリアボンバーの叫び声が聞こえてきた以上、顔(首ではない)を突っ込まないわけには行かなかった。
「え、えーっと‥‥それでは、始めてくださいっ!!」
アル・ビートルの叫びと同時に、偽ノリア・はじっとノリアを睨みつける。
「あんたもその名前を語る‥‥偽も‥‥」
──ブゥン!!
そう告げた時、すでにノリアの姿は視界に存在しない。
いきなり偽ノリアの後方に回りこむと、相手の首を左腕で巻き込む。
そして右手で相手の腰の辺りを掴むと、いきなり大地に向かって震脚!!
──ドン!!
踏込んだ右足を中心に大地に亀裂が走る。
そして一気に偽ノリアを真上に持ち上げると、そのまま逆の足を後方に振り、さらに振り子の如く前方に振り上げつつ、その反動で後に倒れていく。
その結果、偽ノリアは頭から大地に叩き込まれ、そのまま地面に串刺しになった‥‥。
「これが本当のノリアボンバーだよ。技名は『エホバの嘆き』。さてと、この街で何が起こっているのか教えて貰おうかな?」
そう告げると、ノリアはそのまま倒れている偽者を連れて近くの酒場に入っていった。
──その頃のゼルス
人ごみを避けつつ、ゼルス・ウィンディ(ea1661)は町の中を静かに歩いていた。
「このゲームの仕組み‥‥誰も不自然に思わないのでしょうか?」
このディープロードランキングには裏がある。
そう考えたゼルスは、一人その裏を探ろうとしている。
「強い者を競わせるだけなら公に大会でも開けばいいのですし、街中で戦わせる必要などないはずです。必ずそんな事をする意味があるはず‥‥」
そのまま、下位ランカーの戦いを見てまわるゼルス。
必ずといっていいほど、ランカー達の戦いには数名のアル・ビートル(審判兼報告係)が顔を出している。
そのまま審判に気付かれないように、ゼルスは近くの野次馬に声を掛けると、幾つかの質問をしていった。
「ああ、現在のトップは誰か判らないよ。でも2位はジョーヴン・リーっていう拳法家だったな。参加人数? ランカーは100人までだけど、そのランキングに参加しようとしている奴等を入れると、かなりの数になるだろうさ」
「ディープロード? 前に見た事があるね。上位ランカーの戦いには顔を出しているしなぁ」
「まあ、店の中とかで戦いが始まることもあるけれど、ディープロードさんが保障してくれるし、なにより、この街に多くの人が集ってくれたおかげで、店や宿、酒場は繁盛しているみたいだよ。うちも小さいけれど食事処を経営しているから、そこそこには儲けさせてもらっているしねぇ‥‥」
そんな話を聞き出すことが出来た。
「街としては、おおむねこの『ディープロードランキング』を受け入れているのですか‥‥」
パリで言うところの『闘技場近くの酒場は客が入る』理論である。
そしてもっとも知りたかったことであるが、それについては全てのひとから同じ意見を手に入れることが出来た。
ゲーム参加者の中で、いつの間にか街から姿を消している者が頻出していないか?
それには全てがNoと答える。
負けてしまい、街から出ていったものはいるが、人知れずということは無い。
上位ランカーの突然の失踪というのもなく、本当にこの街に『喧嘩をしに』やってきて、そして楽しんでいるという感じである。
「不特定の強者を常に街に呼び続ける必要のある何か‥‥。特定の舞台を用意しないという事は、主催者にとって賭けや観戦が主目的ではない‥‥。精霊魔法や武器の使用は禁止され、ただ『肉体的に優れた者』が必要とされている‥‥。何かの生贄か、実験台でも求めているのでしょうか‥‥?」
そのままゼルスは、暫く同じ様に話を聞いてまわっていた‥‥。
──一方その頃
「100G以上?」
すっ頓狂な声を出しているのはオイフェミア・シルバーブルーメ(ea2816)。
この街に観光としてやってきたのであるが、それだけでは何か物足りない。
いや、まったく物足りない。
本当に物足りない。
と言うことで、噂に聞いたディープロードランキング、恐らくは参加するであろう道中を共にした仲間たちが、いかに兇悪でふるえるほど恐ろしいかを田舎ものどもに知らしめてやろうと思い立った。
そのまま近くの酒場に飛込むと、持っていた道具で宣伝用パンフレットを作成開始。
「彼女の個性は‥‥ここをこうして‥‥と」
サッサッと似顔絵を作成していくオイフェミア。
本物よりいくぶん美形で、筋肉の盛り上がりなど特徴を巧く捉えて描きこんでいく。
さらに各選手の身長・体重・出身地・肩書きなども添えて、いよいよパンフレットは完成。
それをそのまま写本屋まで持っていくと、それを大量に書写して貰おうとしたが。
「ええ。これだけの枚数を短時間となりますと。書写できる人が少ないので、時間もかかりますし。今日中でしたら、そうですねぇ‥‥この枚数で100Gは」
「なら、この枚数なら?」
少しずつ枚数を削りつつ、オイフェミアは価格交渉。
そしてどうにか明日の朝までという条件で、50枚のパンフを書写して貰うことになったのである。
●あちこちでバトル野郎〜下位ランカー戦〜
──とある酒場
「のるまん亭ボンバーーーーーーーーーーーーーーッ」
力一杯叫ぶ声。
そして叩き込まれた左腕。
──ガシッ
だが、その女性ファイターの一撃を、虎のマスクを被った男はあっさりと躱わし、逆にその腕を掴む。
(マスター・オズの話では、ここにかなりのオーラの使い手がいると聞いてきたのだが‥‥)
グラン・バク(ea5229)。
刺青をしている紋章の拳士を探す為に、このディープロードランキングに参加した。
覆面を被り、懐かしの『ティーゲル・セカンド』としてランキングにチャレンジ中である。
対戦相手は元ノルマン江戸村のウェイトレス。
あちこちでストリートファイターをしているという女性ファイターのケイ。
すでにアル・ビートルとの話しもつき、ランカーとしてのチャレンジ権を得ているティーゲル。
ケイは現在11位。
そしてティーゲルはまだノーランカー。
──シュンッ
そのまま素早く腕を離すと、ティーゲルは素早く後ろ回し蹴りをケイに向かって叩き込んだ!!
「そんな大技っ!!」
──ガギィィィィン
飛んでくる脚に向かって、カウンターで同じく回し蹴りを叩き込むケイ。
共に実力は互角。
お互いの決め手を欠いた状態で、再び相対峙する。
「強いねアンタ。どうしてこのランキングに?」
そう問い掛けるケイ。
「‥‥ある人物を探している‥‥」
そう告げると、ティーゲルはグッと拳を握り締める。
その動きに触発され、ケイもまたステップを踏み始める。
「次で決めるから‥‥」
「ああ。上等だ‥‥」
──ガシィィィッ
「のるまん亭ボンバーッ!!」
「虎撃っ!!」
渾身の一撃がお互いを打ちのめす。
両者共にノックダウンするが、立上がったのはティーゲルであった。
「グフッ‥‥ハアハア‥‥」
口から血を吐き出し、息を整えるティーゲル。
「おめでとうございます。ケイさんを倒したので、ティーゲルセカンドさん、貴方がランキング11位にあがりました!!」
そう告げるアル・ビートルに、ティーゲルは静かに肯くと、ただ一言だけ告げた。
「明日‥‥もっと上のランカーを用意しておけ‥‥」
──とある広場
「私は、このノルマンにスナイパー武術を広める為にやってきた‥‥」
無天焔威(ea0073)の前で、その男は静かにそう語った。
「はぁ? なんだよスナイパー武術って?」
頭を捻りつつ、ほーちゃんはそう呟く。
「説明しよう。スナイパー武術とは‥‥」
──ガシッ
フェイントで頭突きを叩き込むほーちゃん。
さらに体勢を崩したスナイパーに向かって、渾身のストレートを叩き込む。
──ドゴォォォッ
その一撃を紙一重で裂けると、スナイパーはトントンとリズムを取りつつ身構える。
「挨拶もさせないとは‥‥いいか、今一度説明しよう。スナイパー武術とは」
──ドッゴォォォォン
さらに一撃を叩き込みにいくほーちゃん。
高速で間合を詰めると、いきなり回し蹴りを叩き込もうとして‥‥。
──ドゴッ
その蹴り脚の膝に向かってカウンターを叩き込まれる!!
「いてててててっ!!」
そのまま後方に下がった刹那、ほーちゃんの顔面にスナイパーの拳が叩き込まれた!!
激しい一撃。
そのままほーちゃんは大地に崩れるが、すぐさま反動を付けて身体を起こす。
「ふーん。これがスナイパー武術ねぇ‥‥」
ペッ、と口から血の塊を吐き出すと、そのまま構えを取るほーちゃん。
そして一人のシフールが飛んでくると、そのまま二人に対してランキング対戦であることを告げた。
「‥‥お前アレか? 口や表面上はいつか一位とか最強とか言って心の底では上に挑戦して下に行くのに怯えてるクチだろ?」
そう挑発するほーちゃん。
だが、その程度ではスナイパーは怯まない。
「残念だな。私はそんな戯れ言に興味はない。私はスナイパー武術を世界に広める為に、この戦いに参加している‥‥そのために必要ならば、上を目指すつもりだ‥‥」
再び構えるスナイパー。
そしてほーちゃんも再び構えを取ると、そのまま一気に間合を詰めた。
──ガギィィィィィッ
激しく交差する腕と腕。
これぞまさしく、クロスカウンター!!
さらにほーちゃんは連撃に入る。
──ちまちまちまちまちまちまちまちまちまちまぁぁぁぁぁぁっ
何十発もの拳を受けて、スナイパーあえなく撃沈。
「おめでとうございます。これで無天焔威さんがディープロード第15位になりました!!」
そう告げるアル・ビートル。
「ふぅーん。まあ、いいんじゃないのぉ?」
務めて冷静に飄々と告げるほーちゃんであったとさ。
──深夜、とある路地裏
「‥‥いつまでも着いてくるだけではなく、そろそろ戦いませんか?」
月明かりに照らされた路地。
そこで、レムリィ・リセルナート(ea6870)は自分に着いてまわっている気配に対してそう告げた。
──ヒュンッ
そして疾風と共に、黒装束の男がレムリィの前に姿を現わした。
「‥‥」
と、突然黒装束の男は間合を詰めると、そのまま素早くレムリィに向かって殴りかかる。
──ガシッ
その一撃を素手で受止めると、レムリィはすかさず左右の拳でニ連撃を叩き込んだ!!
──シュンッ
だが、それは瞬時に躱わされる。
そして再び黒装束の男は間合を取ると、ゆっくりと手のひらを前に突き出した!!
──スーーッ
甘い香りが路地を包みこむ。
「くっ‥‥一体な‥‥」
意識が朦朧としてくるレムリィ。
だが、それが敵の画策と判った瞬間、口の中で舌を噛む!!
──ブチッ
舌の一部が裂け、血が滲みだす。
激痛でレムリィを襲っていた睡魔を蹴散らすと、そのままトントンとフットワークを使い、拳を構える。
「その術、お前は忍者かな?」
「ああ、忍者だ。とある里の末裔‥‥」
──ドゴォォォォン
そう告げた瞬間、爆音と同時に忍者の姿が消えた!!
「どこなのっ!!」
そう叫びつつ意識を集中するレムリィ。
だが、すでに敵は背後に回っていた。
──ドゴゴゴゴゴゴコゴゴッ
激しき叩き込まれる拳の数々。
その幾つかを素手で受け流していたものの、レムリィは防戦一方となってしまった!!
──ドゴォォォッ
腹部に強烈な蹴りを受けて、レムリィが後方に吹き飛ぶ。
「‥‥いたたた‥‥」
ゆっくりと身体を起こすレムリィ。
「貴公のランキングは何位だ?」
そう問い掛ける忍者に対し、レムリィはグッと拳を構える。
「生憎と、ランキングには興味が無くてね。あんたの本気、この体で受止めさせて貰ったよ‥‥」
そう告げると、レムリィはジャケットを脱ぎ捨てる。
そして拳にナックルを付けると、静かに構えを取り直す。
正面から全力で掛かってきた忍者に、レムリィは戦士として好意を持っていた。
ならば、自分もその思いに全力で答えるのみ!!
「掛かっておいで、ミスター忍者さん」
──シュンッ
刹那、忍者の姿が視界から来える。
疾走術により、極限まで足を加速させた忍者が、その神速とも言えるフットワークでレムリィを翻弄した。
それはやがて、残像を生み出し、忍者自身が幾人にも分身したかのように感じる。
「姑息‥‥ではないね。それが忍者の戦闘スタイルなら‥‥」
──シュンッ
拳を叩き込むが、残像を叩くのみ。
「なら、全ての残像を叩きの牝のみっ!!」
──シュシュシュシュっ
忍者に負けじと拳を叩き込むレムリィ。
──パシィッ
やがて実体を捕らえると、それにターゲットを絞り、素早く右のストレートを叩き込む。
──シュン
それは難無くかわされてしまった‥‥。
が、それもレムリィの計算のうち。
素早く身体を前に倒すと、力一杯身体を捻る。
右足を軸にし、ふんばり、捻り、そして飛ぶ!!
その反動で左脚を回転させると、身体の捻り全てを利用した後回し蹴りを忍者に叩き込んだ!!
──バジィィィィィッ
それは直撃し、忍者を大地に叩きつける。
「‥‥いい腕だ‥‥ランカーでないのがもったいないな‥‥」
そう告げた刹那、忍者が爆散し、姿が消えた。
「‥‥微塵隠れで逃走とはねぇ。まあ、なかなか楽しかったよ」
そう告げると、レムリィはぐるぐると腕を回しつつ、次のターゲットを探しに月夜の中、静かに立ちさって行った。
●バトル野郎ぜ〜上位ランカー戦〜
──ラヴィーヌ中央
ザワザワザワザワ
街の中央では、大きな人だかりができていた。
「そしてこの女性があの『ボンバーマスター』のノリア・カサンドラさん。長い冒険者生活で、ついにこの地にやってきた真なる闘士。先日は無事にデビューを果たし、いよいよ本日、上位ランカー戦が始まるのですっ!!」
楽しそうに口上を述べているオイフェミア。
後には自家製の立て看板が置かれ、そこに冒険者達の紹介生地が書込まれている。
さらに先日頼み込んだパンフレットを手にすると、オイフェミアはそれを集った人たちに配り歩く。
──とある酒場
インビジビリティで姿を隠し、ゼルスはその酒場に潜り込んでいた。
アル・ビートルの姿を発見し、そのシフールがこの酒場に集っているのをとある町人から聞き出したのである。
そのまま離れた席に座ると、シフール達の集っている場所の中央に座っている男性に視線を送る。
(あれがディープロードですか)
魔法の効果時間限界まで、ゼルスはそこでディープロード達の会話に耳を傾けている。
(‥‥トップランカー達を集める? 第一位? 永遠の勝利者?)
どうやらディープロードは上位ランカー達を集めて何かを行おうとしているらしい。
そして第一位を倒す為に人を集めるという言葉の真意が、ゼルスにはいまいち理解できなかった。
(最強のトップランカーですか。それを倒す為のランキング?)
そろそろ時間。
ゼルスは静かに其の場を離れることにした。
──町の中
無天焔威(15位)vsあきひろ(6位)
「俺は、世界中を旅している‥‥坤極拳(しんきょくけん)使いのあきひろという‥‥」
ぼろぼろの胴着に鉢巻姿。
どうみても『貧乏拳法家』という感じが相応しい。
「つまり、あんたを倒したら俺が6位なんだね♪〜」
楽しそうなほーちゃんと、目の前で息を整えるあきひろ。
そしてアル・ビートルがやってきて戦いの開始を告げると、二人は同時に構える。
──ビシッ
「それじゃあ、ランキング6位の実力を見せて貰いますか!!」
──ドン!!
そう告げるや否や、ほーちゃんはいきなりあきひろに向かって正拳を叩き込む。
だが、その一撃をあきひろは両手で腹射落とすと、いきなり前に一歩、震脚!!
さらに衝捶(突き)を胸部に叩き込み、そのままの勢いで踏込んでの頂心肘(肘打ち)!!
そして。
「猛虎硬爬山っ!!」
激しい一撃を受けて、ほーちゃんは後方に激しく吹っ飛ぶ。
そして意識は戻らなかった。
「工夫が足りないな。出直してこい!!」
──別の場所
ノリア・カサンドラ(ランキング28位)vsジュリエッタ・澤田(ランキング暫定8位)
そこの戦いは熾烈を極めた。
町の中で相対峙した二人。
そしてノリアがスッと身構えた瞬間の事である。
「ノリア・カサンドラ。お前に惚れた!! 俺と一緒になってくれ!!」
──ブチッ
あ、ノリアさんが切れた。
顔中を真っ赤にして。
「なななななななな、公然でなにをいうのですかっ!!」
動揺して顔中を真っ赤にするノリア。
そして間合を詰めていくと、素早く蹴りを叩き込むノリア。
「これでおとなしくなりなさーーいっ。ノリア&ヘブっっっっっっ 」
でた、ノリアボンバー。
だが、その一撃が決まる直前、。ノリアはジュリエッタの蹴りではるか後方に吹き飛ばされた。
「告白の返事は今度聞かせてほしい‥‥」
そう告げると、ジュリエッタは静かに其の場をあとにした‥‥。
──そしてまた別の場所
グラン・バク(ランキング11位)vsショーヴン・リー(ランキング2位)
「強い奴か‥‥相手にとって不足なし」
ティーゲル・セカンドであるグランは、前方でズボンのポケットに手を突っ込んで立っているつり眼の男に向かってそう呟く。
「いいよ。こいよ、どっからでも」
そう告げると、ジョーヴン・リーがポケットから静かに手を抜く。
──ドゴドゴドゴドゴッ
ティーゲル・セカンドの攻撃が次々と叩き込まれる。
だが、そのいずれもが、急所を全てそれ、しかも殆ど無傷。
「もし、中の人間が俺の知っている奴なら‥‥こう伝えておこう。俺を越えなくては『悪鬼』に勝てない!!」
その途端
──ビシィッ
ショーヴン・リーが震脚。
そして素早く肘をティーゲルに叩き込んだ瞬間、ティーゲルははるか後方に吹き飛んだ!!
(打撃‥‥いや、これは‥‥オーラの力なのか‥‥)
打撃とオーラの複合技。
それを全身に受け、グランは静かに意識を失っていった。
──ランカー狩りはというと
レムリィ(ランカー狩り)vs魁金次郎(ランキング18位)
「貴方がここ数日の間、ランカーを狩りまくっているという女性ですね‥‥」
頭に鉢巻きを絞めた金次郎が、目の前のレムリィに向かってそう告げる。
「ええ。貴方はトップランカーですか?」
そう問い掛けるレムリィに、金次郎は静かに口を開く。
「僕は18位。まだまだ上はいる‥‥でも、君はこれ以上上には挑めない。何故なら‥‥」
スッと拳を構えると、右腕を後に力一杯引く金次郎。
「その構えは一体? まるでジャパンの居合のような構えですね‥‥」
──シュンッ‥‥ドゴッ
その刹那、金次郎が力一杯踏込み、引いていた右拳をレムリィに向かって叩き込む。
その直撃を受けるものの、レムリィはデッドorライブでダメージを最小限に止めている。
そしてすかさず拳を叩き込むと、金次郎に向かってラッシュ!!
──シュッパパパパパパパパーーーーーン
激しい連撃だが、金次郎もそれを受けてなお涼しい顔をしている。
「拳に芯がねぇ‥‥」
そう告げた瞬間、レムリィの胸に金次郎の拳が叩き込まれる。
──ドゴォォォッ
その一撃はまさに強烈。
そのままレムリィは後方に飛ばされる。
「急所は外しているのに‥‥何故?」
そしてレムリィは再び構える。
だが、目の前の男に対して、攻撃を出そうと考えてみるが、数手先が見えてしまうレムリィ。
良くて相打ち、悪くて一方的に潰される。
そんな危険な賭けに乗るかどうか。
そしてレムリィは乗った!!
素早く間合いを詰めると、そのまま渾身の一撃を金次郎に向かって叩き込む。
だが、金次郎はそれを左腕で受けると、そのまま‥‥。
●パリへ〜がたんがたんと馬車は揺れる〜
──馬車内
馬車の揺れで意識が戻るレムリィ。
そこには、見知った冒険者仲間の姿がある。
オイフェミアとゼルス以外は、皆傷だらけ。
「あ、意識が戻ったみたいだね」
ノリアがレムリィにそう話し掛ける。
「あたしは?」
「ずばり、負けたっ!!」
ビシィッとレムリィを指差しつつ、ノリアがそう告げる。
「まあ、そういうノリアも、そしてここの連中全員が上位ランカーにぼろぼろにされたという処だな‥‥」
ティーゲルのマスクを外したグランがそう告げる。
「でも、結構いいところまで行けたからね♪〜。またリベンジだよっ」
と、ほーちゃんはいつもの調子で告げる。
だが、リベンジというには、まだ力が足りない。
とりあえず一行は、これからの事を考えつつパリヘと帰還していった。
●ディープロードランキングトップ20+?
1st:?
2nd:ショーヴン・リー
3rd:?
4th:?
5th:マスクド・ターニィ
6th:ひろゆき
7th:謎の忍者
8th:ジュリエッタ・澤田(暫定ランキング)
9th:ザ・インクレティヴ
10th:?
11th:グラン・バク
12th:サンディエーゴ・ケイ
13th:巨乳バスター・カタリーナ
14th:?
15th:無天焔威
16th:スナイパー・トゥカノゥ
17th:?
18th:魁金次郎
19th:?
20th:?
・
・
・
28th:ノリア・カサンドラ
そして戦いは続く‥‥らしい。
〜Fin