【ブラックソード】オーガ殲滅作戦
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:11〜17lv
難易度:難しい
成功報酬:9 G 36 C
参加人数:6人
サポート参加人数:2人
冒険期間:11月11日〜11月21日
リプレイ公開日:2005年11月20日
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●オープニング
──事件の冒頭
カツーンカツーン
深い迷宮に足音が響く。
「うあ、まだ?」
「もうすこしですよ。あと少し‥‥」
アンダーソン神父に連れられて、ギュンターくんとディヴ、そしてニックのちびっこオーガ3人組は、とある迷宮にやってきていた。
「あんだそん、ほんとに、とーる、いきかえる?」
そう問い掛けるニックに、アンダーソン神父はニコリと微笑む。
「ええ。大丈夫ですよ。ただし、少し儀式が必要になります。それに協力して欲しいのですよ」
やがて一行は、地下最下層に到達する。
そこには、床一面に張り巡らされた巨大な魔法陣が設置されている。
「あんだーそん、質問いいか?」
ギュンター君がそう問い掛ける。
「ええ、かまいませんよ」
「とーる生き返る、儀式必要。なんでギュンター達必要?」
そう頭を捻るギュンター君に、アンダーソンはにこりと微笑む。
「だって、トールさんのことを一番知っているのはギュンター君でしょう? そして生き返って欲しいと一番思っているのもギュンター君。だから、この魔法陣で、ギュンター君達の思いをつよくするんです。そうすれば、トールさんは戻ってきますよ‥‥」
そう告げると、アンダーソン神父はギュンター君達を魔法陣の中央に座らせた。
「ここで毎日お祈りしましょう。朝と晩に。お祈りには私も手伝わなくてはなりません。いいですか? 毎日ですよ。そうすればトールさんに会えます。約束できますか?」
そう真剣な表情で告げるアンダーソン神父。
「うあ、約束。ギュンター達、まいにちここでおいのりする!!」
そして其の日から、ギュンター君達は毎日、お祈りを始めていた。
「セーラの加護を受ける事を許された3人のオーガ。贄としては最適でしょう‥‥。さて、他の贄達‥‥シスター・オニワバンとシスター・アイの方は、巧くいっているのでしょうかねぇ‥‥」
アンダーソン神父、灰色通り越して漆黒確定!!
──破滅の魔法陣‥‥贄設置完了
●さて、本題〜今まではなんだったんだ? いえ別に〜
──冒険者ギルド
「‥‥と、これでOKですね。それでは今回の依頼はシャルトル地方・プロスト領南方に展開しているオーガの軍勢を殲滅するということで‥‥」
受付嬢のエムイが依頼人であるニライ査察官にそう告げると、ニライは静かにうなずく。
「捕捉をつけて欲しいのです。必要な装備はある程度こちらで準備しますが、『黒い剣』をもっている方は、それを持ってくるようにと‥‥」
どうやらこの依頼、対シルバーホーク殲滅部隊招集のようで。
●リプレイ本文
●戦いは果てしなく辛く
──ベースキャンプ
「成る程ねぇ‥‥」
ベースキャンプの仮設テントの中で、ブラックソードのメンバーはこれから起こるであろう作戦について打ち合わせをしていた。
その中で、シン・ウィンドフェザー(ea1819)はアハメス・パミ(ea3641)がもたらした情報に耳を傾けている。
「つまり、アンダーソン神父はギュンター君達を助けていたという事か?」
「ええ。烈が出発前に私に話してくれた事です。数名の神父と共にこの地にやってきて、死んでいたギュンター君達を助けていたと‥‥」
今ひとつ動向の掴みきれないアンダーソン神父。
その動きに、彼を灰色と疑うものは多い。
「現在のオーガの軍勢の動きじゃが‥‥」
広げられた羊皮紙に記された地図。
それを一つ一つ指差しつつ、マスター・オズはゆっくりと一行に話を始める。
「絶対防衛ラインはここ、プロスト領中央より15km。この森が絶対境界線となっておる。森の向うは魔獣兵団のベースキャンプ、そして手前が我々。例の大型攻城兵器は街道沿いに移動をしているらしい。今のところは一進一退という処じゃろう‥‥数ではこちらが絶対的に足りず、向うはこっちの要である我々を切り崩す力がない‥‥」
その説明を受けて、チェルシー・カイウェル(ea3590)が手を顎に当てて肯く。
「ブラックソードで敵の後方に回りこみ、挟撃という方法が無難ですか‥‥」
「街道沿いに移動か‥‥今回のターゲットはパリスタやカタパルトもなのか?」
ヴィグ・カノス(ea0294)がチェルシーに問い掛ける。
「そうね。森のルートをこう抜けて、ここで街道に出る。向かってきた攻城兵器を撃破。そのまま手薄となるでしょう街道から一気に敵の後方に向かい、そこから攻め潰すというところかしら‥‥」
そう問い掛けるようにマスター・オズに話し掛けるチェルシー。
「いい判断じゃな。では、我々は正面から派手に囮となろう。普段戦っていた我々の姿が消えると、敵指揮官にはこっちが陽動である事がばれてしまうだろうからのぅ」
「お心遣い感謝します。それでは‥‥」
そう告げて、其の日の作戦会議は終了。
その後、アハメスはマスター・オズのもとに向かうと、剣士としての資質を教えてもらった。
一振りの紋章剣を手渡され、それに意識を集中するアハメス。
──ジッ・・・・ジジジジッ・・・・ブゥーーーン
少しずつオーラの奔流が見え始め、それは長い時をかけて剣の姿を取った。
「ふむ、資質はあるか・・・・よろしい。シンと共に修行する事を認めよう・・・・」
そして一行はこのあとも綿密に作戦を打ち合わせた後、いよいよ作戦開始となったのである。
●エリアNo25〜旧ヴォルフ領北方エリア〜
──街道手前の森
シュタタタタタタタタタタッ
神速の如き脚で冒険者達を翻弄する『海藍色の鎧』を身に纏ったオーガ。
それは次々と冒険者達に襲いかかると、その背中に収めてあった大剣で一撃離脱の戦法を取っていた。
──ガギィィィィィィィィィィン
激しくそのオーガの攻撃を受止めるアレクシアス・フェザント(ea1565)。
「チッ‥‥オーガにしてはいい動きしていやがるぜ‥‥」
素早く返す刀で一撃を叩き込もうとするが、相手はすぐに其の場から離れていく。
一方、ランディ・マクファーレン(ea1702)もまた、敵のオーガとの戦いに動きを封じられていた。
全身をぴっしりとした鎧に包んでいるオーガが、ランディの手前でサーベルを構え、まるでカールスの如きしなやかな剣さばきで攻撃を繰り返していた。
「このオーガがっ‥‥」
──ガギィィィィン
ランディの放つ一撃を、円形のラウンドシールドで受け流すオーガ。
「ウゴウガヴカガガガカガッ(その程度の攻撃では、この私マクゥヴェに傷一つつけることは出来ないですね‥‥)」
叫ぶオーガ。
ランディもまた足留めを受けてしまっている。
「ウゴウガウガガグゥアッ!!」
叫びつつ拳に装備したナックルで殴りかかってくるオーガ。
その神速の如き攻撃を、シンは素早く躱わし、瞬時に攻撃体勢に切替えた。
「所詮はオーガ。そして貴様がこの偵察部隊のリーダーということは承知済みだ‥‥」
紋章剣・旋風を引抜き、オーガに向かってその刃を叩きつけるシンだが。
──シュルルルルルルルルルルルルルッ
オーガが首に巻いていたマフラーを素早く引抜き、シンの腕に向かって巻きつけていた!!
「ウゴウガウガガガガッ(ふっふっ、このザコが、ほざきよるわっ)」
そのまま力一杯マントを引き寄せるオーガ。
その瞬間、シンの身体がバランスを失った。
──ドゴゴゴゴゴッ
「ウガッ、グギグガグゥガッ(未熟未熟っ!! 未熟千万ッ!)」
高速の連撃を叩き込まれるシン。
その圧倒的な迄の拳の速さに、シンは‥‥追い付き始めた!!
──ガシッ
素早く繰り出してきた拳に向かって、シンがカウンターの如き一撃を叩き込む。
「ウグウァッ(なんだと)!!」
「悪いけれど、これ以上あんたの相手はしてらんねーんだよっ」
──カチィィィッ
紋章剣を鞘に納めると、シンはカチャッと柄を捻る。
そして一気に鞘から紋章剣を引き抜いた!!
──ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
刃の部分は鞘に収まったまま固定されている。
マスター・メイスに教わった紋章剣の使い方である。
「グガッ‥‥グゥギィグゥグゥア(できる‥‥貴様、何者だっ!?)」
「『旋風』が舞い散らす死に旋る羽! 躱せるモンなら躱してみなっ!!」
──キィィィン
すれ違い様に叩き込んだ紋章剣の一撃。
それを受けて、偵察部隊隊長オーガ・ノルマンフゥハァイは絶命した。
「このまま一気に畳み込むっ!!」
そのままの士気の崩れ始めたオーガ達を次々と撃破していく冒険者一行。
そして素早く街道に出ると、そのままヴォルフ領へと向かって走り出した!!
──接敵
街道を駆け抜けていく一行。
やがて6台の馬車がこちらに向かってくる光景が、右手から見えてきた。
その後方には、馬でガラガラと引かれているバリスタの姿もあった。
「敵ターゲット捕捉‥‥各員、作戦開始‥‥」
チェルシーが口許に笑みを浮かべつつ呟く。
それは勝利を確信した笑みであろう。
森の中での仲間たちの強さを、ブラックソードとして選ばれた者たちの実力をいまさらながらに実感していたのである。
「間合まであと200‥‥10秒頼む!!」
それはヴィグ。
その言葉にコクリと肯くと、アハメスはヴィグの盾となって敵正面に走りこむ。
──ガギィィィィィィィィィィッ
最前列で武器を構えたオーガに向かって、アハメスは先制の一撃を叩き込んだ!!
「‥‥悪く思わないでください‥‥」
そのまま一気に肩口にめり込んだ剣を、アハメスは力任せに大地に向かって叩き込む。
──ドシュッ
腕が付け根から落ち、大量の鮮血を流しつつ倒れていくオーガ。
その刹那、ヴィグは懐から取り出したスクロールを素早く開く。
そして一気に文字に目を走らせると、そのまま再びスクロールを巻き上げた。
「重力・反転っ!!」
その瞬間、ローリンググラビティが発動。
最前列の馬車が空中に巻き上げられ、さらに大地に叩きつけられた。
大破した馬車が行く手を塞ぎ、オーガ達は身動きが取れない状況になっていた。
「ウガゴガガガゴッ(馬鹿な、何故こんなところから人間が出てくるんだ・・・・)」
呆気に取られている輸送部隊隊長オーガのグゥアルマー。
だが、冒険者達がその攻撃の手を休めることは無かった。
──1時間後
「生存者0。こっちの被害は殆ど軽微というところね?」
チェルシーが仲間たちの状況確認を行う。
「ああ。魔力は殆どからっぽだろうからなぁ・・・・」
スクロールといえども、それを発動させる為には魔力が必要。
ヴィグの魔力は殆ど枯渇していしまっていた。
「一旦ベースキャンプに戻ろう・・・・」
「その意見に賛成だな。この先はまだ敵の戦力が温存されているエリア、少しだが戦列を敵の方に押し込めただけでもよしというところだろう?
そうシンの言葉に相づちを打つアレクシアス。
そして一行は一旦ベースキャンプへと戻っていった・・・・。
まだ戦いは序曲を奏でただけにすぎない。
──ビジッ・・・・バジッ・・・・
撃ち鳴る2振りの紋章剣。
一つはランディが、そしてもう一つはアハメスが握っている。
わずかの時間で二人は紋章剣の使用方法の基礎を納めようとしている。
焦りにも似たその特訓には、シンがコーチとしてついて色々と手ほどきしていた。
そして依頼の期間、一行はそこを拠点として周辺の調査を開始。その結果、捕らえたオーガのもたらした幾つかの事が判明した。
・この先、ヴォルフ領中央までは街道を利用した強襲が可能であると考えられる。
・敵オーガの軍勢は、隊長クラスを叩き潰せは士気が一気に低下する。
・オーガの軍勢中に、時折人間が混ざっている場合がある。その場合の彼の立場は『監視役』という感じである。
そして依頼最終日。
早馬のもたらした伝令が、一行に衝撃の事実を叩きつけた。
それは破滅の魔法陣の存在。
とある少女が命を賭けてもたらした事実。
その一つが、ヴォルフ領領主の舘の地下に存在するという事実。
そしてニライ査察官からの伝令は一つ。
ブラックソードは、魔獣兵団及びシルバーホーク殲滅を最優先任務とすること・・・・
一行はその事を肝に銘じつつ、パリヘと補給の為に帰還していった・・・・。
〜Fin