【ふらり冒険】そして不意打ち・中級編

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:8〜14lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:6人

冒険期間:01月04日〜01月14日

リプレイ公開日:2006年01月12日

●オープニング

──事件の冒頭
 風が静かに流れている。
 目の前には、中央広場。
 男は、そこをじっと見つめる。
 そこで起こった、熱い男達のドラマを‥‥。
 かつて、この都市では『ディープロードランキング』という戦いがあった。
 その主催者は今はもういない。
 だが、その意志は弟である、とある吟遊詩人に受け継がれた。
「さて‥‥それじゃあ、情報だけでも流しておきましょうか‥‥」
 やがて、その都市には一人、また一人と戦士が集った。
 そして、再び熱い戦いが始まりつつある。

 ディープロードランキング‥‥再開。

──それとは別のとある城
「ふむ‥‥参りましたねぇ‥‥」
 目の前に広がる巨大な聖堂。
 プロスト卿はそこで腕を組んで頭を捻る。
 本来ならば、そこはとあるカップルの為の結婚式を行う予定であった。
 そのために大量の食材を仕入れ、大勢のメイドも雇った。
 だが、その結婚式自体が成立しない。
 ならば‥‥。
──ピキーーーン
 プロスト卿の頭脳が、あることを考え出す。
「冒険者に開放しますか‥‥新年会の会場として‥‥」
 それは妥協というものだよプロスト卿。

──さらに別の場所
「ウガウガウァウァォゥゥェィィィィゥァァァ」
 綺麗に装飾の施された椅子で、そのオーグラの王『デグゥイン』は叫んでいる。
 かつて、自分はとある都市を陥落させ、多くの魔獣達を従えてきた。
 だが、黒き剣を携えた冒険者により、本丸は陥落、王とその従者達は、この古き自治区へと逃げ延びていた。
「ウガッ‥‥ウガガグウァァ」
 なにかに脅えるように部下である『マグゥヴェ』に指示を出す王。
 そして窓の外を、じっと見つめる。
 遠く、遥かなる彼方を。

●今回の参加者

 ea0186 ヴァレス・デュノフガリオ(20歳・♂・レンジャー・エルフ・ロシア王国)
 ea1559 エル・カムラス(19歳・♂・バード・シフール・ビザンチン帝国)
 ea1924 ウィル・ウィム(29歳・♂・クレリック・人間・ノルマン王国)
 ea4004 薊 鬼十郎(30歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea4167 リュリュ・アルビレオ(16歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 eb0010 飛 天龍(26歳・♂・武道家・シフール・華仙教大国)

●サポート参加者

クリス・ラインハルト(ea2004)/ ロックフェラー・シュターゼン(ea3120)/ レイル・ステディア(ea4757)/ リスター・ストーム(ea6536)/ ヴィクトル・アルビレオ(ea6738)/ フィニィ・フォルテン(ea9114

●リプレイ本文

●前哨〜最後ぐらいは笑いたい〜
──冒険者酒場マスカレード
 キィィィィィィィィィィィィン
 リシーブメモリー。
 キーワードを元に、それを知るものから情報を得る事のできる魔法。
 ヴァレス・デュノフガリオ(ea0186)はそれをブランシュに施し、ヘルメスについての情報を選られるか試みてみた。
 当然、現在の保護者代行である焔威の同意を得て試してみたのであるが、まったくといってよいほど情報は得られない。
 まるで、ブランシュがそれを『まったく知らない』かのような反応であった。
 そのため、ヴァレスは別のスクロールを開くと、フォーノリッジでヘルメスについて問い掛けてみる。

──キィィィィン
「見えて来た‥‥」
 何処かの祭壇。
 部屋一杯に広がっている魂の球。
 その中央で、ヘルメスは恍惚の表情を浮かべている。
 
──パチッ
 そして魔法は途切れる。
「まだ、何かを呼び出すというのか?」
 嫌な感覚が、体内を駆け巡った。

──その頃のカウンター奥
「つまり、その洞窟にいけば、悪魔が住んでいるっていうの?」
 目の前に立っているミストルディンに、リュリュ・アルビレオ(ea4167)がそう話し掛けている。
「ええ。何度も悪魔によって悪戯されている不幸な村があるでしょう? あの村の近くの洞窟奥は、悪魔達の住まう世界と繋がっているっていう噂もあるぐらいだから‥‥」
 真剣な表情でそう告げるミストルディン。
「えーっと、なんという名前の悪魔か御存知ですか?」
 ウィル・ウィム(ea1924)もそう問い掛ける。
「確か、ニッチモ、サッチモ、ドッチモ、コッチモ、ウントモ、スントモ、ナントモ、ニントモ、カントモ、ナンデダローだったかな?」
「ず、随分と長い名前ですね‥‥」
 冷や汗を垂らしつつ、そう告げるウィルに、ミストルディンが頭を振る。
「違うわよ、これで10体。インプとかグレムリンクラスの下級っていう奴よ‥‥これだけいたら、乱獲すれば使えそうじゃない?」
 横に座ってじっと話を聞いている薊鬼十郎(ea4004)にそう告げるミストルディン。
 と、入り口から巨大な袋をズルズルと引きずってロックフェラー・シュターゼンが到着。
「ゼイゼイゼイゼイゼイゼイゼイゼイ‥‥これで完成だ。対悪魔捕獲用『銀の投網』。投網のパーツーの中に銀細工を施した一品。マイスター・トールギスの残した様々な設計図面から見付けだした会心の投網だぜ」
 それを鬼十郎に手渡すト、ロックフェラーはそのままカウンターにどっかりと座って取敢えず一杯。
「では、時間が有りませんし、ブルーオイスター寺院に向かいましょう。院長に頼んで、この投網を『祝福』して頂きます」
 ウィルの言葉で、一行は素早く行動開始。
 そしてリスター・ストームは、店の二階からそれを見送っていた。
「畜生‥‥こんなときに倒れるなんて‥‥」
 まあ、仲間を信じなさい。


●祈り‥‥
──ブルーオイスター寺院
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁぁん」
 マッチョ神父達に囲まれて、久しぶりにャって来たエル・カムラス(ea1559)君、またしてもトラウマスイッチが起動。
「ああ、もう大丈夫だよ。僕がいるから恐くはないからね‥‥」
 唯一マッチョでない神父の元にかけていくエル。
 そしてそのまま『レイザー神父』に静かに話をするエル。
「レイザー神父、悪魔を捕まえるのを手伝ってください!!」
「私はまだ修行の身です。が、そんな私でも何かお役に立てるかも知れません‥‥喜んでお手伝いしましょう」
 手にした聖書を胸の前にかざし、レイザー神父がそう告げる。
──その頃の大聖堂
「偉大なるセーラよ。彼の者たちに悪魔に打ち勝つ為の祝福を‥‥」
 全員がまず院長によって祝福を受ける。
 そして次に投網に聖水を降り注ぎ、投網自身を祝福する。
 そして最後に祈りの言葉を告げて、全ては終った。


●ということで、悪魔を捕まえよう!!
──とある洞窟
「ニッチモでーす」
「ナンデダローでーす」
「いやー、実に凄い事とが起こっていますよナンデダロー君」
「ほほう、ニッチモ隊長。何が起こっているのですか?」
「我々のアジトについに又しても再び冒険者がやってきてしまったのです!!」
「なんと、そしてどうなったのですか?」
 投網の中でそう叫んでいるニッチモとナンデダロー。その他4名の悪魔達は、冒険者達にあっさりと囚われている。
 まさに総力戦であった。
 全員が持てる力をフルパワーで戦いを挑んだ結果、あっさりと悪魔達の捕獲に成功した模様。

「むぅ‥‥まだまだ修行が足りないのか‥‥」
 ギュッと拳を握り締め、飛天龍(eb0010)がそう呟く。
 悪魔の肉体は、普通の攻撃では傷つかない。
 だが、天龍の戦闘スタイルは素手。
 ヌァザの銀の腕を付けてみたものの、いまいちしっくりと来ない。
──ガサササッ
 帰りの道中、天龍は色々な事を考えていた。
 そしてその途中で、嫌な気配に気がつく。
「まだ悪魔が残っていたのか?」
 そう告げる天龍。
 と、その後から、レイザー神父が天龍に話し掛ける。
「両手を出してください」
 そのまま神父の告げるままに両手を出す天龍。
──ジャバジャバ
 懐から取り出したツボから、神父が聖水を注ぐ。
「他の寺院では手に入らないブルーオイスター特製の聖水『ハイグレード』です。これで貴方も悪魔と戦えます!!」
 そしてその言葉を信じ、天龍は最後の悪魔に戦いを挑む!! そして素手で殴り倒した!!
「お見事です。今日から貴方は『飛天龍ハイグレード』と名乗りなさい!!」
 そう叫ぶレイザーに、天龍は頭をふり一言。
「いや、それは遠慮する」
 そうだわな。


●ロイ教授の研究室
──簡易儀式祭壇
 捕まえた悪魔を締め上げつつ、儀式は始まった。
「逃げようとしてもダメだからね。君達の名前は判っているんだし、僕のムーンアローは君達にも有効なんでしょう?」
 ニィッと笑いつつ悪魔を威すエル。
「なんて奴だ。俺たちが自由に動けない事を理由に‥‥まるで悪魔みたいな奴だな」
 小悪魔に悪魔といわれるエルって一体。
 まあ、それはおいといて。
 ロイ教授が儀式を開始。
 ニッチモを引きずり出し、まずは石化している大丹羽蛮の肉体とオーブの石化解除。
 つぎにニッチモを締め上げて、オーブから魂を取り除くと、その魂の球を蛮ちゃんの口の中に‥‥。
──ピクッ
 一瞬、頬が動く。
「教授‥‥どうなの?」
 リュリュが心配そうに問い掛ける。
「うむ。魂は戻った‥‥今暫くは安静にしていたほうがいいじゃろう。まだ魂が定着していないからのう‥‥」
 そう告げると、蛮ちゃんは別の部屋に連れていかれ、暫くはそこで眠りつづけた。
 そしてその儀式を見て、鬼十郎は希望の光を見出した!!
「教授、これでギュンター君を助けられますよねっ!!」
 そう問い掛ける鬼十郎に、ロイ教授は罰が悪そうな顔をする。
「う‥‥うーむ。まずはよく話を聞きなさい。魂と肉体は繋がっている。このようにオーブに分離していてもじゃよ。鬼十郎の持つオーブにも、ギュンター君の魂が入っているのならば、まだ繋がりはある。それを打ち消して別の器にいれる事は出来ないのぢゃよ。肉体の死により、魂は器から完全に離れる‥‥仮に新しい器を持ってきても、それはできないのぢゃ‥‥」
──バンッ!!
 その言葉を聞いて、鬼十郎は外に飛び出した!!
(絶対にギュンター君は帰ってくる。私はそう信じているんだから‥‥)
 そのまま鬼十郎は、ギュンター君の器を求めて飛び出した。

──そして入れ違いに来客
「ロイ教授はいらっしゃいますか??」
 それはニライ査察官。
「あ‥‥査察官だ。こんなところにどうしたの?」
 そう問い掛けるリュリュに、ニライ査察官は静かに口を開く。
「実は、ここに届けもの獣を‥‥」
 そう告げて後に控えていた従者が持ってきた一体の石像。
 それは‥‥。


●そして再び因果はめぐる
──パリ郊外
 ハアハアハアハア
 草原に傷ついた身体を横たえて空を見上げる鬼十郎。
 新しい肉体は見つからない。
 人間の肉体ではないオーガの肉体。
 それすら、鬼十郎には見付けられなかった。
 いや、オーガはいた。
 でも、それは生きていた。
(きじゅろ‥‥ひところす、だめ‥‥)
 鬼十郎の中には、ギュンター君がずっと住んでいるから。
「ギュンター君‥‥うっぅっぅっ‥‥」
 頬を伝う涙が止まらない。
 生きているオーガを殺すことは‥‥鬼十郎には出来ない。
「あー、いたいたーっ」
 遠くからリュリュの声が聞こえてくる。
 その声に鬼十郎は身体を起こし、リュリュの方を見る。
 ウィル、天龍、ヴァレス、エル、そして元気になったらしい蛮ちゃんの姿もそこにあった。
「あ、良かった。蛮ちゃん元気になったのですね?」
「これから、あの人の所に戻ります。皆さんには色々とご迷惑を御掛けしました」
 ペコリと頭を下げる蛮ちゃん。
「早くリスターの元にもどりなさいね。きっと今頃、店内をうろうろとしているわよ‥‥」
 そう告げる鬼十郎にニコッりと微笑むと、蛮ちゃんは其の場を立ち去った。
「さて、それじゃあいきましょうか?」
 ヴァレスが一枚のスクロールを開く。
「行くって? 何処に?」
 きょとんとする鬼十郎に、エルがにぃっと口を開く。
「さっき、『怪しいトレジャーマップ屋』からトレジャーハントの地図を勝ったんだよ。これでリハビリでもしてこようって言う話になってねー」
 ふぅんという表情の鬼十郎。
「リハビリねぇ‥‥だれの?」
「安定はしましたけれど、感覚が取り戻せないそうなんですよ‥‥鬼十郎、貴方も協力してもらいますよ‥‥」
 ウィルがそう告げつつ、後からフードを カプった少年を連れてくる。
「まあ、あれだな‥‥鬼十郎には、この子のリハビリに付き合う責務がある‥‥ただそれだけだ。当然俺もつき合わせてもらうがな‥‥」
 拳を両手で隠しつつ、天龍がそう告げた。
──バサッ
 そして少年が、ローブのフードをあけた。
「うそ‥‥そんな事って‥‥」
 鬼十郎の瞳から涙が溢れる。
 歓喜の声と同時に、鬼十郎はその少年に向かって走り出した。
「うあ、鬼十郎!! ないたらだめ、ぎゅんた、かえってきた!!」
──ガシッ
 もう離さない。
 ずっと、一緒に歩こうね。

 いつまでも‥‥
 どこまでも‥‥


〜To be continue みんなの冒険はどこまでも続く