さらり冒険〜繋いでみよう〜

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:9〜15lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:8人

サポート参加人数:4人

冒険期間:08月26日〜09月02日

リプレイ公開日:2006年09月04日

●オープニング

──事件の冒頭
 キャアアアアアアアアアアアアアアアアアア
 衣を引き裂くような絶叫が、村に響きわたる。
「イチ!! 貴様何が目的だ!!」
 一人の若者が、イチと呼ばれた長身の戦士にそう叫ぶ。
 その側には、シィと呼ばれる少女が抵抗むなしく抱きかかえられている。
「ふん‥‥ギーコか。彼女に選ばれた貴様に、俺の気持ちが判ってたまるかっ!!」
 そう吐き捨てるように叫ぶと、イチは後の馬に飛び乗り、一気に走り出した。
──タカタッタッタッタッタッ!!
 そのまま逃走させるものかと、一人の忍者モドキが瞬時に手裏剣を構えたが‥‥。
「よせクックール。お前の腕では、シィちゃんに当たるだろうが!!」
 村の長老・モラーがそう叫ぶ。
「じゃあ‥‥どうすればいいんだよ‥‥」
 そう叫ぶギーコ。
 だが、村人はみなこう思った‥‥。
(とっととお前が助けに行けよ‥‥)

──場所は変わって
 ドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ
 激しく叩きつけられる木製ワインカップが14個。
「ぐはぁっ。そ、その技は‥‥」
「ノルマン流素手格闘術‥‥又の名をノルマン不敗だワン!!」
 いや、流派のコト聞いているわけじゃないから!!
「そんな技が‥‥」
 そう呟くと、男は口から大量の『ワイン』を吹き出して崩れ落ちた。
「‥‥自分の腹にどれぐらいのワインが入るかぐらい‥‥計算しておくべきだったワン!!」
 そこはノルマン江戸村・のるまん亭。
 突然村に現われた悪漢と、マスターわんドシ君の『ワイン飲み勝負』が行われた会場。
 ちなみに敗者は、勝者の飲み代も全て払うという過酷なスケジュール。
「‥‥‥‥」
 あ、悪漢はもう床に崩れてギブアップなのね。
「ふぅ‥‥なかなかいい勝負だったワン‥‥さて、ボクは修行に出かけるワン!! もしボクにお客が来たら‥‥に居るって伝えて欲しいワン」
 そう告げると、わんドシ君は修行に向かった。
 再びライバルとの対決が起こるであろうから。

──さらに場所は変わって
「ハァァァァァァァァァァァァァァァァアアっ」
 体内に宿る神々の息吹。
 それを静かに体内に循環し、拳に一点集中させる。
「これがタロン神拳奥義・『栄光の拳(グローリー・オブ・ナックル)』だ。君達若い神父がこれを身につけるには‥‥」
──スパァァァァァァァァァァァァン
 突然緑のスリッパで後頭部を殴りつけられたのはとあるタロン神殿の司祭・センイッチ。
「ファザー・センイッチ。またそんな、目に見えない奇跡を教えてどうするというのですか?」
「シスター・アルモニー、全ては神の思し召しです」
 そうさらっと呟くファザー・センイッチに対して、シスター・アルモニーはふぅ、と溜め息一つ。
「午後のお務めもあります、それと、新しくエクソシストの依頼が」
 そう告げつつ羊皮紙をファザー・センイッチに手渡す。
「ふむふむ‥‥この程度なら、私の出番ではありません。タロンの使徒(別名:勇者クレリック軍団)に連絡を‥‥」
 はてさて、これから何がおこるのでしょぅか?

──そして、とある研究室
 ピカーーーーーーーーーーーーーーッ
 落雷が輝く。
 そして研究室では、一人の錬金術師がおたけびを上げていた。
「カーーーーーーーーーーーーッカッカッカッカッカッカッ。ついに完成した!! あの悪魔の残した薬『貧乳増強剤』から抽出したエキスをベースに、さらに‥‥と、それはおいといてと」
 そう告げると、横でボーッとしている一人の助手に薬の入ったワイン樽を手渡す。
「あのー、どうしてワイン樽なんですか?」
 そう問い掛ける助手のバッキーちゃんにたいして、錬金術師は一言。
「入れ物を買う金などない!! 早くそれを倉庫にしまってきなさい‥‥」
 やれやれという表情で倉庫に向かうバッキー。
 そして持ってきた樽を、まだ中身の入って居るワイン樽の横に置いておくと、そのまま倉庫から出ていった。
 そして数日後。
 その倉庫に盗賊が侵入。
 ご丁寧にも、ワイン樽は全て盗まれ、さらには他の盗品と一緒にとある村に運びこまれた。
 そこは、一部貴族達は知っている『裏オークション』。
 そこの出品物管理員の一人は、そのワイン樽がただもので無い事をかぎつけると、すぐに裏付けを取った。
「次のオークションでは目玉となりますか‥‥『巨乳育成剤』とはねぇ‥‥」
 出たな、禁断の薬。

──そしてパリ・とある路地裏
「‥‥ふぅ。今日は駄目だねぇ‥‥」
 とある街角。
 一人の娼婦が、通りを歩いている男達を値踏みしている。
 どの客も懐は豊かそうであるが、外見が好みではない。
 そんな中、一人の貴族が通り過ぎた。
(ウハッ、良い男‥‥)
 そう思うと同時に、娼婦は男の近くに擦り寄って行く。
「どう? や・ら・な・い?」
 しなをつくって媚びてみるが、男は彼女に向かって一言。
「俺‥‥●×△☆なんだ‥‥」
 ああっ、そこ、なんていったの?
 なにはともあれ、娼婦は愕然として男を見送った。
「そ、そんなの‥‥愛があればどんな障害だって乗り越えられるわよっ!!」
 おおっ、娼婦が燃えている!!

 そして『もんた』はどうなった?

●今回の参加者

 ea1662 ウリエル・セグンド(31歳・♂・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea1924 ウィル・ウィム(29歳・♂・クレリック・人間・ノルマン王国)
 ea3120 ロックフェラー・シュターゼン(40歳・♂・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea4167 リュリュ・アルビレオ(16歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea5817 カタリナ・ブルームハルト(33歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea7191 エグゼ・クエーサー(36歳・♂・ファイター・人間・フランク王国)
 ea8988 テッド・クラウス(17歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 ea9128 ミィナ・コヅツミ(24歳・♀・クレリック・ハーフエルフ・イギリス王国)

●サポート参加者

ヴィグ・カノス(ea0294)/ ミカエル・テルセーロ(ea1674)/ 薊 鬼十郎(ea4004)/ 利賀桐 まくる(ea5297

●リプレイ本文

●果てしなき夢の為に
──酒場マスカレード
「ああ、あのオークションですか。まだやっていたのですか‥‥」
 静かにカウンターの中でそう呟いているのは酒場の店主マスカレード。
──キラーーーン
「その口調だと知っているね!!」
「どどどどどどどどどこですかっ!!」
 ニャリと笑うリュリュ・アルビレオ(ea4167)と、かなり慌てた様子のカタリナ・ブルームハルト(ea5817)が、マスカレードに食いつくようにそう問い掛けている。
「まあまあ、教えても構いませんが、入る事は出来ませんよ。会員制の秘密オークションですから‥‥と」
 そう告げつつ、マスカレードは手を水槽で洗ってから、カウンターの外に出る。
「じゃあ、どうすればはいれるのですかっ」
「あ、私は入る為のアイテムを持っていますから‥‥ご一緒しますか?」
──パァァァァァァァァァァァッ
 カタリナとリュリュの瞳には、マスカレードが天使に見えた。
「ぜ、是非っ!!」
「宜しく御願いします!!」
 深々と頭を下げる二人に、マスカレードが一言。
「予算は? 最低でも500Gぐらいないと遊べませんよ?」
 ちなみに、二人合わせて300ちょい。
 それでも遊べそうな‥‥もとい、目標はただ一つなので問題なし!!
「大丈夫っ」
「ボクがもっていますから」
 そうドンと胸を叩きつつ叫ぶ二人。
 はてさて、どうなることやら‥‥。


──翌日
 とある小さな村。
 その外れのこれまた小さな小屋に、大勢の人が集っている。
 目的はその地下、古くは穀物か何かを納めていた地下倉庫に、大勢の貴族達が集っていた。
 そしてその壁には、今回のオークションに出店される様々な物品が理路整然と並べられていた。
 午前中はそれらを見て欲しいものの目星を付ける。
 そして午後から始まるオークションで競り落とすという感じのルールであった。
 出品物はすべてなにかしらの因縁が付いているものばかりの為、出所などは全て臥せられている。
 そしてそれらについて、何も問わないのもルールだという。
(ぐっ‥‥盗品だという事で出品者を揺さぶろうと思ったのにぃぃ)
(こうなると、正攻法で落とすか‥‥もしくは誰かが落としたらそれを売ってもらうか‥‥)
 あれこれと考えているカタリナとリュリュをよそ目に、マスカレードは周囲の貴族と楽しく談笑。
──そして午後
「それではっ、オークションを開催します!! 今回の元締めは私が‥‥」
 司会の貴族の前口上はおいといて、いよいよオークションは始まった。
「それではエントリーナンバー01、虹色に輝く不思議な卵っ!! まずは最低価格の‥‥」
 とまあ、不思議な物品が次々とオークションに流れていく。
 中には胡散臭いものまで色々と‥‥。
「エントリーナンバー21番。伝説に名高き聖遺物『ヘレナの聖釘』‥‥最低落札価格は100Gから‥‥」
 おいおい。
「それではエントリーナンバー25番。あの美しい胸を我が手に!! 『巨乳育成剤』。最低落札価格は20Gから!!」
 出ました!!
「25」
「30」
「35」
 次々と釣り上がる値段。
「うむむ‥‥50!!」
 カタリナ、いきなり50のポン槍できましたか!! ちなみにポン槍とは相場以上の値段を一撃で叩き込む技と思えばいいらしい!!
「70」
「85」
「100!!」
 まだまだ上がる値段。
 カタリナ必死に食いつくが、それでもそろそろ限界の模様。
「250」
「300」
「リュリュ、30貸してねっ」
「おう。私とカタリナは一心同体、ふたりあわせても まだ貧乳‥‥っていっけぇぇぇ」
「3‥‥330!!」
──キターーーーーーーーーーーーーー
「350」
 あら、カタリナ、ここで限界。
「380」
「‥‥400!!」
 それが最高落札価格。
 400でとある貴族が落札した模様。
『あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
 リュリュ、そしてカタリナ共にがっくりと肩を落とす。
「かくなる上は、直訴だぁ」
「応っ!!」
 いやあ、いい漢っぷりの二人ですな。
 そんなこんなで、落札者の元にやってくる二人だが。
「おやおや、どうしました?」
 キョトンとした表情でそう呟くマスカレード。
「巨乳育成剤を‥‥よこせ」
 リュリュ。
「マスター、御願い。後生で、それを‥‥これを‥‥下さいッ!!」
 そう叫ぶと、カタリナはマスカレードの持っていた薬の入った樽を奪い取って逃亡!!
「ああ、あの‥‥」
 そう呟くマスカレードも無視して、二人は近くの森に逃亡。
「この巻き物がないと‥‥解説‥‥まあいっか‥‥」
──場所は代わって森の中
「やったよ‥‥ついにやったよ‥‥」
「この薬。これでボク達もきょきょきょきょ巨乳に‥‥」
 涙を流しつつそう叫ぶカタリナとリュリュ。
「そ、それじゃあ‥‥」
「まずは未来のないカタリナから。私はこれから成長する可能性があるからねっ」
──ゴイーーーーン
 頭に巨大なたんこぶを作って泣いているリュリュを横目に、カタリナがまず半分飲む。
 つづいて リュリュも残りを飲み干して。
──ムクッ
「あ、なんか胸がくすぐったい」
「ボクも‥‥なんだろう‥‥身体が‥‥熱い‥‥」
 そのまま二人は身体の疼きに抵抗しつつ‥‥。
──1時間後
「やった‥‥ゃったよ‥‥」
「ボインボインのバインバインだぁ!!」
 おお、見事に、たわわに実った胸をゆすりつつ、リュリユとカタリナが涙で感動!!
 そして無事にパリに戻っていったとさ!!


●そんなシモネタは放っておいて〜こちらが本題です〜
──オーガキャンプ
 シャルトル地方。
 自然豊かな緑と湖の畔。
 そこに小さなお城があります。
 この地方を納める領主レナード・プロストの慈悲により、この地にはオーガの住まうキャンプがあった。
 生まれ、そして生活しだいでは、オーガもまた人と同じ様に判りあえるのでは?
 そんなプロスト卿の好奇心もあり、今では約30人のオーガが、人間の警護のもと、静かに暮していた。
「うあ、ろっくーーーーーーー」
 村に入ったロックフェラー・シュターゼン(ea3120)とウリエル・セグンド(ea1662)、そしてミィナ・コヅツミ(ea9128)の3人は、まずギュンター君の出迎えを受けていた。
「ほう、また何処かにいってしまったのではと思ったけれど、どうやら元気そうだなぁ!!」
 掛けてくるギュンターの頭を撫でつつ、ロックフェラーがそう告げる。
「きょう、これからお出かけ!! ぎゅんたー、剣士のしゅぎょう!!」
 その言葉に、ミィナはピンときた。
「ま、まさか、ギュンター君、ワルプルギスの剣士になるの?」
 その言葉に、ギュンター君は頭を左右に振る。
「ぎゅんた、おーら判らない。強い剣士になる!!」
 そう言われてみると、確かに。
 ロックフェラー、ミィナ、そしてウィルの目から見ても、ギュンター君は成長していた。
 彼方此方に出来た生傷の痕、半年前よりも精悍な身体と顔つき。
 子供だったギュンター君は、もう青年になりかかっていた。
「ああ、これ、今でもつかうかぁ?」
 ロックフェラーがバックの中から『モルゲンステルン』を取り出す。
「ロック!! ぎゅんたつかう」
 そう叫んでいるものの、ロックフェラーはぎゅんたーの背負っている巨大な剣が気になった。
「それは?」
「ろっくの真似。ぶきこわれた、ギュンター自分で作った。ぷろすとのところのかじや、教えてくれた!!」
 そう告げると、ロックフェラーの手を引いて、ギュンターは自分の『工房』につれていく。
「やれやれ。あいかわらずだな」
 頭をボリボリと書きつつ、ウリエルが笑いつつそう呟く。
「そうね。じゃあ、私は自分の事を‥‥ね」
 ミィナはそのまま、村の外れにある墓場に向かう。
 昨年の魔方陣動乱、その時のオーガ達の犠牲者は、全てここの墓に納められている。
 死者に対する敬意という概念のないらしいオーガ達に、聖ヨハン大司教は慈愛を教え、死者は墓に埋葬するという事を教えた。
 そして今。
 あの魔方陣動乱の犠牲者立ちをいつしか弔いにやってくるものが見えはじめたのである。

「助けられなかったり、知らずに命を奪われた無数の方‥‥あたしはあなた方の事を忘れません‥‥。再びあなたたちのような犠牲が出ないよう皆と一緒に力を合わせて頑張って参る事を誓います。どうか安らかに‥‥」
 そう告げると、ミィナは其の場を離れ、村の中を散策していた。

──そして工房
 実にお粗末である。
 簡単な金床と炉、そしてトングなどが乱雑に並べられ、恐らくはギュンター君が作ったのであろう様々な武器の試作品があちこちに置いてあった。
「これは?」
 刃渡りにして1mの巨大な手裏剣。
 それをコンコンと叩きつつ、ロックフェラーは問い掛けた。
「うあ、クックールの武器。壊れたからなおしてあげようとしたら、もっと壊れた!!」
 はぁ‥‥と溜め息一つ。
 そのまま炉にまきをくべ、ふいごで一気に火力を上げるロックフェラー。
「ギュンター、時間のある間だけ教えてやる。武具の修繕は‥‥」
 そのままロックフェラーは夕方まで、ギュンターに簡単な修繕の方法を教えこんでいた。
 そして翌朝、次の目的地に向かった‥‥。

──ノートルダム大聖堂
「神の子たるセーラの子よ。よくぞ参られた」
 聖ヨハン大司教が扉を開いてやってきたウリエル達を出迎えてくれた。
 すでにここに来ることはミィナがシフール便を使って連絡してくれていたのである。
 そのため、ノートルダム大聖堂では、皆が来るのを心より歓迎してくれていた。
「ご無沙汰しています、大司教どの。御変わりなくなによりです」
 ミィナが丁寧に頭を下げる。
「いえいえ。これもセーラ様の加護です」
 その言葉と同時に、大司教は見なに向かって十字をキルト、そのまま目を瞑って祈りを捧げる。
「‥‥それでは、こちらに‥‥」
 そして、魔方陣動乱の犠牲者達の墓へと、一行は案内された。
 静かな墓地。
 その一角に作られた墓碑。
 そこには、大勢の御霊が眠っていた。
 静かにその前に立つと、ロックフェラーが花束を捧げる。
 続いてウリエル、最後にミィナが花束をそっと墓碑の上に置く。
──カラーーーーン‥‥カラーーーーン
 弔いの鐘が鳴り響く。
 そして一行は、静かに其の場を後にした。
 これ以上、哀しい思いをする人々を出さないと、心に誓いつつ。

──湖畔
 ダッ!!
 そこは小さな森。
 畔には鹿や兎が戯れ、のどかな風があたりに漂っている。
 時折草木の影から、エレメンタルフェアリーの囁きが聞こえてきそうなその場所に、ウリエルはやってきていた。
「ここに『絹のジャスティス』が‥‥」
 静かに周囲を見渡す。
 耳をすませて聞こえるのは、優しい風の音と、子供達の笑い声。
「‥‥ひょっとしたら、知っているかも‥‥」
 その声に導かれ、ウリエルは少し先の畔に歩いていく。
 そこでは、綺麗な敷物を広げ、バスケットからパンや御菓子を取り出している子供達と、それを見守っている女性、そして護衛らしい騎士の姿があった。
「‥‥ん? 貴公はここに如何なる御用で?」
 穏やかな表情で、騎士がウリエルにそう問い掛ける。
「馬を‥‥探しているんだ‥‥」
 軽く会釈をしてから、ウリエルはそう返答する。
「ふぅん、この辺りではあまり見掛けないなぁ。貴公の馬か?」
「いえ‥‥ですが‥‥大切な‥‥馬なんです‥‥」
 その言葉が聞こえてきたのカ、一人の少女がにっこりと微笑む。
「お馬さん達は、夕方になるとやってくるよ。シリアも見た事あるもん」
「ルールジューも見たよー、それに、バルタザール様もねー」
 そう呟きつつ、木陰で休んでいるバルタザール夫人に話し掛けるルールジュー。
「そうですわね。もう少し涼しくなったら来るかも知れませんわ。それまでこちらでどうぞ」
 そう告げながら、バルタザール夫人は少女達の元にもどり、静かに座ってお茶の準備を始める。
「あ、ああ‥‥よろしい‥‥のか?」
「どうぞどうぞ。愉しい事は分かち合わなくてはなりませんからね」
 そのまましばらくの間、ウリエルはそこで愉しい一時を過ごしていた。
──ガサッ
 やがて日が沈みはじめた時。
 茂みから姿を現わした馬の群れ。
 そしてたしかに、そこにいた。
 精悍な体躯となった『絹のジャスティス』が。
 ただし、その身体のあちこちには傷があり、今まで『絹のジャスティス』がかなり過酷な生き方を強いられたのを示していた。
「‥‥ジャスティス‥‥」
 静かに立ち上がり、そう呟くウリエル。
──ザッ‥‥
 と、その声に導かれたかのように、『絹のジャスティス』はウリエルの元に歩み寄る。
 そしてそっと身体を寄せ、静かにいなないた。
──ブルルルルルッ‥‥
「ごめんね‥‥今まで‥‥会いたかった‥‥」
 そう告げるウリエル。 
 だが、他の馬達がいなないたとき、『絹のジャスティス』は群れに向かって走っていった。
「『絹のジャスティス』!!」
 そのウリエルの声に、『絹のジャスティス』は振り返った。
 そして静かに、群れと共に森に戻っていった‥‥。
「生きていたんだ‥‥良かった‥‥」
 そして翌日も、ウリエルは同じ場所で『絹のジャスティス』と出会う事が出来た。
 今はまだ戻れない。
 けれど、いつかきっと‥‥


──ノルマン江戸村・トールギス鍛冶工房
「‥‥いい素材ですね‥‥」
 静かに鉱石を観察しつつ、ロックフェラーはクリエムにそう問い掛けた。
「定期的にここにやってきてくれる山師の方が、良いものを持ってきてくれるのですよ‥‥」
──ジューーーーーーーーーーーーーーーーッ
 灼熱に輝く鉄の塊を水に入れて冷やす。
 そして再び炉に入れて焼きこみ、ハンマーで叩きつける。
 クリエムは頼まれていた剣を仕込んでいる最中である。
「ふぅ。これでよしと、あとは昼から‥‥」
 そう告げると、クリエムは汗を拭い工房の居間へと戻る。
「作業中申し訳ありません。実は、以前マイスター・トールギスの作り出した銀の武具の製法を知っているのか確認したかったのです」
「ノルマンの方々で‥‥妖しい動きがあるのはわかる。それに‥‥備えないといけないからな」
 ミィナとウリエルがそう告げる。
 そしてロックウェルもまた、それに肯く。
「俺は、以前と同じ様にトールギス師匠の元で修行をしたくて頼みにやってきたんだ」
 その言葉に、しばし考えるクリエム。
「銀の武具の製法は師の残したスクロールに記されています。それを見ながらでしたら、作れない事もありませんわ。それと、他の武具についてですが、私は紋章剣を作り出すほどの腕はありません。師の残した5つの武具、そして私の作った武具が幾つかあります。それらでしたらお貸しすることはできるかもしれませんが‥‥」
 そう告げると、クリエムはロックウェルの方を向く。
「私とロックウェルさんは、同じトールギスという師匠の弟子です。ここで一緒に修行しましょう。師を越えられる日が来るまで」
 ニコリと微笑むクリエム。
「ああ、改めて宜しく頼む」
「では、さっそく‥‥置くの書斎に、師の残した様々な武具の製法を記した書があります。どれも門外不出の武具ばかりですが、ロックウェルさんが幾つか作れるようになって頂ければ幸いですわ‥‥」
 その言葉に、ロックウェルは全身に鳥肌が立った。
「‥‥トールギス師匠の書か‥‥」
 そう呟くと、そのまま書斎に引き篭るロックフェラー。

──そして一刻
 ガタッ‥‥
 フラフラになったロックフェラーが、そのまま無言で工房に閉じこもる。
「俺に作れるか‥‥伝説の武具・トールギスの名剣『カリバーン』‥‥」
 製法は覚えた。
 しかし、ロックフェラーには自信が無かった。
 所々霞んでいで見えなくなっていたものの、それには確かに記されていた。

 生み出すのは銀よりも尊き金属。
 風よりも薄く、炎よりも激しく。
 水のごとき清らかなる刃を叩き、
 大地の‥‥により、全てを一つと‥‥
 
 まずは己の腕を上げなくては。
 ロックフェラーは打った。
 ただひたすらに‥‥。


●そして天使は降り立つ
──パンプキン亭
 ガチャガチャ‥‥
 早朝。
 エグゼ・クエーサー(ea7191)はパンプキン亭の倉庫を調べていた。
 先月江戸村に行ったときに知ったご大層な7振りの包丁の存在と、それを探しているらしい怪しげな流れの料理集団、そしてわざわざパンプキンの前に開店した件の店‥‥
(もしかしたら、パンプキンにはまだ何か残っているか、親父さんは何かを隠していたか‥‥可能性があるな‥‥)
 そう考えたエグゼは、サンディに親父が何かを残していたか訪ねてみた。
 だが、サンディは頭を左右に振るだけであった。
「なら、何かある可能性は十分考えられる‥‥調べさせて欲しい」
 その言葉に静かに肯くと、サンディとエグゼの二人はとにかく家捜ししていた。
「ふぅん‥‥特に怪しいものはないか‥‥」
「そうですね‥‥父の遺品はこれで全てですし、大切に使っていた包丁は、そのままお墓に一緒に‥‥」
「大切な包丁ねぇ‥‥」
「ええ。これも父の形見ですけれど」
 そう告げつつ、サンディは一振りの包丁をエグゼに見せる。
 普段サンディが使っていた、切れ味の良い包丁である。
「特に変わった所はないか‥‥しかし、いい切れ味だよな‥‥」
「ええ。毎日手入れをしてあります。父も手入れはしていたのですが、月に1度、父は自分の包丁を持って、研ぎにいっていたようですけれどね、」
「ふぅん‥‥」
 そう呟きつつ、エグゼはサンディの包丁をまじまじと見る。
 いくつもの傷があるが、毎日手入れをしているいい包丁である。
 職人たるもの、自分の道具は自分で手入れをする。
 使っている道具には、長年の間に染み付いた癖というのがあるからである。
「‥‥おかしいな‥‥」
 頭を捻りつつ、エグゼがそう呟く。
「何がですか?」
「毎月一度、包丁を研ぎに出している‥‥いくら酷使しているとはいえ、そんなことはあり得ない。欠けたとかその程度なら自分で治せる筈。にも関らず‥‥ということは一つ」
 そう呟くと、エグゼは静かに立上がる。
「親父どのの包丁に、何かが隠されているのでは?」
 その言葉にハッと気付き、エグゼの方を見るサンディ。
「父は、包丁を持って冒険者街の方に行ってました」
「あそこで鍛冶屋といえば‥‥『びっくり鈍器』か、あとは‥‥うーん‥‥トールギスか‥‥」
 困り果てたエグゼ。
 びっくり鈍器の主は知合いだが冒険者故、なかなか会う機会がない。
 トールギスに至っては、既に他界している。
「厄介だな‥‥墓の中に包丁は納められている‥‥だが、墓は暴く事適わぬ‥‥か」
 そう呟くと、エグゼは静かに立上がった。
「事は厄介だ。少し考える時間がほしい。それと、この件については、他言無用だ‥‥じゃあな」
 そう告げると、エグゼは店から出ていった。
 なお、サンディとエグゼがものを調べている最中、お供のテッドとウィルの二人は、近くの食堂で食事をしていたとさ!!


──ロイ教授の研究所
「ふぁぁぁぁぁ‥‥随分と騒がしいのう」
 居間で欠伸をしながら、ロイ教授が静かにそう呟く。
 ちなみに一行が到着するまで、教授はのんびりと窓辺で昼寝を堪能していたらしい。
 まったく、このくそぢぢいは。
「ご挨拶とお礼が遅れて申し訳ありません。ギュンター君の甦生の時、助力戴いて本当に感謝致します」
 丁寧に挨拶を躱わすのはウィル・ウィム(ea1924)。
「ん、いやいや。気にすることはない。知識を持っている者の当然の行ないぢゃよ。それよりも、ニライどのにお礼を言えばよかろう」
 その言葉に頭を捻るウィル。
「どうしてニライ査察官が?」
 テッド・クラウス(ea8988)がそう訪ねる。
「まあ、色々と知っているからのう、あの人は。一癖も二癖もある方ぢゃからな‥‥」
 そう呟いていると、突然一匹の小悪魔がハーブティーを運んでくる。
「ほら客人、ハーブティーだとっとと飲め!!」
──スパァァァァン
 ハーブティーをテーブルに並べた後、エグゼが激しく突っ込みを入れる。
「このハーブティーの入れ方はなんだ!! こんな入れ方では折角のハーブティーが‥‥ええい、どけ、台所に案内しろ、俺がいれてやる!!」
 ああっ、兄貴、つっこみどころが違います!!
「そこの小悪魔、とっととこい!! 貴様に美味しいハーブティーの入れ方を‥‥」
 そんなこんなでエグゼは台所へ。
「それでは、私達はこれで‥‥」
「教授もお身体、ご自愛下さい」
 テッドとウィルがそう告げて静かに立上がる。
「エグゼ、そろそろいきますよ‥‥」
「ああ、それじゃあ、次までの課題だ!!」
「い、いえす、まいますたー‥‥」
 震えつつそう呟く小悪魔のナンデダロー。
 悪魔を見下して従えさせ、挙げ句に約束させているエグゼって悪魔みたい。

──ネラーの村
 風の噂で、その村で何かが起こっているらしいということを聞いたエグゼ、ウィル、テッドの3名は、現場である村に向かうことにしたのだが‥‥。
「さて、その村は一体どこなんだ?」
 エグゼが座り込みつつそう呟く。
「‥‥さっきの村でもそれらしい噂は聞かされていません。困りましたねぇ‥‥」
 ウィルもそのばに座り込み、シャルトル南方の村の位置を記した自作の地図に印を付けている。
「本当に、その村は存在するんですか? 『実は、ネラーの村は、君達の心のなかにあるんだよ』とかいう落ちは無しですよ?」
 テッドがそう告げる。
『はは‥‥そんな‥‥まさか‥‥?』
 ウィルとエグゼ、同時に渇いた笑い。
 かくしてスケジュールの都合もあり、ネラーの村へと向かうのは断念した。


──剣士の居留地
「‥‥」
 静かに剣を構える。
 意識を集中し、剣にオーラがまとわりつくイメージを生み出すエグゼ。
「オーラは常に魂と共にある‥‥身体を流れるオーラをイメージするのぢゃ‥‥」
 その言葉と同時に、エグゼ、テッドの二人は静かに呼吸の流れを変える。
(微かだが‥‥熱い‥‥)
 其の手が少しずつ熱を帯びてくるエグゼ。
 そしてテッドは剣に集めたオーラを、更に細く、強くするイメージを練り上げる。
「このまま‥‥っ!!」
 と、剣のオーラが弾ける。
「ふむ。まだまだぢゃな。エグゼ、そのまま練り上げるイメージを続けなさい。テッド、何を悩んでおる?」
 そう問い掛けるマスター・オズに、テッドは静かに口を開いた。
「マスター、教えてください。オーラをいくら引き出せようともそれを扱う腕が無ければ意味がありませんし、かといって腕がよくてもオーラを引き出すことができないのならそれも無意味。どちらも必要なら両方とも欠けている僕はどちらを優先するべきなのか迷っているのです‥‥」
 そう告げるテッドに、マスター・オズ は静かに肯く。
「もんたを見なさい。あの子は、どっちも欠けている。だからこそ、どっちも頑張っている。確かにテッドの不安も判る。人の資質はそれぞれ、どちらが自分に合うのか、それも探さなくてはならぬのう‥‥」
「ですが‥‥」
「何を急ぐ。紋章剣の主たる『ワルプルギスの剣士』は、心技体全てを兼ね備えなくてはならぬ。己が私利私欲に走る事なかれ、我々は剣士であり騎士である。それを忘れてはいけない」
 そうは告げられたものの、テッドはやはり焦っていたのかもしれない。
 より強く。
 オーラを制御する力を。
 その焦りが、集中力を欠いていたのかもしれなかった。
「ふむ‥‥ならばテッド、お主はまず、ここで二つを学んでいきなさい。剣士としての資質よりもまず、オーラの制御、人としての生き方。剣士としての腕は、己自身で鍛え揚げなさい。騎士であるお主には、まずそれがよかろう‥‥」
 そのままオーラの理を学ぶテッド。
 一方のエグゼは第二段階へと突入。
「エグゼ。この剣を手にしろ」
 マスター・メイスが差し出したのは一振りの紋章剣。
「これは?」
「失われし紋章剣‥‥ユワン・ケノーヴィーの剣だ」
 それを受け取ると、エグゼは静かに意識を集中する。
「オーラの才覚は生まれにも関係している。生まれつきオーラの資質をもつ者ならば、それを制御することは難しくない。だが、その力を持たない者は、人を 越えた修練が必要となる‥‥」
 そのメイスの言葉ののち、エグゼは意識を集中する‥‥。
(オーラ。俺の中のオーラ‥‥)
──ヴン‥‥
 紋章剣の柄が輝く。
 そしてダガー程の刀身が生み出されるが‥‥。
「‥‥駄目‥‥だ‥‥」
 エグゼの意識が途切れる。
 体内のオーラが全て抜き出されたような感覚。
 そしてそれは現実となり、オーラは全てダガー程度の刀身に凝縮され、そして弾けたのである。
「エグゼ。一瞬だけだが、光は見えた。そのまま修行を続けなさい‥‥」
 うすれ行く意識の中、エグゼの耳にはメイスの声が届いていた。
「さて‥‥エグゼさん。とりあえず今は休んでくださいね‥‥」
 ウィルがそう告げつつ、エグゼの額に手を当てる。
 ギブメンタルと呼ばれるセーラの奇跡。
 夜半割り切ったエグゼの身体、抜け落ちたオーラを回復するために、ウィルは自信の魔力を注いだのである。
「う‥‥あ‥‥ああ、すまない。もう大丈夫だ」
 そう呟きつつ、エグゼは静かに立上がる。
「それよりも、明日には『ネラーの村』にむかうのだろう?」
「その事なんですけれど。もんた君に聞いたのですが、『ネラーの村』は選ばれし者しか行けないとかで‥‥その道順も、もんた君は教えてくれないのですよ」
「なんだそりゃ?」
 そう呟くと、エグゼは静かに立上がる。
「もんた、風の噂にお前の出身の村がかなり危険な状態だときいたのだが‥‥」
 そう問い掛けるエグゼに、もんたが静かに頭を縦に振る。
「僕の村は、この先の森のさらに先。『選ばれし者の森』を越えて、『古き教会神殿』の門を越えた先、小さな湖の畔にあります。風の噂って、恐らくは降臨祭のことでしょう?」
 そう告げるもんた。
 ちょうどテッドも午後の修行を終えた為、その話に参加した。
「あの、その降臨祭ってなんですか?」
 テッドがそう問い掛けると、もんたが周囲を見渡して静かに口を開いた。
「今年は100年に1度の降臨祭の年、巫女として選ばれた少女は湖の主に生贄に捧げられるのです。そしてこれから先、100年の平和が約束されるのです‥‥」
「そんな馬鹿な話があるか? 生贄と引き換えの平和だと?」
 エグゼがそう叫ぶ。
「けれど、仕方ないのです。湖の主、『神竜』は生贄を差し出さなければ村を滅ぼすと伝えられています。それに、今年はあの事件が在ったから‥‥」
 そう告げると、もんたは、その場から走り出した。
「ちょっと待ってください。もんたさん、『あの事件』ってなんでしょうか?」
 ウィルがそう問い掛ける。
「このパリの冒険者が、『神竜』を怒らせたんだ‥‥。『神竜の遺産・奇跡の宝玉』を盗み出したんだから‥‥」
 そのままもんたは自分の小屋に閉じこもってしまった。
「仕方ありません。1度出直してきましょう‥‥」


●帰ってきた巨乳〜
──パリ・酒場マスカレード
 念願の巨乳になった嬉しさで、もう大満足のカタリナとリュリュ。
 そのまま二人で極秘の特訓をしてパリに帰還となった。
「‥‥おおう!! カタリナ、その中に何詰めているんだ?」
 と呟いたエグゼは、そのままニコニコと微笑むカタリナに裏口に連れていかれ。
──ウギャァァァァァァァァァァァァァァァァァア
 あ、合掌。
「ふっ。いつまでもあると思うなボクの情け。マスター、ワイン!!」
「同じくワイン!! 念願のバインバインを手に入れたんだから!!」
 リュリュもそう告げてバンバンとカウンターを叩く。
「では、私もご一緒に」
「やったね‥‥って、でかっ!!」
 ウィルとミィナがそう呟く。
 特にミィナ、二人の胸を見て驚愕。
「はははっ‥‥夢がかなったのは実にいいことですよ‥‥私も負けていられませんね」
 ロックフェラーがそう告げる。
 そして全員にコップが配られ、ワインが注がれて。
「それではっ。ボクとリュリユの胸が大きくなったのを記念して!!」
「かんぱーーーい」
「かんぱーーーい」
 楽しそうに声が響き渡る。
 ただ、その光景を見ても、マスターはどんよりとした表情をしている。
「ん‥‥マスター、なにかあったか?」
「じ、実はこれを‥‥」
 そう告げつつエグゼに手渡したのは、あの『巨乳育成剤』の取り扱い説明書である。
「ふむふむ‥‥ふーーーーむ。あ、成る程ねぇ‥‥カタリナ、リュリュ‥‥」
 そう二人を呼ぶエグゼ。
「ん、何かあった?」
「どうしたの?」
 その二人の言葉に、エグゼは一言。
「『永遠のコマンドワード』を唱えないと、胸は小さくなるぞ‥‥」
 その言葉の直後、二人は素早くエグゼの手から取扱説明書を取り上げる!!
「安定安定‥‥永遠の胸。ボクの永遠の‥‥ああっ!!」
「ち、小さくなりはじめたぁぁぁぁ」
 絶叫する二人が必死にコマンドワードを探すが、それらしい文字は‥‥あった。
「こ、これだよ、カタリナ!!」
 必死に説明書を読むリュリユ。
 その最後に記されたラテン語のキーワード!!
「リュリュちゃん、早く解析‥‥いっそいで!!」
「ち、ちょっとまって‥‥あわわわ、小さくなる‥‥あうあう‥‥キーワード‥‥『いつまでも、あると思うなボクの胸』ってこれは別のキーワードぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
──ショボーーン
 どうやら二人とも時間切れ。
 ツルペタの胸に戻った模様!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 絶叫を上げて更衣室に飛込む二人。
 そして一言。
『あ、ちょっと残った‥‥ブラックカラントぐらい‥‥』
 うわ、ちっさ。
 かくして、様々な人々を巻き込んだ『第3次スーパー巨乳大戦』は幕を閉じた‥‥ってマジか

〜Fin