さらり冒険〜暴れてみよう〜

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:7〜13lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:2人

冒険期間:09月01日〜09月08日

リプレイ公開日:2006年09月07日

●オープニング

 ──修道院
 パリ郊外。
 セーラ神を奉っているその修道院には、毎日多くの礼拝者達が訪れています。
 そして、貴族を始めとする様々な身分の女性達が、この修道院で礼節や女性としてのマナーなどを学んでいます。

 そこはサン・ドニ修道院。
 『セーラの乙女たち』の学び舎。

●それとは別の場所
 おいおい、いきなり場面転換かよ。
──ドガドガッ
 激しくつかみ掛った腕を払いのけられると、少女は男に突き飛ばされた。
 そこはパリ。
 月道監理塔の入り口で、門番とブランシュが激しく口論しているところであった。
「どうしてよっ!! お金は作ったわよ。私をアトランティスに行かせなさーい!!」
「自分の立場を理解してくださいッ。貴方は元犯罪者、この国から出す事は出来ないのです。いくら改心し、今は監視付きで自由を与えられているとはいえ、国外には出す事まかり通りませんっ」
 そう叫ぶ門番。
「だって、アトランティスではきっと私のことを待ってくれているのよっ。私の‥‥大切な‥‥ゴニョゴニョ」
 最後のほうは誰かの名前を告げていたようであるが、それは届いていない。
「兎に角ダメですっ。それ以上抵抗するのでしたら、こちらとしても実力行使をさせて頂きますっ」
 チャキーーンとハルバードを構える門番二人。
「望むところよっ。私は、貴方たち二人を倒して、絶対にアトランティスに向かうんだからっ!!」
 素早く右腕で肩を掴むと、ビリビリッと肩の布を破り捨てるブランシュ。
 そこには深紅の肩当てが付けられていた。
「行くわよッ!!」
 そう叫んで走り出そうとした刹那。
──スパァァァァァァァァァァァァン
 突然プランシュの後頭部を誰かが『緑の室内履き』で殴りつける。
 その一撃で、プランシュは意識を失ってしまった‥‥。
「一体何があった?」
「こ、これは‥‥ご苦労様です。この娘が斯々然然でして‥‥」
 そのまま説明を受ける金髪のえらそーなエルフの騎士。
「ふん。所詮は戯れ言。広場にでも放り出しておけ!!」
 ありぁあ。

──場所は変わって
 ガサガサガサッ
 森の中を駆けていく人影が一つ。
 そしてそれを追いかける謎の集団。
「しつこいですっ。どうして僕が追いかけられるのですかっ!!」
 あ、ギュンター君だ。
 そのまま逃げていたが、どうやら岩壁の行き止まりに追い詰められてしまったギュンター君。
──チャキーーン
 そのままギュンター君を包囲すると、風体の悪そうな戦士達(種族:人間・男)は、なにもいわずに襲いかかる。
「貴様に恨みはないが、これも仕事なんでね。ギュンター、貴様の命、頂戴するっ!!」
 あ、なにも言わずにっていったのにぃ。
──ガキガキィィィィン
 激しく繰り広げられる剣戟の響き。
 昔のギュンター君とは違い、今はそれを一つ一つ受止めて流す。
 だが、多勢に無勢、徐々に戦士達の切っ先はギュンター君の肉体を傷つけていく。
「ぐあっ‥‥どうして‥‥」
「まあ、そうだなぁ。自分の生まれを呪うんだな‥‥」
 そう叫ぶと同時に、戦士のリーダーが力一杯剣を横凪に振った。
「そこまでだっ!!」
 突然の叫び声。
 そして上空から一人の剣士が剣を課構えてギュンター君の前に降り立つ!!
──ドシュュュュュュュュュュュュュュュュッ
 そして戦士の横凪の一撃をもろに胴体に受止め、大量の血を吹き出す。
「ちっ!! 貴様何者だっ!!」
「ああっ、もんた、もんたぁぁぁぁぁぁぁ」
 あ、『もんた』だ。
 突然ギュンター君を助けに間に飛込み、そのまま一撃を受けて瀕死の重傷って、あんた美味しいわ。
「そこまでぢゃ。とっとと引き返すならよし、さもなくば」
 と、戦士達の後から声がする。
「ますたー・おず!!」
 ギュンター君が叫んだ先には、ワルプルギスの剣士・マスター・オズが立っていた。
「ちっ。居留地に踏込んだか。引け、引けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」
 その叫びで、戦士達は撤退を余儀なくされてしまった。
「ますたー、もんたが、もんたが死んぢゃうぅぅ」
「むむ、もんた、その傷はいかん‥‥すぐに手当を‥‥」
 そのまま居留地に避難する一同。
 いやあ、一体なにが起こっているのでしょうねぇ。
 物語はいよいよ‥‥佳境な訳ないっしょ。

●今回の参加者

 ea2004 クリス・ラインハルト(28歳・♀・バード・人間・ロシア王国)
 ea4206 ケイ・メイト(20歳・♀・クレリック・シフール・イギリス王国)
 ea5180 シャルロッテ・ブルームハルト(33歳・♀・クレリック・人間・ノルマン王国)
 ea6536 リスター・ストーム(40歳・♂・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 ea8558 東雲 大牙(33歳・♂・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 eb4667 アンリ・フィルス(39歳・♂・ナイト・ジャイアント・イギリス王国)

●サポート参加者

カンター・フスク(ea5283)/ ヴァンアーブル・ムージョ(eb4646

●リプレイ本文

●さらりと〜そしてしっとりと〜
──パリ・とある家
 ゴソゴソ‥‥。
 冒険の準備をしているリスター・ストーム(ea6536)。既にマカレードのマスターの元へ向かい、アサシンガール達の為の御菓子の準備もOK。
 ミストルディンスは仕事で留守だったので、とりあえず荷物を纏める為に家に戻ってきていたのである。
「今回は危険が無い旅だから付いて来るか? 蛮ちゃんの実家の近くも通ると思うぞ?」
 そうベットで気だるそうにしている大丹羽蛮に問い掛けるリスター。
「う‥‥ううん。うちは家で待っている。少し身体が重いの‥‥」
「そっか。無理はするなよ‥‥それじゃあ‥‥」
 そう呟いて優しくキス。
 お返しにと蛮ちゃんもキス。
──ムラムラッ!!
 やがてお互いの気持ちが盛上り‥‥。
「リ、リスター‥‥出発は‥‥」
「大丈夫。あとでもね‥‥それよりも今は‥‥」
「ああんっ‥‥」
 さて、このバカップルは放置ということで。

──パリ・中央広場
 王宮近くにある広場。
 そこは大勢の人で賑わっている。
 様々な露天商は旅人、吟遊詩人などが楽しそうに歌い、語らい、そして大勢の人たちがそれを愉しみに集っている。
 そんな中‥‥。
「赤い肩当の、可愛いけど少し目のキツい女の子を知りませんか?」
 クリス・ラインハルト(ea2004)は広場のあちこちでそう問い掛けていた。
 最近、この辺でブランシュを見たというひとがいたらしい。
 いてもたっても居られなくなったクリスは、ブランシュを探そうとしていたのだが。
「さあ‥‥見なかったねー」
「このへんでは見掛けませんね」
「旅人ですか? まだこの国に居るのでしょうかねぇ」
「しふしふ♪〜。その子でしたら、南方にあるいていきましたよー」
 通りすがりのシフールの女の子が、クリスにそう告げる。
「南方ですか。シャルトルかなぁ?」
「うにゃ!!」
 ああっ。シャルトルで反応している万能文化猫耳シフールがっ!!
「わんどしっ。待っているにゃ!!」
 そう叫ぶケイ・メイト(ea4206)を捕まえると、クリスは静かに宥める。
「まだですよー。これから吟遊詩人ギルドにもいかないといけませんからねー」
 そう告げると、とりあえず南方に向かったブランシュの足取りを求めて、さらに一行は吟遊詩人ギルドへと。

──吟遊詩人ギルド前
「ほほう。あのチャーミングなお嬢さんの旦那様でしたか‥‥」
 久しぶりの吟遊詩人ギルドにやってきた一同。
 まずは『ザンク!!』に挨拶を終えると、クリスは『ザンク!!』にカンターを紹介したのであった。
「初めまして。御噂はかねがね、妻がお世話になっています」
 つとめて丁寧にそう告げるカンター。
「いえいえこちらこそ。最近は色々と忙しくて、あまり出番をあげられませんで‥‥」
 そう呟く『ザンク!!』に、クリスがニコリと微笑みつつ、話し掛ける。
「なにかあったのですかー? 吟遊詩人ギルドが忙しいなんて」
「ほら、もうすぐ収穫祭じゃありませんか。その準備もありますが、何よりも最近は『物語』を持ち込む人たちの対処で忙しいのですよ。やれ、自分はどこそこの英雄だから英雄譚を作って欲しいとか、やれ、自分が作った物語を広げてほしいとかねぇ‥‥」
 溜め息を付きつつ、そう呟くクリス。
「そうなんですかー」
「まあ、大変そうだにゃ!!」
 ケイ、腕を組みつつうんうんと唸っている模様。
「とくに‥‥これなんてどう対処したらよいのか‥‥」
 そう呟きつつ、『ザンク!!』は、一冊の書をクリスに見せる。
「これは?」
「なんでも、このノルマンを旅している神秘学者の作った詩集でして。名前は‥‥ああ、『ノセタラダマス』とかいう人で‥‥これがまた凄いのですよ」
 フゥンと呟きつつ、クリスはそれを静かに読みはじめる。

‥‥‥
‥‥

「‥‥あ、もう駄目です。何かこう‥‥」
 全身に発生した鳥肌を摩りつつ、嫌悪感丸出しにそう呟くクリス。
 ちなみに横から覗いていたカンターは失神、ケイは墜落、大地で悶絶している。
「な‥‥なんて極甘な詩集だにゃあ‥‥もう、御菓子は食べられないにゃあ!!」
 どれだけ甘いかというと。
 よんでいるだけで、見る見るうちに体重が増加、ウェストサイズが2回りぐらい大きくなりそうな勢いである。
「は、話を本題に戻しますね。最近、王宮はどういう感じですか?」
 そう『ザンク!!』に問い掛けるクリス。
「王宮ねぇ‥‥」
「はい。特にニライさんとか色々な貴族の噂話でも構いませんよ」
「ふぅむ。ニライ査察官ねぇ。こっちにはそれらしい譲歩はないし。貴族といっても。最近の噂‥‥ヨグ卿が南方の別荘に引き篭ったとか、ナイアール卿がどこか他所の国から客人を招いているとか、プロスト卿がなにかまた研究を始めたとか‥‥そんなかんじですね。どれも噂程度で、詳しい話は判りませんよ‥‥」
「そうですか‥‥」
 賢明に羊皮紙にメモを取るクリス。
「あ、それとですね、ブランシュさんが月道開きたくて高位のバードに接触するかもしれないのです」
「ブランシュって、あの?」
「ええ。元アサシンガールです。今は普通の女の子ですけれどね。もし、そんな話を聞いたら連絡が欲しいのです」
「ん、了解」
 それだけを告げると、一行は其の場から離れていった。


●しっとりと〜そしてぐっちゃりと〜
──ノルマン南方・シャルトル・プロスト領
「おやおや。これはご丁寧に」
 プロスト城の応接間。
 お付きのハウスキーパー達がハーブティへの準備をし、リスターを迎え入れる。
「さて。本日はどのようなご用件で?」
 そう問い掛けるプロスト卿に対して、リスターは開口一発。
「施設設立の関係者へは、何度も使用できる許可書を発行して貰えないだろうか?」
「ああ、セーヌダンファンですか。別に構いませんよ。身分がしっかりとしていて、危険人物でないのでしたら」
 その言葉に、静かに肯くリスター。
「では、さっそく御願いします」
「冒険者ギルドのリスター・ストームと。えーっと、少々お待ちください」
 ハウスキーパーに色々と指示して書類を持ってこさせるプロスト卿。
「ああ、残念ですが、冒険者の場合、御許をしっかりと保障してくれる方の推薦状がないと発行されないのですよ‥‥この意味、判りますよね?」
 そう呟きつつ、なにかにサインをしているプロスト卿。
「冒険者は、いつ裏切るか判らない‥‥か?」
「いえいえ。そうではありません。住居が定まらない者もいますし、なにより『彼等』との接触がある可能性もあります。『彼等』に知らないうちに暗示をかけられたりすると、あとあと面倒なので‥‥」
 そう告げると、リスターに一つのペンダントを手渡す。
「これは?」
「セーヌダンファン通行許可証ですよ。無期限のね。保証人は私が。まあ、息子からは色々と話は聞いていますし‥‥」
「では、ありがたく御預かりします。このペンダントの効果は?」
「貴方を含めて3名まで」
「ありがとうございます。それでは‥‥」
──ドドドドドドドドドドッ
 と、一気に猛ダッシュ!!

──場所は変わってセーヌダンファン
「はぁ‥‥これはどうも‥‥」
 セーヌダンファンの居間で、リスターは緊張しまくっていた。
 目の前には、セーヌダンファンの管理人であるバルタザール夫人、そしてその友人であるらしい『マダム・ロランス』がリスターの横に座っていた。
(アサシンガールズ達は元気そうだ‥‥が‥‥)
 中庭をチラリと見つつ、楽しそうに遊んでいるアサシンガールズ達を見て内心ホッとしていたリスター。
「私もしばらくはパリの方にいけませんでしたから‥‥今のパリはどうですか?」
 バルタザール夫人がリスターに問い掛ける。
「そうですね‥‥いまのパリはぁっ!!」
──キュッ
 と、テーブルクロスの下で、マダム・ロランスがリスターの手を握り締める。
 そして優しく揉みはじめた。
「そ、今のパリは‥‥」
 必死に話に集中するリスターだが。
(マダム、あとでベットで鳴かせてやる‥‥)
 ああっ、エロインジャー今日も健在!!


●ぐっちゃりと〜そしてぼよよーん〜
──シャルトル・プロスト領辺境自治区『ラヴィーヌ』
「‥‥今でも、ここのダンジョンを訪れる人は大勢いらっしゃいますよ‥‥」
 ランタン片手にそう告げているのはディープロード・サード。
 側で周囲を警戒している東雲大牙(ea8558)とシャルロッテ・ブルームハルト(ea5180)はその言葉を静かに耳に入れていく。
「ここ最近は‥‥悪魔関係の事件はないのですか?」
「ええ。まあ、ここ自体悪魔のようですしねぇ‥‥」
 
 シャルロッテの言葉にそう返答するサード。
 だが、その瞳は笑っていない。
「ここでは悪魔の呼び出しや送還は可能ですか?」
「必要な知識と贄、そして条件さえ整えば、呼び出すことは可能でしょう。そしてここで呼び出されたのでしたら送還も可能と」
「条件‥‥どのような条件ですか?」
「さぁ? 悪魔の条件ですから、何とも‥‥例えば、金銭欲の高いものが呼び出すのは金銭に強い悪魔、色恋沙汰の為ならばそれもまた色恋の得意とする奴と、召喚したいものの望みによって、どのような悪魔がくるのか‥‥というところですよ。 まあ、これは祖父の受け売りですけれどね」
 そう告げつつ、三人は第6階層の大広間に到着した。
 広い空間、10名程度の冒険者があちこちで身体を休めている。
「地上へは戻らないので?」
「ここで休んで、もう一度という所でしょう。何か目的のものがいるのでは? と、これ以上先の案内はできませんので。御存知の通り、ここは生きている迷宮。どのような地図になっているのか、私にもさっぱり‥‥では戻りましょう‥‥か?」
 そうサードが告げている間にも、シャルロッテは怪我をしている人々の傷を癒していた。
「ふぅん。いい光景ですねぇ‥‥」
 そう告げていた時、横でずっ周囲の警戒をしていた東雲がサードに問い掛ける。
「‥‥人や人型のモンスターとの実戦修行が可能な良い所を知っているだろうか‥‥?」
 その意図するものはサードには判らない。
「人なら町に戻って『ディープロードランキング』に挑戦すれば宜しいですね。人型モンスターでしたら、シャルトル南方の未探検地域に向かうと‥‥デミヒューマンの集落はあちこちにありますが‥‥。まあ、どっちもというのでしたら、ここから更に下の階層へ‥‥なにが出るか判りませんけれどね」
 その言葉で、東雲は第7階層へと続いている階段の手前へと向かう。
 そして奥をじっと覗きこんだ‥‥。
「‥‥業が深いな‥‥」
「ええ。だからこそのアビスです」


●ぽよよーん〜そしてドゴドゴドガッ〜
──ノルマン江戸村・中央
「ニャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ」
「ワン!!」
 村の中央では、今まさに雌雄を決する戦いが始まっていた。
 一回り大きくなったグレートわんドシ君とケイが久しぶりの一騎打ちモード。
 だが、どう見てもケイが不利である。
「ケイ、これをっ!!」
 タッタッタッと走りこんできたクリエムが、ケイに袋を投げて飛ばす。
「来たにゃぁ!!」
 クルクルと回りつつ、袋を空中でダイレクトキャッチ。素早く中の『真・キャットネイルグローブαデラックス』を装着!!
「軽いにゃ、わんドシ覚悟っ!!」
 そこからはまさに一撃離脱の電光石火攻撃。
「これぞメイト流奥義っ『スターダストクルセイダー』だにゃっ!!」
 その攻撃で、わんドシ君の着ぐるみのあちこちがぼろぼろに裂ける。
 その切り口からは、鉄板が見え隠れしはじめた。
「ふっ‥‥そっちも奥義なら、こっちも奥義だワン!!」
──ビリリリリリッ‥‥ドサァァァッ
 わんドシ君の着ぐるみが破れ、中から普通のわんドシ君が出てくる。
「なんだとぉっ」
 一瞬驚いたものの、ケイは瞬時に攻撃を再開する。
 だが‥‥当たらない!!
「こっ‥‥こんなことって‥‥」
「これぞ奥義『肉を切らせたら、なんとまあ、その中からもう一人のわんドシ君プヘアッ!!」
──ドシュュュュュッ
 技名を叫んでいる最中にズタズタに切り裂かれたわんドシ君。
「技名は簡潔に。それが、とある英雄『ノノリリ‥‥』から受け継いだにゃ!!」
 あー、ノノリリ‥‥ね。
「そうだったワン‥‥と」
 スッと拳を構えるわんドシ君。
「これでケリを付けるワン!!」
「覚悟するにゃあああ」
──バッギィィィィィィン
 わんドシ君の一撃にカウンターを入れるケイ。
 だが、リーチが届かず、わんドシ君の拳にダイレクトボディプレス!!
「いやーーーーーーーーーーなかんじだにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
──キラーーン
「ふっ‥‥いい腕になっているワン!!」
 風を切ってそう呟くわんドシ君。
 君、オリジナル?


●ドゴドゴドガッ〜そして‥‥まあ、いろいろとあるんだな〜
─シャルトル南方・対魔法陣最前線
「右翼、オーガが6匹回った!! 左翼はそのままオークの集団と。正面、オーグラと重武装オーガ、このまま前線を維持するっ!!」
 ベルゼルク騎士団の隊長であるシャードの激が部隊に飛び交う。
 その言葉に合わせて、総勢24名の騎士団は一気に前線を押し上げはじめた。
「ここは拙者がっ!!」
──ガギィィィィィン
 激しく巨大な剣を叩きつけてくるオーグラ相手に、アンリ・フィルス(eb4667)は一歩も引かない。
 それどころか、オーグラの一撃をすんなりと見切ると、手にした太刀『鬼切丸』で渾身のカウンターを叩き込んだ!!
──ブシューーーーーーーーーーーーーッ
 胴部を真っ二つに分断され、オーグラが一撃で殺された。
「す‥‥すごい技です‥‥」
 若い騎士がそうアンリに話し掛ける。
「‥‥今の技、拙者でもそうそう成功しない‥‥そうさな。ジャパン風に言うと『鷹之羽(たかのは)』」という所でござる。さて‥‥無駄話はここまでといたすかっ!!」
 正面からハンマーを振回しつつ走ってくるミノタウロス相手に、アンリは一歩も引かない。
 このアンリの助っ人のおかげで、前線はほんの僅かだが前進し、騎士団にもわずかの余裕が生まれた‥‥。

・アンリ撃墜数
 オーガファイター12
 オーグラ2
 ミノタウロス2
 オークカウント不能
 オーガカウント不能

 まさに鬼人である。


●まあ、色々とあるんだなこれが
──冒険者酒場マスカレード
「うちは実家に帰らせて貰いますっ!!」
 ズルズルと革鞄をひきずりつつ店の外に出て行く蛮ちゃんと、その背後でマダム・ロランスに抱しめられているリスター。
「ちょっとまってくれ、誤解だ罠だ、これは何かの陰謀だぁぁ」
 ああ、その通り(きっぱり)
 と、そんな事は放っておいて、テーブルでは、シャルロッテやアンリ、クリス、東雲、ケイといった面々がお互いの情報交換をしている所であった。
「セーヌダンファンにいないと思ったら‥‥あのマダムに連れられていったのですか‥‥」
 リスターを見つつそう呟くクリス。
 まあ、そんなのも日常ということで。

〜Fin