ふらり冒険〜あさしんがぁる〜
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:11〜17lv
難易度:やや難
成功報酬:5
参加人数:4人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月23日〜10月03日
リプレイ公開日:2006年10月01日
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●オープニング
──事件の冒頭
誰も知らないとある場所・とある屋敷
「‥‥どう?」
一人の少女が、ベットに横たわっている少女に話し掛ける。
「まだ自由には動かないけど‥‥大丈夫」
「そう。これで貴方も『チャイルド』よ。エンジェルモードは?」
「大丈夫。いつでもできるみたい‥‥」
ニコリと微笑みつつ、そう告げる亜麻色の神の少女。
──ガチャッ
「あら、起きたの?」
「ええ。ヘルメスさん。この子、チャイルド認定だって。悪鬼さんが戦闘能力を保証してくれたよ」
そうヘルメスに告げる黒髪の少女。
「ふぅん。これでチャイルドは何人だったかしら?」
「えーっと‥‥私‥‥『リトム』と『アルモニー』『メロディー』『ラプソティ』の4名と‥‥この子だよ。名前はどうするの?」
そう告げられて、ヘルメスはしばし思考。
「それじゃあ‥‥『セレナード』っていうのは?」
「私‥‥の‥‥名前?」
「そうよ。セレナード。いい名前でしょう?」
──パンパン
そう告げているとき、ヘルメスが手を叩く。
「はいはい。そろそろいきましょう。目が覚めたのでしたら『我が君』に御披露目をしないとね‥‥」
そう告げると、3人は静かに部屋の外に出ていった‥‥。
それはあるパーティーでの話。
「レディというのは、常に笑顔を絶やさない事が第一条件です」
「いえいえ。思いやりこそ大切なのですよ」
「社交性も忘れてはいけません。踊りや礼節、全てを学んでいる者こそまさにお嬢様、淑女なのです」
「オパーイがでかくなければお嬢様ではないっ!! 外見こそ重要だっ」
華やかなパーティスー会場の片隅で力説している貴族が4名。
全てとある名家の主、其の日催された『プロスト卿主催』のダンスパーティーの席で、お嬢様とはどんなものかをいいあらそつていた。
「では、こうしよう。誰が一番のお嬢様か、それぞれが代表者を選出して次のこのパーティー会場で御披露目といきましょう」
「そこで参加者から多数決で決定し、真のお嬢様を決定するのですよ」
「ふっふっ。面白い。いいでしょう。では次のダンスパーティーの時に『第一回ノルマンお嬢様様伝説決定戦・貴方がノルマンナンバー1』
を開催しましょう」
横で聞いていたプロスト卿が、静かにそう告げて会場に消えていった。
‥‥‥
‥‥
‥
アサシンガールって知ってる?
かつて、秘密結社シルバーホークに攫われ、洗脳されて戦闘訓練を施された暗殺のエキスパート少女たち。
昨年の戦いで、その半数は死亡、残った少女や候補生立ちは救出されて、今はノルマン南方の『セーヌ・ダンファン』で監視付きではあるが自由を得ている。
1度会いにいってみますか?
許可証さえあれば、だれでも会いにいけますよ‥‥。
●リプレイ本文
●希望は続くよ
──パリ郊外・サン・ドニ修道院
「ご無沙汰していますシスター。なかなかご挨拶にこられなくて申し訳ありません」
修道院の院長であるシスター・アンジェラスにそう頭を下げているのはクリス・ラインハルト(ea2004)。
「いえいえ。気にしなくていいのですよシスター・クリス。あなたはこのパリの大切な冒険者なのですから」
にっこりと笑みを浮かべ、シスターがそう告げる。
「実は御願いが在って参りました」
「ええ、どうぞおっしゃって下さい」
そのシスターの言葉に、クリスは思いの全てを伝えた。
セーヌ・ダンファンのこと、アサシンガール達のこと、そして大切なアンリエットのこと。
「ええ、判りました。それでしたら私が紹介状を書きましょう。貴方たちの為に一通と、ノートルダム大聖堂の大司教様宛に一通を」
そのシスターの言葉にきょとんとするクリス。
「出来たわ。ではこれはプロスト卿にね。こっちは大司教に、そうすれば、大司教様からも貴方達に推薦状を書いて頂けるでしょうから」
その言葉に、クリスは満面の笑みを浮かべる。
そして丁寧に挨拶を終えると、にこやかに外に飛び出した。
「あーあ。きっといい女になれただろうなぁ‥‥」
ジョセフ・ギールケ(ea2165)はそう呟きつつ、目の前の墓碑に花を手向ける。
何処かで摘んできたのであろう名もなき花。
それを一つ一つ丁寧に備えると、深々と頭を下げた。
「そうだね。でも、やっぱりこの子たちには罪はない。あのデカ胸女が全て悪いんだっ‥‥みんな、安らかに‥‥」
カタリナ・ブルームハルト(ea5817)がジョセフの言葉にそう突っ込みを入れてから、二人は静かに冥福を祈った。
と、いつしかその横にクリスもやってくると、同じく死んでいったアサシンガール達に冥福を祈る。
「さってと。推薦状も戴いた事だし、行きましょうね!!」
「ああ。子供達、待っているだろうからな‥‥」
そう呟くと、クリスとジョセフは其の場を痕にする。
──一方・パリ・ニライの執務室
♪〜
それはひとつの物語。
とある村のちいさな食堂の、これまた不思議な気まぐれシェフ。
人には料理をつくらない。
精霊さんに料理をつくっていた、森の不思議な気まぐれシェフ。
ある日、森の中で詩人が倒れているのを発見しました。
「これはいけない」
そう思ったシェフは、精霊さんとの約束を破って、人の為に心を込めたスープを作り、詩人に飲ませました。
とあら不思議、詩人は一口で元気になり、シェフにお礼をいいました。
「このスープの作り方を教えてください」
「いいでしょう。わたしはもうすぐこの世界から消えてしまいます。私の味と、これから生まれる人の包丁を貴方にあげましょう」
こうして詩人はスープと、シェフの秘伝の料理グローリアスを学びました。
そして詩人は自分の村に戻り、料理の研究を始めたのです。
ある日のこと。
たまたまやってきたとある貴族が、美味しいスープが食べたいと、無理難題をいってきまして。
「できなければ、お前にはしんでもらう」
これは大変殺されちゃあかなわない。
詩人は考えました。
ならば作ってみせましょうと、料理の材料を取りに森に向かいました。
最初に見掛けたのは小さな兎。
つぎに見付けたのはちいさな木ノ実。
そして川で魚をって、詩人はスープを作りました。
「これはうまい」と貴族は言うと、詩人を自分のお抱えにしました。
そして詩人は村から町へ。
町でも詩人は大人気。
ある日、町に盗賊が押し寄せてきました。
「あれは銀の鷹!!」
そうです。
このあたりの町を次々と襲う、悪い盗賊銀の鷹。
けれど、詩人は考えた。
「あのスープで盗賊達を改心させよう」
一杯作ったきまぐれスープ。
それをこっそり盗賊達にのませるとあら不思議、盗賊達は改心し、ころしやの女の子達もふつうの少女にもどっていきました。
この噂を聞きつけた王様が、是非王宮でと詩人を招きました。
そして詩人は町から国へ。
国でも詩人は大人気。
だけどある日、国に悪魔がやってきて、たましいを吸い取る魔法陣を置いていきました。
「これはたいへん、街の人たちの魂がすいとられる!!」
そうなっちゃあかなわない。
詩人はかんがえました。
魂を吸う魔法陣に、美味しいスープを吸わせてお腹一杯にしてしまおう。
詩人はそうかんがえると、湖ほどの大鍋でいっぱいのスープをつくりました。
それをどんどん煮詰めて、ちっちゃなスープをつくります。
おさらの小さなスープ。
けれども美味しさは湖よりも大きいのです。
それを魔法陣に注ぎますと、あら不思議、魔法陣はお腹一杯になりどんどん消えていったのです。
この噂をききつけた神様が、是非私のところでと神の国に詩人を招きました。
そこでも詩人は大人気。
だけどある日、神の国に悪魔がやってきました。
そう、詩人のいた国をおそったあの悪魔です。
「これは大変、かみさまと悪魔が喧嘩する!!」
そうなっちゃあかなわない。
詩人はかんがえました。
仲直りのパーティーを開きましょう。
詩人は一杯考えました。
神様や悪魔達を楽しませる料理を。
最高の味の料理を。
そして詩人は、きまぐれシェフに教わったグローリアスと呼ばれる神々の料理を一杯つくりました。
それは大変な人気です。
でも、詩人の料理のなかでもっとも人気のあったものはスープでした。
ただ、兎と木ノ実と魚だけで作ったスープ。
どんな最高の材料をつかっても、そのスープの味はできません。
そこで悪魔と神様は問い掛けました。
「このスープには、どんな材料がはいっているんだ?」
そして詩人はきっぱりと答えます。
「ぼくは。美味しく食べてもらえるように、みんなの為に真心を込めてつくりました」
こうして出来たスープ。
ただのスープだけれど、どんな人が食べてもあったかくなるスープ。
いつしか、このスープは『珍品奇品摩訶不思議スープ』と呼ばれるようになりました。
「仲直りさせてくれた褒美を上げよう」
「何がほしい?」
そう問い掛けた神と悪魔。
そして詩人は答えました。
「平和な世界をください」
神と悪魔は約束して、世界を平和にしました。
詩人の望みはちっちゃなのぞみ。
平和に楽しく暮したい。
その願いがいっぱいのスープで叶いましたとさ。
♪〜
「っていう歌。あ、ニライ、聞いているのか?」
カンター・フスク(ea5283)が、執務室で多忙そうなニライにそう問い掛けていた。
「あ、ああ、しかし、随分と古い歌だな。今聞かされるまですっかり忘れていたぞ」
そう告げると、ニライは書類を置いてカンターの方を向き直した。
「そこでだ。ニライ、キミはこのシェフの作ったスープ、判るか?」
「はっはっはっ。自慢ではないが判らないな。私は料理はさっぱりなので。ただ、その歌の中にでてくる料理、グローリアスっていうのはグローリアスロードじゃないのか?」
そのニライの言葉に、カンターはポン、と手を叩く。
「ああ、成る程な。確かにそういわれればそうだ。‥‥と、それじゃあその気まぐれシェフって? まさかあいつか?」
「グローリアスロードを最初に作った人か。噂では今でもそれは石版に刻まれているレシピだとか‥‥」
「なら、その石碑を探していけば、スープも判るという事だな?」
「そうだな。まあ、判ったとしてもその次は材料と腕。このノルマンにそんなに腕のいい料理人がいるとも思えないし‥‥」
ニライがそう呟くが、カンターは何人か心当りがあったようで。
──冒険者酒場・マスカレード
「ご無沙汰ですね‥‥」
カウンターに座っているクリスとジョセフ、そしてカタリナにハーブティーを出しつつ、マスカレードがそう呟く。
「まあね。で、聞きたい事があるんだけれど‥‥」
カタリナがそう告げると、マスカレードは静かに肯く。
「アサシンガール更正施設についてなんだけどさ」
「ああ、セーヌ・ダンファンですか。あそこも最近大変ですから‥‥」
そのマスカレードの言葉に、クリスが慌てた表情になる。
「どどどどどどういうことですか? 何かあったのですか? まさかシルバーホークが襲ったとか‥‥」
その動揺ぶりに、マスカレードの口調も多少鈍くなる。
「そのほうが、まだましなんですよ‥‥まあ、いけば判ります‥‥どうぞこれを」
そう告げながら、マスカレードはカタリナに『プロスト家の家紋』の入ったペンダントを差し出す。
「ん? これは?」
「セーヌ・ダンファンの通行証みたいなものですよ‥‥」
●グッバイ・ガールズ
──ノルマン南方・プロスト領・セーヌ・ダンファン
静かに教会の鐘が鳴り響く。
死んだ者を天に送り届ける鎮魂の鐘。
そしてセーヌ・ダンファンの庭に作られた墓に埋葬されるアサシンガールたち。
「どうしてこんなことに‥‥」
溢れ出す涙を堪えることなく、クリスはただ泣きながらそう呟きつづけた。
──少し前に
久しぶりのアサシンガール達との再開。
「えーーっと、君の名前は?」
「私はテトラ、この子はアレスとニーヴァよ」
セーヌ・ダンファンの中庭で、クリスは3人のアサシンガール達と愉しい一時を過ごしていた。
この子を始めとする子供達は、まだ洗脳されていない子供達。
そのため、この施設で更正され、再び外の世界に出る日がくるのをじっと待っていたのである。
「彼女たちの回復はどうですか? 一般社会への復帰はかないそうでしょうか?」
カタリナはバルタザール夫人にそう問い掛けている。
「ええ、一つのこと以外は‥‥大丈夫ですよ」
その言葉に何かを感じつつも、カタリナは子供達を見渡した。
「あれ? すいませんがバルタザール夫人。他の子供達は何処に?」
カタリナがそう問い掛けると、バルタザール夫人は静かに答えた。
「二人はここから出て、他の貴族の養子になりましたわ。あとは‥‥ラセットとユインは今の時間は水汲みに、アルエッととグリヴはノートルダム大聖堂で治療を‥‥」
「治療? 怪我でもしたのか?」
そう問い掛けるジョセフに、バルタザール夫人は頭を左右に振った。
「違うのです‥‥。シルバーホークとヘルメスの手で、あの子達は人ならざる力を身につけました。ですが、その代償があまりにも大きすぎたのです‥‥」
哀しそうにそう呟くバルタザール夫人。
と、一人の女の子がカタリナ達の元に走ってくる。
「おかーさまをいじめたなーーっ」
そのまま殴りかかってくる少女。
──バシィィィィッ
その拳を間一髪受止めたカタリナだが、掌がジーーンと痺れていた。
「フェール、戦ってはいけません!!」
そのバルタザール夫人の言葉に、フェールと呼ばれた少女はシュンとしてしまう。
「バルタザール夫人、なんでもおっしゃってください。私達冒険者は、子供達の味方ですから」
クリスがそう告げつつテーブルに歩いてくる。
「ええ、そうよね。クリスさんはうちのアンリの大切なお姉さんでしたわよね‥‥」
「アンリがそういっていたのですか?」
「ええ、時々ここを訪れては、他の子供達と一緒にガァガァつて。ただ、ここ最近は来なくなったから‥‥どうしたのかしら?」
そう告げてハーブティーを一呑みする。
と、そこに一人の護衛騎士が駆けつけて、一言こう呟いた。
「カナールとオヴの二人が、たった今亡くなったと大聖堂から報告がありました‥‥」
「なんだって? その二人はアサシンガールなのか? 一体誰にやられたんだ?」
そう問い掛けるジョセフに、バルタザール夫人が口を開く。
「先程の御話の続きです。アサシンガールという哀しい力を身につけた結果‥‥過度の薬と秘薬、そして人知を越える戦闘訓練が、徐々に少女達の身体を‥‥魔法での治療ももう限界で‥‥ここの子供達も、いつそうなるのか‥‥」
涙を浮かべつつ、バルタザール夫人がそう告げた。
──そして戻る
目の前には7つの墓碑。
全て、ここ最近に亡くなったアサシンガール達の墓である。
「バルタザール夫人。ここに眠っている少女達、アンリと同期の子ですか?」
クリスがそう問い掛ける。
「いいえ。もっと新しい子よ。まだそれ程の訓練も薬も使っていない筈ですから‥‥」
そう告げられたとき、クリスの顔色が真っ青になる。
「もしそうなら、アンリの身体は‥‥」
「それに過度の薬と秘薬‥‥ブランシュもやばいよっ!!」
クリスとカタリナがそう叫ぶ。
「早い所手を打たないとな。バルタザール夫人、その薬の調合について教えて欲しい」
ジョセフがそう問い掛けるが、バルタザール夫人は頭を左右に振る。
「薬は魔法使いさん‥‥ジェラールとおっしゃったかしら? あの人の御師匠さんが調合していたらしいですから‥‥」
それ以上の言葉はない。
目の前で友達の死を嘆き哀しんでいる子供達。
だが、いつこの少女達もまたその命を散らせてしまうか‥‥。
一つ一つ、そしてまた一つ。
運命の鎖が解かれていく。
全てが溶ける日は、果たして‥‥
〜Fin